ポケットモンスターXY バロンの旅   作:バロン

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ポケットモンスターXY バロンの旅 八十八話

八十八話

 

『ボス!森に侵入者が現れました!今、迎撃部隊が向かっています!』

 

なんだと?

この森に侵入する者がいるとはな。

 

『排除するぞ!マスターがいる今、無様な所は見せられん!徹底的に排除しろ!俺も直ぐに行く!モード神速』

 

ピカチュウの周りから電気が迸り、周りが揺れている。

 

『お前達はセレナとマスターを守れ』

 

ボスはそう言うと超高速で森の入り口に向かった。その時、残像と言うか・・・もう光線みたいな光りの線になっていた。ボス、流石っす!

 

 

 

「森が騒がしいけど何かあったのかな?」

 

私は今だに魚が釣れないまま森の方に注意を向けた。

 

『何でしょうね?問題事かな?』

 

その時、森の一角から私達の方へ来るギャロップが来た。

 

「何かあったの?」

『はい!この森に侵入者が入りまして、セレナ様はボスゴドラ様に護衛させますので安全な所に案内します!』

 

そう言い私を背中に乗せて森の中に走り出した!

 

「ちょっと待って!私も戦うよ!侵入者なんでしょ?」

『ボスからの命令ですから安全な所に送ります。それからは好きにしてください』

 

ああ。ギャロップも根は良い子なんだね。ボスの言う事聞かないといけないけど私のためにも動いてくれる。

 

「分かったわ。私を安全な所に送ってちょうだい。その後、作戦会議したいの」

『作戦会議ですか?』

 

ギャロップは走りながらそう言い、こちらを少し見た。

 

「ええ。一応作戦はあった方が良いでしょ?」

『そうですね。では飛ばしますのでしっかり掴まっていてください!』

 

そう言うと直ぐにスピード一気に上げ、安全エリアまで疾走した!

 

 

 

 

 

 

 

ここの森には強いポケモン共がいるな。試しにこいつらから強制支配を試みてみるか。

 

『ブレイン様。森から大量のポケモン共が来てます。排除しますか?』

「いや。ここで実験する。強制支配の実験をな・・・」

 

俺は鞄から機械を取り出し、木に設置し始めた。

 

『戦闘は俺様に任せな!全員蹴散らしてやるぜ!』

『あんたは・・・ブレイン様の話を聞いていたの?』

 

エルレイドは首を傾げた。

ああ。やっぱり戦闘馬鹿は考えのが嫌いなのね。

 

「少し位なら蹴散らしても構わん。少し残してくれればいいさ」

 

俺はそう言い、設置した機械の電源を入れた。

この機械がポケモンを強制支配するのだ。

頭に特殊な電波を出し、それで支配する。簡単なトリックだが、ポケモンには有効だぜ。

 

『ん?こちらに超高速で迫って来る反応あり!この速度、異常です!』

 

向こうから木々が飛んでデカい土埃が起こしながこちらに向かってきている!

この速度なら後5秒で到着よ・・・

 

「この数値・・・異常な程の強さを持っているぞ。神のポケモンか?」

『ブレイン様?』

 

ブレイン様の様子がおかしい。もしかして相手は伝説ポケモンだって言うの?この地に?

 

考え事をしていたら目の前の木が飛んでいき、私達の前でその正体を現した。

 

『お前達が侵入者か。直ちにこの森から去れ!さもなくば・・・』

「ほお。白いピカチュウとは珍しいじゃねぇか。強制支配させてやるぜ!」

 

ブレインはそう言い機会の電波を強くした。

内心思ったのだが、神では無く色違いのピカチュウだったのは予想外だった。

 

『ぐっ!?なんだ?この頭に流れ込んでくるのは?』

 

ピカチュウは手で頭を抱え込み蹲った。

 

『お前の仕業か!』

 

ピカチュウはブレイン様を睨んだ。

許せない・・・ブレイン様を睨むなんて許せない!

 

『調子に乗るなチビが!』

 

エルレイドが思いっきり蹴っ飛ばし、何回転かして地面に転がっていった。

ピカチュウはそれでもブレインを睨んだ。

 

『調子になるなピカチュウ!サイコキネシス!』

 

私はサイコキネシスを使い体の自由を封じ、空中に浮かばせてから地面に何回も叩き付けた。

 

その時、こいつほどでも無いが速い速度でこちらに向かってくる気配を感じた。

エルレイドに向かって貰えれば大丈夫ね。

 

『ブレイン様。あちらの方角に接近する大群を感知しました。エルレイドに行って貰いますか?』

「そうだな。この睨んでくるピカチュウを我が下僕とするまでの時間稼ぎにはなるよな?」

『時間稼ぎじゃなく、全員ぶっ倒せだろ?ブレイン様』

「そうだな。頼んだぞ」

『おう!』

 

丁度その時、雨が降り出してきた。急に降り出したわね。

エルレイドは大群の方へと走っていった。

私はこの生意気な奴をいたぶり、速くブレイン様の下僕にしなくちゃね・・・

 

『調子になるなよ人間!』

 

ピカチュウがそう言うと、雨雲から雷がピカチュウに向け落ちた!

