適当に魔法科学校で主人公の達也君と遊んだりしたい(願望) 作:倒錯した愛
卿side
姫城 卿(ひめじょう きみ)。
それが私の名前。
白くてすべすべでもちもちの肌、低い身長、高い声。
それが私の容姿。
高い身体能力と知能、少ないサイオンの量、優れた光系統の魔法。
それが私の能力。
私は転生者だ、前世は俗に言う男の娘、今世も男の娘の一応性別上は男、種族は至ってふつうの人間。
前世ではいろいろあったような気がするけど、前世とは違う世界に飛ばすとのことで必要ない記憶は消してもらったからもうわからない。
私のことはこれくらいでいいかな、それじゃあこの世界について教えてもらったことをてきt………簡単に話すよ。
この世界は、魔法がお伽話や童話の中だけの存在じゃなくなり、魔法師が存在する近未来世界。
誰でも使えるわけではなく、遺伝的素質や適性が必要で、魔法を発動するにはサイオンという非物質粒子(………つまり触れられない極小の粒)で構成される情報体であるエイドス(ようは事象、起こる事がら)を改変させることで魔法を発動させる。
その面倒な魔法発動までのプロセスを簡略化・高速化したのがCAD(シー・エー・ディー)というデバイス。
魔法発動に必要な起動式を記録してあり、呪符やお札などの伝統的な道具に変わる現代魔法師の必須ツールだ。
ライフル、拳銃、剣、ナイフ、ケータイ、腕輪、首飾りなど様々な形状があり、大まかに特化型と汎用型の2タイプがある。
要するに、この世界における魔法というものは、おもちゃのゼンマイ式ブリキ車のようなものだ。
ゼンマイに繋がるネジを巻き(サイオンでエイドスを構成)、ゼンマイが回って車が進む(魔法発動)。
難しいことを言っているが、ようはサイオンはMPなのだ、サイオン量は遺伝で変わるもの、ドラクエで言えば生まれもっての魔法使いのようなものだ。
私は一般人と一般人の子供なのでサイオン量は少ない、私と同程度のサイオン量では、どれだけポジティブに考えてもサイオンで情報体のエイドスを構成して、起動式を作り出し魔法を発動するというひとつのサイクルを最短1日で終わらせることができる程度のものしかない。
いわば私は、生まれもっての武闘家、もしくはナルトのゲジマユなんだろう。
いくら前世の身体能力を受け継いだ転生者の私でも、加速系魔法なんて使われれば勝てるわけない。
しかし、自分の身は自分で守れなければならない、だがどうすればいいか、そんな感じで迷っていた私は、沖縄でこの世界の主人公にであった。
その時の私は1人で沖縄で旅行していた。
本当は両親と3人で行く予定だったが、母の体が弱く、旅行前に体調を崩してしまったので父は看病のため母のそばにいなければいかず、母の食べたがっていたサーターアンダギーが食べさせてあげられないのは辛いと、涙ながらに父に「お土産を買ってきてくれ!!」と頼まれ1人の沖縄珍道中が始まったのだ。
蒸し暑い沖縄の宿で魔法の練習をしつつ、もうひとつ魔法に似たよくわからない召喚魔法を練習しながら、海で遊んだり買い物をしたりといった過ごし方をしていた。
そんなある日、女の子がやたらガタイのいいナンパ男に絡まれているところへ女の子の兄らしき人物が割って入り、暴力に出た自分の倍以上デカイナンパ男を体術で倒していたのが印象に残っている。
そんな彼に思わず話しかけてしまい、転生者であることも話し、信用してもらい、友達になった。
思考能力、身体能力、サイオン量、全てにおいて完全な彼、司波達也、この世界の主人公と教えられていたが、チート過ぎる強さだと言わざるをえない彼と、魔法について話すのは楽しかった、もちろん他にもいろいろ話したが、どうやら彼は一般の流行について興味が薄いらしい。
