異世界喰種   作:白い鴉

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少し時間がかかってしまいましたが、ようやく第五話目です。


第五話 魔剣

 翌日、キュルケは昼前に目覚めた。今日は授業の無い、虚無の曜日である。窓を眺めて、窓ガラスが入っていない事に気付いた。良く見てみると、周りが焼け焦げている。しばらくぼんやりと寝ぼけた気分でそれを眺めていたが、そこで昨晩の出来事を思い出した。

「そうだわ、色んな連中が顔を出すから、吹っ飛ばしたんだっけ」

 そして窓の事など全く気にせずに、起き上がると化粧を始めた。今日はどのように金木を口説こうかと考えるとウキウキしてくる。キュルケは生まれついての狩人なのだ。

 化粧を終えると、自分の部屋から出てルイズの部屋の扉をノックする。

 だが、ノックの返事はない。開けようとしたが鍵がかかっていた。

 キュルケは何のためらいもなく、ドアに『アンロック』の呪文をかけた。すると、ガチャリと鍵が開く音がした。本来ならば学院内で『アンロック』を唱える事は重大な校則違反なのだが、キュルケはまったく気にしていない。恋の情熱は全てのルールに優越する、というのがツェルプストー家の家訓なのだった。

 しかし、部屋はもぬけの殻である。二人共いない。

 キュルケはきょろきょろと部屋を見回した。

「相変わらず、色気のない部屋ね……」

 ルイズの鞄が無い。虚無の曜日なのに、鞄が無いという事はどこかに出かけたのだろうか。念のために窓から外を見回してみる。

 すると、門から馬に乗って出ていく二人の姿があった。よく目を凝らしてみると、それは金木とルイズだった。

「なによー、出かけるの?」

 キュルケはつまらなさそうに呟いた。

 それからちょっと考えて、ルイズの部屋を飛び出した。

 

 

 

 

 キュルケの友人であるタバサは寮の自分の部屋で、読書を楽しんでいた。青みがかかった髪と、ブルーの瞳を持つ彼女は、眼鏡の奥の目をキラキラと海のように輝かせて本の世界に没頭していた。

 タバサは年より四つも五つも若く見られる事が多い。身長は小柄なルイズより五センチも小さく、体も細かったからだ。しかし、本人はそんな事はまったく気にしていない。

 他人からどう見られるかというよりも、とにかく放っておいてほしいと考えるタイプの少女だった。

 タバサは虚無の曜日が好きだった。何故なら、自分の世界に好きなだけ浸っていられるからである。彼女にとっての他人は、自分の世界に対する無粋な闖入者である。数少ない例外に属する人間でも、よほどの場合でない限り鬱陶しく感じるのだった。

 その日も、どんどんと扉が激しく叩かれたのでタバサはとりあえず無視した。

 その内に、激しく叩かれ始めた。タバサは立ち上がらずに、面倒臭そうに小さな唇を動かしてルーンを呟き、机に立てかけてあった自分の身長より大きい杖を振った。

 『サイレント』という、風属性の魔法である。タバサは風属性の魔法を得意とするメイジだった。サイレントによって、彼女の集中を妨げるノックの音はすぐに消え去った。

 タバサはそれに満足し、再び本に向かう。その間、表情はぴくりとも変わらなかった。

 しかし、扉は勢いよく開かれた。タバサは闖入者に気付いたが、本から目を離さない。

 入ってきたのは、キュルケだった。彼女は大げさに何かを喚いたが、サイレントの呪文が効果を発揮しているため、声がタバサに届かない。

 するとキュルケはタバサの本を取り上げ、タバサの肩を掴んで自分に振り向かせた。タバサは無表情にキュルケの顔を見つめていたが、その顔からはいかなる表情も窺う事は出来ない。だが、歓迎していない事だけは確かだった。

 しかし、入ってきたのはキュルケだ。数少ないタバサの友人である。これが他の相手なら何のためらいもなく部屋から『ウィンド・ブレイク』でも使って吹き飛ばす所なのだが、キュルケは数少ない例外だった。

 仕方がないので、タバサはサイレントの魔法を解除した。

 いきなりスイッチを入れたオルゴールのように、キュルケの口から言葉が飛び出してくる。

「タバサ。今から出かけるわよ! 早く支度をしてちょうだい!」

 タバサは短くぼそっとした声で自分の都合を友人に述べた。

「虚無の曜日」

 それで十分であると言わんばかりに、タバサはキュルケの手から本を取り返そうとした。キュルケは高く本を掲げた。背の高いキュルケがそうするだけで、タバサの手は本に届かなくなる。

「分かってる。あなたにとって虚無の曜日がどんな日なのか、あたしは痛いほどよく知ってるわよ。でも、今はね、そんな事言ってられないの。恋なのよ! 恋!」

 それで分かるでしょ? と言わんばかりのキュルケの態度だが、タバサは首を振った。キュルケは感情で動くが、タバサは理屈で動く。どうにも対照的な二人である。そんな二人は、何故か仲が良かった。

