ナザリックの喫茶店   作:アテュ

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どうも、大変久々の投稿です。エタったかと思ったか!?俺も思いました。1日100字位ずつ書いていく超スローペースでした。

導入部分ですがよろしくお願いします

カレーにマヨネーズかける派様 誤字報告頂きありがとうございます


3rdCup 「????」

ある日のナザリック第9層 昼下がりの頃、食堂はシモベ達で賑わっていた。

 

中でもとあるテーブルがひときわ盛り上りを見せている。

 

「食堂に来るのも久しぶりね……ルプーは村?」

 

髪をいじりながらナーベラル・ガンマは同席しているソリュシャン、ユリに話しかけた。

 

 

「ええ、この前定期報告には来たけどだいたいは村にいるわね」

 

「ナーベラルほどではないけど忙しそうね」

 

ユリとソリュシャンが羨ましそうに話す。至高の御方、アインズウールゴウンの勅命は光栄極まりない。それに加えカルネ村についての報告はアインズへと直接報告する事が多い、自身の功績を主に報告できるとあらばより一層やる気が出るというものだろう。

 

「ユリ姉さまとソリュシャンは最近ナザリックから出ていないのですか?」

 

「そうね、この前帝国の皇帝が来た時表層に出たけれどそれからはほとんど内部にいるわね」

 

「私もここ最近、内部にいるわ、あぁ……この前はアインズ様とお茶をご一緒できたわ」

 

愉悦たっぷりという雰囲気で、うっとりした表情をするソリュシャン。

 

「何ですって……!?聞いていないわよ、ソリュシャン!」

 

「今言ったじゃない……ナーベラル」

 

「ボク……いえ、私も初耳ですよ?ソリュシャン」

 

ジト目でソリュシャンを見るナーベラル・ガンマとユリ・アルファ、その目には嫉妬の感情が強く表れている。アインズの傍に控えることはプレアデスである彼女らにとってそう珍しい事ではない。しかしティータイムを一緒にするという事などは同じプレアデス、下手をすると守護者ですら経験した者は少ない程の事だろう。

 

「この前、アインズ様がご公務の合間に休憩を取られたんだけど……その際、私を労ってくださったの、あぁ……甘美なひとときだったわ……」

 

うっとりとソリュシャンが語る、途中から声が少し大きくなっていたせいか近くで聞こえていた一般メイドやシモベ達も驚いた顔、羨ましそうな顔でソリュシャンを見ている。一般メイドや下級のシモベにとっては謁見すら稀である。自分とは立場が違うのだなと一層羨む気持ちが強くなる。

 

「あぁ……二人っきりでお茶会など、私も滅多にないのに……」

 

「……ちょっと待ってくださいナーベラル、あなたも経験した事あるんですか……?」

 

「……あ、え、えぇ、冒険者として行動している時に……ね」

 

「ボクだけじゃないか……この中で経験した事無いの」

 

口調も直す事も忘れ、少し拗ねた顔をするユリ。プレアデスの副リーダーとしてわきまえた態度をとらなければならない反面、至高の御方についての事となるとどうしても感情的になってしまう。同じ立場であるプレアデスが経験しているとなれば思わず……という事もあるのだろう。

 

「大丈夫よ、アインズ様は慈悲深き御方。下々の者が労いを期待するのは不遜でしょうけど、お情けを頂戴出来るかもしれないわ」

 

「……そうね、そう思いましょう。そういえばソリュシャン、あなたが飲んでるのは紅茶?珍しいわね。茶会以外であまり紅茶を飲んでいるのを見かけなかったけど」

 

「そう、それなのよ。そうね……まずは……アインズ様がつい先日食堂に来られたのよ」

 

「アインズ様が!?」「えっ!?」

 

思わず驚きの声を上げるナーベラルとユリ、至高の御身であるアインズはアンデッドであり、食事を必要としていない。ましてや口唇蟲を装備しても、食堂にわざわざ来る理由が無い。至高の御身であるアインズは当然ながら自室へ運ばれるからだ。下々の者が主立って集まる食堂は守護者も顔を出す事はあまり無い。

 

「アインズ様がここ最近紅茶に興味を持たれているのは知っているでしょう?」 「ええ」「そうね」 ユリとナーベラルから同意の声が上がる

 