そんな素晴らしい友達を得て数日後、突然現れた潜水艦からの魚雷攻撃、それを一瞬のうちに分解する彼、突如上陸してくる兵士たち、それも分解する彼、ただただ、無感情に存在を消していく彼。
そのあとはなんかデカイライフルみたいなCADで軍艦蒸発させて終わった。
ん?私の活躍?ないよ。
強いて言えば、軍艦の砲撃を何発か弾いたくらい、それ以外は何も。
全部終わった後、彼の知り合いらしき軍人は敵は大亜連合だとか言っていた、調べたところ国らしいけど、どう見てもテロ国家だった。
なんか達也君と軍人に特殊部隊に入らないかと誘われたけど、丁重にお断りさせていただいた。
沖縄から家に帰ると先に送っておいたお酒飲んで楽しそうに歌う母を見て悩みとかどうでもよくなった、お酒を飲まされて倒れてた父が言うに、母がお酒飲んだら回復したそうだ。
なぜ病人にお酒を飲ませたのかは不明、まあ元気なようなのでよし。
その後はケータイで達也君や妹の深雪さんと電話したりメールでやり取りしたり、たまに一緒に出かけたりした。
中学卒業後の進路は達也君が第一高校に行くって言ってたからそこを受験した、受験会場に入るまで魔法科高校だとは知らなかったけど、まあなんとか合格した、父と母はかなり驚いていたけど祝ってくれた。
そして今日は初めての登校日、入学式の日だ、遅れないようにいかなくちゃ。
制服よし、カバンの中身よし、お飾りのCADよし、端末はスクリーン、全てよし。
あーそうそう、この世界での移動手段は多種多様で、個人用のタクシー(路面電車?)的なものに目的地を設定すれば勝手に着くっていう便利なものがある。
みんな利用するけど速い速度で運行するから渋滞も少ない、電車よりも有用な乗り物だ、もちろん徒歩や自転車を使ってもいい。
受験の時もこれに乗って行った、今日もこれに乗って行く。
もちろん歩いて登校する方法もあるけど、私の家は第一高校から遠いうえ、結構無理言って入学させてもらったから、交通費はできるだけ抑えるためにも、こういうものを利用していかないと。
こういうとき達也君の財力が羨ましくなるけど、向こうは魔法師の家系、対して私はそういうものが一切ない家系だから、まあ仕方ないけどね。
とりあえず乗って、第一高校に着くまで寝ようかな………あ、そうだ、制服の胸のあたりとか、肩のあたりにあるこの花冠の刺繍というかワッペンというか、裁縫は苦手だったからよく知らないけど。
この花冠のマークが付いているのが一科生って呼ばれるいわゆるエリートに分類されるみたい、新入生200人のうち、上位の100人がこれに相当するみたい。
で、下位100人は花冠が付いてない補欠で入学許可された人達みたいだけど………まあ、主人公の達也君とその妹の深雪さんは一科生だろうけどね。
にしてもよく受かったもんだよ、魔法師として致命的なまでに低いサイオン量で一科生になれるとか………試験チョロいね。
ペーパーテストはまあ苦戦したね、事前に達也君に練習問題をもらってたからよかったけど(なぜこのとき魔法科高校だと気づかなかったのか…)、60点も取れてないと思う。
達也君は多分90点超えてるだろうし、深雪さんは達也君に教えてもらってたから80点以上は取れてるんじゃないかな?同じく教えてもらったような私がただ1人60点代とか笑われちゃうよ。
っと、着いたみたいだね、受験日も思ったけどやっぱりでかいよね、国が力を入れているっていうのもわかる、そりゃ達也君みたいな人工的な魔法師を作るくらい魔法に力を入れるのも、沖縄の一件で理解してしまう。
さて、無駄に広いせいで門から玄関までかなり遠いんだけど、ここにベルトコンベアみたいな道を作ってもいいんじゃないの?
あれ?なんか言い争いしてる男女がいる、うーーん……うん、遠目でも達也君と深雪さんだとわかるね、何があったんだろう?
