ついにやって来たクラス対抗戦。フリーパスが欲しいためだけに、全力を持って試合をする。なので…
「いいか女郎共ォ!我々がフリーパスを入手するためには何が何でもイッチーに優勝してもらわねばならん!だから我々は全身全霊全力全開でぇぇぇっ、イッチーを応援するぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
「「「「「うおおおおおおお!!!」」」」」
『I Love ☆Ichika☆』と墨で書かれたロングハチマキ。イッチーがデカデカとプリントされた白い法被。それが今の一部を除き、1組全員がこの衣装だ。そして私が持つのは巨大な旗。もちろんイッチーがプリントされている。
「和太鼓係ぃ!」
「よっしゃいくぞゴルァ!」
わざと野太い声を出す和太鼓係の生徒。上半身にはサラシを巻いているだけという、何とも気合の入った格好。二本のバチをクルクルと回したあと、逞しく和太鼓を叩き出した。
「はい次小太鼓隊!」
「「「「「っしゃあーごらぁぁぁ!!!」」」」」
小太鼓隊は法被を着ているが、その下はサラシである。
「尺八隊!」
「「「任された!」」」
尺八隊は法被ではなく白い着物である。応援部隊の少数精鋭である。
「三味線隊!」
「「「御意!」」」
こちらも少数精鋭である。尺八に比べて着物が派手であるな。
「琴!」
「「「かしこまった!」」」
もう一丁少数精鋭。こちらは少し派手な着物を着ている。
「舞い!」
「「「承る!」」」
またまた少数精鋭の方。これはド派手な着物に、それぞれが好きな着方をしている踊り子である。扇子もあるんじゃぞ?
そして…
「残る奴らは舞いのバックダンサーじゃあ!覚えとるか!?バックダンサーの仕事を!」
「「「「「あたぼうよぉ!」」」」」
「行くぞテメェらぁ!!!イッチー応援隊!これより全力でイッチーを応援する!」
「「「「「おおおおおおおお!!!」」」」」
ちなみに、このイッチー応援部隊はかなりというか、凄まじく大好評だったがため、何度かやることとなったのであった。
「団長!アレを!」
「んん!?」
何やらイッチーが見えない何かに吹き飛ばされている。な、なんなんだアレは!?
「団長、あれは衝撃砲です!」
「つまるとこ何だ!?」
「ドラえもんの空気砲です!」
「分かり易くて結構!」
しかし、このままではまずいな。
「イッチー!活路を見出だせぇ!」
「「「「「諦めんなよ!諦めんなお前ぇ!」」」」」
応援により一層気合が入る。アリーナのシールドですらビリビリと揺れる。ん?いやちょっと揺れすぎやしませんかねぇ?
「……通信兵のほほんさん、状況を報告せよ」
『何やら未確認の物体が急速接近中。たっきー、これアリーナに直撃するよ~』
「了解。のほほんさんは生徒の避難を誘導せよ」
『了解~』
「…………」
やはり来たか。フリーパスを強奪しに来た者が!敵は間違いなくISを用いているだろう。しかぁし!
「イッチー応援部隊。どうやら早速のようだ」
「「「「「!!!」」」」」
「フリーパスを強奪しようとする輩を排除するため、我々はこの小説で描写されてないところで特訓をした」
「団長、メタいです」
「気にするな!…そして、今こそ我々は立ち上がるのだ!生身だからISに勝てない?誰がそんなことを決めた!?生身でもISに勝てる!それを証明するのだ!」
私がそう言うと、凄まじい音が響き渡る。
「…戦じゃああああああああああああ!!!」
「「「「「おおおおおおおお!!!」」」」」
***
突如鳴り響いた衝撃音に何が起こったのか分からず、一夏は鈴に向けた刃を直前で止めた。少なくとも異常事態なことは分かった。
徐々に煙が晴れていき、アリーナの中央に真っ黒い何かが姿を現す。そこにいたのは、見たことのないISだった。そして…
「根性見せたれぇぇぇ!!!」
「「「「「おおおおおおおお!!!」」」」」
アリーナのシールドを素手で突き破り、謎のISに生身で突貫する正樹と生徒達だった。
「「ええええつえええええええ!?」
普通でなくともありえない光景に、一夏と鈴は仰天するほかなかった。謎のISも、これは想定していないがために回避が間に合わず、生徒達の猛攻を受けてしまった。
「せぇぇぇいやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
和太鼓係が両手に持ったバチをバットのように振るい、謎のISことゴーレムを上空へと殴り飛ばした。
上空に打ち上がったゴーレムを待っていたのは、ジャンプして先回りしていた小太鼓隊だ。
「「「「「喝だコラァ!!!」」」」」
全員が同時にバチを振り下ろし、凄まじい火力を出す。装甲が大きくへこみ、地へと叩き付けられる。
ゴーレムが身体を持ち上げると、目の前には…
「「「「「…………」」」」」
尺八隊と三味線隊、そして琴隊である。ゴーレムは腕を振るうが、あっさりと避けられてカウンターを貰う。更に…
「「「武田家流扇子CQC『葉ガノ紅』」」」
舞いの踊り子達に扇子で斬られ、間接をお釈迦にされるという悪夢の攻撃を受け、最後に…
「フリーパスを強奪しようとした罪だ。恨むならば己を恨め」
正樹が旗でゴーレムのモノアイを貫いたのであった。
「フリーパスは死守したぞぉぉぉ!!!」
「「「「「やったあああああ!!!」」」」」
残骸と化したゴーレムの上に正樹が立ち、声高らかに叫んだ。
ちなみに、この光景を見た全員は、開いた口が塞がらなかった。正樹は分かるが、何故一般生徒がここまで強かったのかはちゃんと理由がある。それは描写されていないところで武田家流CQCの一部を修得していたのである。
一時的に超人になれるものの、凄まじい筋肉痛になり、更には一回しか使えない。しかし、フリーパスを強奪する者が現れる可能性があったので、1組の生徒は描写されていないところで特訓を行っていたのだ。
それと、フリーパスは結局うやむやになり、ムンクの叫びを上げる正樹と1組生徒だった。
ん?セシリアや箒、一夏や鈴はどうしたのかって?そんなもん唖然として動けなかったに決まっているじゃないか。