ナザリックの喫茶店   作:アテュ

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お待たせ致しました、3rdCup 後編です。タイトルでネタバレ感がありますが。


3rdCup Ruhuna

《アインズサイド》

 

ゆったりとした空間でアインズが楽しそうにプレアデスに話しかける。

 

これは少し不思議な光景だった。というのも普段業務に勤しむアインズを見ることは多いが逆にそういった姿以外はなかなか見かけない、働きすぎである。特にユリとソリュシャンはアインズが政務に励む姿以外を見る機会は少ない、だが当然ジロジロと見るような失礼極まりない事はしない。

 

「そうかそうか、先日話したプレアデス同士での茶会はすぐ実施されたのか」

 

「はい、アインズ様のせっかくのご配慮。無碍になどできるはずが無いので早急に進めさせて頂きました、久々に6人集まれ有意義な時間をすごせました」

 

ユリが嬉しそうに話すのを見て隣で座っているナーベラル、ソリュシャンも姉が出す幸せそうな空気に自然に笑顔になる。至高なる御方への奉仕に加え姉の幸せそうな顔を見るとこの上ない歓喜に包まれている気持ちになる。

 

「何よりだ、お前たちの仲の良い姿は至高の41人も望んでいた姿である。時には考えの違いもあるだろうが姉妹で楽しくやってくれ」

 

「仰せのままに、今後ともさらなる連携と理解を深めていきますわ」

 

「しかし……お前たちが仲良くしているとこを見ると少しばかりあの者が不憫に感じてしまうな、立場上仕方無いが」

 

プレアデスら3人は立場上という言葉でピンときた。

 

「アインズ様……あの者とは我らの末の妹の事でしょうか?」

 

「うむ、あの者はナザリックの最終防衛ラインである第8階層を守護する立場、ヴィクティムと共に常にあの場を守護するのが常だ」

 

「それは仕方がありませんわ、一般メイドが至高の御方のお世話をするのが当然であるように、守護者の方々が至高の御方によって決められた階層を守護するのも当然でございます。本人もそれはよく理解していると思います」

 

ソリュシャンが直ぐにフォローに入ってきたが、参加できなくもないなとふと思う。

 

「そうなんだがな……とはいえ比較的落ち着いている時期でもある、今のうちに出来る事はしておくべきだろう。常に、は出来んが折りを見て桜花聖域の守護者もプレアデスらの茶会へ参加できるようとりはかろう」

 

「まぁ!それはそれは皆喜びますわ!」「ええ、アインズ様のお優しさに胸が打ち震えます」「ありがとうございます、モモ……アインズ様」

 

おいなんか間違えているやつがいるぞ……まぁスルーしとこう

「茶会で思い出したが、ユリ達は普段から紅茶を飲むのか?」アインズがふとした疑問を問いかける。

 

「はい、茶会でもよく頂いております。さすがにシズ・デルタは飲めませんが他は皆紅茶……だったかしら……?」

 

ユリがナーベラル、ソリュシャンへ問いかける。

 

「よく紅茶をよく飲んでいる覚えがございます。ソリュシャンはたまにコーヒーも飲んでいましたか?」

 

「そうね、王国に潜伏していた際にコーヒー豆を取り扱っている商人とやり取りもあったせいかより飲む機会が増えていたわ」

 

(あぁ……そういえば報告書にもあったな、アルベドと一緒にコーヒー豆も確認してみたけど分類としては同じコーヒー豆であり、エクスチェンジボックスに入れると当然全て同じ査定価格になった。だが《オール・アプレーザル・マジックアイテム/道具上位鑑定》によれば品種は確かにあるようだ。確かアラビカという豆だったか、いや産地などもあったか?このあたりはもう少し調べてみたい、何だか嗜好品への興味が強くなってきたなぁ……)

 

「ふむ、最近は紅茶をよく飲んでいるが昔はコーヒーも飲んでいたな。紅茶と違った趣を楽しめたよ」

 

「そうなのですか?ではコーヒーにもお詳しいのですか……さすが至高の方々の頂点に立つ御方です」

 

「そうでもないさ、あの時は今ほど興味を持っていなかったしな。私よりもウルベルトさんやペロロンチーノさんが詳しかったなコーヒーは」

 

