適当に魔法科学校で主人公の達也君と遊んだりしたい(願望)   作:倒錯した愛

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第3話

卿side

 

 

登校して学校に入ったところで深雪さんと出会った、何やら不機嫌だったためとりあえずフォローしておいた、まったく、まーたなんかしたのかな達也君は………あとで紅茶でもおごってもらおう。

 

廊下を歩きつつふと思い出したことが口をついて出る。

 

「達也君は………別クラス、なんだよね……」

 

「はい……」

 

深雪さんとそろって落ち込む、今更だけど学校の試験の評価基準やっぱりおかしいって、本当今更だけど。

 

「………まあ今落ち込んでてもしょうがないよ、深雪さんも落ち込んでないで、笑ったほうがいいよ」

 

「善処します……」

 

思った以上に沈んでる、これはあれだね、私が深雪さんを元の調子に戻さなきゃならない感じだね。

 

これは私のせいだから紅茶の請求はなしでいいかな。

 

「あーー………達也君が今の落ち込んでる深雪さんを見たら、今やってる作業とか全部放っぽり出してすっ飛んできそうだなー」

 

「!………そうですね、私がしっかりしなければ、お兄様は心配して自分のことができませんもの」

 

「そうだね深雪さん………そうだ!お昼ご飯の時に深雪さんの友達とか連れて行ってみたら?」

 

「え?私のお友達を?」

 

「うん、きっと達也君喜ぶだろうなぁ、大事な大事な妹がたくさんの友達に囲まれて楽しそうにしてるところを見るっていうのは、兄である達也君からしたら評価高いと思うよ」

 

「そうかもしれませんね!……ですが、私にお友達ができるかどうか不安です……」

 

「大丈夫だよ、深雪さんなら友達の2人や3人簡単につくれるって、達也君も向こうのクラスで男友達の1人や2人簡単につくってくるさ」

 

「そうでしょうか?」

 

「そうそう、あっそうだ、わかってると思うけど友達はちゃんと選んでね…………二科生をバカにするようなやつは、いらないからね」

 

「………そうですね、お兄様や二科生のみなさんに平等に接せられる方でなければ、お兄様に近づくのに相応しくありませんわ」

 

差別意識を持たない平等主義な素敵な思考を持った友達をつくることにやる気を出す深雪さん、これなら達也君も文句は無いはずだ、ここで友達をつくるってことは、社会でコネとして通用するからね。

 

まあ、明らかに深雪さんのほうがビッグネーム過ぎるんだけど、誰も深雪さんが四葉だなんて知らないだろうし、信じないだろうしね。

 

「おはようございます」

 

深雪さんと一緒にAクラスの教室に入ると、視線が深雪さんに集中する、深雪さんを見るとさっきまでの差別主義者は皆殺しみたいな雰囲気じゃなくて、お嬢様だが接しやすさを醸し出す雰囲気になっている、さすが達也君の妹、規格外だよ。

 

「ぷぎゃ!?」

 

「おっと………」

 

いきなり誰か倒れこんできた……スカートだから女の子だね……って女の子?

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫ですか?」

 

「うぅ……ありがとう司波さん………えっと……」

 

「あーー、まあ知らないよね」

 

一科生最下位の私のことを知ってる人なんて数えるほどしかいないよね……。

 

「う、すみません、助けてくれたのに」

 

「ううん、気にしないで、私は姫城卿

 

「司波深雪です」

 

「わ、私は光井ほのかです、あ、助けてくれてありがとう姫城君」

 

光井ほのか、さんね。

 

「どういたしまして、それじゃ仕切り直すけど、私は姫城卿、よく間違えられるけど生物学上れっきとした男だよ、これから3年間よろしく」

 

「私は司波深雪です、光井さん、仲良くしてくださいね」

 

「は、はい!こちらこそよろしくお願いします!」

 

ちょっとしたアクシデントが起きたものの、ノルマの半分は達成した、光井さんなら平等な考えを持ってくれていることだろう。

 

「すみません司波さん、姫城君、この子ちょっとおっちょこちょいで」

 

「雫!」

 

新顔登場、ふぅむ、光井さん同様レベル高いね。

 

「えっと、そちらは?」

 

「北山雫です、お名前はかねがね………ほのかがファンなんです」

 

「ちょっと雫!」

 

「どこかでお会いしましたっけ?」

 

