【完結】もしパンドラズ・アクターが獣殿であったのなら(連載版)   作:taisa01

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第12話

 動きを封じられた罪人は、瞬く間に斬り伏せられてゆく。光の雨の洗礼を屋内で逃れた罪人も、扇動していた工作員も例外はない。中には一矢報いようとする者もいたが、武器を持ったばかりの民衆に凶刃が届く前に、随伴する異形の者達によって取り押さえられる。

 

 時を同じくして、降り始めた雨と多くの尽力により王都に放たれた火も次第に消し止められる。

 

 ラインハルトに導かれた民衆は、半刻も経たず王都に散らばった賊を瞬く間に狩り尽くした。そして何万の民衆が武器を持ち、アンデットや異形の者達に守られながら、一つのうねりのように突き進む先……。

 

 王城では、別の意味で激しい戦闘が繰り広げていた。

 

 クーデターに参加した賊はすでに王城の大部分を一度は占拠した。その後を追うように攻撃を開始した戦士隊という構図であったのだが、エンリ率いるゴブリン達が誰も予想しない斜め上の作戦を開始した。

 

 城門や建物の扉、壁などを使い有利な防戦を展開しようとする賊に対し、その脇や背後の壁を爆破し突破。正面戦力とあわせて逃げ道の無い場所で挟撃をはじめたのだ。

 

 その状況に慌てふためき、討って出ることを選択した賊達は、練度に勝る戦士隊に討ち取られる。逆に亀のように扉を閉ざし立てこもった者達は、扉部分と窓部分を破壊されそのまま身動きできない状況に追いやられることとなった。

 

「防壁や門を物ともしない破壊力を有するアインズ・ウール・ゴウンという組織がすごいのか、王城だろうがなんだろうが被害を少なく効果を最大化するための作戦を考え実行するエンリ殿がすごいのか。それとも忠実に実行してのけるゴブリン達がすごいのか」

「感嘆するのは良いが、今は進め。すべては民を救うためだ。なにより、素早く王都の治安を回復し、反乱貴族の討伐と帝国の対処だ。時間をかければそれだけ民に被害が広がるぞ」

「はっ!」

 

 戦士隊副隊長は、目の前で繰り広げられる光景に感嘆とは微妙に違う感想を述べる。すべてが王国になかったものなのだから当然なのかもしれない。ガゼフ・ストロノーフも口では諌めているが、内心は副隊長と似た感想を持っていた。

 

 一刻を争うのは紛れもない事実。ガゼフの言葉の通り、王都のクーデターを治め、参加した暗部と貴族に反撃。さらに侵攻する帝国への対処。すべてを同時に、くわえて短時間に実施せねばならない。

 

 ゆえに、エンリやゴブリン達の蛮行のごとき戦術さえも、頼もしく映る。

 

「姉さん。ちいとまずい気配がしやす」

「ジュゲムさん。どのくらいですか?」

「少なくともあっし以上。下手するとそこの兄さんに匹敵する気配がビンビンと」

 

 ゴブリンのジュゲムは、エンリに曖昧ながらも強敵の存在を警告するとガゼフに視線を軽く向ける。

 

 場所は王城中心部。玉座の間直前、最終局面での警告に、味方の表情が一斉に引き締まる。

 

 王がいるのならこの場を最後の決戦の地とすることは、誰もが理解でき守りやすい配置となっている。しかし襲撃者が籠城するには、外部との位置関係もあいまって中途半端な場所となる。少なくとも増援が見込めない今、そのようなところにわざわざ強敵を配置して防衛する価値はない。

 

 エンリは、敵が玉座の間にあるという王族用の脱出路を見つけた上で、突入と合わせて崩落させるなどの罠の実行を考える。しかしそれも、わざわざこんなタイミングで行う必要はない。賢い賊や彼我の実力を測ることができる賊はすでに撤退している。現に、突入してから策らしい策をもって敵を粉砕したのは、はじめの数回だけ。今となっては欲をかいて逃げ遅れた下種や、功を焦り、無駄に奥まで入り込んだ雑兵ばかりだったのだから。

 

「ガゼフさん、少し厄介事のようです」

「なにかね? エンリ殿」

「もう少しで玉座の間ですが、いやな予感がと訴える部下がおりまして。どうも合理的でない場所に強敵がいるみたいなんです」

 

 合理的ではない敵の配置。エンリは自分の中で納得する答えを見つけることができなかった。だが自己完結せず経験豊かなガゼフ・ストロノーフに意見を求めることができたのは、幸運なことであり、彼女の非凡さを物語っているのだろう。