「そうね。あなたは説明しないと動かないのよね。ああもう! あたしね、恋したの! でね? その人が今日、あのにっくいヴァリエールと出かけたの! あたしはそれを追って、二人がどこに行くのか突き止めなくちゃいけないの! 分かった?」

 ヴァリエールという単語に、タバサはぴくりと反応した。それからキュルケの目を見て、尋ねる。

「……その人というのは、彼女の使い魔?」

「ええ、そうよ」

 するとタバサは珍しく何か考え込んでいるかのように顎に手を当ててから、言った。

「分かった」

 するとキュルケは、自分の要望が通ったというのに思わずきょとんとした表情を浮かべた。いつもならもう少し渋るはずのタバサが、案外あっさりと了承したからだ。こんな事、今までほとんどと言って良いほど無かった。

「………」

 一方、タバサは頭の中でルイズの使い魔――――金木研の事を考えていた。

 正直言って、彼の事はこの前まで興味を持っていなかった。タバサの金木への印象が明らかに興味を持ったのは、この前のギーシュとの決闘の時だ。

 とは言っても、興味を引かれたのは金木の強さではない。確かに彼は強かったが、それ以上にタバサの興味を惹きつけるものがあった。

 それは、決闘の際に金木の目に現れた冷たさと鋭さだ。

 自分の二つ名である『雪風』以上ではないかと思わせるほどの冷たさに、見た者の心を斬り裂くような鋭さ。その二つが、あの時の金木の目には確かに現れていたのをタバサは見ていた。

 一体どういう経験をすれば、あんな氷の刃のような目になるのか。あの目を見た瞬間から、他人に滅多に興味を抱かないタバサは金木研という青年に強い興味を持っていた。

 なお、ある人物はタバサが金木の事を話すと、

『お姉様が男の人に興味を持ったのね! しかもお相手はシルフィにお肉をくれたあの優しいお兄様! シルフィ、すごく嬉しい! きゅいきゅい!』

 とはしゃいでいたが、うるさかったのでタバサに物理的に黙らされたのはまた別の話である。

 タバサは窓を開けて口笛を吹くと、窓枠によじ登り外に向かって飛び降りた。

 何も知らない人間が見たら、おかしくなったとしか思えない行為だが、キュルケはまったく動じない。そんな彼女も少しの間タバサの様子について考え込んでいたが、やがて考えるだけ無駄だと思ったのかタバサの後に続いて飛び降りた。ちなみに、タバサの部屋は五階にある。

 タバサは、外出の際はあまり扉を使わない。こっちの方が早いからだ。

 落下する二人をその理由が受け止めた。

 二人を受け止めたのは、昨日金木がシエスタからもらった肉をあげたウィンドドラゴンだった。

「いつ見てもあなたのシルフィードは惚れ惚れするわね」

 キュルケが突き出た背びれに掴まり、感嘆の声を上げる。

 タバサから風の妖精の名前を与えられた風竜は、寮塔に当たって上空に抜ける上昇気流を器用に捕えて、一瞬で二百メイルも空を駆け上った。

「どっち?」

 タバサが短くキュルケに尋ねる。

 するとキュルケは、あっと声にならない声を上げた。

「分かんない……。慌ててたから」

 タバサは別に文句をつけるでもなく、シルフィードに命じた。

「馬二頭。食べちゃだめ」

 シルフィードはきゅいと短く鳴いて了解の意を主人に伝えると、青い鱗を輝かせ、力強く翼を振り始めた。

 高空に上り、その視力で馬を見つけるのである。草原を走る馬を見つける事など、この風竜にとっては容易い事だった。

 自分の忠実な使い魔が仕事を開始した事を認めると、タバサはキュルケの手から本を取り返し、尖った風竜の背びれを背もたれにしてページをめくり始めた。

 

 

 

