ナザリックの喫茶店   作:アテュ

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どうも次話です。あんまり動きは無いですが個人的に好きな回になりました。そう紅茶めっちゃ飲んでるからね!


The Travels of Marco

「あぁ……思い付きであんなこと言わなきゃよかった……」

 

アインズはそう言いながらベッドでゴロゴロと現実逃避をしていた。

 

 先日NPCという重要な存在と接触をした。過去に転移したプレイヤーとともに来た存在のようで貴重な情報を有している可能性がある。だが友好的な様子から一転、こちらを挑発するような態度を取り一触即発の空気となってしまう。

 

「そのまま他の護衛のシモベで始末してしまえば良かった……か?まず間違いなくレベルは80以上、もしかしたらレベル100という事も十分にありえるが……セバスを前衛、中衛にバフデバフに優れたシモベを召還、後衛に俺がいればまず負けない」

 

 アインズのこの読みは当たっていた。ダージリンの街で出会ったドライアドのNPCはレベルこそそれなりに高かったが主として修めた技能が信仰系魔法術師(マジックキャスター)でもあったため99%アインズの勝利は揺るがなかっただろう。

 

 だがやはり怖いのは一発逆転のアイテムの存在だ。世界級アイテム、特に二十のように使い切りながらも絶大な効果を誇るアイテムがあればプレイヤーの1人や2人の戦力はいくらでも覆せる。他に怖いアイテムにカウンターがある、必ず発動というと倍率は低く大したダメージにはならないが5%の確率で大ダメージのようなものは一気に警戒レベルが引きあがる。

 

 ただその手のアイテムって敵が使うと事故が怖くてたまらないが自分で使うと相打ち覚悟くらいの時にしか使えないよなぁとふと昔を思い出してしまう。

 

「……ダメだな現実逃避し始めた」

 

 深いため息をつきながら自分の行動を振り返る。そもそも敵が敵対的なアクションをとっているのに近いしNPCとプレイヤーと区分で意識の外に行っていたが自分は一国の王という立場でもある、無礼な振る舞いをされたのであれば処罰をさせるのは全く問題ない。次からは処そう。

 

 しかし敵の戦力が未知数という事もあったが相手の態度が気になったことも確か。あれはそう……自棄になってるような……。

 

「そこまでは良かったんだけどな……普通に出された紅茶飲んで、ああこれ美味いなとか考えちゃいかんだろ……戦闘開始一歩前だぞ俺……」

 

 そして最終的にはお前を紅茶で感動させてやろうみたいな一言を放ち去る支配者である あ……精神安定化した……。一度退くというのは悪くない判断だ、しかし退き方が不味い。紅茶でどうにかなんのかよ……。

 

 

3度目の精神安定化が発生したところで部屋をノックする音が聞こえる。

 

「アインズ様、お時間になりました」

 

 本日のアインズ当番 リュミエールだ。

 

「分かった……」

 

 まぁ言っちゃったものはどうしようもないよなとようやく考えを切り替える。

 

 

 

 

「リュミエール、この後の予定は?」

 

「はい、2時間後にアルベド様、デミウルゴス様からの報告会がございます」

 

「……そうか」

 

 これから起こる憂鬱な会議に目を背けながら気分転換に紅茶でもと決めて自室に向かう。第九階層の廊下を歩きながら今日は何にしようかと想像を膨らませていたらインテリアの花瓶が目に付く。花の色は純白、気持ちがいいほど煌々と輝いて見える。

 

 これは今日はミルクティーだなと心の中で決め少し楽しみになる。自室に入るとアインズの部屋付きメイド――デクリメント――がお辞儀をして待機している。

 

「おはよう、デクリメント」

 

「おはようございます、アインズ様。お茶の用意は整っております」

 

 何でもうとは驚かない ここ最近は自室に来た際にまず紅茶を飲む事が習慣づいている。魔法があれば紅茶を淹れるのに適した状態でお湯もキープできるので恐らく一般メイドを中心にスムーズな連携がとれるようにしているのだろう。

 

「うむ……今日はミルクティで頼む。銘柄などはお前に任せよう」

 

部屋に緊張――と少しの気合が見え隠れした――空気が漂う。

 

