ナザリックの喫茶店   作:アテュ

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お待たせしました

まだ紅茶は飲んでいません。次の話では間違いなく飲むでしょう


最近デスティニーチャイルドってゲーム始めたんですがこのBar Replayに出てくるヘーベっていうキャラがもうね……もうね

チャイナ服風の衣装はとてもすきいつか自然に話に組み込みたいですね


紅茶を取り扱う者②

エ・ランテルの朝市にて希少な紅茶を手に入れられほくほく顔――骨ではあるが――のモモンはどのタイミングで飲んだものかと悩み始める、そういえばこんな春のような陽気の時に初めて飲んだ紅茶がヌワラエリアだったか。今日は戻ったらそちらと桜餅と合わせてもまた良いかもしれない。和菓子特有な餡の優しい甘味、桜葉の塩漬けからうっすら感じる塩気がアクセントになっていたそれを一口齧った後に優しさと爽快感のあるヌワラエリアの紅茶が絶妙に調和しお互いを引き立てさせている。

 

 

そういえばアストリアがダージリンという紅茶でも相性が良いと言っていた気もする。今日は戻ったら桜餅とヌワラエリア、2杯目にダージリンとやらを試してみようかと子供が夕食を楽しみにするかのような気持ちに笑みが浮かぶ。

 

 

(やっぱり紅茶を飲んでからストレス減ったような気がするなぁ、そんな特殊効果もないだろうけど。しっかり気分転換が出来ているんだろうか)

 

 

今まで自分の趣味は1にユグドラシル2にユグドラシルとDMMORPGをずっとやっていた事もありどうしてもユグドラシルの中で何をするかと程度の違いだった。ただ当然ながらゲーム中で実際に飲食はもちろん口が動く事もないためそういった食べて美味しいとい非常にシンプルな欲求は満たせずあくまでイベントに伴ってバフデバフ効果がある程度のものだった。

 

 

当然ではあるがあの淀んだ現実世界では紅茶といった嗜好品は高級品だ。モドキであれば手に入らないことはないがわざわざモドキを現実世界で飲もうという人は少なくそれこそ雰囲気を楽しむのであればゲーム中でも出来ていた。――かつての仲間、ぶくぶく茶釜さん、やまいこさん、さんも女子会といって集まっていた記憶がある。女子会ィ?と疑問めいた発言をしてぶっ飛ばされたのはペロロンチーノだったかるし☆ふぁーだったか悩むところだ。

 

 

 

過去と今日の予定を考えながら歩いていると朝に訪れた冒険者ギルドがまた見えてきた。そろそろこの時間であれば依頼も更新されているだろう。内容次第ではあるが少し遠出も出来る様になってきたところである、モモンがいる重要性もあるがあまりに集中し過ぎても違和感があるだろうあくまで自立を促す姿勢は対外的に見せていかねばなと気合を入れる。

 

 

ガランッと大きな音を上げ扉が開く、中で雑談、相談をしていた冒険者らの視線が集中する。受付まで進む間に新人からベテランの様々な冒険者に挨拶をされる。墓地でのアンデット騒動、強大な吸血鬼の討伐……希少な薬草の採取、単身でのギガントバジリスク討伐と功績を上げればまさに英雄といって差し支えない功績だ。魔導国と変化があってから去る冒険者もいたが今では近隣から短期的に拠点とする冒険者も少なくない。いかにアンデットがこの付近に浸透してきたかを示しているだろう。

 

 

挨拶を投げてきた者たちへ歩きながら軽く挨拶を返し、空いていた受付へ依頼の確認を行う、幸い朝と同じ者が対応してくれ話はスムーズに進んだ。

 

 

「おはようございますモモン様、再度ご確認に来て頂き申し訳ございません」

 

 

「構いませんよ、朝市で普段見れないものが見れ良い散歩になりました」

 

 

そう言いながら斡旋された依頼の説明を受ける。――指名依頼もあるが何やらパーティなどのお誘いのように見えるのもある、こういったものは別の依頼ではじいていく。直接断ってしまうと角が立ってしまうがあくまで依頼を受ける日程などの都合でという事であれば表面上角は立ちにくい、分かるものは分かるだろうが――

