第6章最終話です。次回から最終章に突入します。
「避けて!!!」
天津風(六田)が叫んだ直後、青葉(明人)のいた場所は爆発につつまれた。
「キャアアア!!!」
「うわぁ!!!」
作戦指揮車は爆風によって約100m先まで吹き飛んでしまった。
「・・・、被害を報告して・・・。」
天津風(六田)は所々が痛む体を我慢して動かし、自衛官に尋ねた。
「青葉、身体本体、艤装共に被害軽微。米海軍の「ベンフォールド」と「マッキャンベル」が盾になったそうです。」
「盾になった
「「マッキャンベル」が蒸発しました。「ベンフォールド」は現在沈没中です。」
「そう・・・。
明人、大丈夫?もう1発撃てる?俺が変わろうか?」
『大丈夫です。次も撃てます。』
「そう・・・。無理しないで・・・。」
『はい・・・。」
青葉(明人)は無線の先にいる天津風(六田)に向かって言い終わると、力を振り絞り、立ち上がりながら127mm単装速射砲を構えた。
『主砲照準確認良し、目標変わらず。』
『現在主砲命中率99%を維持!!!』
『目標までの海上に障害物無し!!!』
『発射準備完了まで後5秒!!!』
『4!!!』
『3!!!』
『2!!!』
『1!!!』
「ってぇぇぇぇぇぇえええ!!!」
青葉(明人)は叫びながらトリガーを引いた。主砲から装甲貫通弾が発射され、そのまま姫級に命中した。姫級は爆発し、少しずつ沈み始めた。
「徹底的にやれ!!!」
天津風(六田)の指示で「じんつう」(中破)「おおよど」(被害軽微)米海軍の駆逐艦の「シャイロー」(大破)「ステザム」(小破)の4隻、第5護衛隊群の8隻の計12隻から一斉にトマホーク改ニ乙が発射された。
「ガァァァァ!!!ニ・・・ニンゲンナンカニマケテタマルカァ!!!」
装甲貫通弾や、装甲が完全にやられたところにトマホーク改ニ乙が多数命中した姫級は最後まで負けを認めずに爆沈して行った。
「や、やった・・・。終った・・・。」
青葉(明人)はそう呟くように言いながら海面に倒れて行った・・・。
2019年3月31日19:02
‐最終防衛作戦並びに世界海洋大戦終結‐
約20年と3ヶ月続いた人類と人類を認めない大部分の深海棲艦との戦争、〝世界海洋大戦〟は終結した。人類と人類側の深海棲艦の勝利である。世界中はお祭りムードになっていたが、大甕鎮守府ではそうではなかった・・・。
〝日立市立大甕海洋病院〟ここは大甕鎮守府から目と鼻の先にあるこの病院だ。この病院は数えられないほどの艦娘の命を助けてきた名医がいた。この名医は「助からないなら大甕に行け」と言われるほどの名医だった。この名医は今まで執刀してきた全ての艦娘を助ける事が出来たのだ。
しかし、その名医が初めて首を横に振った要因を作った1人の艦娘がいた・・・。
重巡洋艦〝青葉〟
本名を・・・
終戦から1週間が経った今も彼女は病院のベッドの上で静かに眠っている・・・。