 そもそもアインズの部屋付きメイドの役割は多岐に渡る。アインズ当番とは立場上被ることもあるがアインズの私室は部屋付きメイドに優先権が与えられる。特に多いのがお茶の用意だ、最近では部屋付きメイド日の前には特別講習をアストリア*1に願う者もいるという。

 

「畏まりました……アインズ様にふさわしい紅茶をご用意させて頂きます!」

 

「お、おおよろしく頼む」

 

 目が真っ赤に燃え上がっているように見える。以前リザードマンに拝謁する際にもデクリメントへ服のコーディネイトを頼んだがその時も非常にやる気に満ち溢れていた。そういえばあの時も純白の衣装だった。何かと今日は白、純白に縁があるなとほくそ笑む。

 

既に茶葉をいくつか選定していた様子のデクリメントはこちらに茶葉の入った缶を持ってくる。

 

 余談だが茶葉――紅茶――の缶は一般的には四角い。しかし日本などで好まれる緑茶は丸い缶が一般的だ。これは紅茶輸送の歴史に深く関わっており初期は中国で生産され遠くヨーロッパに運ばれた。その際に効率よく運ぶため四角い容器を使われたことが始まりだそうだ。フタの部分も丸くすることで衝撃や圧力に強くなるのだという。

 

「お待たせ致しました。本日アインズ様にご賞味頂きます紅茶は……中国産の茶葉に花の香りつけを行ったものです」

 

「何?」

 

 思わずアインズも何?と聞き直す、今までほとんどの者はアインズに出す紅茶にフレーバードティ*2をチョイスする事は非常に珍しい。もちろん全く飲まないわけではない、現にベルガモットという柑橘系の香料がついたアールグレイは非常に有名だ。アインズ自身もときおり愛飲している。

 

「申し訳ございません、何かご不快な点がありましたでしょうか……?」

 

 自分の声に反応してデクリメントが委縮した様子で聞き直す。傍でアシスタントをしているリュミエールも狼狽した様子を隠している。

 

「不快などではない、だがその茶葉を選んだ……そうお前のチョイスは非常に興味深い」

 

 これは間違いなくアインズの本音であり本心だ。シモベらは自身の心内を語る事は少ない。アインズを満足させる行動が最優先されると強く考えているからだ。そのためこういったそれぞれのNPCらしさが出る行動はとても気になる。

 

「ありがとうございます!」

 

 大きな声で返答するデクリメントには無邪気さが隠し切れない表情が伺えた。デクリメント自身も恐らく気づいてはいないだろうが至高の支配者たる存在に興味深いと言われて委縮、歓喜、狂喜そういった表情が見え隠れして変わっていく事は友人の子供たちを見ているようで実に微笑ましい。

 

「うむ、さぁデクリメント私に教えてくれないか。この紅茶をチョイスしたお前の考えを」

 

「はい!……ですがこのアイディアは私一人のものではございません。アストリアに特別講習をお願いしその際に思いついたアイディアです」

 

 なるほど、まさにさっき考えた特別講習を受けた者がデクリメントだったのだろう。

 

「構わない、お前のその正直さは美徳だぞデクリメント」

 

 繰り返し恐縮した様子でお辞儀を行うデクリメント、その隣でリュミエールが同僚の上首尾な結果に眼福だといった様子でほほ笑む。アインズ当番はシモベからすれば強大な支配者のすぐ傍で奉仕できる魅力的な立場だ。これはアインズも少し意外だったが更なるモチベーション向上にも繋がっていると情報を得た(ハムスケ情報)。何でも『支配者として君臨されるのを間近で見た後に茶の時間で畏れ多くもお話し頂けるなんてもうマジやばいっす~これがギャップ萌えっすね~あぎゃ!』……ルプスレギナが最後入っていたの何でだろうな……。

 

 ともあれちょっとした語らいが好評であるならば何より。あの時間は自分が何か話すというよりもシモベ達から話を聞くことが中心のため自分としても気が楽な事が多く気晴らしとしても配下の様子を探る意味でも悪くない時間だ。

 

「謙遜する必要は無い、確かにアストリアが持つ知識は素晴らしい。しかしそれも発信しなければただため込んでいるだけと変わらない。知恵の実は独占してこそ価値があるとはぷにっと萌えさんの言葉だったかな?ただそれも狭く捉えてしまっては有効ではない。ナザリックという組織の中で独占しながらもどう仲間たちへ発信を行うかが最も重要だ」