 トリステインの城下町を、金木とルイズは歩いていた。魔法学院からここまで乗ってきた馬は、街の門のそばにある駅に預けてある。

 町の中を歩きながら、金木は周りを見回していた。白い石造りの街はまるでテーマパークのようである。魔法学院に比べると、質素な身なりの人間が多かった。

 道端で声を張り上げたり、果物や肉、籠などを売る商人たちの姿が金木の目を楽しませる。こうした光景だけ見ていれば、まるで外国にいるかのような気分である。

 のんびり歩いたり、忙しなく歩いている人間がいたりと、老若男女取り混ぜて歩いている。その辺は元の世界とあまり変わらなかったが、道は狭い。

「狭いね……」

「狭いって、これでも大通りなんだけど」

「え、これでなの?」

 道幅は五メートルもない。そこを大勢の人が行き来するのだから、歩くのも一苦労である。

「ブルドンネ街。トリステインで一番大きな通りよ。この先にトリステインの宮殿があるわ」

「へえ」

 金木が相槌を打つと、ルイズが言った。

「そんな事より、あんた上着の中の財布は大丈夫でしょうね? この辺はスリが多いんだから……」

 ルイズは財布は下僕が持つものだ、と言って財布をそっくり金木に持たせているのだ。中にはぎっしりと金貨が詰まっているので、ずっしりと重い。

「うん、あるよ。でも、これぐらいの重さの財布を盗むのも大変だと思うけど」

「魔法を使われたら一発でしょ?」

 え? と金木は怪訝な表情を浮かべて、

「貴族がスリなんてするの?」

「貴族は全員がメイジだけど、メイジの全てが貴族ってわけじゃないわ。いろんな事情で、勘当されたり家を捨てたりした貴族の二男や三男坊なんかが、身をやつして傭兵になったり犯罪者になったりするのよ」

「そうなんだ……。でも、平民からメイジが生まれるって事は無いの?」

「無いわね。少なくとも私は一度も聞いた事が無いわ。そもそも魔法っていうのは始祖ブリミルから伝えられた奇跡の業よ。平民に使えるはずがないわ」

 そうなんだ、と言いながら金木この世界の魔法について考える。どうもこの世界の魔法は、自分がよく本で読んでいた魔法とは違って遺伝性のものらしい。だから、この世界では魔法が使えるという事は貴族である事と同義なのだろう。

(多分、それが原因で貴族の傲慢をさらに助長してるんだろうけど……)

 そんな事を思っていると、金木はある看板に目を付けた。

「あの壜の形をした看板は何?」

「酒場よ」

「あのバッテンの印は?」

「衛士の詰め所」

「じゃあ、あの本の形をした看板は……」

「本屋ね」

 本屋、という単語を聞いて金木の眉がぴくりと動いた。それから、恐る恐るとルイズに言う。

「……ルイズちゃん、悪いんだけど、ちょっと本屋に行って良い?」

「駄目」

 しかし、ルイズはきっぱりとそれだけ返した。

「わたし達は剣を買いに来たのよ。本を買いに来たんじゃないわ。それに、本なら学校の図書館にたくさんあるわよ」

「一回! 一回だけで良いから……」

 それでも金木が食い下がると、ルイズはしばらくうーんと悩んだような声を出した後に、渋々と頷いた。

「……分かったわよ。だけど、長居はしないわ。遅くなると嫌だし」

「うん。ありがとう」

 そう言うと、ルイズと金木は本屋の扉を開けて中に入った。

 さすが本屋というだけあって、たくさんの本が本棚に並んでいた。しかし背表紙に書かれているのはどれも金木の知識にない文字ばかりで、何が書いてあるのかさっぱり分からない。ルイズを入口の近くに待たせ、金木は書棚に並んでいる本の背表紙を見てみる。そして、背表紙の文字を見てため息をついた。

(……やっぱり、ここにもないか……)

 ここに自分が読める本が無いかと来てみたのだが、やはりここにも無いらしい。とは言っても大量の本がある学院の図書館に無かった本がこんな所にあるというのも、少しむしが良すぎる話ではあるが。

 そして、金木が諦めかけたその時だった。

「……あれ?」

 金木の目が、棚に並んでいる真新しい三冊の本に向けられた。その背表紙に書かれている文字は、明らかに他の本の文字とは形が違っている。金木は思わずその三冊の本を取り出して、本の表紙を見る。

「………!!」

 その三冊の表紙を見て、金木は思わず背筋が凍りつくのを感じた。

「何でだよ……! どうしてこの三冊が、この世界に……!?」

 三冊の本の表紙には、こんなタイトルが書かれていた。

 拝啓カフカ。

 虹のモノクロ。

 そして……黒山羊の卵。

 それは、間違いなく金木研が住んでいた世界に存在していた小説だった。

 中を開いて読んでみると、中に書かれていたのは間違いなく自分が長く慣れ親しんだ日本語だ。

 おまけに著者の欄には、自分が敬愛している作家『高槻(たかつき)(せん)』の文字がある。

 金木はその三冊を抱えてレジに向かうと、店主に聞いた。

「す、すいません! この本、どうしたんですか?」

 すると、眼鏡をかけた初老の店主はその本を見るなりああ、と声を上げて、

「その本は、つい最近貴族様が売りに来たものなんだよ。なんでも魔法の実験が失敗した時に、どこからか現れたらしい。だけど中の文字は誰にも読めないから、あまり高くは買えなかったんだけどね」

 やはり店主や売りに来た貴族にも、この文字は読めなかったらしい。それも当然だろう、と金木は思う。この文字は、自分の世界の文字なのだから。だが、何故この三冊が異世界であるここにあるのだろうか。

