かなり多大な犠牲を払いつつも、私は挫けなかった。足首は挫いたが、心までは挫かなかった。だからこそ私はまた一から作り直すのだ。たとえ私のエロが滅んでも、第二第三のエロが現れる。織斑先生、私は決して貴女には負けぬ!
さて、タッグトーナメント当日な訳だが、中々面白い展開となった。
【第一回戦】
『織斑一夏&シャルル・デュノア』
VS
『武田正樹&ラウラ・ボーデヴィッヒ』
「と、言う訳だよイッチー。開幕早々、この私とラウラ少佐のペアと当たることとなるとは、全くもって運がない。貴殿をデュノアさんもろとも泣かしてやるから覚悟しろい」
「そんなのやってみなくちゃ分からねぇだろ!一対一じゃまだしも、今日はタッグトーナメントなんだ!簡単にはやられないし、やられる気もない!」
おぉ、主人公してるじゃないかイッチー。しかし…
「しかしだなイッチー、我がペアはラウラ少佐であるぞ?代表候補生を二人同時に相手をして、更には圧倒しているラウラ少佐だ。更には今回、私はとっておきの装備で行く。もはや勝率など無に等しいぞ?」
「それでも、俺は絶対に諦めない!」
「ふはははははは!精々足掻くことだなぁ、イッチー!」
そう言って私は立ち去った。もろ悪役な私だが、大満足でございます。だがなぁイッチー、私は油断などしない。これは余裕というものなのだよ。
今回、私が扱う装備はブラッドボーンで皆のトラウマと言わしめたあの方の格好である。アイリーンさんを圧倒し、大聖堂を陣取ったあの人です。もう分かるよね?
ピットに戻ってみれば、ラウラ少佐が腕を組んで目を閉じていた。精神統一か?まぁいい、こっちはこっちであの方の動きができるようにイメージしよう。
あの方の強さ、それは凄まじいの一言に限るだろう。プレイヤー諸君ならば分かるはずだ。
あるプレイヤーは何もできずに殺さた。
あるプレイヤーはアイテムを使えずに殺された。
あるプレイヤーは逆に内臓攻撃を食らって殺された。
あるプレイヤーは感覚麻痺の霧によって回復できずに殺された。
あるプレイヤーは異常な火力の教会の連装銃によって殺された。
あるプレイヤーは千景によって殺された。
他にもまだまだあるだろう。しかし、これ以上傷口を抉る行為はしない。いや、したくない。だってトラウマだもの。皆もそう思うだろう?古狩人の遺骨を無限に使用し、ターボモード、またはウェスカーモードになって襲いかかってくるんだから。
それを今回、イッチーとデュノアさんにぶつけたいと思います!ふはははは!貴様らは運がなかったんだよぉぉぉ!
「武田正樹」
「うい?」
目を開けたラウラ少佐。かなり真剣な表情をしてらっしゃる。
「織斑一夏は私がやる。貴様はフランスの代表候補生をやれ」
「…御意に」
各個撃破か。まぁセオリーですわな。あとは、如何にして二人を引き離すか、だな。私の長腕が鳴るぜぇ…!
「…時間だ。行くぞ!」
「了解!」
ハンガーのISを纏ったラウラ少佐に続き、私もISを展開した。カタパルトに乗り、一気に射出される。ヒャッハー!と叫びたい気持ちになるが、今回は我慢だ。何故ならばイメージが崩れるから!
胴体が鴉羽の装束で、それ以外はカインハーストの鎧。皆のトラウマ、参上!
地上に降り立ったあと、ブラッドボーンのジェスチャー、簡易拝謁を行う。さぁデュノアさん、私の相手してもらいますぞ?
「っ…!いざ対面すると結構プレッシャーが凄いね」
「ああ、流石はたっきーだな…!」
ふはははは!これぞ無言の圧力というものだよ!
『試合開始!』
「うおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
アナウンスの開始合図と同時にイッチーがこちらに突っ込んでくる。なるほど、私から先に倒す訳か。だがねぇ?
(テメェとにゃんにゃんする気はねぇんだよぉぉぉ!)
「ぶべっ!?」
ノーモーションの蹴りでラウラ少佐のほうに飛ばす。そこまでは良かったんだが、イッチーで見えなかったデュノアさんが目の前にいらっしゃった。
「まずは一撃だよ!」
ズドンと重たい一撃を腹に受けた私は、地面を転がった。つか、アレはパイルハンマーじゃねぇかぁ!いや、こっちはパイルバンカーか。どっちにしろ痛かったぞぉぉぉぉぉ!
起き上がった私を待っていたのは、雪片を私に振り下ろすイッチーで……って、
(ほあああああああああ!?)
咄嗟に身体を強引に捻って回避し、そのまま回し蹴りをイッチーに当てた。つかイッチー!テメェはラウラ少佐と戦えよ!わざわざラウラ少佐のほうに蹴ってやったろ!