 

 ユグドラシルでも重要な情報は有名なプレイヤー、貴重なアイテム、流行りの武装などいろいろあったがやはり最重要は世界級アイテムだった。そもそもゲーム内で入手数が限られている事は珍しくないがあれほど入手法の情報にも制限がかかっているのも珍しい。どんな敵にも特徴や癖がありそこから情報共有がされていくものだが、ユグドラシルでは「倒す」だけならばそう難しくはない。しかしどう倒すかが重要なのだ。拠点であるナザリックがいい例だ、LV80以上、かつ適正レベルダンジョンを初見攻略すること等かなりの準備と足並みを揃えなければ行えないだろう。

 

「おっと邪魔をしてしまったな。デクリメントよ、茶の準備を続けて頼む」

 

「そのような、至高の御方のお一人であるぷにっと萌え様の御言葉。まさに金言を頂き感激しております……!」

 

 デクリメントが喜々とした様子を見せているのを見てアインズも懐かしい気分に浸る。

 

 思えばぷにっと萌えさんはいつも自分にアドバイスをしてくれていた。強力なPKがうろついていると噂の時、今から正に戦いが始まる時、ギルド戦後や貴重なアイテムを入手できた時、あらゆる場面でそのアドバイスは活かされてきた。戦いばかりではない、この世界に転移してからも大いに役立っている。ただの平社員だった自分が一国の王など出来るはずが無い。しかしアンデッドの精神沈静化、友人達の金言、それは正しく力になってくれている。

 

精神鎮静化しない程度の上機嫌に抑え、デクリメントの様子を伺う。

 

今回の茶葉は『フレーバードティ』

 

 アストリアから紅茶のレクチャーを受けアインズもそこそこ学んでいる。その際、紅茶に対し初心者はまず大別して二つに分けた方がわかりやすいという。即ちフレーバードティ――香りが着香されているもの――かそれ以外かだ。

 

 というのもティーテイスターという職業クラスを得ているアストリアは飲んだだけでどの紅茶を当てる事は可能だ。しかしアインズはとてもそんな事は不可能だ。せいぜい傾向を判別するくらいしかとても出来ない。それでも何度も飲んでいると あ、これはあの紅茶かなとふと閃く事はある。お気に入りの紅茶ならば尚更だ。

 

 最初に飲んだヌワラエリヤは印象深い、アイスティーでも美味かったディンブラは今では定番、ルフナのミルクティーにはミルクという概念を大きく変えさせられた。……そう考えるとブレンドの紅茶というものは案外種類が少ないし、ましてやフレーバードティはアールグレイくらいしか飲んだことが無いかもしれない。

 

 だがこうして考えてみると例のドライアドがダージリンのストレート以外を邪道と思い込んでいた時期があったことは不思議ではない。ダージリンを始め紅茶そのものに素晴らしいフレーバーを持つものがあるのだ。マスカットのような優しさと爽快感を思わすもの、メンソールのようなキリっとした香りのもの。実に多種多様、一口に紅茶と言っても正に千差万別。昔は同じように見えたが今ではそれぞれの違いを知るのも楽しみである事は間違いない。

 

 話が少し脱線してしまったが、要は今まで飲んだものはオーソドックスな紅茶らしい紅茶ばかりだった という事だ。女性などはフレーバーがついたものの方が好む傾向があるとも聞く。……そういえばぶくぶく茶釜さん達もフレーバードティの話題をしていたような気がする。何の花の香りだっただろうか……。

 とはいえアインズもフレーバードティを否定する気は全く無い。要はこれも使い分ければ良い話だ。普段仕事の時は少しキリッとした紅茶などを飲み、休憩などの時には甘いストロベリーやアプリコットの紅茶などを楽しめばいいといったようにだ。

 

 しかし、では今までフレーバードティを飲む機会が少なかったのか?答えは簡単だ、アインズに紅茶を提供する役割が最も多いアストリアがそういった傾向の紅茶を勧めることが少なかったためだ。これもまた機会があれば聞いてみればいいだろう、何かしらの考えがあるのだからそれを聞く事を楽しみにしておけばいい話だ。

 