「試験会場で一目惚れしたとか」

 

「あーわかる、わかるよ光井さん」

 

「余計なこと言わないでよ!姫城君もからかわないで!」

 

「理不尽!?」

 

というかこの状況って初対面の女の子2人と即席のコントを披露してる感じなんだけど………奇妙過ぎる。

 

席についてHRにて説明を受け、オリエンテーションで指導教官の話を聞いて、授業見学のために移動しようかと席を立って深雪さんに近づく。

 

どこの馬の骨か知らない男子が話しかけようとしたのでサッと間に入って話しかける。

 

「深雪さん、授業見学どこ行く?」

 

「先生についてまわってみようかと思います」

 

「そっか………そうだ、光井さんと北山さんも一緒にどう?」

 

深雪さんに話しかけたくてウズウズしてた光井さんと心配そうに光井さんを見てた北山さんを誘う。

 

「私たちもいいんですか?」

 

「えぇ、もちろんよ、友達とまわった方が楽しいもの」

 

深雪さんの笑顔と返答に顔を赤らめながら喜ぶ光井さん、北山さんは無表情……いやちょっと笑ってるかな?

 

「それじゃあ先生について行こっか」

 

「そうね、行きましょう」

 

「はい!」

 

「うん」

 

先生にあとについて歩く、いろいろと興味深いものを見ながらついに演習場についた。

 

演習を見学していると教官から質問を出された。

 

「森崎君、説明をお願い」

 

へえ、さっきのモブ男子が森崎だったんだ、冴えない顔してるね、もてたことなさそう、それになんか…………説明が微妙、わかりづらいってわけじゃ無いけど、物足りないっていうか、そんな感じ。

 

「じゃあ姫城君はどう?」

 

「………え?私?」

 

「そうですよ」

 

「んーー、私そういう難しいことよくわから「あら、そんなこと無いでしょう?」

 

「あなたなら、わかるはずよね?入試のペーパーテストで100点満点中91点をとったあなたなら」

 

…………うっそぉ。

 

え?なに?これってもしかして壮大なドッキリだったりするの?たしかに達也君に模擬問題とか教えてもらったけどさ………えぇ……。

 

「あーー………間違ってるかもしれませんが……えーっと………放出系魔法は素粒子及び複合粒子の運動と相互作用に干渉する魔法………ですねたぶん」

 

「はい、よくできました」

 

算数の問題の解答をした小学生を褒めるみたいな対応やめてー、それとモブ崎、そのキモい目を閉じとけ。

 

ん?メール?達也君から………先に食堂で待ってる、か。

 

「それでは昼の休憩に入ります、午後の見学は13:20分からです」

 

「それじゃあ深雪さん、ご飯食べに行かない?……(達也君は先に食堂で待ってるって)」

 

他人を寄せ付けない見事な先制攻撃、ふっ、モブ男子風情が近寄るんじゃあないぜ!

 

「(わかりました)………はい、では行きましょうか、光井さんと北山さんも一緒にどうですか?」

 

即興のアイコンタクトでも通じるんだ………さすが達也君の妹、似てるね。

 

「あ、はい」

 

「一緒に食べさせてもらう」

 

「そんじゃあ食堂にレッツゴー!」

 

昼食に誘えなかった哀れなモブ男子ども、私を後ろから睨むことしかできない…………圧倒的!圧倒的勝者!!美少女3人を連れて歩く!まさしく愉悦!!

 

ただ、悲しいかな、この中の1人でも私に好意を抱く乙女は、いないのだ。

 

食堂に着くまで深雪さんに誰も近づけないようにブロックしつつ立ち回り、声をかけることすらできずに立ち尽くすモブ男子の顔が面白いぞい!

 

食堂に着くと達也君の背中が見えた、さすがに背が高いね………横にいる男子も背が高いけど。

 

「やっはろー、達也君待った?」

 

「いや、待ってない」

 

達也君の隣に深雪さんを座らせ、深雪さんの隣に光井さんと北山さんを座らせ私もその隣に座る。

 

「いやー、深雪さんのあまりの美貌に近寄るハエを撃退しながら来たものだから、思いのほか時間かかっちゃって」

 

「そうだったのか、悪いな、卿」

 

「ジュース9本でいい」

 

「いや欲張り過ぎだろ………俺は西城レオンハルト、レオでいいぜ」

 

「私は姫城卿、卿でいいよレオ」

 