「ここ最近、アストリアが管理を担当している喫茶店で飲んだものがお気に召しているようよ。中でも先日召し上がられた水出しのアイスティー、ディンブラをとても気に入られ、下々の者にもその紅茶を楽しむ機会をとの事でわざわざ食堂へお越しになられたそうよ」

 

アインズが黒と言えば全てが黒になるナザリックという組織において、アインズの決定に異を挟むものなどまずいない。そんなアインズが直々に指示を下しに行くという事は極めて異例である。ナザリック内部の事であれば近くにいるものへ一言伝えるだけで全て滞りなく進むからだ。

 

「という事は……あなたが飲んでいるものはアインズ様が直々に勧められたという!?」

 

「ええ、素晴らしい味わいよ?淹れ方でこんなにも変わるなんて。流石至高の御方、高尚なご趣味をお持ちだわ」

 

うっとりとソリュシャンが語る。

 

「ソリュシャン、副料理長に頼めばまだもらえるのかしら? アインズ様自ら気遣って頂いた御心 無碍になど不敬が過ぎるわ」

 

「ええ、かなりの人気らしいわよ。普段紅茶を飲まないものも飲んでいるらしいわ」

 

「わ、私ももらってくるわ」

 

慌てながらも、どこか楽しそうな雰囲気でユリとナーベラルが厨房へ向かう……

 

 

「これが水出しの紅茶……普段はホットしか飲んでいなかったけどこれはすばらしいわね」

 

「あぁ…モモンさ…いえアインズさまの御心が染み渡る……!」

 

普段から紅茶を飲んでいるプレアデスたちにも好評のようだ。余談だが、日本においての紅茶と他国においての紅茶の認識はかなり違う。というのも日本においては「嗜好品」としての認識が非常に強い。しかし紅茶が生活に組み込まれているスリランカ、インド、ロシア、中国などでは「栄養摂取」という側面が非常に強い。最もわかりやすい例としてはインドのチャイだろう、厳しい暑さに負けない体力をつけるためにさまざまなスパイスにミルクをたっぷりを加えた飲み方だ。こういった例があるため日本は他国と違った飲み方が広まっていたりする。特にここ最近は水出し紅茶が非常に人気がある、広がった反面には日本の優れたインフラが関係している事は間違いない。

 

「アストリアも羨ましいわ。アインズ様がここまでお喜び頂けるなんてシモベ冥利につきるでしょう」

 

立場はアストリアよりも上だがユリとナーベラルも尊敬と若干の嫉妬を持ちながら頷く。

 

「…でもそうなるとちょっと気になるわね、アストリアの喫茶店。ユリ姉さまはいった事ある?」

 

「無いわ、ソリュシャンは?」

 

「私も無いわ、せっかくだし今から行ってみない?アインズ様自ら施設の利用を奨励されていたのだし」

 

「そうね、今からなら時間も空いているし。ナーベラルも大丈夫?」

 

「ええ、大丈夫ですよ。ユリ姉さま、ソリュシャン」

 

「よし、では早速向かいましょう。楽しみね」

 

いつのまにか空になったグラスを戻しプレアデス達が立ち上がる。

 

 

ナザリック 第9階層 喫茶店前

 

チリンチリン

 

「お邪魔するわ」「失礼致します」「お邪魔します」

 

「いらっしゃいませ、ユリ・アルファ様、ナーベラル・ガンマ様、ソリュシャン・イプシロン様」

 

アストリアがプレアデスの3人を迎え入れる、ちょうど他には誰もおらずアストリアが静かにテーブルを拭いていた。丁寧なお辞儀をして挨拶をする、相変わらず立派なスタイルだと極上の美女であるユリ達ですら思わせる。本人たちはあまり美女という自覚を持っていないが。

 

「久しぶりね、アストリア。以前会ったのはアインズ様当番の時でしたか?」

 

「はい、ユリ・アルファ様。あ、茶会用の茶葉が準備出来ましたので今度お届けお渡しします」

 

「ありがとう、今回の茶葉は何かしら?」

 

「アッサムを中心にダージリンを加えたブレンドです。奥深さを感じながらもダージリンの爽快感を感じさせてくれる極上の一品です」

 