 

 対するガゼフは、過去の経験からこのような状況をよく知っていた。

 

「たぶん、その敵は私達に用事があるのだろう」

「私達にですか?」

「正確には玉座の間を取り戻しにくるもの。すなわち私にということだろう」

 

 そういうと、ガゼフは戦雷の聖剣(スルーズ・ワルキューレ)を強く握ると、先頭に立つ。戦士隊の者たちもその意図を汲み取ったのか、静かに見守る。

 

 ガゼフは、一歩、また一歩と玉座の間の扉に近づく。

 

 王が退避する際、影武者と少数の近衛兵が立てこもっていたはずだが、すでにその気配はすでに無い。玉座の間につながる廊下のそこかしこに無数の傷。そして敵味方の死体。厳しい戦いが繰り広げられたことがうかがえる。影武者とはいえ王を守るために死んだ者たち。そして生み出された貴重な時間で決断されたこの国の未来。

 

「ガゼフさん。わ……」

 

 エンリは罠の可能性を指摘しようとするが、隣に立っていたジュゲムが肩に手を置いて、顔を横に振る。

 

「姉さん。姉さんは最高の司令官で最高の(おさ)だ。だが漢の矜持ってものを学ぶには、もうちょい必要ですかね」

「そう……かな」

 

 ジュゲムの言葉に、周りに立つ男たちもうなずく。ガゼフはそんな声を聴き、口元に小さな笑みをうかべながら扉を開け放つ。

 

 そこには荘厳な装飾に彩られた見慣れた玉座の姿はすでに無く、壁に掲げられた絵画や飾りは切り裂かれ、玉座はその台座ごと打ち砕かれ瓦礫の山と化していた。

 

 なによりも玉座の瓦礫の上。最後まで戦った近衛兵たちと王の影武者の死体を椅子として、これみよがしに腰を下ろす大男が一人。

 

 エンリの腰ほどもある腕に、まるで鎧のように盛り上がった胸板。禿げ上がった頭や体のそこかしこに動物の姿を模した入れ墨。浅黒い肌からは、まるで準備運動が終わったばかりのアスリートのように白い湯気が立ちのぼらせている。

 

「ずいぶんと遅かったな」

 

 地に響くような低い声がガゼフたちを迎える。

 

「どうせ手配書やら報告書やらで知っているのだろうが、名乗りは武人の務め」

 

 大男はゆっくり立ち上がると屍を踏みにじり、一際大きな声で宣言する。

 

「我が名はゼロ。八本指の序列二位にして六腕を率いるもの。このように会えるのを待ち望んでいたぞ。ガゼフ・ストロノーフ!」

 

 ゼロはまるで親しい友人を迎えるように両手を広げる。対するガゼフ・ストロノーフもゆっくりと歩みをすすめながら答える。

 

「王国戦士長ガゼフ・ストロノーフ。私の聞いていた六腕のゼロは、戦略眼にもすぐれた武人と聞いていたが?」

 

 ゼロはその厳つい顔をゆがめ、猛禽類のような笑みを浮かべる。

 

「そうだな。こんな負け戦に参加してしまった時点で、焼きが回ったのだろう」

「では焼きが回った男が、わざわざ何の用なのだ? お前だけならば脱出し再起のために地下に潜ることもできただろうに」

「だろうな。だが、じきに無くなるとはいえ王国最強という称号には興味があってね」

 

 六腕のゼロは、王国に巣くう犯罪組織に所属するものとしては珍しく、優れた洞察力と判断力を持つ武人と評価されていた。

 

 ガゼフは舌戦で軽くゼロと名乗った男を煽るも、その程度のことで揺らぎすらしない。それどころか、何食わぬ顔で負け戦に参加し、もう後が無いことを認めている。だがその言葉の端々にガゼフ以外眼中になく、ほかの有象無象などいつでも蹴散らすことができると、雄弁に語っている。

 

「王国最強か。私は一度もそう名乗った覚えもなく、私より強い御仁も多く存在するのだがな」

 

 ガゼフは自嘲するように肩をすくめる。

 

 王国最強

 

 傭兵上がりのガゼフは、口にすることこそなかったがその肩書を誇らしく思うこともあった。そして、民のため、王のためと否定もしなかった。しかしラインハルト・ハイドリヒと出会い、アインズ・ウール・ゴウンを知り、世界の広さを学んだ今、その肩書は分不相応であり意味の無いものと理解してしまったのだ。

 

「そうか」

 

