俺にだけ「手鏡」のアイテムが配布されなかったんだが   作:杉山杉崎杉田

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勝手に武器作りました。


3話 友達ができた

 

そんなわけで、俺は早速キリトに剣技を教わることになった。で、キリトの説明なわけだが、

 

「基本的にはイメージだ。自分の頭の中でアクロバティックなモーションを……」

 

「無理して難しい言葉使わなくていいですよ?」

 

微笑みながら言ってやった。すると、顔を赤くして俯くキリト。ああ、女子高生が男を可愛いと言う気持ちが少し分かった気がする。

 

「と、とにかく、こう、自分の体をどう動かしたいかイメージするんだ」

 

「イメージ……イメージ……」

 

「さっきだって体を動かせてただろ?それと同じ感じだよ」

 

説明が終わったタイミングで、ちょうと猪が現れた。イメージ、イメージか……。剣のイメージ……。剣……ん?ブリーチ?

 

「月牙天衝!」

 

斬撃を放つ勢いで剣を思いっきり振り下ろした。それが猪の脳天に直撃した。

 

「そうそう、そんな感じ?」

 

何故疑問系とは思ったが、褒めてくれたので流す事にした。で、その後も修行は続き、やがて俺1人でも戦えるようになってきた。気が付けば夕方になっていた。

 

「ふぅ、こんなものでいいか?」

 

「はい……わざわざすいません。あたしのために……」

 

「いや、いいよ。ここで見捨てて死なれると、俺も気分悪いからな」

 

素敵スマイル全開のキリト。今気付いたけど、こいつ中々のイケメンだ。いや別に俺が惚れる展開とかないけどね?

 

「じゃあ、俺は行くから」

 

「は、はい。また、会えたらよろしくね」

 

「ああ、会えたらな」

 

そのままキリトは何処かへ行ってしまった。さて、俺はとりあえずもう少しレベリングでもしてるか。飽きるまで猪狩りしてよう。

 

 

まぁ、アレだ。このゲームおもしれぇな。普通に楽しい。人が死ぬなんてリスクがなければガチで楽しいと思う。いや、むしろその緊張感がたまらない。

不謹慎かもしれないけど、俺は少なくともそう思った。そんな事を考えながら進んでいると、1日で次の街まで来てしまった。キリトには追い付いていないが、まぁ別にあいつと会うことはもうないだろうし、別に会いたいとも思ってない。

 

「さて、今日はもう休むか」

 

そう呟くと、どっかの宿屋に入った。

 

 

腹減ったな……。モンスターフルボッコにしたから金はたくさんあるし、どっかの店でなんか食うか。高級ステーキとかないかなー。

あるわけないよねー。だって一層だもの。

 

「……その辺でパンでもテキトーに買うか」

 

そう呟いて、パンを買いに行った。その辺に売っていたパンを買って、ベンチに座って噛む。……硬え。何これ。パンはもっとこう……モチモチしてないとパンじゃねぇだろ。

まぁ、ゲームに食べ物の味を求める方が間違ってる……のか?茅場の野郎、どうせ閉じ込めるなら飯くらいもっとマトモにしてくれよ。

 

「もっと、こう……クリームとか欲しいな……」

 

そんな事を思いつつも宿屋に帰り、パンを貪った。ベッドにボスッと寝転がって、今更になって黙り込んだ。リアルのことを思い出していたからだ。

………肉が食いたい。そう切に思った。

 

 

そんなこんなで、2ヶ月が経った。俺はといえば相変わらずソロで頑張ってる。可愛いからパーティに何度か誘われたが、バレる可能性があるので全部断った。

だが、1人だけパーティ(?)みたいな感じで組んでる奴がいる。

 

「今日は私の勝ちね。さ、パン買ってきて」

 

「はぁ……昨日はボロ勝ちしたのになぁ……」

 

アスナ、という名前のプレイヤーだ。出会ったのは1ヶ月前、珍しい女の攻略組のプレイヤーということで気に入られたようだ。1ヶ月間、性別が全くバレないとかある意味才能あるよな俺。将来はスパイにもなれそう。

ちなみに今は、1時間の間にモンスターをどれだけ稼げるかを競うゲームをしていた。勝敗はほとんど五分五分。

俺の使ってる武器は「ナギナタ」という槍。刀があればそれを使いたいのだが、ない物は仕方ない。代わりにこっちを使うまでだ。

で、アスナに言われるがままパンを買いに行って、ついでに《鼠》と呼ばれる情報屋の攻略本を貰って、アスナの待つ森の中に入って行った。

 

「お待たせ〜」

 

いつものアイドルスマイル全開で言いながら戻ると、何やら険悪な空気が流れていたので、サッと木の陰に身を隠した。

そーっと気付かれないように覗くと、俺はおもわずビビった。アスナの前に、何故かキリトが立っていたのだ。

 

 


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