 色々と気になる事はあるが、とりあえずそれは後で考えるとしよう。金木はその三冊を持って、ルイズに尋ねた。

「ねえ、ルイズちゃん。この本を買っちゃ駄目かな?」

 その言葉にルイズは少し顔をしかめて、

「って言っても……。ねぇ、この本ってどれぐらいするの?」

「ああ。その三冊なら九ドニエで構わないですよ」

 ルイズが貴族と気付いたのか、店主から返ってきた丁寧な言葉が返ってきた。しかしルイズは店主の告げた値段に、思わず驚いて問い返す。

「そんなに安くて良いの?」

「うちとしては、読めない本を置いても仕方ないですからね。流石にただで売るってわけにもいかんが、それぐらいの値段なら構わないですよ」

 店主の言葉を聞いて、金木は財布を取り出してからルイズに尋ねる。

「ドニエってどれ?」

「銅貨よ」

 金木は中から銅貨を九枚取り出すと、店主に渡した。買い物を終えた二人が本屋を出ると、ルイズが金木に言う。

「あんたって本好きなの?」

「あ、うん。まぁね」

「ふーん。それより、どういう本なの? ちょっと貸しなさいよ」

「たぶん読めないと思うけど……」

 そう言ってから金木は虹のモノクロをルイズに手渡すと、ルイズは本を開いて読み始める。しかし一分も経たないうちに、眉をひそめると本を金木に返した。

「何よこれ、全然読めないじゃない。本当に本なの?」

「本だよ。書かれてる文字は僕の故郷の文字だけど」

「そうなんだ……。ねぇ、その三冊の本の著者って全部同じ文字に見えるけど、もしかして同じ著者?」

「うん。この人は高槻泉って言って……」

 二人が本の話題で盛り上がっている内に、ようやく二人は武器屋に辿り着いた。

 武器屋には剣の形をした看板が下がっており、見るからに武器屋だと分かりやすい外見をしていた。

 ルイズと金木は石段を上り、羽扉を開けて、店の中に入った。

 店の中は昼間だというのに薄暗く、ランプの灯りが灯っていた。壁や棚に、所狭しと剣や槍が乱雑に並べられ、立派な甲冑が飾られている。

 店の奥でパイプを咥えていた五十絡みの親父が、入ってきたルイズを胡散臭げに見つめた。紐タイ留めに描かれた五芒星に気付き、パイプを離してドスの利いた声を出す。

「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売をしてまさあ。お上に目をつけられるようなことなんか、これぽっちもありませんや」

「客よ」

 ルイズは腕を組んで告げた。

「こりゃおったまげた! 貴族が剣を! おったまげた!」

「どうして?」

「いえ、若奥様。坊主は聖具を振る。兵隊は剣を振る。貴族は杖を振る。そして陛下はバルコニーからお手をお振りになる、と相場は決まっておりますんで」

「使うのはわたしじゃないわ。使い魔よ」

「忘れておりました。昨今は貴族の使い魔も剣を振るようで」

 主人は商売っ気たっぷりに愛想を言った。それから金木をじろじろと見て、

「剣をお使いになるのは、このお方で?」

 ルイズは頷きながら、店主に言った。

「わたしは剣の事なんか分からないから、適当に選んでちょうだい」

 主人はいそいそと奥の倉庫に消えると、聞こえないように小声で呟いた。

「……こりゃ、鴨がネギしょってやってきたわい。せいぜい、高く売りつけるとしよう」

 彼は一メイルほどの長さの細身の剣を持って現れた。

 随分華奢な剣である。片手で扱うものらしく、短めの柄にハンドガードが付いている。主人は思い出すように言った。

「そういや、昨今は宮廷の貴族の方々の間で下僕に剣を持たすのが流行っておりましてね。その際にお選びになるのが、このようなレイピアでさあ」

 確かにきらびやかな模様がついており、貴族に似合いそうな綺麗な剣である。

「貴族の間で、下僕に剣を持たすのが流行ってるの?」

 ルイズが尋ねると、店主はもっともらしく頷いた。

「へえ、なんでも最近このトリステインの城下町を盗賊が荒らしておりまして……」

「盗賊?」

「そうでさ。なんでも『土くれ』のフーケとかいう、メイジの盗賊が貴族のお宝を盗みまくってるって噂で。貴族の方々は恐れて、下僕にまで剣を持たせる始末で。へえ」

 ルイズは盗賊には興味が無かったので、じろじろとレイピアを眺めた。しかし、すぐに折れてしまいそうなほどに細い。金木は確か、この前もっと大きな剣を軽々と振っていた。

 そして金木も、不安そうな表情で剣を眺めていた。この剣が、自分の怪力に果たして耐えられるかどうか心配なのだ。贅沢かもしれないが、できればもう少し大きめの剣が好ましい。

