フリーパスがうやむやとなった翌日のこと。あまりのショックに私は遅刻してしまった。これは織斑先生にブチ殺されるかもしれぬな…!
「何て言い訳しようかねぇ~」
「安心しろ武田。言い訳など不要だ」
「あるぇー?織斑先生なしてここにぃ?」
「それはな……。お前をこうするためだ」
そう言って織斑先生は私の頭を掴みそして…
ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!!
***
まさかこんなにも早く絶叫することになるとは。私ビックリよ?それにしても、痛かった~。
織斑先生はあまりにも遅い私を迎えに行こうとしていたらしく、私と丁度バッタリ会ったので、私をアイアンクローをするという犯行に及んだらしい。そして…
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れな事が多く、何かと面倒をかけると思いますが、みなさん宜しくお願いします」
第三の男性操縦者が転校してきたのである。し、しかも…!
「「「「「お、男の娘だとおおおぉぉぉ!?」」」」」
男の娘なのだ!
「女郎共ぉ!男の娘が来たぞぉぉぉ!!!祭じゃあああああ!!!」
「「「「「ヒャッハー!!!」」」」」
男の娘?イケますよ?当たり前じゃないですか。私はね、そこいらの女の子よりも女の子な男の娘ならば、一夜を共にすることすら可能!
「静かにしろ!」
スパァァァァァァン!
「うぎゃああああ!?」
「まだ一人いるだろうが。ラウラ、挨拶しろ」
「はい、教官」
「ここでは織斑先生だ。教官はよせ」
ん?教官?…まさかミリタリー娘か!?ダンテコッタイ!
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
…………。
「あ、あの~…以上、ですか?」
「以上だ」
まずいな。この子ぼっちルート確定に…いやならないな。私によって特殊な訓練を受けた1組生徒達は!イッチーと大和撫子とセッシーとのほほんさん以外は。
「ボーデヴィッヒ殿に敬礼!」
イッチーと大和撫子、そしてセッシー以外は立ち上がり、見事な敬礼を行う。のほほんさんも一応やってはいたが、あの表情は何も考えてないな。残る三人は困惑である。
「む?見事な敬礼だな。ここの者達は一部を除き、どうやら軍事経験があるように見える。ならばちゃんと答えよう」
ボーデヴィッヒさんも敬礼し、再び自己紹介をした。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐だ。ドイツのIS特殊部隊、シュヴァルツェア・ハーゼに所属している」
なるほど、少佐か。…マジで!?
「っ!…貴様が…!」
すると突然、少佐がイッチーへと接近。その表情はまるで親の仇でも見るかのような表情だ。イッチーの目の前まで来ると、パシンとイッチーの頬を叩いた。いわゆるビンタである。
「いきなり何しやがる!」
「ふんっ」
そのまま立ち去ろうとする少佐。しかし、しかしなぁ……。
「少佐殿、お待ちを」
「…何だ?」
腕を組んだままこちらを睨む少佐殿。可愛いとしか思えんな。
「今のビンタはあまりいいものではありません。それでは効果はありませんぞ?」
「む?そうか」
「はい。ちなみにビンタは……」
ズバアアアァァァンッ!!!
「べぶぁ!?」
「こうにすると効果的です」
「そうか。ではやってみるか」
「おねがい…もうやべで」
何だ?私の熊さんビンタがそんなに効いたのか?
「あー……言いたい事が色々とあるが、HRはこれで終わる。今日は二組と合同で模擬戦闘を行うので、すぐに着替えて第二グラウンドに集合するように。以上!」
***
ところ変わってグラウンド。腐に飢えし女子達から何とか逃げのびた私とイッチーとデュノアくん。
「では本日より、格闘及び射撃を含めた実習に移る。つまらんミスで怪我などしないよう全員気を引き締めて取り組むように」
ふはは、私はどっちも余裕でこなせるぜ。
「…では凰、オルコット、出ろ」
およ?二人が戦うのか?ほほぉう、これは面白くなってきた。…と思ったのだが、何故かニュータイプの音が頭の中で響いた。こ、これは間違いない!来る!
「総員退避ぃぃぃ!!!」
「えっ!?どうしたのいきなり!?」
「上から来るぞ!気を付けろ!」
「武田くんの言うことならば間違いないね。という訳で逃げるよ皆!」
その場で逃げ出す1組生徒。訳も分からずにポカンとしているイッチーとデュノアくんと大和撫子、そして2組の生徒。ん?ラウラ少佐?他の生徒が回収しましたが?ついでにほっぺたムニムニしてますが?おい私にもやらせろよ。柔らかそうじゃねぇかよ。
「お、織斑くんどいて下さぁぁぁぁぁい!!!」
「え?」
おー、山田先生がイッチーに向かって一直線に落下。制御不能のようです。
「ラウラ少佐、衝撃に備えて下さい」
「うむ。それよりもほっぺをムニムニしているのは何故だ?」
「気持ちいいからです」
ドガァァァァァァァァンッ!
墜落!イッチーは巻き込まれた!凄まじい砂煙が巻き込まれる。
「げぇっほ!うぉぅええぇっ!」
む、むせた!しばらく咳き込むと、砂煙が晴れる。そこには……あらまぁ何てことでしょう。イッチーがISを展開している。それは構わん。あの状況じゃ仕方ない。だかな?だかなぁ?
「どうやったらそうなるんで?」
「謎だね~」
イッチーが上になり、何故か山田先生の大きな特徴とでも言える胸を揉み揉みしてやがった。
咄嗟にラウラ少佐の目を手で塞ぐ。しかもラウラ少佐の目を塞いだのは私だけでなく、1組の全員がだ。耳を塞ぐ者もいる。
「?…??」
ラウラ少佐は訳の分からないといった感じだが、しばらくこのままでいてくれ。こんな刺激的すぎる光景は、軍事ばっかだったラウラ少佐になど耐えられまい。
「「一夏ぁぁぁぁぁ!!!」」
「ちょ、まっ、ぎゃあああああ!!!?」
哀れイッチー、大和撫子と凰さんに制裁されるのだった。