いいツッコミだねレオは、ガタイがいいから肉体で勝負する感じかな?どちらにせよかなり強そうだ。

 

「しかし…………達也の言ってたことは本当だったんだな」

 

ご飯を食べている時にレオが唐突にそう言った。

 

「言ってたことって?」

 

「いや………言っちゃなんだが、一科生ってのは大抵俺ら二科生を嫌うもんだろ?なのに卿と北山と光井はそんな感じに見えねえしよ」

 

「んー、私は実力で判断するタイプだから、強い人と競ったり教えあったりしたほうが互いに得るものが大きいでしょ?………強いかどうか判断するのに、一科二科は関係ない、それが私の持論だよ」

 

「でも二科生より一科生のほうが強いんじゃ………」

 

「それは単縦な魔法の威力とか精度を測ってるだけ、問題はスピードだよスピード」

 

「スピード?威力のほうじゃないの?」

 

「威力なんて練習すればいくらでも上がるよ、重要なのはスピード、次点でコスト、達也君なら私の言いたいことわかるでしょ?」

 

「スピードを重視すると言ったのは、相手より早く起動し先手を取れるから、次点のコストというのは、魔法を連続して起動する時に無駄なものを省いて起動のスピードの向上を狙うということ、そうだろ?」

 

わかりやすい説明に何度もうなづくレオ、見た目だけだと脳筋に見えるけど、第一高校に入学を許可された人、理解力は高いようだ。

 

「そゆこと、実際の戦闘っていうのは、試合みたいに位置についてーとかよーい、なんてない、敵を見つけ次第仕留めるのが普通だよ、つまり…………出会い頭に一発ぶち込む戦法こそ最強!」

 

不意打ち騙し討ち目眩し、卑怯?戦いに卑怯なんてないよ!生き残った方が勝者だよ!!

 

「なるほどねえ………たしかに、普通なら試合みたいに待っちゃくれねえもんな」

 

「いくら強力な魔法を持ってても、起動に時間がかかってちゃ意味ないしね、自分の身を守れる最低限の威力さえあれば、スピードにガン振りするのがいいと思う」

 

そこまで言って一息つく………あれ?なんか私超見られてない?

 

「参考になる」

 

「なるほど、スピードかー」

 

「………ま、偉そうに講釈垂れましたけど……………私の魔法って起動するまでがクッソ長いんだけどね!」

 

「駄目じゃねえか!」

 

「仕方ないじゃん!私のサイオン量の評価知ってる!?『近代稀に見る微量さ』だよ!?微量だよ微量!!魔法が起動できるだけでも大したもんだよ!?」

 

「微量って………微量www」

 

「笑わないでよレオ!自販機でジュース買った時のお釣りが全部10円玉だった時と同じくらい凹んだよ!ガラスのハートが砕けそうだよ!」

 

「ガラスにしては柔軟性があるな」

 

「なに冷静に突っ込んでんの達也君!?」

 

騒がしい昼食も終わり、午後の見学の時間になり、達也君たちとわかれ、先生について行っていろんな場所を見た。

 

さて、授業も全部終わったし、帰ろうか………と思った矢先に……。

 

「いい加減にしてください!深雪さんはお兄さんと帰るって言ってるんです!」

 

「黙れ!ウィード如きが!俺たちブルームにはブルームの話があるんだ!ウィードは引っ込んでろ!」

 

これだ、目の前で口論に発展している柴田さんとモブ一科生を見つつ横目で深雪さんを見る、深雪さんは達也君の隣で小さくため息をはいていた。

 

事の成り行きは、まあ見てわかるとおり、一緒に帰ろうとしたらモブ一科生が自分たちが深雪さんと一緒に帰るから退いてろ、なんていきなりやってきて言うんだよ、そりゃ大人しそうな柴田さんだってキレる。

 

「達也君」

 

「なんだ?」

 

「どーすんの?帰んの?」

 

「帰るつもりだが、柴田さんたちを置いてはいけない」

 

「ふーん………参考までに聞くけどさ、深雪さんは誰と帰りたい?」

 

「もちろんお兄様とです!」

 

「嘘でもそこは『お兄様たち』って言って欲しかったかなー」

 

じみーにテンションが下がったけど、いつもの深雪さんで一安心、もしも深雪さんのご機嫌がナナメだったら、話しかけるだけで殺気を向けられるからね。

 