「それは楽しみ、ミルクとの相性が良さそうね。 ああ、アストリア「ユリ」でいいわよ?」

 

「ユリ姉さま、アストリアから茶葉を用意してもらっていたんですか。あ、私もナーベラルで良いですよ」

 

「私もソリュシャンで良いわ。他には誰にもいないようね」

 

「ありがとうございます、皆様。 ではユリ様、ナーベラル様、ソリュシャン様と……そうですね、この時間帯は比較的ご来店される方はいらっしゃいません」

 

そう言って奥の席に案内される。奥から2番目、渓流のせせらぎが涼しげで夏の暑さをやわらげてくれるような光景がよく見える席だった。ちなみに最奥の席は予約の札が置かれている、いうまでもなく(常に)アインズの優先席である。元々アインズも横入りをするような形は好まなかったがサラリーマン時代の時を思い出して素直に受け取る形にしていた。というのも自分が店で最も良い席に座っているところに上司が着たらそりゃ居辛いだろうと、思わず席を譲りたくなる心境になるだろうと、つまりはそういうことである。

 

とはいえ案内された席が劣るという事も無い、全ての席が一級品であり至高の41人の作品なのだ。妥協などあるはずが無い。

 

アストリアがテーブルへ案内し、メニューを渡す。現在も以前《(2話時)》と同じく夏向けになっている、ユリ達は今まであまり利用しなかった喫茶店のメニューを興味深そうに眺める。

 

「今は夏のメニューでしたか、涼しげなものが多くて良いですね」

 

「あ、ユリ姉さまレアチーズケーキがありますよ。ベリーのソースを加えたものね…紅茶は何があうかしら」

 

「私はタルトにするわ、いえせっかくだから紅茶を選んでから何の菓子にするか決めてもいいかもしれないわね」

 

ユリ・アルファは2人がメニューを眺めながら楽しそうに話す所を見て、お茶会は頻繁に行っていても喫茶店に行くという事はあまり無かったため新鮮に感じている。普段と違う場所で可愛い妹たちとの茶会は分かっていたが楽しい、休日を与えてくれたアインズ様にさらなる畏敬を捧げようと今一度決心していた。

 

 

全員メイド姿をしていて見分けにくいが、3人の客と1人の店員が話しているところへ新たな来客を知らせるベルが鳴り響く。

 

チリンリン

 

 

「おお、珍しいな。ユリ、ナーベラル、ソリュシャン 喫茶店にいるのを見かけるのは」

 

気さくに話しかけてきたのはナザリックの支配者、至高の御方の統括、魔導王、賢王と色々呼び方が増えているアインズ・ウール・ゴウンその人だった。

 

「これは!アインズ様、ご挨拶が遅れ申し訳ありません!」

 

緊張した顔でユリ・アルファが代表して謝意を伝えてくる。ユリ達はもちろん、アストリアにも過失は無いのだがそんな事は瑣末な問題である。絶対の支配者たるアインズを不快にさせたかそれだけが大事なのだ。ユリが声を発した瞬間、残りの3人も客、店員という立場ではなく主人と従者という形に一瞬で切り替わった。皆一様に跪き、忠誠心を露にする。どれだけの時間が立とうともアインズに失望されるのは最も恐ろしい事だからだろう。

 

「よい、気にするな。今は休日もしくは休憩中でだろう?それを咎めようとは毛頭思っていない。何せ言い出したのは私だからな」とアインズが苦笑しながら話す。緊張しっぱなしであった4人に少し穏やかな空気が流れ、アストリアが最奥の席へと案内する。

 

「ふむ、良かったらユリ、ナーベラル、ソリュシャンも一緒にどうだ?」

 

夢のような提案を至高の主から提案される。だが

 

「我々などが恐れ多い!至高の御方とご一緒させて頂けるなど分相応な褒美が過ぎます!」

 

 

 

アインズside

 

(まぁそうなるよね、何だか様式美のように思えてきた)

 

「二度言わせるな、私がお前たちと一緒に茶をしたいと思っただけだ。それとも私と茶をするのは嫌か?」

 

にやりと笑ったように見えた顔をしてアインズが茶化す。主人にそうまで言われては断るなど出来はしない、恐縮しながらも歓喜に満ち溢れた表情の戦闘メイド(プレアイデス)たち。至高の御方とシモベをもてなす事が出来るなど望外の喜びに浸る一般メイドが立場の違いからか一足先に正気に戻り主の意に沿い行動を始めていく。

