「がぼぼぼぼぼぼぼ!」
(ぶるぁぁああああああ!)
えー、読者の皆こんにちは!現在私は海の中である。そしてある生物と格闘しております。それはこいつ!ホオジロザメである!
私の背中にぶっ刺さってくれやがった銛を左側のエラに突き刺し、逃がすまいと必死にしがみついております!つか、こいつかなりデカいぞ!
ホオジロザメが私もろとも海面へと飛び出す。危うく振り落とされそうになるが、私をナメるでない!
「ヘアーッ!」
再び海に潜る前に、銛を引っこ抜いて頭頂部付近に突き刺し、左側のエラに自分の手を突っ込む。そして!
「必殺!エラちぎりぃぃぃ!」
ブチィッといい音を立ててエラがちぎれる。しかし、こんなんでくたばる訳ではない。再び水中格闘となるのだ!
「ぐぼぼぼぼぼぼぼぼ!」
(キェェェェェェェェェ!)
ホオジロザメの鼻に向けて肘打ちをかます。一瞬硬直した瞬間に、銛を更に深く突き刺してから引き抜き、そこに右手を突っ込む!
「ぐぼがばぼごぼごぉぉぉ!」
(ブラッドボーン直伝!内臓攻撃ぃぃぃ!)
凄まじい量の血と肉片。私が握っているのは多分ホオジロザメの脳ミソ!ふはははは!私の勝ちだぁ!さぁて、旅館の人に頼んでフカヒレ料理にしてもらうべ。でも、その前に。
「ホオジロザメ、獲ったどぉぉぉ!!!」
肩に担ぎ、泳いで砂浜まで来ました。
「織斑先生!ホオジロザメ獲りました!」
「危険分子を取り除いてくれた事には感謝するが、何をやっているんだお前は」
「フカヒレにできないかなと」
生徒の皆様は遠くから見ているのにもかかわらず、枝でホオジロザメを突っつくのほほんさん恐るべし。やめたげて。僅かに残った脳ミソ突っつくのやめたげて。何か尾びれが動いてるから。
「それにしても、随分と大きいな。7メートル近くあるんじゃないか?」
「ええ、私も思いました」
「ではでは!測定してみようではないか!」
再び登場束さん。何かキラキラしてるぞオイ。
「束さん、いつから艦娘のキラ付けを?」
「あれだね。うん。妹に抱きしめられるって、凄くいいね」
「分からんでもないな。私も一夏に抱きしめられると何だか嬉しい」
ダメだなこの二人。
「さーてさてさて大きさは~……」
おお、あの時乱入してきてくれちゃった無人ISが二体。一体が尾びれの所でメジャーを持ち、もう一体が鼻先にメジャーを引っ張ってゆく。うん。
「すんごくシュール」
「確かにこれはシュールな光景だな」
「うん。束さんもビックリなほどシュールだよ」
「しかも無駄に人間味あるんですが?頑張って何度も微調整繰り返してますが?」
「シュールさに歯車をかけてるな」
「あっれー?気付かぬうちに性能落ちた?」
ズドンッ!
「こけた」
「こけたな」
「あっるぇー?束さんが設計したゴーレムちゃん大丈夫?もしかして束さん頭脳が劣化した?天災から天才に戻っちゃった?」
パチンッ
「あ、メジャー放しちゃった」
「余計に人間味が溢れるな」
「(°-° ;)」
ガシャン!ガシャン!
「あとちょっとで計測できたのにぃぃぃ!っとでも言いたげですな」
「ああ。しかもメジャー放した方は土下座まで始めてるぞ」
「° ° ( д ;)」
「…織斑先生、束さんが驚愕してます」
「こいつが驚愕している事が驚愕だ」
どうやら無人ISのこの動きは束さんにとってはかなり驚愕な様子。ISってこんなにも人間味溢れるんだな。
「どゆこと!?束さんこんな設計した覚えないよ!?」
「でしょうなぁ。ついには計測ほったらかしてコサックダンスやってますし。あの膝がぶっ壊れそうなヤツ。鉄拳ではジャックシリーズの技で全部ヒットすれば結構なダメージになるヤツ」
「鉄拳か。懐かしいな」
「おや?やってたんで?」
「いや、少しだけだ。ゲームはどうも苦手らしくてな。一回戦目から勝った事がない」
「それは酷い」
「あれ!?こっちの操作を受け付けない!?」
「…織斑先生、社交ダンスする無人ISってどう思います?私はシュール一択です」
「同じく」
シュゴゴゴゴゴゴゴ…!
「飛んでっちゃいましたな」
「飛んでったな」
「ってちょい待たんかいごぅるぁぁあああああ!!!」
ズドドドドドド…!