「んー、達也君ならこの状況どうする?」

 

「どうするもなにも………どうしようもないだろ?」

 

「………それもそうだね」

 

変に騒ぎを起こして達也君の正体がうっかり………なんて馬鹿な真似嫌だし、なにもせず無視するのが得策……なんだろうけどね………。

 

「ウィードが口を挟むな!」

 

「同じ新入生じゃないですか!今の段階でどれだけの差があるっていうんですか!」

 

「そんなに見たいなら見せてやる!才能の差ってやつをなあ!!」

 

「…………あっちはそうは考えてくれないみたいだけど」

 

「…………はぁ」

 

モブ崎がなんか西部劇のガンマンみたいにCADを引き抜いた………ってか。

 

「………遅くない?」

 

「十分早いんじゃないか?」

 

噂で聞いてたあのモブ崎のクイックドロー(早撃ち)が素早いものだって聞いてたんだけど……なんか、うん、遅いよね。

 

「せいっ!」

 

「ふん!」

 

「ぐっ!」

 

レオの陽動で千葉さんに警棒みたいなやつでCADを叩き落とされるモブ崎、そりゃこんな距離じゃあねえ………俗に言うこの距離なら銃よりもナイフのほうが早い、ってやつだね。

 

ただ達也君がナイフを持てばそれ一本で遠距離まで対応できちゃうっていう。

 

あとさ、光井さんさ、魔法起動しようとしないで、モブ崎の腰巾着っぽいのも起動しようとするんじゃないよ…………っ!

 

「ふっ」パチンッ

 

指を鳴らすと宙に一本の剣が出現する、右手で掴んで光井さんのほうに向かって振る。

 

「え!?」

 

キィンッ!と甲高い音が鳴り剣が何かを弾く、弾いた角度から誰にも当たらないものだと推測される、次の瞬間、数メートル先の地面から着弾音、おそらくサイオンの弾丸、自分でも思うけどほぼ不可視の高速で飛翔する非物理粒子を弾くなんて、よくできたと思うよ。

 

失敗してたら………考えないほういいね。

 

「止めなさい!自衛目的以外での魔法攻撃は校則違反以前に犯罪ですよ!」

 

新手のスタn………魔法師……いったい何草真由美先輩なんだ………。

 

「七草先輩?………と誰?」

 

「こんにちわ姫城君、彼女は……」

 

「風紀委員長の渡辺摩利だ、君たちは1-Aと1-Eの生徒だな、事情を聞くからついてきなさい」

 

風紀委員長様のお出ましか、ずいぶんと勿体ぶった登場だねえ。

 

達也君はどう切り抜け…………なるほど、フォローするから私がやれと?期待しておくよ達也君。

 

「いやいや、委員長さん、事情と言われましてもですね〜、見ての通り、そこの………えーーーーーーーっと……………男子がですね、『(俺の十八番のクイックドローを)見たけりゃみせてやるよ(震声)』って言うもんですから、見学のつもりでみんなで見てたんですよお」

 

「君はたしか………姫城君と言ったか、今君は見学と言ったな?ならなぜ君は魔法を使って、そこの女子を切ろうとしたんだ?」

 

「それは誤解って言うもんですよ、彼女に向かって飛んできた正体不明の魔法の弾丸を弾くためにやったんですよ、証拠はそこに空いた穴を見てくれればわかりますよ」

 

指差した先にはさっき弾いた魔法の弾丸が着弾し土がえぐれたところ。

 

「…………ふむ、君の今の言い分を信じよう、だが、そこの女子は君が弾丸を弾く前に、攻撃性のある魔法を発動させようとしていたようだが?」

 

「彼女はたしかに魔法を発動させようとしていましたが、あれは閃光魔法の一種で、威力が抑えられたものでした、失明の危険もありませんでした、おそらく森崎のクイックドローとどちらが早いか試そうとしたのでしょう」

 

「ほぅ」

 

達也君ナイスフォロー!

 

「魔法師として、相手の実力を測りたくなっちゃうのは、渡辺先輩もわかると思います」

 

「………ふっ、そうだな、では、姫城君、さっきの君のあの魔法は?」

 

「想像力豊かな(ヒーローに憧れる)青少年らしい魔法、でしょうかね」

 

「………面白いな、君の魔法は」

 

「それほどでもありません」

 

まずいかな、渡辺先輩の目が野獣の眼光だよ、獲物定めたライオンの目だよ。

 

「もうそのへんでいいじゃない摩利」

 

「真由美!」

 

ここで生徒会長の参入、見たところ渡辺先輩とずいぶん仲よさそうだね、幼馴染だったりするのか?