「一夏、大丈夫?」
「つつ…ああ、ちょっと効いたけど」
おにょれぇぇぇ……何いい雰囲気出してんだコノヤロー。
「織斑一夏ぁぁぁぁぁ!!!」
「シャル、次に行くぞ!」
「うん!」
(って行かすかぁ!)
どうやら奴らの作戦は、二人で一緒に片方にある程度ダメージを与え、もう片方にダメージを与える。それの交互の繰り返しだろう。ぬぁらばぁ!
(私の土俵に立ってもらうぞデュノアさんやぁぁぁ!)
「うあっ!?」
ちょっとトランザムした私は、そのままデュノアさんの背中に張り付いた。ブースター出せやコラ!
教会の連装銃を腰に下げ、左手でデュノアさんの頭を鷲掴み。この時、アイアンクローを忘れてはいけない!
「シャル!?」
「余所見をするな織斑一夏!」
「くそっ!」
ふはははは!いい様だなイッチー!さて、私も早くデュノアさんを地面に落とさねば。
千景をブースターへと突き刺して破壊する。まずは一つ!
「う、ぐぅ…あああああああああ!」
(何と!?)
デュノアさんはそのままアリーナのシールドに向けて突っ込むじゃあないか。そして当たる寸前になった瞬間、ぐるんと回転して私がぶつかるようになる。ちょっと待てちょっと待て。
ドガァンッ!
(うぎゃああああぁぁぁぁ!?)
ただでさえ殆どないシールドエネルギーが凄まじい勢いで減ったぁぁぁ!?だがしかぁし!
(こっちにゃ千景があんだよぉぉぉ!)
ズガンッ!
「ぐぅっ…!」
千景をデュノアさんの右肩に振り下ろす。おらぁ!まだまだ行くぞぉ!
首を引っこ抜くつもりでデュノアさんを引っ張ると、デュノアさんはアリーナのシールドから離れてくれた。
おらぁ!ブースター寄越せや!千景でもう一つブースターを破壊し、デュノアさんの脳天に踵落としをかました。
「うあああああああああ!?」
地面に落ちたデュノアさんに向かって落下攻撃を行うが、苦し紛れのマシンガンの連射を受けてみっともなく落下した。
(ひでぶ!)
「まさか正樹がここまでやるなんてね……。油断はしてなかったつもりだけど、どうやらそうでもなかったみたいだね」
パイルバンカー、そしてショットガンを持つデュノアさん。まるで古狩人デュラみたいだな。
「飛ぶのは無理みたいだから、君と同じ土俵に立たされたってことだね」
「…………」
「…さっきから一言もしゃべらないけど、本当に正樹なの?」
「…………」
ジェスチャー『喜び』
「あ、正樹だ」
これで分かっちゃうんですねwww
まぁそれは置いといて、そろそろ千景の本領を見せてやろうじゃまいか。
千景を一度鞘に納め、そして再び抜く。…ふむ、流石に血は無理か。血の変わりに血のように赤いオーラが千景の刀身に漂っている。地味にシールドエネルギーも減ってるから、さっさと決着付けなきゃねぇ。
地面を蹴り、一気にデュノアさんに接近する。そして千景を振り抜く寸前で、一発の銃声が響いた。
「!?」
そして気が付けば私は膝を付いており、デュノアさんのハンドガンの銃口からは僅かに煙が昇っていた。まさか、デュノアさん貴様…!?
「見よう見真似だけど、案外できるものだね。銃撃によるパリィって」
そのまさかだぁぁぁぁぁ!?まさかデュノアさんもブラッドボーンやっとったのかぁ!?
「正樹の技を盗んで悪いけど、一気に決めさせてもらうよ!」
あ、やってなかったみたい。でも危険には変わりねぇじゃねぇかよぉ!やめて!パイルバンカーで私をぶち抜かないでぇ!
「…!」
思いでも通じたのか、デュノアさんは全く違う方向にハンドガンを撃った。これは逃げるチャンスだぁ!ステップで離脱し、千景のオーラを振り払ってデュノアさんを銃撃しようとして…
ドガンッ!
「べぶぅうう!?」
流石に変な声を出してしまった。だってラウラ少佐が私の上に落下してきたんだもん。
「助かったぜシャル!」
…まさかさっきのハンドガンはラウラ少佐を撃ったのかよぉい!?おにょれぇぇ!
ラウラ少佐の下から這い出た私は、教会の連装銃を二人に向けた。…勝てる気がしねぇな。
「ぅ…うぅ……やめ、ろ…!」
うん?
「お前、など…いらない…!お前の、なん…か…!あ、ぁああ…!」
「…イッチー、何かラウラ少佐がヤバそうだ」
「あ、ああ…確かに」
ちょっと離れとこ。
「ぅううう…ああああああああああああああああ!いやだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
絶叫と共に、ラウラ少佐の機体がスライムに。…ファ!?
「うおぉ!?ISってT-1000だったのか!?」
「何でターミネーターなの!?」
それっぽかったから!ラウラ少佐を呑み込んだスライムは、どっかで見たことあるような見た目となり、雪片をこちらに構えた。
……うわぁお、急展開すぎて心が追い付かないYO。