ふっとアインズが郷愁にかられるような思いをし遠い目をする

 

 

 

《プレアデスサイド ユリ》

 

主が突然喫茶店に来られたのには驚いたが、アインズ様が最近この喫茶店を利用されていると考えれば当然かと思い直す。しかしそれほどまでに紅茶に御執心されているのならば一般メイドに任せるだけでなく、プレアデスでも紅茶の勉強会を行うべきだろうか……?一般メイドが傍に控えられない状況も出てくるだろう、その際に控えるのは僕…いや私たちである。至高の御方がお求めてから対応するのは少々美しくない、先んじてご用意をするのが従者というものだろう。一度草案を作り、アルベド様や守護者の方々にご報告してみますか。

 

ふとユリの顔が意識せずにはにかむ。無理も無い、至高の方々へ尽くす事は当然でありながらもシモベ冥利に尽きる瞬間でもある。指示を頂くのみならずそれを期待以上の結果でお応えした時より褒めて頂けるだろう。そんな瞬間を想像してしまえば表情が緩んでしまうのもしかたがない事だ。ただプレアデスの副リーダーという立場から考えると少し気が緩んでいたことは否めない、その証拠としてナーベラルとソリュシャンが笑いながら、あるいはにたりとした顔でユリを見ていた。

 

「ユリ姉さま、緩んだ表情になっていますよ?」

「至高の御方にお褒め頂けた時のような表情になってるわよ?」

 

思わずユリがハッとした表情になり、引き締めた表情に変わる。そうだ、いくらアインズ様が気を楽にしてよいと仰っても少しばかり気が抜けてしまっていた。いけないいけない、こんな顔姉妹たちにも見せるわけにはいけないのにましてやアインズ様の前でなど不敬が過ぎる。

 

「し、失礼致しましたアインズ様、少々気が緩んでおりました。」

 

「何を言うユリ、なかなか貴重なものが見れたぞ?気が緩んだ時のユリの顔はあのような表情をしているのだな」

 

親が大人になった子に昔の恥ずかしい思い出を語るような、少し意地悪そうな雰囲気でアインズが語りかける。思わず恥ずかしさのあまりに俯いてしまうユリだがアインズも咎めるような口調ではない。気恥ずかしい気持ちはあるが喜びの方が勝っているようだ。

 

「私はな、こういった時間をぜひ大切にしてほしいのだよ」

 

アインズがプレアデスらに少し真面目そうに話しかける。

 

「お前たちが私に溢れんばかりの忠義を捧げてくれているのはとても嬉しく思う。ただな……お前達はシモベであると同時に……そう、至高の者達に作り出された存在、彼らの子供のようなものなのだ」

 

思わず涙が溢れそうになる、至高の御方は我らの忠義を受け取って頂けるだけでなく至高の方々の子とまで思って頂けるとは。シモベには余りある褒美、かといってその褒美を受け取らないなど出来るはずがない。至高の方々のまとめ役であるアインズ・ウール・ゴウン直々に仰って頂けたのだ、辞するなどやまいこ様に背くに等しい。

 

「わ、我らにはもったいのうございます」

 

震える声で精一杯アインズへ返答する。ナーベラルはうっとりとした顔、ソリュシャンは媚薬でも飲んでいるかのような恍惚とした表情をしている。

 

「まぁ落ち着け、ユリ、ナーベラル、ソリュシャン。常々考えていたのだ、私は大切な友らの子を預かっているに等しいと。シモベとして実にお前達はよくやってくれている、それは彼らにも私が自信を持って伝えられる。しかしだ、彼らがいない今おこがましいが私が親代わりである事を強く感じている」

 

「おこがましいなど!そのような……そのような言葉我らにはもったいのう……もったいのうございます!!」

 

「ユリ姉さまの仰る通りでございます、アインズ様!我らにはシモベとしてお褒め頂けるだけで身に余る喜びでございます!」

 

「アインズ様……そのように我らをシモベ以上に大切に考えて頂けるとは……まさに恐悦至極としか申せません!」

 