 

「達也君、姫城君、本当に見学だったんでしょ?」

 

「え、ええ、まあ………」

 

「本当に見学だったんですよお、信じてください会長………それに、仮に見学じゃなかったとしたら、今頃深雪さんに氷像にされちゃってますよ!」

 

達也君の返しが曖昧で怪しまれると思い、見学でなかった場合起こりえたかもしれない惨劇の可能性を示唆する、イケメンでもないモブ崎の氷像なんて見たくないからね。

 

というか、昨日は司波君だったのに今日は達也君って呼ぶんだね、会長は達也君を気に入ったのかな?だとしたら嬉しいね、達也君を正当に評価してくれるかもしれない貴重な人だしね。

 

同じくらい身バレが怖いんだけどね。

 

「会長がそう言うなら、この場は不問とします、以後気をつけるように」

 

ッシャァ!

 

「君、名前は?」

 

「司波達也です」

 

「そうか、覚えておこう」

 

風紀委員長にもロックされるなんて………さっすが達也君!モテモテじゃなイカ!

 

おかげさまで深雪さんがちょっと不機嫌な顔(達也君と私くらいしかわからない)になってるよ!どうしてくれてんの!?

 

会長たちが去るまで頭を下げる、いなくなったようなので頭を上げる。

 

「司波達也………僕はお前を認めない」

 

捨台詞を吐いて去っていくモブ崎、とその腰巾着、まあそんなのはいいんだよ。

 

さて、さっさと帰って寝ようか……おっと?

 

「あ、あの!!」

 

「えっと………光井さん?どうかした?」

 

「はい!さっきは、助けてくれてありがとうございました!」

 

「え?いや、助けたのは達也君だったと思うんだけど………達也君のフォローがなきゃ生徒会長を切り抜けるなんて無理だったし」

 

「はい、それはわかってます、私が言いたいのは、姫城君が私に向かってくる魔法を防いでくれたことについてです」

 

「あ、そういうこと………うん、じゃあお礼は受け取っておこうかな」

 

「はい!ありがとうございました!」

 

「いや、だからもう受け取ったって………」

 

教室でのことを思い出す、この子、たぶんドジっ娘だ。

 

すっげえ萌えますぜ!!!達也の旦那ぁあ!!!!

 

「卿、帰るぞ」

 

「あ!ちょっと待って!ねえ光井さん、北山さんもさ、一緒に帰らない?」

 

「いいんですか!?」

 

「うん、深雪さんと達也君もいいよね?」

 

「構いません、むしろお供したいくらいです」

 

「俺も異存はない、深雪の友達とも仲良くしたいからな」

 

達也君は本当にフォローがお上手!

 

「友達……」

 

「えぇ、私たちみんな友達だよ、さ、早く来ないと置いてっちゃうよ!」

 

「わわわわわ!?ま、待ってー!深雪さーん!」

 

「ほのか、慌てすぎ」

 

達也君と深雪さんを中心に話しながら帰宅する、途中、ケーキを食べたお店に入って各々話を始めた。

 

千葉さんのCADの話や、深雪さんに普段の達也君の生活を聞く光井さんと北山さん、そして私と達也君とレオは。

 

「サイオンを武器にする?」

 

「そ」

 

私がサイオンを固めて創り出した剣で光井さんに向かってくる魔法の弾丸を弾いた時のことをレオに質問され、達也君と一緒になって教えているところだ。

 

「待ってくれよ、サイオンは触れねえ物体なんだろ?それ自体を武器にするなんて…………物体に硬化魔法を使うならともかくよ」

 

「ノンノン、なにも物理的な攻撃性を持たせればいいってもんじゃないよ」

 

「どういうこった?触れられなきゃ意味ねえんじゃねのか?」

 

「卿の魔法は、少し特殊なところが多いんだ」

 

「まあね、自分でもよく理解できてないけど、要するに、通常の魔法を発動するのと同じ原理でサイオンを固めて剣状にする、ただそれだとサイオンの塊ってだけで触ることはできない、そこで、手のひらにサイオンを密着させ、相互干渉させることでサイオンの剣『ブレード』を保持するんだ」