今ではモンスターの討伐以外にも調査目的のものが多い、かくゆうモモン……アインズ自身もドワーフとの交流の際にモモンが道中の一部を調査、案内したという体にしてさりげなく実績を作っている。

その影響か今回も近場ではトプの大森林の調査、ドワーフ国に近い地域の調査、他国のポーション状況についての調査といったように以前よりも多様な依頼が増えていた。中でもアインズが考える未知を発見するといった依頼が充実し始めていた。

 

 

自身が考える冒険者というあり方に少しずつ近づいていると改めて実感する、今日の依頼もそんな未知で有用なアイテムに繋がればいいんだがと説明を聞いていく。

 

 

そして……

 

 

「すいません、もう一度こちらの依頼について確認してもよろしいでしょうか」

 

 

「はい、もちろんです。ではモモン様こちらですが帝国のとある商店への代理交渉です。代理交渉とはいいますがまずは顔合わせに向け初回へのやり取りを冒険者が申し伝えるといった内容です内容によりますが銀級から募集される事が多いですね、こちらについては他国という関係上ミスリル級以上になっていますが……報酬はミスリル級相当になりますがよろしいのですか?」

こういった依頼で~級以上であれば受けられるという依頼をどこの報酬で合わせるかという点で揉める事がたびたびある。基本報酬と成果報酬によって決められる事もあれば最低限の級の分しかもらえない依頼もある。そういったこともあるためか高ランクの冒険者は現在の等級―それより一つ下程度のものを中心に受けることが多い。あまりに違う級の仕事ばかり受けるのは下位冒険者も良い顔はされないし上位冒険者らしいふるまいとはいえない。

 

 

しかしそれも冒険者の数による、実際のところミスリル級の冒険者とは大変に貴重な存在なのだ。銅、鉄、銀、金、白銀、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイト――8つの等級で分けられているが上位冒険者は非常に少ない、特にミスリル以上ともなれば多大な功績が必要だ。この付近では一番の都市である「エ・ランテル」でも2組しかミスリル級は存在しない、モモンという例外はあるがその3組の誰も受けないという事であればその依頼は取り下げるかより下位の冒険者に依頼をするほか無くなる。ややこしい内部ルールだなぁと思った記憶があるがある程度は下位の依頼を受ける事も黙認されているのも実情ではあるよく言えば臨機応変というやつだろう、悪く言えば空気読めやだろうが。

 

 

とはいえギルドの受付嬢へもう一度説明をと言ったところでほっとした様子を見せていた。――後で依頼を完了した後に聞いた話だがこの依頼は1,2度出されて誰も受けずに依頼し直したとの事だった。まぁ扱う商品がこれで代理ってなったら冒険者にはあまり縁がないと思う――。

 

 

「ではモモン様、こちらの依頼を受けられますか?」

 

 

「ええ、依頼内容は商品の代理交渉。主な取扱いとして嗜好品……特に緑茶、紅茶といった物も含んだ依頼ですね、頼みます」

 

 

いやにお茶の部分を強調するなと少し疑問に感じながらも営業スマイルを浮かべながら規定の流れに沿って処理を進めていく受付嬢。もう少し後の話だがこの依頼で大きく話題になるモモンが紅茶好きという噂……依頼を受ける様子の漆黒の英雄の様子はどうだったんだ?という話を何度もする羽目になる事をまだ彼女は知らないのだった……。

 

 

 

 

ーエ・ランテル とある商店ー

 

ノキは今回もダメかなと少し諦め気味のため息をつく。今まで2回冒険者組合へ依頼を出したが都合がつく冒険者がいなかった。話を聞いてもらえる事もあったが取り扱うものについて話すと自分には荷が勝ちすぎると言って断られることばかりだった。内容はとある商店への代理交渉、とはいっても話し合いをしたいと申し出をする段階であるためそう難しくもない依頼だ。だが取り扱うものが茶というのが悪いイメージになっているようだ。まだまだ帝国では鮮血帝の貴族粛清の印象が強く、どうしても貴族に関わるような依頼は面倒ごとに思われてしまうようだ。

 