「おはよう達也君、深雪さん」
「あ………おはようございます、卿さん」
「卿か、おはよう」チラッ
ん?なんかアイコンタクトされたんだけど………深雪さんがなんか駄々こねたのかな?まあ困ってるっぽいし助けてあげよう。
「何かあった?あっ、もしかしてまた達也君が女の子口説いてたとか?」
「またってなんだよ、俺はそんなことしたことないぞ」
「どうかなー?無意識のうちに女の子口説いてるってのが達也君なんだし、ねえ深雪さん?」
「卿さんの言う通りです、お兄様は無意識のうちに他の女子を口説いて………」
ドス黒いオーラが深雪さんを包む、同時に周りの温度が下がる………寒いから!寒いからね!?凍っちゃうよ!
「……悪かったよ深雪、こんなダメ兄貴を許してくれ」
「そ、そんな、お兄様はダメ兄貴なんかじゃありません!」
「達也君ってむしろ女の子にモッテモテのイケメンだしね、気遣いできる紳士だし、強いし……そんな素敵な達也君の一番近くに居られる深雪さんが羨ましいよ本当」
「そうです!お兄様は素敵でかっこいいんです!決してダメ兄貴なんかじゃありません!」
「……ありがとう、深雪、卿」チラッ
言葉とアイコンタクトで感謝の意を伝えてくる達也君、いやいや、話の方向を変えるくらいどうってことないよ。
「そろそろ中に入らない、季節は春だけどまだ肌寒くてさ」
原因は深雪さんだけど、言わぬが吉。
「そうだな、深雪、行こうか」
「はい、お兄様♬」
達也君を褒めちぎって方向転換したから深雪さんものすごい上機嫌だね。
一体何の話をしていたのか気になるけど、口は災いの元、言わぬが仏、見猿聞か猿言わ猿、関与しないほうがいいね。
達也君を私と深雪さんで挟んで歩く、この陣形は達也君に女子を近寄らせないために考案された深雪さんのためのフォーメーションなのだ、もしこのフォーメーションをせず女子の群れの近くを通れば確実に北海道雪祭りレベルの芸術品ができる。
主に女子の氷像とかができる。
それでも近寄ってくる女子は………おっと、これ以上は私が危険だ。
「それではお兄様、深雪は行きます」
「あぁ、頑張っておいで」ナデナデ
「はい♡」
達也君、爽やかに頭を撫でてるとこ悪いけど、ここ学校、校舎、人たくさんいるから、みんなこっち見てるから、目立つの嫌いって言いつつめっちゃ目立ってるから。
私のそんな視線を無視して達也君は深雪さんをひとしきり撫でた後、深雪さんは生徒会に呼ばれているようなのでここで分かれた。
「達也君、深雪さんって生徒会に入ってたの?」
「いや、深雪の試験の成績がトップだったから新入生の答辞に選ばれたんだ、打ち合わせに行くそうだ」
「へえ、じゃあ達也君は2位だったの?」
「俺はこれさ」
そう言って達也君は花冠のマークの無い制服の肩の部分を引っ張って見せた。
「え?達也君勉強は得意じゃ………」
「実技のほうだ、俺は2種類の魔法しか使えない」
「……そうだったね、まあいいじゃん、入学できたんだし」
「そうだな、言い遅れたが入学おめでとう、卿」
「ありがとう達也君」
入学式の式場の講堂はまだ閉まったままだったので、達也君と話して時間を潰すために中庭に移動して本でも読もうということになった。
ベンチに座って端末から本を読む達也君、私はその隣に座って本を取り出して読む。
「まだその本を読んでいるのか?」
「なぜか飽きないんだよね、この本」
本を読んでいると達也君に話しかけられる、今読んでいる本は達也君と出会った沖縄で見つけた挿絵無しの童話本のことだ。
伝説とか、封印とか、闇のなんちゃらだとかいう定番の設定があって、一国のお姫様が魔物に攫われて、それを助け出す勇者の物語。
この本を買う気なんか無かったけど、立ち読みしてラストまで読んでみると内容がとても面白い、それに挿絵が無いから想像力を膨らませるのに最適で、魔法の練習の時に役に立った。
この実用面でも役に立つ挿絵の無い童話本は、私のお気に入りなのだ。
「達也君も読んでみる?もしくは深雪さんに読んでもらう?想像力を膨らませるのに最適だよこの本」
「機会があったら読ませてもらうよ」
勧めてみると結構好感触、興味が湧いたってことかな。
「それより卿、時間だ、そろそろ行こう」
「もうそんな時間?早いね」
意外にも本を読むのに熱中していたようだ、腕時計を見ると講堂は空いている時間で、入学式まであと30分といったところだった。
本をしまってベンチから立ち上がり、講堂に足を向けたところで。
「新入生ですよね?開場の時間ですよ」
声をかけられる、見た感じ上級生、顔のレベルの高い一科生だ、ブレスレットみたいなのはCADかな?