 

「つうことは………ブレードを創り出す魔法と、それに触ることができる2つの魔法を同時にやってんのか!?」

 

「惜しい!ブレードを創り出した後に干渉できる魔法を発動してるんだ、同時にやったらどっちの魔法も発動できないからね」

 

「そりゃそうだよな」

 

まあ、2つ3つの魔法の同時発動くらい達也君ならやりそうだけど、ってかやりかねない。

 

「んん?けどよ、そうなるとCADの入力はどうなるんだ?」

 

「そこは簡単、あらかじめ音声認識で発動できるよう設定してあるんだ」

 

「音声認識………ああ、それで指パッチンしてたのか!」

 

「その通り(半分はカッコつけだけどね)、指パッチンして武器を召喚する………かっこよくない?」

 

「わかるぜその気持ち!」

 

ガッシィ!(握手)

 

「だが実際は発動が遅く妨害を受けやすく、無防備になるから不利だぞ」

 

「そこ!夢のないこと言わない!!」

 

結局騒がしくなってしまうが、最後の方は急遽達也先生の魔法講座に決まり、みんな静かに聞いていた。

 

そんななか、私は1人ジュースを飲んでいる深雪さんに近づく。

 

「達也君の話を聞かなくていいの?」

 

「お兄様のお話はとても勉強になります、ですが…………今行けば皆さんの邪魔になってしまいます」

 

あー、達也君にも友達ができたから、遠慮してるんだ。

 

「遠慮は無用だよ、ほら、深雪さんは達也君の隣にいないと!」

 

「わっ!?ちょっと卿さん!?」

 

「うおっと………大丈夫か?深雪」

 

「おおおおおおお兄様!?す、すみません!////」

 

勢いあまって達也君の膝のほうに飛ばしちゃって、対面剤みたいになっちゃったけど、問題ないよね!

 

「ヒュー!ヒュー!熱いよ!熱すぎるよー2人ともー!」

 

「わ、わ〜〜………////」

 

「す、すごいわね……」

 

「ほ、本当に兄妹なんだよな!?」

 

「達也さん……深雪さん……」

 

「………アンビリーバボー」

 

みんなして達也君と深雪さんを囃し立てる、日頃のストレスを加えて。

 

「お、お兄様………////」ギュゥ

 

「おい深雪、離れてくれ…………」タジタジ

 

「あーもー!あっついなーあっつすぎるよー!それに超甘々だよ!糖尿病になっちゃうよー!……マスター!アイスコーヒー!ブラックで!とびっきり苦いやつちょうだい!」

 

「俺も同じのください!」

 

耐えきれなくなったのでコーヒーを注文、数分後、注文通りのクッソ苦いコーヒーが出てきた。

 

「ズズッ………ふぅ、落ち着いた」

 

「ズズッ………俺も落ち着いた」

 

甘々な空気にしておいてなんだけど、今日ほどこの2人の絡みに後悔した日はない………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう2人とも……」

 

「おはよう卿……ってどうしたんだ?」

 

「顔色が優れないようですが……」

 

解散後に家に帰ってコーヒー飲みまくったら気持ち悪くなったうえに眠れなくなった………なんていえない。

 

「ちょっと面白い番組があってさ、つい夜更かししちゃって………眠くて気持ち悪い」

 

「自業自得だな」

 

「酷いなぁ達也君は………んま、いいけどさ」

 

カフェインフィーバーで新しい魔法を思いついたし、眠気なんて些細なことだよ。

 

やっぱり光魔法がいっちゃん使い勝手いいよね!そりゃあ達也君みたいに破壊力(?)がでかいわけでもないし、どっちかっていうと最低レベルだけどさぁ?光だよ光、相手に自分の認識を阻害させることもできれば、不意打ちに狙撃、咄嗟の防御だってできるんだしね。

 

だからといって達也君に勝てるとかそういうことはないけど。

 

まあ、サポートなら最強レベルって話だね。

 

他愛のない会話をしながら登校する、今日も今日とて、深雪さんは上機嫌だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………ったんだけどなぁ、ど〜してこうなるかなぁ?

 

いやさ?生徒会長に昼食に誘われる、生徒会は美少女だらけ、達也君が美少女を褒める、深雪さん不機嫌っていう…………うーん、これ私どうすればいいの?

 

 

 


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