「「…………」」
「…どうした?注文しないのか?」
「「うぇっ!?」」
お、おかしい…!嫁がこんなに格好いい女性な訳がない!私は幻覚でも見ているのか!?いや、本音の様子から見るに幻覚ではない!?そもそも幻覚ならばこの店に入る事など不可能だ!
メニュー表からチラッと嫁を見ると、危うく吹き出しそうになった。
「ふぅっ……」
上着を脱いだ嫁は、その……色っぽい!薄着故に身体のラインがくっきりと…!
「…ん?何かなラウリー」
嫁は両肘を抱き、机の上に乗せた。そうなれば胸が強調される訳で……。
「ブフォア!」
私は吹き出した。
***
「ね、ねぇラウリー……たっきーが何だかエッチなんだけど……」
「う、うむ……」
かなり辛いカレーライスを食べているせいか、嫁は汗を流していた。時折胸元をパタパタとするものだから……。
「「「「「…ゴクリ」」」」」
店員と客人と私と本音の唾を飲む音がする。視線が集中したためか、嫁が不思議そうな顔をして首を傾けた。
か、かっこかわいい!何だこの破壊力は!?
ドサッ…
何人かが鼻から血を流して倒れた。ぬ、むぅ……私も顔がかなり熱いが、まだ大丈夫だ…!
「ラウリー、顔が赤いぞ?熱でもあるんじゃないか?」
コツンッと嫁が私の額に自分の額を当てる。すたわち顔が近い訳で…!
「ぬあああああああああ!!!」
嫁から離れ、私は氷水を頭から被った。じゅ~っと音がして直ぐに蒸発してしまう。た、足りん!もっとだ!もっと氷水を!このままでは頭が熱暴走してしまう!
「うっがあああああああ!!!」
「ら、ラウリー落ち着いてぇぇぇ!」
「…ふふっ、ラウリーは面白い子だな」
なああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
***
折角の飲食店だったが、全く持って飯の味が分からなかった。というより、食べたかどうかすらも怪しい。
「さて、次は何処に行こうか」
微笑みながら嫁は言う。く、くそ!折角冷却できたというのに!
「えーっと、私は用事を思い出したから帰るね~。あ、あははー!」
「なっ!?」
ほ、本音貴様ぁぁぁ!呼び止めようとしたが既に遅し。のほほんとした様は成りを潜め、かなり真剣な表情で陸上競技選手顔負けの速さで走り去った。
お、おのれぇぇぇ…!
「ふむ、となるとラウリーと二人きり、か」
「そ、そうだな……」
「ふっ、まるでデートだな」
デー…ト?デート、だと?
…………。
「だあああああああああ!!!」
近場の噴水に、私は頭を突っ込んだ。心頭滅却!心頭滅却!心頭滅却!心頭滅却!心頭滅却!心頭滅却!
「そんなに頭を冷やすと風邪を引くぞ?」
もう引いても構うものかぁぁぁぁぁぁぁ!!!
***
さっきから場面が飛んでいるような気がする。というか飛んでいるのだろう。だって…
(何で私はラブホにいるんだぁぁぁ!?そして何故シャワーを浴びているんだぁぁぁ!?)
本格的に危険だ!これは何かの陰謀を感じる!まるでこの世界を意のままに操っているかのように、強大な力を持った存在の陰謀が!
【私はね、百合が好きなのだよ。君達はどうかね?】
何だ今の声は!?
「ラ・ウ・リー☆」
「ふおぉっ!?」
う、後ろから嫁がぁ!?いつ入ったんだ!?というか、まだ女のままかぁぁぁ!
「さ、洗いっこしましょうね~」
「にゃああああっ!?や、やめろぉぉぉ!それくらい自分でできるからぁ!」
嫁はニヤッと笑みを浮かべると、私の腰に腕を回した。
【※ここから先は台詞のみでお楽しみ下さい】
「あっ……ん……」
「どうした?何だか変な声が聞こえるな」
「な、なんでも、ない……」
「…ふ~ん」
「……ひゃうんっ!?お、お前っ、どこ、触って…!?」
「どこって…ラウリーの恥ずかしい所だけど?」
「っ…~~~~~…!」
「何を恥ずかしがる?今日の朝、ラウリーは裸で私のベッドにいたじゃないか」
「そ、それとこれとじゃ、訳が…違う」
「変わるかねぇ?」
「変わるものだッ、ひうぅ!?」
「そうか、変わるものか」
「や、やめっ、いじる、な…!」
「いじらないと、ちゃんと洗えないだろう?」
「そこまで、しな、くて…きゃふっ…!いい、からぁ…!」
「…知~らない」
「ひああぁぁぁぁっ!?そん、な!や、めろ!な、なか、かきまわ、すなぁ!」
「~♪」
「っ!?ほ、ほんとにっ、やめ…!なに、か…く、るぅ…!あっ、ああ、あ、ああああぁぁぁぁ…!」
「はい、できた」
「ああっ…あ……ぇ…?なん、でぇ…?」
「ん?何が?洗い終わったからやめただけですけども」
「っ……あ、ああ。そうか……。はー……はー……」
「…………くすっ」
「……嫁?」
「そいっ♪」
「っっっ~~~~~~!!!?」
「あらまぁ、可愛いことで」
「はっ、ぁぁっ?あ、ひぃ……」
「身体が可愛いく震えてるぞラウリー♪」
「…はぁっ、はぁっ…!なん、だ…いまの…?」
「絶好頂である」
「わけが、わからん……。はぁ……はぁ……」
「…そんなに凄い?」
「…そもそも、こんなことは…軍じゃやらない」
「でしょうねぇ。うり」
「ひぎっ!?ひゃめろっ!さっきより、さっきより、なん、かぁっ…!」
「……確かこういう時は、今夜は寝かせないぜ、だったな」
「ふ、あ、あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!!」
***
やっぱやるんもんじゃねぇな、女体化って…性格が思いっきり変わっちまうから。あとラウリーには「それは夢だ」と言い聞かせました。冗談じゃないぞクソッタレめぇい。私は魔法使いになるんだから、まだ大人の階段なんざ登りませーん!