東方想強録   作:black cat☆

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全ての始まり

「あ……あぁ………」

 

少年は、声と言えるのか分からない声が発せられた。しかし、その声は誰も反応しなかった。

夜になってており、不思議と周りが見えた。周りは血の海と化し、無残にも四肢が引きちぎられてる死体が無数にある。

 

「母……さん……親……父………」

 

今度はしっかりと発せれたが、やはり誰も反応しなかった。

そして、ウロウロと辺りをおぼつかない足取りで歩いていく。

すると、ある死体の所で足は止まる。

 

「ひ……な………」

 

姫凪と呼ばれた姫凪だった死体はピクリとも動かない。

 

「そんな……嘘だ……」

 

全てを否定するかのように首を振る。しかし、目の前の惨事は消えない。

 

「誰かいたぞ!!」

 

そんな時、誰かがここにきた。懐中電灯を点けて、一人の成人男性が走ってくる。

 

「君、大丈夫……」

 

少年の前に来た、男性は目の前の惨事を見て言葉を詰まらせる。

 

「……もう」

「え?」

 

少年は、消え入りそうな声で喋った。

 

「もう、みんな死んじゃった」

 

それから、少年の周りは激変した。

 

今まで友達だった子らも、少年を忌み嫌い、少年から遠ざかる。

誰もかれもが少年を見捨てた。

少年の心に闇を残して。

 

それから、数年が経ち、少年は周りから、忌み嫌わていた。

少年は大学に入り、誰も少年、いや、彼に接触しようとは思っていない。

一人、大学のテラスで講義の復習をしている。

すると、そんな彼に話し掛ける一人の女性がいた。

 

「お隣、いいですか?」

「………」

 

しかし、彼は彼女の言葉を真に受けず、ただ自分がしている作業に没頭していた。

 

「あの〜……?」

「………」

 

彼女はそれにめげずに話し掛けるが、彼の反応は変わらなかった。

 

「……あの!!」

 

意を決して彼女は彼に大声で話し掛けた。

 

「うわっ!?」

 

彼は驚き、そのまま椅子ごと後ろに転ぶ。

 

「いだっ!!」

「す、すみません!!」

「いてて……大丈夫だ。それよりも集中してる時に話しかけるな。今みたいに驚く」

「すみません……」

 

彼はすぐに立ち上がり、彼女に注意をする。

しかし、注意をした直後、彼は気付いた。

周りが彼を『変な目』で見ていることに。

 

「……大丈夫だ。それと、今後一切話し掛けてくるな」

 

彼はそう言ってすぐさまその場を去った。

 

「……神凪先輩……」

 

彼女はポツリと彼の苗字を呟き、その場を後にした。

彼はテラスから早歩きで去り、自宅に向かった。

自宅に入り、彼はへたり込む。

 

「はぁ〜………もう、嫌だな……」

 

溜めていた息をはきながらそう呟いた。

 

(もう、周りから変な目で見られるのは御免だ………どこかに行きたい………!!)

 

彼はそう『強く想い』、自分のベッドに入った。

 

数時間後、彼は僅かながら違和感を感じ取った。

すぐさま起き上がり、周りを見る。

そこには、木々が生い茂った森の中だった……

 

これがとある異変の幕開けとは誰も知らない……


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