「もっと大きくて太いのが良いわ」

「お言葉ですが、剣と人には相性ってもんがございます。見た所、若奥様の使い魔とやらには、この程度が無難なようで」

「大きくて太いのが良い、と言ったのよ」

 ルイズが言うと、店主はぺこりと頭を下げて店の奥に消えた。その際に小さく「素人が!」と毒づくのを忘れない。

 今度は立派な剣を油布で拭きながら、主人は現れた。

「これなんかいかがです?」

 それは見るも見事な剣だった。一・五メイルはあろうかという大剣で、柄は両手で扱えるよう長く、立派な拵えである。ところどころに宝石が散りばめられ、鏡のように両刃の刀身が光っている。見るからに切れそうな、頑丈な大剣である。

「店一番の業物でさ。貴族のお供をさせるなら、このぐらいは腰から下げて欲しいものですな。と言っても、こいつを腰から下げるのは、よほどの大男でないと無理でさあ。やっこさんなら、背中にしょわんといかんですな」

 金木は近づいて、その剣を見つめた。それから店主の方に目を向けて尋ねる。

「すいません、これ少し振ってみても良いですか?」

「ええ。構いませんよ」

 店主の了解を得てから、金木は両手で持つための大剣を片手で軽々と持ち上げた。それにルイズと店主は目を丸くして驚くが、もう慣れっこの金木は軽く素振りをする。

「………」

 金木は剣を困ったような表情で見つめてから、店主を見つめて言った。

「あの……これ以外に大剣ってありますか?」

 その言葉には店主よりもルイズが驚いていた。彼女は奇妙な事を言いだした金木に、

「ちょ、ちょっと! 何言ってるのよ! 別に良いじゃないそれで! 店一番だって言ってたし!」

 店一番の所が強調されていたのは、ルイズが剣よりもその言葉を気に入っていたからだろう。貴族はとにかく、なんでも一番でないと気が済まないのである。一方、金木は変わらず困ったような表情を浮かべながら、

「だってこの剣、装飾がありすぎて邪魔だし……。それに上手く言えないけど、変だよこの剣。とてもじゃないけど、戦いには使えなさそうな気がする」

 そう言った瞬間だった。

「へぇ、人は見かけに寄らないって言うが、お前さんはその通りみたいだな」

 乱雑に積み上げられた剣の中から、低い男の声がした。ルイズと金木が目を向けるが、そこには積み上げられた剣しかない。

「その剣は買わない方が良いぜ。そいつはなまくらだ。大根一本切れやしねえよ」

「おいデル公! ふざけた事言ってんじゃねえ!」

「はっ、本当の事言って何が悪いってんだ!」

 店主が大声を出すと、先ほどの声が再び返ってきた。金木は声のする方に歩み寄るが、やはり人の姿は無い。

「やっぱり、誰もいないな……」

「おいおい、おめえの目は節穴か!」

 ようやく声の出所を特定し、金木は少し目を見開いた。なんと、声の主は一本の剣だったのだ。錆の浮いたボロボロの剣から、声が発されているのだ。

「け、剣が喋ってる?」

 金木は思わずその剣をまじまじと見つめた。先ほどの大剣と長さは変わらないが、刀身が細い、薄手の長剣である。ただ表面には錆が浮き、お世辞にも見栄えが良いとは言えない。

「それって、インテリジェンスソード?」

 金木に続いて、ルイズが当惑した声を上げた。

「そうでさ、若奥様。意志を持つ魔剣、インテリジェンスソードでさ。いったい、どこの魔術師が始めたんでしょうかねえ、剣を喋らせるなんて……。とにかくこいつはやたらと口は悪いわ、客に喧嘩は売るわで閉口してまして……。やいデル公! これ以上デタラメ抜かすんだったら、貴族に頼んでてめえを溶かしちまうからな!」