三者三様の反応だが、プレアデスらの考える事は共通している。その身に過ぎる喜び。今なお我らを見捨てず仕える喜びを与えてくださる至高の御方。仕える喜びに留まらず我らを子と仰って頂けた、溢れるような慈しむ御心がその身を歓喜させる。

 

(うーん……紅茶飲みに来ただけだったんだけどなぁ……まぁこういった事は言葉にしていかないと分からないし誤解も生まれるからな。上位者として君臨する事には慣れてもきた、無いはずの胃がキリキリするけど……。余裕も生まれてきてふと考えちゃったんだよなぁ、彼らの子にも等しいNPC……こいつらは俺よりもずっと年上かもしれない。けれども親がいないって事、それはいくつになっても寂しい……よな。)

 

アインズの前世である鈴木悟、彼はもう何年も前から天涯孤独の身である。この11年、ユグドラシルしか彼には無かった。ただそれは麻痺していただけ、()()()()()()()()()。元々彼は穏やかで面倒見の良い性格である、そうでなければあの一癖も二癖もある彼らを纏める事など出来はしなかっただろう。僅かな残滓しか残らないアインズでも彼らのNPCが相手となれば何も変わらない、NPCのために笑い、悲しみ、怒り、そして一緒に喜ぶ事が出来る。そうただアインズは

 

「私はただ、お前たちをこれからも見守っていきたいだけさ。親代わりとしてな」

 

いつのまにかプレアデスらが涙ぐんでおりナーベラルなど溢れんばかりに頬を濡らしている。これこそ彼らNPCが最も求めている言葉だろう、変わらずこれからも変わらずに至高の御方は我らを導いて下さる。宝石のような輝きを持つ言葉、いや宝石などでは全く足りないそう思わせる程に待ち望んでいた言葉だった。

 

「さぁ、そろそろ茶の準備が出来た頃合だろう?茶会に涙は似合わん、楽しもうじゃないか」

 

プレアデスらはすぐさま涙を拭き、これから始まる至高の御方との茶会に心を躍らせた。

 

「お待たせ致しまし……いかがされましたか?何か私が粗相をしてしまいましたでしょうか……」

 

準備が終わり、紅茶とケーキを運んできたアストリアが不安そうに聞いてくる。

 

「気にするな、少し感極まってしまったようでな。アストリアお前に過失など何も無い、さぁそれよりも準備は出来たのだろう?今日の茶を楽しませてもらおうじゃないか」

 

少し湿っぽい空気を払拭させるような口調でアインズが語りかける。

 

主にそのような気を使わせてしまうとは、と自分の不甲斐なさを反省しかけるアストリアだが今は反省しながらもやるべきことは違う。私がやるべき事は

 

「お待たせ致しました。 アインズ様、こちらスリランカのルフナでございます。お茶請けには少し甘さを控えたマフィン、ミルクジャムをご用意させて頂きました。ミルクティーがお勧めの紅茶ですが、一口目はストレートをおすすめ致します」

 

アインズの目の前に白色でありながら艶を感じさせるティーカップ、可愛らしくちょこんと皿に乗ったマフィンが差し出され、紅茶の入ったポットと銀色の光沢が輝くようなミルクポット(ミルクが入った容器)が置かれた。

 

「ほう……スリランカのルフナ、か。確か以前にも聞いた記憶があるな?あれは確かアストリアにヌワラエリアを出してもらった時か」

 

「仰る通りでございます。流石アインズ様、御明察恐れ入ります」

 

「たまたまに過ぎんさ、それよりも確かこの紅茶は標高が低いところで収穫されたものだったか?」

 

「はい、およそ標高300m付近の茶園で収穫されたものです。セイロンティー(スリランカ産の紅茶)は標高別で分けられている事が多く、好みに合わせてお楽しみ頂けます」

 

ほうほうと頷きながらカップを近づけ香りを楽しんでいるとふと疑問か浮かぶ。

 

 

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「アストリア、以前にも少し聞いたがなぜ標高の違いによってここまで差が生まれるのだ?環境の違い、という事は想像出来るが要因は判明しているのか?」

 

「申し訳ございません、『恐らく』という推察になってしまいますが」

 

「構わん、それも楽しめる要素になる」

 

