八十六話
目の前に赤い光線が俺の直前まで迫ってきた・・・
俺はここで終わるのか・・・
『マスター!!』
ピカチュウの声が聞こえる・・・
『マスター!逃げてくれ~!!』
ああ。ファイアローの声も聞こえる・・・
周りの全てが遅く感じるな。
その時、目の前に白い影が現れた。
『間に合ったみたいだな。障壁!』
「え?」
何が起きたか分からなくなった時、赤い光線がその半透明な障壁にぶつかり大爆発した!
その時俺は何が起きたかやっと理解した。
白龍が戻って来て、俺を助けてくれたんだ!
「白龍!!」
『『白龍様!!』』
ピカチュウもファイアローも俺の所に来て、白龍を見た。
『間に合って良かった。赤いレックウザですか?珍しいですね』
「あの~?あのレックウザは俺のレックウザで多分暴走しているのかな~って」
俺はそう言い、苦笑いした。
『む?暴走か。なら直ぐに解決するな。癒やしの波動』
※癒やしの波動※
全ての状態異常を治す。
癒やしの波動を受けた暴走レックウザは、目の色が赤から元の色に戻り、赤いラインも通常に戻った。
「凄いじゃないか!白龍、ありがとう!」
『たいした事はしてない。俺はマスターがピンチになったから駆けつけた』
白龍は元に戻ったレックウザを見たままそう言った。
『我はもっと力を身につける。マスター。次会うときは更に強くなっている事を使おう』
「ああ。ありがとうなレックウザ」
白龍はそう言い、俺を見ずにそのまま空に飛んで行った。
後、白龍が使った癒やしの波動は普通の技。白龍が言った「直ぐに解決するな」と言ったのも、本当ならそれぐらいマスターにでも出来るだろうと言う事を遠回しに言った来たと思う。
俺は少し自惚れていたのかも知らないな。
ピカチュウもファイアローも俺が旅をしている間に大分強くなっていた。
皆で鍛錬を積んで、更に力を付けないとダメだな・・・
後、白龍のレベルが500を超えていたのはセレナしか分からなかった。
この辺りは今回のバトルで大穴が2つに更地になった部分もあり、修復するのが大変だった。
今回は森のポケモン達の協力を頼み、皆で修復作業をした。
後、俺のポケモン達を鍛えたいと言うと皆が賛同してくれたので、拠点となるテントを張り、暫くはここで鍛える事にする。
一応忘れていないが、セレナもポケモンを鍛えたいとの事だったので少し距離を離した所にテントを張り、2人で修行する事になった。
セレナから寝る前に白龍の事を聞かれたので教えたら、なるほどと言ってから帰って行った。
知らないポケモンだったから知りたかったのかな?
俺は考えることを止め、そのまま寝た。
セレナは自分のテントに行ってから考えていた。
白龍はバロンのポケモンだった。
ダンテさんから貰った新・ポケモン図鑑には登録さえされていなかったのは驚きだ。
白龍のステータスを見た時は情報量が多すぎて頭痛が凄く、レベルだけに絞れば、LV550だった。
私達のポケモンじゃ絶対に勝てない存在。しかも見たことのない、技で伝説ポケモンの攻撃を無力化し、更に一般の技で暴走を止めた。白龍ってポケモンの存在がこの世界に影響を及ぼす恐れがあるような気がする。
何か手を打たないとダメかな?
鬱蒼と生い茂っている木々の間にいる黒い影・・・
『ブレイン様。あのポケモンは白龍ですよね?』
「その筈だが。手持ちにいなかったのか。しかもLVが飛躍的に上がっている。弱らせて強制的に従わせる計画で行こうか。サーナイト、エルレイド。準備の為に各地に行くぞ」
『『了解しました』』
ブレインはその場から姿を消した・・・
水の都アルマトーレでは・・・
『ただいま戻りましたアルセウス様』
『ご苦労。まだあの少年を死なせる訳にはいかないから助けなければならない』
『はい!』
まだと言う事は用済みの時が心配だな。マスターは思っていたよりも成長が遅い。
俺はもうLV550を超えたのに!後少しでこの体は新たな形になる。
それまでは鍛えて力を付けなければ…