「おもしれぇ! やってみろ! どうせこの世にゃもう、飽き飽きしてたところさ! 溶かしてくれるんなら、上等だ!」

「やってやらあ!」

 主人が歩き出すと、金木がインテリジェンスソードを持って愛想笑いを浮かべた。

「まあまあ、勿体ないですよ。それに喋る剣って言うのも、珍しいですし」

 それから金木は、その剣に尋ねた。

「君は、デル公って言うの?」

「ちがわ! デルフリンガー様だ! 驚きやがれ!」

「名前だけは、一人前さ」

「僕は金木研、よろしくね。デルフリンガー」

 すると剣は何故か黙ってしまった。それはまるで、金木を観察しているかのようだった。

 しばらくして、剣は小さな声で喋り始めた。

「おでれーた。てめ、『使い手』か」

「使い手?」

「それに、相当な修羅場潜ってやがるな? とんでもねえ力が伝わってきやがる……。…………何だ? おめえ、人間じゃねーのか?」

「………っ!?」

 あっさりと自分の正体を見破られて、金木は自分の呼吸が停止するかと思うほど驚いた。しかし金木のそんな心の内など知らず、剣はさらに喋り続ける。

「いや、違うな……。正確には、人間の体に何かが混じってるような……。まぁそんな事は俺にはどうでも良い。それよりてめー、俺を買え」

 するとその言葉に、金木は思わずえっと声を出して、

「僕の事は、気にしないの?」

「おめえが何者だろうが、俺には関係ねえ。重要なのは、おめえが使い手だって事だ。良いからさっさと買え。じゃねえとおめえの正体を今すぐここでばらすぞ。見た所、娘っ子はお前さんの正体に気付いてないんだろ?」

「……分かったよ」

 自分の正体をばらされるのも嫌だし、喋る剣というのも興味深いので金木はこの剣を購入する事にした。すると剣は途端に普通の剣のように口を閉ざした。

「ルイズちゃん、僕この剣にするよ」

 金木が言うと、ルイズは嫌そうな声を上げた。

「えー。そんなのにするの? もっと綺麗で喋らないのにしなさいよ」

「べ、別に良いと思うけど。喋る剣って面白いと思うし、それに安そうだし」

「それもそうだけど……」

 ルイズはぶつくさと文句を言ったが、やがてため息をつきながら店主に尋ねる。

「あれおいくら?」

「あれなら、新金貨百で結構さ」

「結構安いわね」

「こっちにしてみりゃ、厄介払いみたいなもんでさ」

 主人は手をひらひらと振りながら言った。

 金木はポケットからルイズの財布を取り出し、中に入ってた金貨を全てカウンターに落とす。店主は慎重に枚数を確かめると、頷いた。

「毎度」

 それから剣を手に取り、鞘に収めると金木に手渡した。

「どうしても煩いと思ったら、こうやって鞘に入れとけば大人しくなりまさあ」

 金木は頷いて、デルフリンガーという剣を受け取った。

 剣を背中に担いで店を出て歩くと、ルイズは剣を背負った金木を見ながら言う。

「でもあんた、よくあんな剣を軽く振れるわよね。ギーシュのゴーレムも蹴り飛ばしちゃうし……。見た目は完璧にもやしって感じなのに」

「おいおい。相棒をもやしって呼ぶとは、娘っ子の目も随分節穴みてえだな」

「な、なんですってぇ!?」

 デルフリンガーから放たれた暴言に、ルイズは目を吊り上げて金木の背中の剣を睨み付けた。そんな二人の会話にあはは……と苦笑を浮かべながら、金木が背中のデルフリンガーに尋ねる。

「ねえデルフリンガー」

「デルフ、で構わねえぜ。相棒」

「じゃあデルフ。さっき君が言ってた、使い手って何?」

「忘れた」

 あまりに簡潔なその答えに、金木とルイズは思わずこけそうになった。

「わ、忘れたって……」

「仕方ねえだろ。もうだいぶ前の話だ。一つや二つ、忘れる事だってある」

 悪びれる事無く、デルフはそんな事を言った。金木はため息をつきながら小さく呟く。

「……買う剣間違えたかな」

「あら、じゃあ私がもっと良い剣を買ってあげる」

「良いよ、悪いし」

 突然背後から割り込んできた声に金木は思わずそう返したが、そこでぴたりと動きを止めた。今聞こえてきた声は、先ほどこの場にいなかったはずの人物のものだ。それにルイズも気付いたのか、彼女も自分の横で驚いた表情を浮かべている。金木とルイズは勢いよく後ろを振り返った。

「こんにちは、カネキ、ルイズ」

「……」

 するとそこには、ひらひらと笑顔を浮かべて手を振るキュルケと、じっと金木を見つめているタバサの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 ルイズと金木は、その後学院に戻る道中でキュルケから何故あの場所にいたのか理由を聞いた。

 何でも朝出かけて行くルイズと金木を見て、タバサに頼み込んで彼女の使い魔に乗り急いでブルドンネ街に向かったらしい。そして武器屋から出てきた金木とルイズを見つけて、二人に声をかけたというのだ。

「まったく、昨日も思ったけどあんなもやしのどこが良いのよ」

「あら、あたしが狙ってるって分かったらプレゼント攻撃で気を引こうとしたあなたに言われたくないわね」

「べ、別にプレゼントとかそういうのじゃないわよ! 使い魔の忠誠に応えるのが主人の義務だから……!」

「はいはい。そういう事にしておくわ。だけど、それにしたって、あんなボロボロの剣をプレゼントするのは主人としてどうなの? あなたは胸に加えてお財布の中身も『ゼロ』なのかしら」

