うら若き乙女達の水着姿を拝見しながらご満悦な私。現在、身体だけ砂の中でグラサン装備でございます。
「うん、思ったより熱ぃな砂風呂」
「…………」
「おいラウリー大丈夫か?無理して私と同じように砂風呂やらんでええのやぞ?」
「む、無理などぉぉ…しておらん~…!」
いや、どー見ても無理してます。顔どころか髪まで赤くなって、さっきからシューシュー湯気出てますから。しかも目ぇぐるぐるしてますから。
「誰かー、ラウリーを冷やしてやってけれー。このまんまじゃマジでオーバーヒートしちまいそうだから」
「了解~。さ、ラウラ少佐こちらへ」
「ぅ、ぉぉお…はなせぇ…!私は…よめといっしょにぃぃぃ…!」
数名の女子生徒に連れて行かれ、海に浸からせられて強制冷却されるラウリー。凄いな。じゅ~っと音を立てて水蒸気が出てるぞ。
「…ん?」
何だ?何か背中がむずむずして…
デュクシ
「ギェェェアアァァァァァァァァ!!!?」
「きゃあぁ!?武田くんの背中に何でか銛がぁ!?」
「誰だぁ!?こんな所に銛放置してたお馬鹿ちゃんは!?っかー痛ぇ!」
何故か地中に埋まっていた銛が背中に突き刺さった私。原因は不明。あれか?とったどー!をやればいいのか?
「それにしても、たっきーさん、いい身体してますわね」
「見よ、この細マッチョとゴリマッチョの中間地点の若干細マッチョ寄りの肉体を」
「無駄に細かいわね……」
セッシーと凰さんの水着…素晴らしい。
「てか、あんた銛刺さってるわよ」
「ええ。抜いてくれません?微妙におててが届かないの」
「…平気なんですの?」
「大丈夫だ、問題ない」
「何故かしら?物凄ぉく問題ありそうだわ」
とか言いつつ抜こうとしてくれる凰さんに感謝。
「じゃあ…行くわよ」
「うす」
「すぅぅぅ~~~~…ふん!」
「ぐおぉ!?」
凄まじく痛いだけで抜ける気配なし!
「あ、あれ?ぬぐぐぐぐぐぐ!」
「うごごごごごごごごごごご!!!?」
「だ、大丈夫ですの?」
「全ッ然抜けない!ちょっと手伝ってセシリア!」
「は、はい!」
セッシーも抜くを手伝ってくれるが、ただ痛いだけで抜けそうにない。
「ふぬぅぅぅぅぅぅ…!」
「うぎぎぎぎぎぎぎ…!」
「ウボアアァァァァ!!!?」
「…何をしているんだ?」
「箒!?丁度良かった、これ抜くの手伝って!理由うんぬんは後回しで!」
「あ、ああ」
大和撫子参戦!
「くっ…これは…!」
「ふぎいぃぃ~~~!!!」
「何、で…抜けないんですの~…!?」
「ヴェアアァァァァ!!!?」
ぐああああああああああ!
「ねぇ、皆揃って何してるの?」
「シャルロットさん!何も言わずにこれ抜くの手伝って下さいまし!」
「へ?う、うん」
ほぉぉぉぉぉぉ!?
「え、何これ抜けない!?」
「くおおおぉぉぉぉ…!」
「~~~~~~~~っ!」
「くぅぅっ…くそ…っ!」
「へげぇぇああぁぁぁぁ!!!?」
読者の皆様、私今どうなってますか?痛くて痛くて仕方ないんです。『死ぬほど痛いぞ』という言葉が脳内で再生されっぱなしなんです。
「む?皆して嫁の後ろで何をしているだ?」←復活
「ラウラ!?良かった、今正樹の背中に銛が刺さってるんだ!」
「何ぃっ!?大丈夫か嫁よ!今助けるぞ!」
ヂュオオォォォォォォ!!!
「ぬ!?何だこの銛は!?」
「ぎぎぎぎぎぎぎ!」
「ふんんんんんっ!」
「こ、の…!」
「かたい…!」
「ほわあああぁぁぁぁ!!!?」
嗚呼あの川の流れのように~!
「…何これ?」
「一夏!とにかく手伝って!もう何でもいいから!」
「え、えっと、とりあえずたっきーに刺さった銛を抜くんだな?」
もうやめて!私そろそろ泣いちゃう!あー!痛いよこれ!痛すぎて何かもう変な扉が開きかかってますから!
しばらくすると、痛いのがなくなった。あれ?もしや何かの境地に至ったのか、
「ふん!」
ドグシュッ!
「むおおおぉぉぉぉ!!!?」
と思ったら凄い痛いぃ!?何かに蹴り飛ばされるのと同時に銛を引き抜かれる。イメージとしては、ダクソ3のスズメバチの指輪装備してる奴のバックスタブ食らった感じ!
「ぐおぉ…!?」
「全く、何をしているか」
私が見たのは、銛を持った織斑先生と顔を真っ青にして震えているメンバーだった。
「あ、ありがとうごぜぇますぅ織斑先生…!」
「…とりあえず応急手当をしてもらえ。何か抜いた時に一緒に肉片も飛んだから」
私死ぬんじゃねぇかなそろそろ。
「そんな大怪我をしてしまった時はこちら!この兎印の万能薬!その名も『えすしーぴー500』!」
束さんが私の口に何か薬を捩じ込みながら商品の宣伝を始めた。つか、今SCP言うたかこの人?いくら束さんでも財団によって終了させられちまうぞ。みるみるうちに怪我が治って行くけども。
「……束」
「ん?どしたのちーちゃん」
「それは頭痛にも効くのか?」
「もちのろんだよ!副作用として身体が健康体そのものになるよ!」
おい、おもっくそSCP-500『万能薬』じゃねぇか。そして一錠飲んで「おぉ」と感嘆の声を上げ、金を束さんに渡して一ケース30錠入りの物を何個か買う織斑先生。
お疲れのようですね、織斑先生。ちなみに束さんも何だか肌が艶々しており、目の隈もなくなっている。髪も艶々してるよ。流石SCP-500。
「束さん。これを何処で?」
「何か転がってたの拾って調べたら凄い薬だったから複製したんだ。いやー、これあれば睡眠すら必要ないね!」
「流石SCP-500…!つか、財団って本当にあったのか?」
だとするとヤヴァイな。SCPが解き放たれてしまわれないかどうか心配だ。いくらISと言えど、SCPには勝てやしないでしょうからね。
「良し、たっきーの怪我も治って復活したし……箒ちゃあぁぁぁん!束さんをハグしてくんちょ!」
「えぇぇっ!?」
大和撫子困惑。まぁいいや。それよりも私には大事なことがあるんだ。
「良し、水着姿のうら若き乙女達を眺めつつ、ヤドカリを観察するか」
「小学生みたいなことをしますわね」
いいじゃないか別に。だって可愛いぞあいつら。一時期オカヤドカリを飼育してたが、本当に可愛いんだぞ?
「なん…だと…!?」
「ん?」
織斑先生の珍しい驚愕の声。何事かと思い、そちらに顔を向けてみれば……。
「…………」
「…………」
大和撫子が束さんをハグしている光景であった。まさか本当にハグしてくれるとは思わなかったのか、束さんはぽかーんとしたままだ。大和撫子に至っては顔真っ赤である。まるで恥ずかしいながらも今まで甘えられなかったから甘えたいみたいな?イッチーも信じられないものを見ているかのような表情だ。
「…あー、姉妹水入らずにさしてやりましょうや。はい解散解さーん」
私は皆様を散らし、ラウリーを脇に抱えてその場から立ち去るのであった。