百六十三話
「エルドラド、とうとう俺達の番だな・・・」
『ああ!マスター、この試合で着て欲しい物がある!』
エルドラド、青竜王、紅皇龍は俺の控え室で擬人化状態でいてもらっている。そうしないと狭くて苦しいから・・・
青竜王は鏡の方で髪のセットをしているし、紅皇龍は腕を組んで椅子で寝てる。エルドラドは俺とモニターを見ながら試合観戦をしていたのだ。
「着て欲しい物?」
『これだ!俺が作ったこの衣装で試合に出て欲しい!』
その言葉を聞いた青竜王と紅皇龍は直ぐに俺達の方を向き、
『『それなら俺達のも着てくれ!』』
同時にそう言い、どこから取り出したのか分からないが、青竜王は青をメインとした静かなイメージの衣装。
紅皇龍は赤をメインとした情熱的な衣装。
エルドラドは黄金色をメインとしたキラキラした衣装を各自提示してきた。
「みんな俺に着て欲しいの?」
『『『勿論だ!』』』
「そっか!ありがとうね。試合を勝ち進めれば全部着れるから、最初は青竜王の衣装を着るね。その次は紅皇龍でその次がエルドラド。それでいいかな?」
『『『勿論だ!俺達が全部着れる様に全員に容赦なく潰してやる!』』』
「うん!とりあえず殺しは無しだからね?それしちゃうと失格になって、問答無用で負けにされちゃうから」
『『『了解した・・・』』』
3人一斉にへこんだけど、殺すつもりだったのか!?
『お待たせしました~!これより1回戦を始めます!両選手入場!』
今回のバトル場は平原だった。
右側からダルクが入場し、左側からバロンが入場した。
今回バロンは先ほどの約束通り、青竜王が作った衣装を着て登場した。
『バロン選手張り切ってますねぇ~それではこれより!1回戦を始めます!試合始め!』
ポケモンリーグ1回戦
☆バロンVSダルク☆
「出てこい青竜王!」
「蹴散らしてこい!バンギラス!」
青竜王はバトル中はポケモンの姿だ。
バンギラスがバトル場に出た事により特性で、砂嵐状態になったが、それを青竜王は許さなかった。
青竜王は直ぐに手を地面に付け、青い波紋をバトル場に展開すると一気に風が上空に舞い上がり砂嵐を掻き消した!
「ありがとう青竜王」
『マスターを汚させるわけにはいきませんので』
『新種のポケモンかぁああ!?青竜王はバンギラスの特性をかき消せるのか!?』
「まさかバンギラスの特性の砂嵐を秒速の勢いで消すとは・・・面白い!行くぞバンギラス!岩雪崩れ!」
『雑魚が・・・波導弾』
青竜王は俺が命じるよりも早く技を出し、岩雪崩れの発生源を壊した。その後、青竜王が放った波導弾をコントロールし、バンギラスの背後から攻撃し爆発した!
「バンギラス!?」
『この程度で倒れるわけないよな?』
爆発の煙が晴れるとバンギラスは戦闘不能で倒れていた。
『お~と!?バンギラスは戦闘不能です!』
『ん?可笑しいな・・・マスター、俺は手加減したぞ?』
「そうだよな・・・何かあったのか?」
「バンギラス戻ってくれ。あの青竜王と言うポケモン。とんでもない強さだぞ・・・」
ダルクはバンギラスを手持ちに戻し次のポケモンを出した。
「出てこい、サーナイト!」
「俺はこのままでいいですよ」
バロンはそう言い、ダルクは頷いた。その後直ぐにダルクが動いた!
「先に行くぜ!サーナイト影分身!」
「青竜王、波紋を広げ本体を見付けたら本体を攻撃しろ。技は任せる」
『了解した』
サーナイトは影分身を大量展開した。観客席からは大量のサーナイトがバトル場にいるように見えている。実際にそう見えるのだが・・・
青竜王は再び地面に手を付け、波紋を広げた。
「不味い!サーナイト!直ぐに攻撃に移るぞ!ムーンフォース!」
「流石に一度やった技は警戒しますね。ですが、もう遅い」
青竜王は技を発動しようとしている本体のサーナイトの居場所を見付けその場から消えた。いや、実際には神速の速さで移動した。
青竜王はサーナイトの懐に潜り込み、腹に手を翳し上に圧縮波を放った!
※圧縮波※【波導】
一点に圧縮された波導。それを打ち出した技。
サーナイトは突如現れた青竜王に対処が追いつかず、盛大に上空に吹き飛ばされた!