「ありがとうございます、すぐ向かいます」
「関心ですね、スクリーン型ですか………当校では仮想型ディスプレイ端末の持ち込みを認めていません、ですが仮想型端末を利用する生徒は大勢います………ですが、あなたは入学前からスクリーン型を利用しているんですね、関心します」
「仮想型は読書に不向きですから」
仮想型ディスプレイ端末…………そういうのもあるのか。
というか雑談始められちゃう困るんだけどね、催促する側が引き止めるとか意味がわからない。
「動画ではなく読書ですか、ますます関心ですね----」
なんだか長くなりそう、先に行って席を確保しておくと合図を送る、達也君の了解の合図を見て講堂に向かう。
講堂内は広く、一際広い通路を挟んでステージに近いほうが一科生、遠いほうが二科生に分かれている模様。
特に先生の誘導もないようだし、ここは達也君と同じ二科生の方に座って待とうかな。
「んしょっ……と」
端っこの方にかなり席が余っている場所があったので、端の席に座る、ステージまでけっこう距離があるけど、遠いから逆に見やすいね。
にしても………達也君はより一層イケメンになったし、深雪さんはよりかわいく、いや、綺麗になったかな、大人の色気っていうの?大増量だよね、あんなにいい子が妹だと心底羨ましく思うよ(ただし性格は除く)。
「悪い、遅れた」
「ずいぶん長かったね、ていうかあの人誰だったの?」
時計を見ると7、8分ほど経っていた、女子の会話は長いからね、つき合わされる前に逃げる、それが私の前世知識。
「生徒会長の七草真由美先輩だ」
「へえ、それで入学式の始まる前に中庭でぶらぶらしてたなんて、生徒会長って暇なんだね」
「あれはたぶん見回りじゃないのか?」
「見回りにしては、雑談に忙しそうだったけどね」
ま、でも気持ちはわかる、達也君との話は面白いんだ、魔法とか深雪さんのこととかCADのこととか、興味深い話が聞けるしね。
達也side
俺は中庭で生徒会長でありナンバーズ(数字付き)の一家【七草】真由美に非物理的に拘束されている。
「入試7教科平均、100点満点中98点!特に圧巻だったのは魔法理論と魔法工学ね、合格者の平均が70点に届かない中………」
生徒に試験の成績を話しても良いものなのか?
