百三十九話
サトシ達がバンギディアと戦っている最中、サトシとは反対方向にいたロケット団達は無数のフーディンと戦っていた。
「もう!何回倒しても切りが無い!」
「全くだぜ!どこかに本体がいるはずだ」
『ニャースもそう思うニャ!』
ロケット団達は上空から攻撃してくるフーディンの攻撃を躱し本体を探し回っていた。
いくら攻撃して倒しても、次から次へと現れるフーディンを攻撃しても意味が無く先に本体を倒す事にしたからだ。
ロケット団達はデカい水晶の場所までフーディンの攻撃から逃れここまで来た。
町を一望するなら一番高い場所が望ましいからとここに的を絞っていたのだ。案の定当たりだ。
本体であるフーディンはこちらを見下ろしていた。
「あんたね!そこから降りてきなさいよ!」
「そうだそうだ!」
『速く降りてくるニャ!』
『うるさい奴等だ・・・分身達よ奴等を始末しろ。なに・・・分身に勝てないようでは俺に勝つなど無理だ』
フーディンはそう言うと右手を前に出し分身達に一斉に襲わせた。
「ちっ!バケッチャ!シャドーボール!」
「カラマネロ!サイケ光線!」
『乱れひっかきニャ!』
無数に襲いかかるフーディンを一撃で葬っているが次から次へとやはり切りが無い!
ならば!
「コジロウ!」
「分かってる!ニャース、少し頼むぞ」
『任せろニャ!』
ムサシとコジロウはフーディンの分身達を任せ本体を狙うことにした。
『む?流石に馬鹿では内容だな。良かろう、相手になってやる』
「上から目線め!バケッチャ!シャドーボール!」
「カラマネロもシャドーボールだ!」
『バリア』
バケッチャとカラマネロのダブルシャドーボールはフーディンのバリアにより防がれた!
『こんな物か・・・』
フーディンはデカい水晶の場所から少し浮き、手を重ねた。
『遠距離攻撃だけだと思うなよ?』
そう言うとフーディンは重ねた手を少しずつ広げると槍状の武器が現れた!
『雷槍・ライジングランス!』
※雷槍・ライジングランス※【雷】
ステータスの特攻が高ければ高いほど攻撃力が上がる槍。
光線を放ったり直接突いたりと様々な事が出来る。
「な・・・槍だと!?」
「あんなの見たことないぞ!」
『ニャんと!?分身達が電気を纏ってるニャ!物理攻撃なんて出来ないのニャ!』
「「なに!?」」
フーディンは雷槍を右手に持ち、左手前に降った。すると空間が歪み時空の狭間が出現した!
フーディンはそう狭間に入った。ムサシ達はその光景を見ていなかった。
ニャースが言っていた分身達が電気を纏っていると言ってたのを確認するためだったからだ。次にフーディンがいた場所を見てもどこにもいない。
『次元槍・ボルグ!』
※次元槍・ボルグ※【空間】
時空の狭間から現実世界へと攻撃する為の技。
フーディンはニャースの真後ろから次元槍を使い、雷槍でニャースを貫いた!
『ガフッ!いったい・・・どこ・・・か・・・ら』
フーディンは貫いたと同時に直ぐに引っ込め時空の狭間に戻っている。
ムサシとコジロウはフーディンの攻撃を見ていなかった!
血まみれで倒れているニャースの側に行き抱き上げた。
「ニャース!しっかりしろ!」
「ニャース!」
『後は・・・まか・・・せた・・・ニャ』
ニャースはぐったりとした状態になり亡くなった。
ムサシとコジロウの目は憎しみの目へと変わった。
「許さない・・・」
「許せねぇ・・・」
「「出て来やがれ!フーディン!!」」
フーディンは時空の狭間で次はどこから出てうるさくなった奴等を始末しようかと思っていると・・・
『フーディン。ここは俺の領域だぞ!出て行け!!』
ギラティナが俺を攻撃しやがった!
ギラティナは反転世界の主だった筈だ!なぜ、時空の狭間でいるんだ!いるならディアルガやパルキアだろ!
『亜空切断!』
『時の咆哮!』
『シャドーダイブ!』
気がつけば3方向から技を放たれていた!
くそ!ディアルガとパルキア!やはりいたのか!
『バリア!』
フーディンは両手を前に出しバリアを張ったが・・・
『後ろだ・・・シャドークロー!』
ギラティナが後ろからフーディンを攻撃した!そのせいでバリアを張るための意識が痛みにより出来なくなり2体の同時攻撃を受けてしまった!ギラティナは攻撃した後直ぐにシャドーダイブでいなくなっており、フーディンだけが攻撃を受けた。
フーディンは大ダメージを受けたが隠れ特性、自己修復で傷と体力を回復した。
『ほう。珍しい特性を持っているな。だが・・・』
『俺達の攻撃をどこまで耐えきれるかな?』
『食らうがいい!時の咆哮!』
『亜空切断!』
『シャドーダイブ!』
フーディンは3体同時攻撃が放たれた瞬間、両手を前に出し構えた。
『極大魔法・次元閉鎖』
※極大魔法・次元閉鎖※【神】
次元そのものを閉鎖し閉じ込める究極技。
技を出した者はその空間から逃れることは出来るが、受けた者は出られない。
フーディンが解き放った次元閉鎖は極大の魔法陣が展開され、その空間全土に渡り技が発動した!
その瞬間、ギラティナがシャドーダイブから出現しフーディンを攻撃しようとしたが、フーディンは分身を出現させ技を受けさせた。時の咆哮と亜空切断はその直後に迫ってきたが、更に分身を出現させ身代わりにした。
そして・・・
『この空間全てを閉鎖する。さらば伝説ポケモン達よ』
『『『待て!』』』
フーディンは紫色の粒子となり消えた!
3体は直ぐにフーディンがいた場所に辿り着いたが遅かった。
もうこの空間からは逃れられない・・・
『やられたな・・・誰かが彼奴を倒さない限り出られないぞ・・・』
『極大魔法・・・厄介だな』
『全くだ・・・』
伝説ポケモン3体を閉じ込めたフーディンは元の世界に戻って来た。
『さあ続きと行こうか』
フーディンはそう言うと分身達を大量に出現させムサシとコジロウを取り囲んだ。