「では、標高が高くなると当然ではありますが気温が下がり厳しい環境となっていきます。チャノキ(紅茶の木)は栄養を溜め込もうと内側にぎゅっと留めようとします。その際葉や茎のような先端にはあまり行渡りません、そのためハイグロウンティーに代表されるヌワラエリヤなどは淡い色合いに軽く上品な口当たり。まさに極上のシャンパンを思わす味わいとなるでしょう」

 

「シャンパン……なるほど、確かにあの口当たりはそういって差し支えないですわね」

 

ここ最近アインズへヌワラエリヤを給仕していたソリュシャンが呟く。

 

「あら、ソリュシャンあなた水出しだけでなくヌワラエリヤという紅茶もちゃっかり飲んでいたのね?」

 

「ちゃっかりしてますね……ソリュシャン」

 

そうユリとナーベラルにからかわれるが、すました顔でソリュシャンが答える。

 

「至高の御方がご興味を持たれているのよ?すぐにお応え出来る様に努めたくなるのは当然じゃない」

 

確かにそうだ、とユリとナーベラルが神妙な面持ちで頷く。アストリアも控えてはいるが口元は同意を示すような微笑をしている。

 

「酒と紅茶、どちらも嗜好品であるがゆえの繋がりもあるのだな。実に興味深い」

 

そういいながらアインズがカップを口に近づける。

 

「ふむ……香りはどこかスモーキーさのような重厚なものを感じさせる。奥深さとでも言えばよいのだろうか、これがコクなのかもしれないな」

 

無垢のような白さを持ちながらも銀色の淵が化粧をしているかのようにその上品さを醸し出す、ティーカップはこれほど美しいものだったかとアインズが感心する。

 

「では頂こう」

 

アインズが最初に受けた印象はどっしりとしたボディ、何にも影響を受けないとでも表現すれば良いのだろうか。そのあとにほんわりとした甘み、ココアにも近い控えめの甘さ。後味はカラメルのようなとろみがありいつまでも口に残りそうな印象を感じた

 

「なるほど……これは重い紅茶だ、ヌワラエリヤとは正に対極と言えよう。私も少々これは飲みすぎると胃もたれしてしまいそうだな」

 

アインズが苦笑しながらカップの茶をじっくりと眺める

 

「まさに、仰る通りこちらのルフナはミルクで召し上がられる事が多いため本来ストレートをおすすめされる事は稀でございます」

 

「ではなぜアインズ様に、一口目をストレートでと?」

 

ナーベラルが少し険しい目をしてアストリアに問いかける。

 

「よせナーベラル、アストリア何か考えがあったのであろう?」

 

「はい、ご説明が遅れ申し訳ございません。理由とはミルクの量を考えるためです」

 

「何、ミルクの量?ミルクの量に決まりでもあるのか?」

 

「明確な決まりはございません、ですが場面場面で変えていく必要があるかと思われます。当然ながら私はティーテイスターの職業スキルを持っているため紅茶の味を自在に変えることが可能でございます。しかし、どの味に変えるのか?という点はなかなかに難しくあります。そこで付け合せの菓子、一口目を飲まれた印象、ご来店のお時間、以前お飲み頂いた紅茶

といった事をヒントに紅茶を淹れさせて頂きます」

 

そう言いながらアストリアがミルクポットを傾けミルクを紅茶に注ぐ。細く細くミルクがカップに入っていき、数秒後傾きが止められる。

 

 

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「今回は少しミルクを多めにさせて頂きました、理由としては焼き菓子であるマフィン単品ならば軽めの紅茶もおすすめできますがミルクジャムのようなこってりとしたアクセントがあるためたっぷりのミルクで口の中をさっぱりさせた方がお楽しみ頂けるかと」

 

「素晴らしい、そこまで考えられているのか。二口目が実に楽しみだ」

 

そういってアインズが待ちきれないかのように口元へカップを運ぶ。

 

「実に鮮やかなベージュ、ミルクと紅茶がただ混ざり合っているだけではない正にミルクと紅茶が調和している。よし」

 

意を決したようなわくわくが抑えきれないような声を出しアインズがミルクティーを口にする。

 