このように七草真由美の独り言のような話に拘束されている、気付かれないように時間を確認すると、卿が中庭を出てから5分は経過している。
「どれだけ凄いと言われようとあくまでペーパーテストの成績、情報システムの中だけの話です、その証拠に、自分にはエンブレムがありません」
できるだけ早く話をきって卿が確保している席に座り、深雪の答辞を見なければ、見なかったら後で深雪が何をするかわからない。
「そんなことないわよ、少なくとも私にはそんな点数取るのは無理だもの、こう見えて私って………」
七草真由美の声が耳から入ってくる、環境音としてカットしたいが深雪の生徒会入会後の関係を悪化させたくはない。
「そういえば、一緒にいた彼女………彼は?」
「姫城卿のことですか?」
「彼が姫城卿………そうなのね」
卿に興味があるのだろうか?確かに卿の魔法はかなり特殊だ、初対面の時はBS魔法師かと疑ったが調べてもそう言った情報はなく、汎用型CADを渡して様々な魔法を試してもらったが、人より時間はかかるが発動可能だったので結局のところ詳しい事はわかっていない。
ただひとつ、わかることは、卿の魔法は強力であるということだ、俺の分解と同じかそれ以上に厄介だと思われる魔法で、サイオン量の少なさからは考えもしない威力だった。
加えて卿は転生者………魔法がお伽話でも伝説でもなくなった今の世の中だからあまり驚かなかったが(深雪は驚きのあまり青ざめていた)、問題は卿の持つ知識だ。
卿の知識、特に科学に当たる分野の知識は明らかにオーパーツと言わざるをえない、物質を粒子に分解して保存、状況に応じて瞬時に呼び出し可能な技術…………非常に危険な技術だ、世界各国が軍事技術に転用すれば恐ろしいことになるだろう。
幸いなのは、当の本人の卿がその技術の一切を公表するつもりも、再現するつもりもないことだ。
「そろそろ時間なので失礼します」
「え?ちょ、ちょっと!」
七草真由美が考え込むそぶりを見せたので強引だが話をきって講堂に入った。
二科生が多く座る講堂の後ろのほうの席に、他の二科生や一科生の視線を我関せずの態度で座る卿を見つけた。
差別意識など全く気にも留めない卿の行動に内心苦笑いする、本人は流れに乗るとか逆らうだとか、一切考えていないのだろう。
もっとも、被差別意識があるのは二科生のほうなので、意識しなければいいだけの話なのだが、この大多数の二科生のうち何人が俺や深雪や卿のような考えを持っているのだろうか。
そして、一科生のなかで二科生を差別せず公平に考える人はいったい何人いるのか。
どちらにせよ、二科生の意識を変えていかなければ公平公正平等は難しいだろう。
「悪い、遅れた」
話しかけると卿は振り向いていつも通りの真面目なのか不真面目なのかわからない笑みを浮かべつつ言った。
「ずいぶん長かったね」
昔沖縄であった時に見た笑顔がそこにあった。
卿side
パンフレットを見る限り、生徒会の挨拶とかの後に答辞があるみたいだね、それまで寝てようかな………いやそんなんじゃダメだよね、というかたぶん達也君に怒られるから止めとこう。
本人の達也君は二科生のメガネかけた女の子と話してるようだけど………っていうか後ろの赤茶っぽい短髪の女の子さ、私を見てなんでそんな不機嫌な顔するの?怖いよ、あ、これがスケバンとか番長とかいうやつかな?
まあ違うと思うけど。
いつの間にか達也君の横に女の子4人が並んで座ってるんだけど………もうフラグ立てたの?早くない?ねえ、この状況を深雪さんが見たら兄絶許状態(お兄様、今度ばかりは絶対にお許しできません!!状態の略)になると思うんだけど、私も巻き添え食らうからあまり仲良くしないで。
………でもまあ、達也君が深雪さんの頭を撫でたり、顎をクイッと持ち上げたり、肩を引き寄せたりすれば、即堕ち2コマになるんだろうけどね、ほんっっっっっとイケメンってズルい、女顔の自分が憎い。
だいたいなんだよ、私と達也君と深雪さんの3人で街を歩いてて『あら、かわいい妹さんと彼女さんね』って声をかけられなきゃいけないんだよ!
あのあと彼女さんって言われて嬉しくも妹だと思われなくてやや落ち込んでた深雪さんを恋人のように優しく慰める達也君のせいで人目集めたんだけど!その時の私に集まる『あなたの彼氏、シスコンなのね…』っていう同情の視線は要らないよ!
私は……僕は……男だよ!!!!