「あいつが欲しいって言ったのよ! って、誰が胸もゼロなのよ! わたしの魔法で吹き飛ばすわよ!」

「できるものならやってみなさい」

 ルイズとキュルケは学院に戻ってくるなり、中庭で言い争いを始めてしまった。一方、金木はそんな二人を苦笑しながら見ていたが、やがて読んでいた本に視線を戻した。

 今読んでいる本は、黒山羊の卵だ。もうすでに読んだ本ではあるものの、たまに読んでみるとやはり本の世界に引き込まれる。それに加えてこっちの世界に来てからようやく日本語に巡りあえたので、懐かしい感じが胸にこみ上げてくる。

 金木が本を読んでいると、自分に誰かが近づいてくるのを感じた。

 顔を上げると、そこには青い髪に眼鏡をかけた少女が無表情で立っていた。確かキュルケの友人で、彼女からタバサと呼ばれていた少女である。彼女は感情が読み取れない瞳で金木を見ると、静かな声で尋ねた。

「好きなの?」

「え?」

「本」

 彼女の目は、金木が持っている本に向けられていた。金木は少し戸惑いながらも首を縦に振る。

「そう」

 するとタバサはそう言いながら、金木の横まで来て本を覗き込む。しかし次の瞬間、タバサは微妙に眉をひそめた。それは本当に些細な変化で、タバサの表情を良く知るキュルケか、間近で彼女の表情を見ている金木しか分からなかっただろう。彼女は本の文章を見たまま、呟いた。

「読めない」

 それに金木はああ、と言いながら、

「この文字、僕の故郷の文字なんだ。トリステインとは文体とか全然違うしね。読めなくても仕方ないよ」

 すると、タバサは続いてこんな事を尋ねた。

「この本、面白い?」

「え? うん、僕はすごく面白いと思ってるけど……」

 金木の感想を聞くと、タバサはしばらく宙を見つめたまま黙りこくってしまった。確証はないが、金木はタバサが何かを考え込んでいるように見えた。やがてタバサは金木に視線を戻すと、小さな唇を動かして言った。

「頼みたい事がある」

「何?」

「わたしに、あなたの故郷の文字を教えて欲しい」

 え? と金木は思わず困惑した表情を浮かべた。どうしてこの少女は、いきなりそんな事を言いだしたのだろう。金木の表情を見て察したのか、タバサがその理由を淡々と告げる。

「その本を読んでみたい。だけど、文字が分からない。だから教えて欲しい」

 どうやら、彼女も自分と同様かなりの活字中毒らしい。よく見てみれば彼女も本を持っているので、恐らく間違いないだろう。金木は快諾しようとしたが、ちょうどその時ある考えが頭に浮かんだので、その提案を口にした。

「条件があるけど、それでも良い?」

「構わない。何?」

「実は僕もここの文字が読めないんだ。最近召喚されたばかりだし、文字も全然違うし……。だから僕が君に故郷の文字を教える代わりに、君には僕にハルケギニアの文字を教えて欲しいんだ。それで良い?」

 そう言うと、タバサはこくりと頷いた。どうやらその条件で良いらしい。良かった、と金木は胸をなで下ろした。彼女からこの世界の文字を教えてもらえば、文字が読めないなどの問題は解決する。それなら仮にこの世界に長く滞在する事になったとしても、あまり大きな問題にはならないだろう。

 金木がそんな事を思っていると、タバサがすっと手を出してきた。

「わたしの名前は、タバサ」

「僕は金木研。よろしくね、タバサちゃん」

 そう言いながら、金木はタバサの小さな手を握った。

 一方、金木の手を握ったタバサは、金木の指のある異常に気付いた。

(爪が……赤黒い?)

 普通の人間ならば、大抵爪は薄い桃色である。しかし彼の爪の色は、赤黒い色をしていた。一体何をどうしたら、こんな色に変色するのだろうか。

 タバサがそう思っていると、

「カ~ネ~キ~?」

 やけに間延びした声に金木が思わず振り返ると、そこには目を吊り上げたルイズが立っていた。彼女はタバサと手を握ってる金木の姿を見ながら、

「あああああんた、なななにご主人様を放っておいて女と手なんて握ってるのよ? キュルケの次は、その子ってわけ? 折角剣まで買ってあげたのに、ご主人様は放っておいて種づけに夢中って事? まったく、手に負えない馬鹿犬ね」

 そう言ったルイズの声はかなり震えていた。どうやら、かなり頭に来ているらしい。  

 その一方で、彼女の後ろにいるキュルケは目を丸くしていた。一瞬ルイズのあまりの怒りに驚いているのかと思ったが、そうではないらしい。彼女から、こんな声が聞こえてきたからだ。

