買い物部隊に束さんが加わったあと、思いもよらぬ場面に遭遇してしまった。
「やりおるわ」
「やりおるわー」
「やりおるのう」
「やりおる」
私、のほほんさん、束さん、ラウリーの順番でそう言った。ちなみにその場面はイッチーとデュノアさんが試着室に一緒に入る所だった。
「これはエロゲー展開ッスねぇ。そうは思いませんか束さん」
「ええ、とんだエロゲーですぜこりゃあ。あのままヤるんでしょうねぇ。いっくんがあのパツキンを己の股間のマグナムでぶち抜くんでさぁ。そしてパツキンは口を手で押さえて快感に打ち震え、白くてドロっとした液体をかけられちまうんだよ」
「まさか腹ん中にぶっぱするとは思わんが、どうなるか分からんのが思春期の盛りに盛った少年少女。更なる快感を求めてしまうかもしれない。そうなったらもう歯止めなど効かない。果てるまで互いの身体を貪り合うのだよ」
ぐへへへへと妄想が膨らむ変態な私と兎さん。いや、別にヤっちまってもいいんですよ?そのあとの修羅場が楽しみなだけだから。イッチーは凰さんと大和撫子による猛攻を耐えられるのだろうか?
「本音よ、こんな会話を店内でして大丈夫なのだろうか?」
「問題だね~。この小説的にも問題だね~」
のほほんさんが何かこの世界の理に触れているが、気にしない。私も触れてるから。デップーだって触れてるから。…そういやデップーの映画できたんだったな。観なければ。
「むむ!?」
「どうした束さん」
「ちーちゃんの臭いがする!」
「織斑先生?なしてここに」
「もしやちーちゃんも水着を!?だとしたら束さんが選んであげなければ!」
「アイアンクローされますぜ?いつものように」
「…………」
やっぱり痛いんですね。…ん?
「おやおや……これはまた厄介なことぉなりそうだ」
私の視線の先。そこにはイッチーを殺そうと獣と化した凰さんと、それを羽交い締めで必死に止めるセッシー。その横で刀の手入れを行う大和撫子。殺す気満々なお方が二名いらっしゃってます。
「おー怖っ。私自分がイッチーじゃなくて本当に良かったわ。…あれ?束さんは?」
「教官にアイアンクローをされている」
指を差す方を見れば、織斑先生のアイアンクローをくらう束さんがいらっしゃった。山田先生がおろおろしてて可愛いです。
「阿鼻叫喚なことになりそう、つかなっちまったなこりゃ」
「どうする嫁よ」
「目的の品は既に入手済み。ここは戦略的撤退をして、どっかで飯を食べよう。私が奢ってやるからちょっと高い店行くぞ」
「おー!たっきー太っ腹だねー!」
「嫁が言うのならば、遠慮はしない」
「おっけーおっけー、そいじゃま行くぞ」
***
「嫁よ、確かにここは少し値段が高い店だ」
「ああ。高い店だ」
「だがな……。何故女性しか入れない店なのだ?」
「女尊男卑の世の中ですからねぇ」
「むぅ、それでは嫁が入れないではないか」
「心配無用!こんな時のために準備してきたのだから!」
「む?」
「準備?」
「おぅイェ!今こそ見せてやるぜ!私だけの武田家流CQCを!」
「おー、何だか凄そう~」
「いや、多分凄いんじゃないか?」
「コオオオォォォォォォォォォ…!」
全神経を集中させろ!細胞とDNAを組み換えるんだ!
「オオオオオォォォォォォォォ…!!!」
「ねぇラウリー、地面が揺れてない?」
「う、うむ。地鳴りもするな」
骨格を変型させろ!この苦痛は夢のための対価なのだ!
「ブルァァアアアアアアアアアアアアア!!!」
「ほ、本音!嫁が燃えている!」
「たっきーだから仕方ない」
「あ、そう言われたら落ち着いた」
「カアアアアァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
ぽんっ
「「…ぽん?……ん!?」」
「ふぅ……何とかなるものだな。声も問題ない、か」
「だ、誰だぁぁぁぁぁ!?」
「たっきーが女の子になったぞー!?」
「これぞ、武田家流CQC『女体化』だよ」
次回に続く