「なあ、卿」
「ん"!?」
「いやなに怒ってるんだよ」
「沖縄で達也君と深雪さんと街を出かけた時のことを思い出したらムカムカしてきただけだし!」
「俺はなにも悪くなかったと思うんだが……」
「わかってるそんにゃ………そんなことくらい……………はあ」
思い出したら悲しくなってきた、身長もあの時からほんのちょっぴりしか伸びてないし、変声期どこ行ったってくらい声も高いままだし、私はコ◯ン君か!
「気にしても仕方ないだろ、もっと前向きに考えるんだ」
「はーい………」
「わかったら自己紹介だ」
「え?誰に?」
「こっちの、柴田さんたちにだ」
「相変わらずコミュ力高いよね達也君ってさあ………えっと、柴田さん?」
「は、はい、柴田美月です、お名前を教えてくれませんか?」
達也君の高いコミュ力に脱帽しつつ隣に座る柴田さん(メガネ)に話しかけると、丁寧に名前を聞かれた。
「私は姫城卿、姫城でも卿でも呼びやすい方で呼んでくれていいよ、自称成績ど真ん中、よろしく柴田さん」
「はい、よろしくお願いしますね姫城さん(自称成績ど真ん中?)」
「あたしは千葉エリカ、よろしく」
「よろしくね、千葉さん」
達也君さあ、なんでこう、レベルの高い女の子捕まえるのうまいのかなー?深雪さんに刺されても知らないよ?
でもとばっちり受けて氷像になりたくないから、監視はしっかりするけどね(深雪さんの魔法マジ敵味方無視のマップ兵器)。
「卿、あんまり変な事言って混乱させるなよ」
「変な事って言っても………意味そのまんまでたぶんホントのことだしいいじゃん」
「いやいや、自称成績ど真ん中って説明不十分だから」
「んじゃあ分かりやすく言うと、私の入試の成績が100位だってこと、要するに一科生の中でビリケツ」
「そういうのってわかるものなんですか?」
「いんや?達也君と私の実技の成績はそこまで差が無いと思うからだよ」
「適当すぎるだろ」
「うん、適当すぎよ」
「ちょっと2人とも酷くない?私だったね、自分の極微量とも言えるサイオンの量でギリッギリなんだよ?これはもうあれだね、私の努力を讃えよ」ドヤッ
「少しイラっときた」
「同じく」
2人ともさ、頭、高くない?処す?処す?…………達也君を処せるわけないんだけど、ちょっと敵キャラのレベルバランス狂ってるんじゃないんですかね、レベル30の勇者の目の前にラスボス出すようなもんだよ、RTA走者でもTASでもないんだよ?死ぬよ?教会で復活するよ?ここら辺教会ないけど。
「ちょっとちょっと、ちょっと2人、達也君と千葉さん、私に対する風当たり、強うない?ねえ?ほら、もうちょっとさ、あるよね?いう事がさ、その、さ……………ほら、なにか………どこか褒めるとことか」
「あ、姫城さんはかわいいですよ」
「私は男だよ!」バァン!
バァン!(右手大破)
「ご、ごめんなさい!(ゴッ)〜〜〜!!」
勢いよく下げた頭が前の席に当たってうずくまる柴田さん、うわあ、なにこの………加護欲をそそらせる動き。
正直たまりませんわ、妹に欲しいくらい、もしくは従姉妹に欲しいかな、ドジっ娘とか私得すぎるんじゃぁ^〜〜。
「ってちょっと腫れてるじゃないですか………はい、これ貼っててください」
「冷え◯タ……」
「あ、ありがとうござ………っ!?………ござい、ます」
一応受け取ってもらえたけど、なんか私の手を見た瞬間に真っ青になっちゃったんだけど。
手にごみでもついてたかな…………達也君ならわかるかな?
中途半端でスマソ。
誰も見てないと思うから適当でいいやっていうね、ある種の安心感がね、でちゃってね。
主人公の魔法は強め設定、サイオン量が少ないのにそりゃねえだろ………って思うでしょ?思うよね?私も思う。
でも規格外っていうかチート系の方が面白そうだからこれでいい(ヤケクソ)