「……タバサが誰かと話してるなんて珍しいわね。あの子、あたし以外の人間とは滅多に話なんてしないのに」

 どうやら金木が今手を握っている少女は、予想以上に無口らしい。しかし今の金木にそんな事を気にしている余裕はない。彼は目の前のルイズを落ち着かせようと、引きつった笑みを浮かべながら、

「ま、待ってルイズちゃん。とりあえず落ち着こうよ、ね?」

「あああ安心しなさい。わたしは冷静よ。ここここのとおりね」

 全然冷静じゃない。これを見て冷静だと言える人間は、もう眼科に行った方が良い。金木が冷や汗をたらりと垂らすと、ルイズが杖を振り上げるが見えた。

 まずい、と思った金木は素早くタバサの手を振りほどき、横に転がった。それと同時に、本塔の壁が爆発した。金木が爆発した場所を見てみると、そこにはヒビが入っている。ヒビが入った壁を見て、ルイズが悔しそうな声を出した。

「どうやら、外しちゃったみたいね。でも、次は外さないわよ」

「僕を殺す気!?」

「うるっさい! 恩知らずな使い魔なんて、わたしが直々に粛正してあげるわ!」

 怒りの叫び声を上げながら、ルイズは再び杖を構えた。どうやら冗談抜きに自分を爆発させるつもりらしい。いくら自分の体が頑丈でも、あれほどの爆発が直撃したらひとたまりもないだろう。こうなったら、自分の身体能力を生かしてルイズの杖をどうにかするしかない。

 と、その時だった。

 金木が、ルイズとキュルケの背後を見て目を見開いていた。しかもいつもは無表情なタバサも、驚いたような表情で彼女達二人の背後を見ている。

 その表情が気になったルイズとキュルケが後ろを見てみると、自分達の目に映った光景に思わず二人は我が目を疑った。

「な、何よこれ!」

 キュルケは口を大きく開けた。土で構成されていたゴーレムが、四人に向かって歩いてきていたのだ。その肩には、黒ローブの人間が乗っている。

「きゃああああああっ!!」

 キュルケは悲鳴を上げて逃げ出した。金木は素早く状況を判断すると、そばにいたタバサを左腕で抱えてルイズの方に走り出す。ゴーレムを見て呆然とするルイズを右腕で抱えると、ゴーレムに背を向けて走り出した。いくら半喰種の力でも、あそこまで体格差があっては話にならない。今はこの場から撤退した方が良いだろう。

 金木が全速力で走っていると、タバサがどこかに向かって甲高い口笛を吹いた。すると上空から青い鱗のドラゴン、シルフィードが滑り込んできて、二人を抱えた金木をがっしり掴んで上空に舞い上がった。

「君は、あの時の………」

 金木がシルフィードを見てそう呟くと、シルフィードはきゅいと鳴き声を返した。シルフィードは、前に金木がシエスタにもらった骨付きの肉を上げたドラゴンだった。どうやら、タバサの使い魔だったらしい。

 眼下のゴーレムを見ながら、金木が言う。

「なんて大きさだ……。あれも、ゴーレムなの?」

「だと思うわ。だけどあんな大きなゴーレムを操れるなんて……。きっと作ったのは土のトライアングルクラスのメイジだわ」

 金木に抱えられながらルイズが答えた直後、ゴーレムはひびが入った壁に向かって拳を打ち下ろした。

 インパクトの瞬間、ゴーレムの拳が鉄に変えられ、壁に拳がめり込む。バカッと鈍い音がして、壁が崩れた。するとゴーレムの肩に乗っていた黒ローブの人間がゴーレムの腕を伝い、壁に空いた穴から中に入り込んだ。

 本当なら飛び降りてその人間を捕まえたかったが、生憎今はルイズとタバサを抱えている。この二人を危険にさらすような真似は、できればあまりしたくない。

 やがて黒ローブのメイジを肩に乗せて、ゴーレムは歩き出した。魔法学院の城壁を一跨ぎで乗り越えると、ずしんずしんと地響きを立てて草原を歩いて行く。

 そのゴーレムの上空を、シルフィードが旋回する。

 金木に抱えられながらタバサが身長より長い杖を振るうと、三人の体が足からシルフィードの背中に移動した。

 巨大なゴーレムを見下ろしながら、金木が尋ねる。

「壁を壊してたけど……、あそこには何があるの?」

「宝物庫」

 タバサが短く答えた直後、ルイズが続けた。

「あの黒ローブのメイジ、壁の穴から出てきた時に、箱みたいな物を持ってたわ」

「泥棒って事かな」

 草原の真ん中を歩いていた巨大なゴーレムは突然ぐしゃっと崩れ落ち、巨大な土の山になった。

 三人は地面に降りてみたが、月明かりに照らされた小山のように盛り上がった土山以外は、何もない。

 そして、肩に乗った黒ローブのメイジの姿も、どこかに消え失せてしまっていた。

 

 

 


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