今回の依頼もダメだったらどうしたものか……諦めて別の仕事でも探したほうがいいのだろうか。いやいや自分にそんな器用な真似は難しい、現状もずいぶん自分にしては上手くやってきたと自負できるくらいだ。

 

気が滅入る気分をほどほどに気持ちを入れ替えようと紅茶を淹れる事にする。嗜好品である紅茶はまだまだ庶民に近い飲み物というわけではないがとんでもないぜいたく品というわけでもない、酒と同じだ高級品を探せばきりがないがほどほどのものならほどほどの値段で手に入るものだ。小さな農家と繋がりもあるため茶葉の出来栄えについて相談されることもある。今飲んでいるのはそのおこぼれというわけだ。

 

 

沸いてきたお湯を陶器でできたカップとポットに注ぎ温める、自分の持ち物の中ではなかなかの一品と思う。

 

そう自慢げに思いながらお湯を戻し茶葉を入れる。

 

今日はどの茶葉にしようか、たまたまだがいくつかの種類の茶葉がある。……せっかくだ、朝市であった彼ーーアダマンタイト冒険者 漆黒のモモンに売ったものと同じものにしよう。

 

ふとした思い付きではあったが試しに飲んだ際にいたく気に入った覚えもある。

 

そうと決まれば茶葉をポットへ入れお湯を勢いよく注ぐ。

 

今日は……少し長めにして少しだけ砂糖を入れコクを出してみるか。

 

嗜好品の紅茶に希少な砂糖とは俺も偉くなったものだとくだらないことを考えながら準備をする。

 

勢いよく注いだ茶葉が上下に浮かびあがり下がっている。いけないいけない夢中になっては蒸らしが不十分になってしまう。

 

慌ててポットにふたをしてその間にテーブルを片付ける。

 

さあもうそろそろかなと思ったところでノックの音が聞こえる。

 

 

ーなんだなんだ、空気の読めない。この香りで分からんか、一休みしているんだぞと声には出さず愚痴を口に溜めつつどうやって早くお帰り願おうか考えながら扉を開く。

 

「はいはい、どちらさんかな?って、え?」

 

「お忙しい所失礼します、ノキさんで……あれ?」

 

あれって言ったよアダマンタイト級がとのん気な事を考えていたら漆黒の英雄ーーモモンが咳払いをして仕切りなおす。

 

「んんっ、失礼しました。私はアダマンタイト級冒険者チーム漆黒のモモンです。ノキさんで間違いないでしょうか?……先ほどぶりですね」

 

気さくに話しかけてきてくれるおかげで少しだけ自分も余裕ができた。おいおいこれはもしかしてもしかしてか?依頼の件か?そうだと言ってくれ。

 

「え、ええ。いかにも私がノキです、漆黒のモモンさんに覚えて頂けるとは光栄です」

 

動揺を隠しながらまずは相手の用件を確認だと思いなおす。

 

「かの漆黒のモモンさんがこんなところへどうされたんですか?もしかしてですが……依頼の件でしょうか?」

 

「察しが良くて助かります。早速ですが依頼の内容について確認をしたいのですが今よろしいでしょうか?」

 

「ええ、ええ!あのモモンさんに引き受けて頂けるとは……、家の入口で失礼しましたどうぞ中へ。ちょうど紅茶を淹れたところなんですよ」

 

「ほう?通りでいい香りがすると思いました。これは良いタイミングだったのかもしれないですね」

 

目の色が変わったような雰囲気を醸し出すモモンに少し驚く。また違った英雄像を見て意外に思いつつも決して不快な思いはしない、紅茶が好きなのかもしれないなと改めて感じ嬉しく思うノキは上機嫌に紅茶がセットされたテーブルへと案内するのだった。




今回出てきている紅茶は次回で詳しく紹介しますが実際に作者が飲んだものをベースに取り上げています。当たり前といえば当たり前ですが同じ産地でもいろいろ味は変わりますので厳密過ぎずに見て頂けると助かります

感想などもお待ちしております、こういったオーセンティックな紅茶だけでなく最近の紅茶関係の話でも振って頂けると嬉しいです。
午後の紅茶とかでもね、いろいろ話題になっていることがあるので

よろしくお願いします

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