俺にだけ「手鏡」のアイテムが配布されなかったんだが   作:杉山杉崎杉田

32 / 36
32話 次回へ続く!

 

「バカアアアアアアアアア‼︎」

 

第一声でアスナの怒鳴り声が聞こえた。キーンとした、今、キーンとしましたよ。

 

「な、なんですか……」

 

「なんで団長とそんな約束するのよ‼︎勝てるわけないじゃないそんなの‼︎」

 

「す、すみません……。だって、なんでも言うこと聞いてくれるって言うもんですから、つい……」

 

「つい、じゃないわよ‼︎あーもうまったく……どうしてこうなるのかしら……!」

 

「大丈夫だと思いますよ」

 

「大丈夫じゃねぇよ‼︎」

 

エギルが大声で口を挟んで来た。

 

「な、何⁉︎」

 

「お前なぁ、それはつまり血盟騎士団Pのアイドルになるってことだぞ‼︎」

 

「…………あっ」

 

「ったく、これからどうするつもりなんだよ‼︎」

 

「ご、ごめんなさい……。で、でも、勝てばいいだけだから♪」

 

「じゃあ負けたらお前マジ責任取れよ」

 

「ええっ⁉︎」

 

「とりあえず、ヒースクリフに土下座してせめて今月一杯はおれがPでライブやることを懇願しろ。あとお前に金はいかないからな」

 

「それは流石に酷くないですか⁉︎」

 

「知らん。それくらいの覚悟で勝つ気でやれ」

 

「うう、ひどいですよぅ……」

 

まぁ、勝てば良いのか勝てば。まだ、幸い一週間あるわけだし、何とかなるかな。

 

 

早くも一週間が経過した。あたしとヒースクリフは闘技場の中心にいた。それまでにキリトに修行をつけてもらったり、一人でモンスターと修行したりしてた。

なんかその間、キリトとアスナが22層でAIがどうのなんだの言ってたけど、詳しく知らない。

 

「えーっと、で、これ何?」

 

あたしはヒースクリフに聞いた。なんであたしのコンサートと同じくらい人が集まってんの。

 

「それが、色々と話に尾ひれが付いてしまったようだな」

 

「だな、じゃなくて。これ負けたらいい笑い者じゃん」

 

「安心したまえ。勝てばそのまま人気者、負ければその弱々しい可愛さによってまた人気が出るだろう」

 

「おお……確かに」

 

「まぁ、後者しかないだろうがな」

 

「あたしは勝たなきゃダメなんです‼︎今月死にますから‼︎」

 

「………そうか、まぁ好きにしたまえ」

 

ヒースクリフとあたしは剣と盾を構えた。デュエル開始まで3秒前、あたしとヒースの頭上でカウントダウンが始まった。

2、1、0。

直後、あたしとヒースクリフはお互いに突きを放った。剣先と剣先がぶつかり合い、ヒースクリフは少し後ろに退がり、あたしは後ろにひっくり返りながらすっ飛ばされた。

その隙を逃さず、ヒースクリフはあたしを追いかけて来た。

ヒースにあたしは盾を投げた。その盾を剣で打ち払われた直後、ヒースクリフに向かって走り込み、打ち払った腕を踏み台にしてジャンプし、空中で回転しながら片手剣を振るった。それを盾でガードされる。

あたしが後ろに着地した直後、ヒースクリフは振り向き様に剣を振り下ろした。横に横転しながら回避し、途中で盾を拾った。

 

「やるな」

 

「どうも」

 

さて、どうしようか。反撃するには何か隙が欲しいものだ。神聖剣の熟練度は間違いなく向こうの方が上だ。なら、神聖剣同士では打ち合わない方がいい。

 

「ッ」

 

再び突撃した。神聖剣は基本、守り重視のカウンタースタイル。なら、カウンターを成功させたと思わせてこちらの陣に誘い込んだほうがいい。

あたしは剣を振り上げて、頭に向かって振り下ろした。それを盾で打ち上げてガードされる。ガラ空きになったあたしに突きを放った。

その突きがあたしに当たる前に、横から盾で殴ってガードする。ヒースクリフの崩れた肘にあたしは突きを放った。

咄嗟にヒースクリフは剣を逆手に持ってガードしたが、大きく崩れた。

攻めるならここしかない、そう思った直後、ヒースクリフの盾が迫って来た。咄嗟に盾でガードするが、身体は大きく跳ね飛ばされ、後ろに回転しながら着地した。あの盾、どうやら攻撃判定もあるらしい。

いや、問題はそこじゃない。崩したつもりが崩されていた。ヒースクリフはその隙を逃さずに詰めて来て、駆け寄った。盾は投げられない。同じ手が通じる相手ではない。

ヒースクリフからの猛攻が始まった。

 

「ヤバイ……!」

 

盾での突進、ここまで距離を詰められると、上に回避するのは無理だ。

横に身を翻してよけると、それを読んでいたように横から剣が飛んで来た。それを盾で受けながら抑えつけつつ、回転して躱すと、蹴りが飛んで来た。

それを膝でガードすると、後ろにバランスを崩して倒れた。そのあたしに容赦なく剣を突き刺して来た。

首を横に捻って避けて、横に横転しながら躱したが、そっちにさらに剣が突き刺さる。あたしの転がった後に剣がどんどんと刺さっていった。

そして、あたしが転がってる途中に上を向いた直後、剣が迫った。ここしかない、そう決めて、あたしも動き出した。

決着はついた。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。