 

そんな中、プレアデスの3人はまだ動揺を隠せない様子で落ち着かない様子を見せる

 

(守護者各員とコミュニケーションはある程度取れてきた、だがプレアデス達とは今一歩距離感を感じている。この状況が続いてしまっては表立って不満を言うことは無いだろうが今までの経験上劣等感などを感じよくない方向に考えが及んでしまうかもしれない)

 

転移してからそれなりの時間が立ち、シモベ達の思考の方向もある程度傾向は掴めてきているアインズだがデミウルゴスを始めとするシモベは考えが深いところまで読み解こうとし予想もつかない方向に飛んでしまう事がある。可能な限りその可能性を潰すためにも上位者として距離感を近づける事も必要と考えたのが今回ティータイムを誘った理由である。

 

アインズが跪いているプレアデス達へもう一度問いかける。

 

「そう畏まるな、私もこの喫茶店は最近気に入ってよく利用している。もちろんお前たちが利用する事は全く問題ない。しかしせっかくの縁を大事にしようじゃないか、最近ゆっくりとユリと話す機会も無かったしな?」

 

「そ、そのような!私にはもったいn「ユリ姉さんここはお言葉に甘えたら?」

 

ソリュシャンが言葉を被せてくる、アインズもここでソリュシャンが口を出すとは思っていなかった。

 

「ソリュシャン!そのような言い方は不敬よ!」

 

「何言ってるの……さっきアインズ様とお茶をした事羨ましがってたじゃない…、アインズ様の心配りを無碍にする方が不敬じゃないの?」

 

「……ッ!」

 

ユリが赤くなりながらソリュシャンを叱るが、心配りという言葉にハッとする。

 

「申し訳ありません、アインズ様のお優しさを理解出来ておりませんでした」

 

(あっ、これまた深読みパターンだな、空気で分かる。……まぁいいかユリも納得してくれたようだし)

 

 

「さぁ、そこまでだ我々がここに来たのは茶を楽しむためだろう?楽しもうじゃないか」

 

アインズがそう切り上げプレアデスに着席を促す。そのような不遜な……とユリが発言しようとしていたが先ほどの発言もあってか失礼致しますと素直に言いテーブルに着く。

 

「では今日も茶を楽しもうか。アストリア案内を頼む」

 

「畏まりました!」

 

いつのまにかメニューを持ってきたアストリアが案内を行う

 

「ふぅむ……ユリ達は何を選んだ?」

 

「はい、レアチーズケーキをブルーベリーソースで 紅茶はマリアージュのマルコポーロをミルクで頂こうかと」

 

「私はバニラのシフォンケーキと中国のキームンにしています」

 

「ワタクシはベリーのタルトを、セイロンのディンヴラで頂きます」

 

ユリ、ナーベラル、ソリュシャンがそれぞれ自分のチョイスを答えていく。

 

「ふむ……ミルクティーか、良いかもしれんな。よしアストリアミルクティーで何か頼む、菓子も適当にな」

 

「畏まりました!」

 

 

喫茶店が穏やかな空気に包まれる。お茶の時間とはこうでなくてはならない。お茶が来るしばしの時間、この時間もどのようなものが来るか楽しむ事が醍醐味だろう。しばらくの間、アインズはプレアデスの3人と歓談をするのだった……。




はい、まだお茶を飲んでいません。前振りが長いですね。

オバロもので何が大事かなぁって考えたら忠誠の表現と感じます。デミウルゴスとかイメージするとよく分かりますがナザリックの廊下歩くだけでこいつら歓喜しますからね。そこら辺を表現できないと舞台だけオバロの別物になってしまいそうで怖い。

次回はもう少し早く投稿できるように頑張ります(震え声

遅くなった理由はネトゲです、テイルズ○ィーバーのイソレットぐうかわ(殴

ただネトゲしながらアイディアもそれなりに浮かんでいますプラスこのキャラがアストリアのイメージにもなっています。いやぁ……最初のイメージ像からどんどん離れていってますね、ただ小説かいてる中で現段階では一番しっくりきてます、今後はイソレットのイメージで考えていきます。

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