「あ……あぁ………」
少年は、声と言えるのか分からない声が発せられた。しかし、その声は誰も反応しなかった。
夜になってており、不思議と周りが見えた。周りは血の海と化し、無残にも四肢が引きちぎられてる死体が無数にある。
「母……さん……親……父………」
今度はしっかりと発せれたが、やはり誰も反応しなかった。
そして、ウロウロと辺りをおぼつかない足取りで歩いていく。
すると、ある死体の所で足は止まる。
「ひ……な………」
姫凪と呼ばれた姫凪だった死体はピクリとも動かない。
「そんな……嘘だ……」
全てを否定するかのように首を振る。しかし、目の前の惨事は消えない。
「誰かいたぞ!!」
そんな時、誰かがここにきた。懐中電灯を点けて、一人の成人男性が走ってくる。
「君、大丈夫……」
少年の前に来た、男性は目の前の惨事を見て言葉を詰まらせる。
「……もう」
「え?」
少年は、消え入りそうな声で喋った。
「もう、みんな死んじゃった」
それから、少年の周りは激変した。
今まで友達だった子らも、少年を忌み嫌い、少年から遠ざかる。
誰もかれもが少年を見捨てた。
少年の心に闇を残して。
それから、数年が経ち、少年は周りから、忌み嫌わていた。
少年は大学に入り、誰も少年、いや、彼に接触しようとは思っていない。
一人、大学のテラスで講義の復習をしている。
すると、そんな彼に話し掛ける一人の女性がいた。
「お隣、いいですか?」
「………」
しかし、彼は彼女の言葉を真に受けず、ただ自分がしている作業に没頭していた。
「あの〜……?」
「………」
彼女はそれにめげずに話し掛けるが、彼の反応は変わらなかった。
「……あの!!」
意を決して彼女は彼に大声で話し掛けた。
「うわっ!?」
彼は驚き、そのまま椅子ごと後ろに転ぶ。
「いだっ!!」
「す、すみません!!」
「いてて……大丈夫だ。それよりも集中してる時に話しかけるな。今みたいに驚く」
「すみません……」
彼はすぐに立ち上がり、彼女に注意をする。
しかし、注意をした直後、彼は気付いた。
周りが彼を『変な目』で見ていることに。
「……大丈夫だ。それと、今後一切話し掛けてくるな」
彼はそう言ってすぐさまその場を去った。
「……神凪先輩……」
彼女はポツリと彼の苗字を呟き、その場を後にした。
彼はテラスから早歩きで去り、自宅に向かった。
自宅に入り、彼はへたり込む。
「はぁ〜………もう、嫌だな……」
溜めていた息をはきながらそう呟いた。
(もう、周りから変な目で見られるのは御免だ………どこかに行きたい………!!)
彼はそう『強く想い』、自分のベッドに入った。
数時間後、彼は僅かながら違和感を感じ取った。
すぐさま起き上がり、周りを見る。
そこには、木々が生い茂った森の中だった……
これがとある異変の幕開けとは誰も知らない……