青竜王は更に追撃しようと両手を合わせ波導を溜め始めた。
「青竜王!そこまでだ!」
『む?マスター?』
青竜王は技の発動を止め、マスターの方へと戻って行ったその時、サーナイトが地面に落下した。
実況者の方が地面に落下したサーナイトを確認すると戦闘不能になっていた。
『サーナイト戦闘不能です!驚異的な力を見せつけた青竜王!止めることは出来るのか!!!』
「戻ってくれサーナイト。こうなったら俺の切り札を出してやる!」
「それなら先に出せばいいのに・・・」
「黙れ!出てこい伝説ポケモン!ダークライ!」
ダークライか。このダークライはそこまでの力を感じられないな・・・
「青竜王。あのダークライはLv600前後じゃないか?」
『流石マスター。その通りです!一撃で戦闘が終わりますがよろしいですか?』
「仕方ないだろ。殺さない程度の力加減は頼むぞ」
『了解です』
「何をごちゃごちゃ言ってやがる!ダークライ、ダークホール!」
ダークライは両手を上に上げ黒い球体を作り出した時に、青竜王が無言で波導弾を放ち球体を破壊した。その後、瞬時にダークライの背後に回り込み、首筋を叩いた。
それだけでダークライは気絶し戦闘不能になった。
「なに!?ダークライ!大丈夫か!!」
『な、何が起こったのでしょう!!青竜王が消えたと思ったら、ダークライの後ろにいたぁああ!更にはそのダークライが突如倒れたぞぉおおお!よく見ると戦闘不能だ~!1回戦の勝者は、圧倒的強さを誇るバロン選手だ~!!』
試合会場から盛大な拍手が鳴り響いた。
口々から「お前は最強だ~!」「最強のチャレンジャー来たー!」など様々な事を言われた。
ダルクからは、
「お前は俺より100倍強い。いや、それ以上だ。お前ならチャンピオンになれるだろう。頑張ってくれ」
そう言いいポケモンセンターの方へと歩いて行った。
『彼奴地味にキザな奴なのか?』
「良く分からないけど、応援してくれるんじゃないかな?」
バロン達も試合会場を出て控え室に行った。
ポケモンリーグの1回戦は終わり、勝ち進んだ者たちは・・・
第1回戦勝者・モモ
第1回戦勝者・トロバ
第1回戦勝者・サナ
第1回戦勝者・エーギル
第1回戦勝者・バロン
次は第2回戦が行われるのだが、1人はシード枠になるだろう。
対戦表が出る間でのんびり待つつもりが、早々に対戦表が出来上がったらしく直ぐに勝ち進んだ選手達を会場に呼び出した。
そこには、現カロスチャンピオンのカルネと、ポケモン博士のプラターヌ博士が立っていた。その横には何故か実況者のお兄さん?も立っていた。
選手達は直ぐに横一列に整列した。
「直ぐにお呼び出しして申し訳ない。対戦表が出来上がったので直ぐに発表したくてね。ちなみに、バロン選手には、少し悪いけど2人を相手にして欲しいの」
「構いませんよ。その方が俺のポケモン達も喜びますし」
この瞬間、バロンの周りの選手達から一斉に睨まれたが、バロンはそれを予測して言ったのだ。
その方が早く戦いが終わり、この地方の一番強い人と戦える。貴重な経験を積むことも出来るし、何よりポケモン達が一番輝く瞬間でもあるので、バトル出来るならさせてあげたい。
「あらあら。バロン選手、いきなり周りの人達を敵に回しちゃったけど大丈夫?」
カルネさんが心配そうにそう言ってくれらけど、俺だけ特別扱いしちゃ他の人が・・・
「僕は大丈夫ですよ。それよりも早く対戦表を見せて頂きたいです」
「そうですね。プラターヌよろしくね」
「はい。それでは対戦表をお見せします!」
プラターヌが指を鳴らすと、テレビモニターに対戦表が現れた!
選手達も一斉に振り返り誰が対戦者かを見た。
ポケモンリーグ第2回戦
サナVSトロバ
バロンVSエーギル&モモ
『なお。第2回戦は明日に行われます。各選手は調整をし、ポケモンの入れ替えがある場合は受付で再度報告しておいてください。対戦表はこの後全国に流れますので、更に人が来るでしょう!皆さん、頑張ってくださいね!』
カルネはそう言いプラターヌ達と会場を出た。
バロンは青竜王を出し、飛び立った。一応サナ達には、試合期間中は敵同士だから連絡の取り合いは無しにしようとメールを送っておいた。