目の前で雷が落ちた衝撃波で私とブレイン様が吹き飛ばされた!

飛ばされた時、ピカチュウの方を見ると雷を吸収し雷を取り込んだ!

 

『雷電モード・・・容赦しないからな?雷パンチ』

 

ピカチュウはそう言うとまだ衝撃波で飛んでいる私に瞬時に近づき、腹に思いっきり殴ってきた!

 

『グハッ!』

「サーナイト!」

『まだだ・・』

 

殴られた勢いで思い切り地面に叩き付けられた後、ピカチュウの尻尾が黄色く輝くのが見えた。

 

『雷撃テール!』

 

高濃縮された雷が尻尾の叩き付けられ私は戦闘不能になった。

次にブレインに狙いを定め、電気をチャージし始めた。

 

ポケモンの大群の方に向かっている途中、サーナイトの意識が途絶えたので確認の為に俺は引き返した。

その時、ピカチュウがブレイン様を狙っているのを見付けた!

 

『何をしてやがる!』

 

俺は爆裂パンチをピカチュウの顔面に思い切り殴りつけ、ぶっ飛ばした!

ピカチュウは地面に転がり、何回転かしてから止まった。

ブレインは直ぐにサーナイトの元へ行き【元気の塊】を飲ませた。

 

※元気の塊※

ポケモンを瀕死状態から完全に回復させる道具。

 

サーナイトは全回復し、目を開けた。

 

「大丈夫かサーナイト!」

『ブレイン様?』

『サーナイト!?無事だな?』

 

ブレイン様にエルレイド?

私はいったい?そうかピカチュウにやられて・・・

私は直ぐに起き上がり、周囲を見た。そこには怒りに満ちたピカチュウがこちらを見ていた・・・

私の心が『逃げろ』と連呼している。

ブレイン様を見るとピカチュウを憎らしげに見ている。

エルレイドはピカチュウに怒りを向けている。

 

『良くもサーナイト姉様を!』

「よせ!エルレイド!!」

 

ブレイン様が直ぐに手を伸ばし、エルレイドを止めた。

 

『来ないのか?来ないならこっちから行くぞ!』

 

ピカチュウの周りから急激に電気が集まった!来る!!

 

「サーナイト!ここから逃げるぞ!速く!」

『は、はい!』

 

私はエルレイドとブレイン様の手を握って、テレポートした!

その瞬間、黄色い光線が私達のいた場所を焼き払った・・・

助かった・・・

あのままだと戦闘不能じゃ無く、永遠にいなくなってしまう所だった。

 

 

 

 

 

目の前に黄色い光線が横切った!

その衝撃波は凄まじく、俺達分隊は大きく吹き飛ばされた!

幸いその光線は誰も当たることはなかったのが救いだな。あれは当たると確実にヤバいぞ・・・

その光線跡には炎が燃えており、火が木に移ろうとしていた!

 

俺達は直ぐに体勢を立て直し、

 

「地面技使えるやつはマッドショットか泥掛け!水技使えるやつは波乗りかハイドロポンプ!」

『『おう!』』

 

幸い片方ずつ使える技を持っているポケモン達がいたので、それぞれの場所に移動し消火活動をした。

それにしても今の光線は・・・ピカチュウなのか?

 

消火活動が終わる頃にピカチュウが俺の所に来た。

 

『マスター。この惨状は俺のせいだ。すまない!皆にも迷惑を掛けた。すまなかった!』

「おいおい。どうしたんだよピカチュウ?」

 

ピカチュウが地面に頭まで付けて、土下座した!

周りのポケモン達も今回みたいなのは初めてらしくて動揺している。

 

「顔を上げなよ」

『侵入者を取り逃がしてしまったんだ!』

 

そういう事か。

 

「誰にも失敗はあるよ。次、失敗しなければいいさ」

『マスター・・・』

『そうだぜボス!』

 

周りのポケモン達もそう言い、ピカチュウを励ました。

 

『ありがとうみんな・・・』

 

ピカチュウは少し反省してくると言い、一人川の方へ行った。

 

 

 

 

 

マスターはやっぱり優しいな。

俺は感情的になってしまう傾向があり、周りを見ていない。

今回の失敗は完璧に俺のせいだ。

だけどみんな許してくれた。俺は自分の不甲斐なさをこれ程思った事は無い!

次はこんな事にならないようにもっと!もっと!!もっと!!!強くなる!

誰にも負けない強さを!!俺は手に入れる!!!

 

 

 


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