 準備が整ったようでデクリメントがティーポットを持って歩いてくる。薄っすらと漂う香りは確かに花の香りだ、この身体になる前も花の香りなんてろくに嗅いだことなんてなかったのになと内心で笑う。

 

 さぁ色々と悩む事は多いがまずは紅茶だ。カップに注がれた紅茶の色合いは少し濃いめ、ポットから覗く茶葉はあまり大きくない。ストレートでも美味いがミルクティーにも使えるような大きさ。香りはますます強く感じ辺り一面を花で囲まれたような印象すら覚える。

 

「さて……」

 

 そっと一口。……!?香りとは裏腹にボディのある味わい、芯が通ってるとでもいうのだろうか。これは良い紅茶かもしれないなと一層期待が膨らむ。さらに一口含む。先ほどまでは外からのみだった香りが口に入った事で内側から鼻を抜けるようでこれも素晴らしい。

 

「……素晴らしい。良い香りだなと最初から感じてはいたが、それは口に含む事でより一層強くなった。まるでオーケストラのように体に響いてくるようだ」

 

「まさに!この紅茶の素晴らしい点は意外性に満ち溢れております。さすがはアインズ様、繊細な舌を持っていらっしゃいます!」

 

 デクリメントが興奮した様子で絶賛する。この賞賛はあながちただのお世辞というわけでもない、事実香りにすぐ気づける人というのは少ないものなのだ。アインズが自然に紅茶を楽しみ知ろうという行為の結果に他ならない。

 

「世辞は……と言いたいところだが、オーケストラというのは悪くない表現だったかもしれないな」

 

 なるほどこれがフレーバードティかなかなかどうして悪くない。確かにこれならば普通の紅茶――ここではダージリンやウバ等フレーバードティではないものをノンフレバードティと仮称する――ノンフレバードティとは違った魅力を実感する。先ほどの使い分けと自分では思っていたがこれほど華やかな紅茶ならば場もさぞや賑やかに彩ってくれるだろう。しかし……

 

「なるほど、確かに素晴らしい紅茶と言っても過言では無い。しかしデクリメント、私が望んだのはミルクティだ。ミルクを加えてしまってはせっかくの香りが台無しになってしまわないか?」

 

 このアインズの指摘は正しい。例えば先ほど例に出てきたアールグレイにミルクを加える加えない論争は絶えない、というのもアールグレイの良さとはベルガモット――柑橘系――の爽やかな香りであり柑橘系とミルクの相性はあまり良くない。そのためアールグレイの香りを大事にする人ほどミルクを加える事は邪道!と叫ぶ人がいる。好きに飲んで飲ませろよ……と思うところだがまぁもったいないと思わなくもない。

 

 リュミエールが心配そうな表情でデクリメントの様子を伺っている。なるほど同じ一般メイドでも年下の妹のように感じているNPCはいるんだなとふと思う。ギルド内ではあまりそういう事は無かった。ぶくぶく茶釜とペロロンチーノ、やまいことあけみ*3実際にいる姉弟と妹のように思っている事ではまた全く別物なのだろう。

 

 しかしリュミエールの心配とは裏腹に自信に溢れた表情を見せるデクリメント。

 

「はい、仰る通りでございます。しかしその上で申し上げます、()()()()()()()()()()()()()

 

 静寂が部屋に満ちる。現在部屋にいる者はアインズ、一般メイドのリュミエール、デクリメント。さらには護衛の八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)が数体。

 

……しばらくしてあ、これ俺が命令しなきゃいけないのねと気づく。どうにも締まらない間が出来てしまった。

 

「よかろう、デクリメント」

 

 アインズが深々と頷き促す。……何でこうミルクティーを飲むだけでこんなに緊張してされなきゃいけないんだ……。やはり今の現状はちょっと方向性がおかしくないかと改めて思う。

 

 そんな間に紅茶にミルクが注がれる。なるほど注がれた瞬間から確かに花の安らかな香りは弱まった。香りという点だけならば確かにデメリットだろう、しかし単なるデメリットを作るだけというのはいかにもな罠だ。ユグドラシル、いやシャルティア戦のPVPでも似たような事はあった。アンデッドの弱点である炎と聖属性の攻撃を誘導したようにだ。つまりこの状況は誘われているのだろう。

 

 なるほどなるほどこんな風な読みあいであればちょっと楽しい。もちろん同様のケースであればある程度は予想がつくが素直にひっかかってみるのもいいだろうと決めミルクティーに口をつける。