 だが、この大男。ゼロには意味があるものなのだろう。むしろガゼフの態度が気に食わなかったのか、唾を吐き捨てると半身となり右手を腰だめに構え、左手は軽く握ると胸の前に置き腰を落とす。

 

 無手による構え。

 

「肩書ならいくらでもくれてやろう。だが大命を授かったばかりの身でね。首をくれてやるわけにはいかん」

 

 ガゼフも剣を抜き放つと、正眼に構える。

 

 気が付けば、同行した戦士隊の面々やゴブリンたちはガゼフとゼロを中心に円陣を組むように見守っている。ゼロが逃げ出さぬように、という意図のもと、誰もがガゼフの勝利を確信している。だからといってショーを見るような気軽さはない。

 

 相手はゼロ。

 

 王国の影に蠢き、幾度もその首を狙い、狙われながらも長きに渡り悪名を轟かせた巨星。その豪腕からの一撃で多くの前途有望な若者が死んだ。その卓越したスキルの前に熟練の騎士たちが散った。その策略の前に多くの権力者が跪いた。戦士隊の面々はそれを嫌と言うほど理解している。

 

 ゴブリンたちもまたその野生の本能で、ゼロが容易ならざる存在であることを知覚している。理由などない。ただ目の前にいる存在は強く、自分たちの敵なのだと。

 

「いくぞ!」

「こい!」

 

 ゼロとガゼフが、掛け声とともに踏み込む。

 

******

 

 崩壊した玉座の間。

 

 最初に動いたのはモンクのゼロであった。己の内にためた気を、刺青を通しスキルとして発現。十数歩分は離れていた二人の間を瞬く間に詰める。そして地をえぐるような下段からの貫手がガゼフの喉に向け放たれる。

 

 ガゼフも冷静に貫手の流れの先に、剣を置き難なく防御する。

 

 だが不思議なことがおこったのはそこからだ。

 

 一般的に素手で攻撃するモンクは、その攻撃が失敗、もしくは攻撃的防御をされれば腕を引く。今回のように剣の刃による受けであれば、たとえ指先までカバーした籠手を装備していても怪我を恐れて引くのが当たり前。しかしゼロはガゼフの防御を無視するかのように打ち抜いた。

 

「くっ」

 

 甲高い音を響く。ガゼフは剣で受けた衝撃を、大きく後ろに飛ぶことでいなす。ゼロは巻き戻すようにゆっくりと構えを取る。

 

「アイアン・スキンか」

 

 アイアン・スキン。モンクのスキルで、使用者が指定した体表を硬化させる攻防一体のスキルである。

 

「中途半端な防御であれば、その防御ごと貴様の喉を貫いてやったものを、直前で気がついて後ろに飛んだな」

「刃を無効化するほどの練度など聞いたことがない。さすがゼロということか」

 

 そういうとガゼフは剣を正眼に構えず、今度は剣先を敵に向けると、上段に剣に置き、まるで突撃槍のように剣をかつぐ。

 

 ゼロはガゼフの構えの違いなど意にもとめなかった。刺突の構えである以上、攻撃は一種類。その攻撃さえかわせば、どうということはない。そう結論付け、先程と同じように足の入れ墨として描かれたパンサーに気を叩き込む。

 

 パンサーの入れ墨は、十全にその機能を発現し、ゼロの両足を中心に筋肉を強化、その体を砲弾のような勢いで打ち出した。

 

 だがガゼフは当然のように刺突をあわせてくる。それも突進するゼロの顔に向けて、腰の回転、上半身のバネ、肩から上腕のしなり。すべてをあわせた突きの原点にして頂点のような一撃を。

 

「ぐぁぁぁ!」

 

 常人にはまともに見ることができない程の突進の最中に、ゼロはさらに胸に描かれたバッファローの刺青に気を送り込み、野獣のような雄叫びと共に強引に上半身の筋肉を制御。ガゼフの攻撃をかいくぐる。

 

 相対速度の関係もあって、ゼロの目はガゼフの突き自体を視認できていない。しかし、絶妙のタイミングで上半身をずらし躱してのけた。それはただ「ガゼフならこの突進にも攻撃をあわせてくる」という読みだけで避けてのけたのだ。

 

 武人特有の後の先なのか、それとも賭博のような判断なのか。一瞬の攻防の末、ゼロは攻撃をくりだした後の無防備なガゼフの脇を捉えることに成功した。

 

「もらった!」

 

 ゼロの貫手がガゼフに襲いかかる。

 