アインズの二口目の印象は驚愕だった、別物なのだ。一口目に飲んだストレートでの強い主張は鳴りを潜め、代わりに甘み上品な甘みが口の中に広がる。しかし甘みだけではない、コクだこれがコクなのだと言わんばかりに紅茶の旨みを引き出している。そう思いながら紅茶が喉を通る、その後味はさっぱりとしている先ほどのようなとろみは一切感じさせない。

 

「まるで魔法だな」

 

アインズが思わず苦笑した、ここまで変わるものかという驚き。今まで飲んでいたミルクティーは何だったのだろうかと感慨に浸る、いやもはやそのような過去は惜しくない。知れたのだこんなにも素晴らしいミルクティーを、その価値はダイヤの原石を発見したに等しい。

 

「よろしければ付け合せの菓子もご一緒に」

 

そうだなと言いながらアインズがマフィンに手を伸ばしマフィンを覆う紙型をペリペリと剥がす。そして豪快にもそのままマフィンを一齧りした。

 

 

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「ア、アインズ様お手が汚れてしまいます」

 

ユリがそう口を挟むがアインズは気にも留めない。

 

「気にするな、ユリ。先ほどお前達を預かっている親代わりと言っただろう?ならば家族にも等しい、家族同士での茶会などそう堅苦しいものではよくない。この場で私が求めるモノはそういった気安さだ」

 

そう言いながらアインズが紅茶を再び口にする。気づけばマフィンにミルクジャムをつけてもいた。

 

「絶品だ。マフィン単品では少しばかり飲み物がほしくなるがミルクティーがマフィンの控えめな甘さを引き出し上品な纏まりにしてくれている。ミルクジャムのチョイスも素晴らしい、ミルクにミルクと最初は思ったが違った味わいを楽しませてくれる。何よりミルクジャムをつけたマフィンを齧った後、ミルクティーがさっぱりと口の中をさせてくれる。もう一口、二口と手が止まらないな」

 

「ありがとうございます、マフィンは十分な数をご用意しております。紅茶の準備も整っております」

 

「素晴らしい、後で追加を頂こう」

 

 

《プレアデスサイド ユリ》

 

至高の御方は今日とてもご機嫌のようだ、無理も無いあれほど見事な紅茶と菓子のマリアージュを出されては。

 

一般にマリアージュとは結婚を意味するが、飲み物と料理の組み合わせがとても良い場合の表現としても使われる。その相性が良いだけでなく、互いに香りや味を高めている際の表現として「素晴らしいマリアージュ」と言われる。まさに今回の紅茶は素晴らしいマリアージュだったといえよう。

 

 

そうしてユリがアストリアを感心した目で見ているとナーベラルがおずおずとアストリアに話しかける。

 

「ア、アストリア申し訳ないですが二杯目と次のお菓子は私もアインズ様と同じものを頂きたいのですが……」

 

この子は……真面目ではあるが少し感情が表に出すぎではないだろうか。いやまぁそう咎める事でもないか、至高の御方は我らを家族とこの身には過ぎる扱いをして下さった。思わずにやけそうな顔を再び引き締めるが口元は隠せない、にこやかな表情が思わず出てしまう。至高の方々は御隠れになり我らの至らなさを悔やむばかりだったが、最後まで残ってくださった至高の御方は我らを導いてくださるだけでない。親としても我らを見て下さる、あぁなんと、なんと御優しい。甘美な言葉が広がる、しかし与えられるだけなど従者失格だ。その忠義に答えなければ。

 

ユリが意を決しているといつのまにかナーベラルとソリュシャンがペロリと紅茶を平らげていた。

 

「あ、あなた達は……」

 

妹たちのはしたなさに頭を唸らせるとアインズが朗らかに笑い声を上げた。

 

今日もナザリックの喫茶店は賑やかに営業している。




閲覧頂きありがとうございました

なんやかんや途中悩みましたが別の投稿者さんにアイディア頂いたりとこの先の話にやる気がむくむくと。

カップケーキは自作ですが、案外上手く出来ました。次はココナッツファインなどをトッピングさせたいですね

追記で、活動報告更新しました。よろしければアンケート回答お願いいたします

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