 

「……ほう」

 

 無意識に感嘆した声が出てしまった。なんとこれは凄い。本当にこれは紅茶なのか?俺は別の飲み物を出されてうっかり飲んでしまっていないかと思わず疑ってしまうところだった。もちろんそんな筈はない、先ほどまで飲んでいたものは間違いなく紅茶であり、それにミルクが注がれる瞬間をアインズはしっかりと見ていた。

 

「……何かを言う前に、デクリメント……は当然これを飲んだ事があるだろうが、リュミエールはどうだ?」

 

「いえ、ございません」

 

「そうか、ならば飲んでみるといい。いいだろう?デクリメント」

 

「はい、もちろんでございます。リュミエール」

 

 一度はリュミエールも固辞するが、二度目には言葉を受け入れ席へ静かに着く。実に美しい所作だ、……改めて思うが一般メイドは美人揃いである。いや他のシモベらも多くがそうだが……戦闘能力が無い分余計にその美しさが目立って見える。デクリメントがマニッシュのショートカットで活発そうなイメージがある元気系の可愛らしい子というイメージ。対してリュミエールはブロンドの長い髪が女性らしさを際立て、上部分の縁が無い赤い眼鏡が知的さをより印象付けている。

 

 身近に美人が多すぎて麻痺してきていないだろうか……と心配にもなるがまさかアンデッドに美人局を試みるチャレンジャーはいない……いないよな……?リボンのついたスケルトンとか来たらどうしよう……。……あ鎮静化。

 

 席に着いたリュミエールがデクリメントの給仕を受け、カップに手を伸ばす。

 

「……リュミエール、なかなか綺麗な手をしているな」

 

いやもちろんどのメイドの手も綺麗だと言われればそうなんだろうがこうまじまじと他人の手を見る事などあまりないため妙に目についてしまう。

 

「へえっ!?お、恐れ入ります」

 

 何やら部屋がざわざわとしている、何だろう。何かやらかしただろうか気のせいと思うことにしよううん。リュミエールの様子はすぐに普段通りになり、ようやくミルクティーに口をつける。

 

「これは……素晴らしいです、なんとまろやかで口当たりの良いミルクティーでしょうか。何より後味に優しさを感じます」

 

「うむ。あぁデクリメント、ストレートでも一杯淹れてやってくれ」

 

デクリメントが頷き、リュミエールがかすかに顔を動かし謝意を示す。

 

 

「……確かにこれはストレートを飲んだ後にミルクティを飲むと驚きます。主張されるものが全く違うように感じます」

 

「その通りだ。ミルクティにすると味に柔らかみが出来るものが多いが……。そうだな、これは紅茶でありながらココアのようなとろみとコク。包まれるような味わいだ」

 

「まさに、こちらの紅茶はアインズ様の慈悲深い御心、バニラを思わすような白の色合いはまさにイメージにぴったりかと!」

 

 慈悲深いかどうかはさておき確かに素晴らしい期待以上の紅茶であったことは間違いない、このような紅茶もあるのかと改めて唸らせてくれた。

 

「……ところで、この紅茶の名称は何かあるのかな?」

 

基本的にフレーバードティの名称は香りのものをシンプルに使われている。ストロベリー、バニラ、レモン、カシス、ピーチ等だ。しかし世界的に有名なアールグレイのように例外も存在する。

 

 

「はい、……東方見聞録でございます」

 

 

 

*1
第九階層で喫茶店を担当する一般メイド オリキャラ

*2
花や果実の香料をつけた紅茶

*3
別ギルドのやまいこの妹




お待たせしました。

この紅茶も現存する紅茶のブレンドをもとにしてます。まぁそれを言うのも野暮なので何となくわかるようにはしてます。何となくじゃねぇな割とストレート。

これを書くまでに4回くらいその紅茶を飲んでたんですがそればっかり飲んでもいけませんね。他の紅茶も飲んでみないと比較が上手くできませんでした。


あと、最近コーヒーももう一回勉強しなおすかとちょくちょく家で練習しています。以前に入れ方もやりましたがだめだこりゃとなって一回消しています。

色々詰め込みすぎた感があるのでまた何かしらテーマを絞ってやってみたいですね。

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