「ニンジンロケットで追いかけて行きましたな」
「ああ。もう放っておけ」
「うぇす」
***
「う~~~ま~~~い~~~ぞ~~~!!!」
まぁ、色々あってキンクリさせてもらった。今は晩飯の最中である。いやー、ほんとにフカヒレ作ってくれるたぁ思ってもみなかっただ。
「うっ……」
「ん?どうしたセッシー」
「あ、足が……」
「あー……」
海外の人に正座というものはないからな。良し。
「うりゃ」
つん
「~~~~~~!!!?」
私が軽く突っつくと、びっくん!とでもいうくらいに反応するセッシー。そして、その動きがそのままダイレクトアタックになり、身悶えして更にという地獄の無限ループ。ついにダウンしたセッシーは息も絶え絶えでピクピク痙攣してらっしゃる。何だこのエロさは。
「おぉっ!?嫁よ!このイカまだ生きているぞ!」
「活け作りってヤツだよラウリー。さぁ、かじってみようか」
「う、うむ。…ふぉおっ!?」
イカ、風前の灯火の命とは思えない最後の抵抗。ラウリーが箸で足を掴んだ瞬間、イカが大ジャンプ。そのままラウリーの顔面に張り付いた。
「ーーーーーーーッ!!!?」
こっちではデュノアさんがワサビをそのまま口に入れて悶えている。
「一夏!口を開けなさい!」
「ええい!こっちに口を向けろ!」
「えー……」
あっちはあっちでイッチーが凰さんと大和撫子に挟まれててんてこ舞い。セッシーは私のせいだが、唯一無事なのは私じゃなかろうか?
「むぐぐぐぐぐぐぐ…!」
「あー動くな動くな。私が取ってやっから。…ぶばっ!?」
ラウリーからイカを取ろうとしたら、今度はイカがこちらに牙を向いた。イカが私の顔面へと張り付き、そのまま鼻へと噛み付いた。さて、ここで問題です。イカの口ってどんな形でしょーか?正解は嘴みたいな形です!つーまーりー…
「いぃてぇぇぇえええ!!!?」
物凄く痛いんです。
「こんのクソイカがぁ!こいつを食らえぇい!」
逆にイカが離れないよう手で押さえた私は、イカに醤油をぶっかけた。当然暴れるに暴れます。が、逃がすわきゃねぇだろぉぉぉ!
「ぶるぁぁぁああああ!!!」
暴れているイカの足を一本掴み、そのまま私のお口にシューーーーーーッ!噛みちぎり、もぐもぐしてやった。
「美味いなおい。ラウリー一本食ってみ」
「う、うむ」
今度は引きちぎった一本をラウリーに渡す。そしておそるおそる口に入れて噛む。そして噛む。更に噛む。もいっちょ噛む。噛んだまま箸で引っ張る。切れない。頑張って引っ張る。切れない。両手を掴って頑張って引っ張る。切れない。ラウリー必死。かわいい。
ちなみに、ラウリー観察している間にイカはついに力尽きた。やれやれ、生きのよすぎるイカだったぜ。ほかの子は大丈夫だろうか?
「ごべはっ!?」
「メディーーーック!イカ墨が喉仏直撃!負傷者意識不明!」
「がはっ!?」
「ぬわーーーっ!?首筋噛み切られたぁ!?大丈夫!?血がぴゅーぴゅー出てるけど!?」
「ぐっはぁっ…!」
「イ、イカがクロスカウンターしたぁ!?」
…………。ウチんとこよりもヤバい輩がいらっしゃったわ。
***
まさかの負傷者が出た晩飯が終わると、生徒の皆様はまるで確実に死ぬと言われた戦場から生還した兵士みたいな雰囲気になってた。生きている事を噛み締めてますよ皆様。おいぃ?そんな達観したような顔するでねぇよ。高校生がしていい顔じゃねぇよ。
「凄まじい戦場だったな嫁よ」
「あーもー本当。私もまさかイカがあんなに強いたぁ思いもしなかった。そしてラウリーが堂々と男湯に入ってくるとも思いもしなかった」
「嫁の背中を流そうとしたまでだ。ついでに、流してもらおうとも思ったしな」
ドヤ顔すんじゃねぇよ。いつからラウリーは常識をぶち壊すものになっちまったんだ?
「…ん?」
「む?」
大和撫子、凰さん、セッシー、デュノアさんが何か襖に耳を当ててる。ちょっとー、そこお邪魔よー。
「何してはるん?」
「お前達、そこに固まっていると通行の邪魔になるぞ」
私とラウリーが注意すれば、お嬢様方がしーっと人差し指を口に当てる。あうーん?私とラウリーも気になり、襖に耳を当てた。
『ん、うぅ……っぁ』
…ん?
『ん?ここがいいのか?千冬姉』
『ああ……。…んっ…くはぁ……』
…おっふ。
「これはどういう事ですかねぇ」
ラウリー顔赤くしてらっしゃる。あらやだかわいい。さてさて、ここで問題浮上。多分皆様が想像しているような事ではないのは間違いない。だって間接が鳴る音がするもん。パンパンとか水の生々しい音が聞こえないもん。たっきーイヤーなめたらアカンで?てな訳で…
「ふんっ!」
「「「「「ふぎゃっ!?」」」」」
ほらね?イッチーが織斑先生の背中押してるだけだもん。