 フルプレートの脇。構造上隙間が生まれる箇所。チェインメイルなどで隙間を埋められているが、厚さ数センチの鉄板すら撃ち抜くゼロの貫手であれば、鎧や補強ごと撃ち抜くことができる。たとえ抜けなかったとしても、内蔵にダメージを与えるほどの衝撃を浸透(・・)させることもできる。

 

 だが、渾身の貫手は鎧を削るも、空を切る。

 

 貫手を振り抜いた体勢のゼロ。ガゼフはそのゼロの胴を蹴り距離を稼ぎ、まるで振り出しに戻ったように正眼に剣を構えていた。

 

「即応反射か」

 

 ゼロが苦々しく口にする。

 

 武技「即応反射」。攻撃後の隙をキャンセルし追加攻撃を可能とする武技。比較的知れ渡っている武技で、上級者の攻防では起点にさえなる重要な技。

 

「後の先を取って刺突を回避するとはさすがだ。追撃の蹴り技も普通なら体勢を崩すぐらいできる威力を込めたのだが」

「貴様!俺を相手に手加減をしたなぁ」

 

 ガゼフは、素直にゼロの技量を賞賛する。だが、ゼロはその賞賛さえも煩わしいと吐き捨て言い放つ。なにより目の前の男か、自分相手に手加減をしたのだ。すくなくともゼロという存在をしり、強者であることをしっている。なのにガゼフはゼロに対して手加減をしたのだ。

 

「貴様なら、即応反射からの四光連斬が可能なはずだ。貴様が王国最強となったあの御前試合のように!」

「古い話を持ち出す」

「そこまで俺を侮辱するか! 本気を出すまでもないと!」

 

 ゼロは額に青筋を浮かべ激昂する。すると先程までの構えとはうって変わり上体を起こした構えを取る。先程まで前傾姿勢の構えからの変更はそれだけで、見るものに意味を探らせる。

 

「なら、その驕りを抱えたまま、死にさらせ」

 

 ゼロの声をとともにパンサー、バッファロー、ファルコン、ライオン、全身の刺青、いやスペルタトゥー(呪文印)が一斉に活性化し輝きだす。その輝きに呼応するように、ゼロの全身の筋肉が一回り巨大化する。

 

 強く握られた右拳は、まるで大岩のような威圧感を放ちだす。

 

 人間の筋肉は力めば、それなりに太くなる。だが全身の筋肉、それも見るからに一回り大きくなるなど人間業ではない。「オークかトロールですかね」とつぶやくジュゲムの言葉ではないが、それほどまでに異様な光景であった。

 

 だが、それを目の前にするガゼフは、剣を構えると静かに告げる。

 

Briah(創造)--」

 

 たった一言。

 

 ガゼフの一言で場の空気が変わる。

 

 危険と判断したゼロは、本来であれば大技を出すに相応しい、ジャブやフェイントの応酬をすべてキャンセルし、直接必殺の一撃を放つ。

 

「猛撃一襲打ァァァァァァ」

 

 人間の限界値を超えて強化された筋肉が、一歩で彼我の距離を詰める。

 

 二歩目。足場を砕くほどの踏み込みは、衝撃波を生み出しガゼフを襲う。ダメージはないが衝撃波はガゼフの全身を打ちすえコンマ数秒の隙を生み出す。

 

そして必殺となる三歩目の踏み込みからの正拳突き。

 

 いままで、この技をくらった敵は例外なく死亡している。

 

 しかし正拳突きが決まるよりも早く、ガゼフの言霊が完成する。

 

Donner Totentanz(雷速剣舞) -- ein Feria(英霊招来)

 

 言霊と共に、雷光がひらめく。まるでライトニングの魔法でも発動したような衝撃がはしり、光が収まったときには、先程まで正拳突きのモーションに入っていたはずのゼロの姿はなくなっていた。

 

 残っているのは、砕かれた足場の向こう側まで吹き飛ばされた、ゼロと思わしき黒焦げのモノ。

 

「お……のれ、あと少しで貴様を……」

「ゼロよ。怒りを抱えているのはなにもお前だけではない。使命のためこの場に残り王国の命運を繋いだ者達。此度の騒動で失われた民。私はそんな者達を守ることができなかった。いわば八つ当たりだ。ゆるせ」

 

 そう言い残すとガゼフは剣を鞘に収めるのであった。

 

******

 

 ガゼフが振り返った先。

 

 そこには、一瞬の出来事ゆえ理解が追いつかない仲間たちの顔があった。そのなかで、なんとなく何があったか察したエンリが声をかける。

 

「あの~。ガゼフさん。その剣って」

「ああ、この剣はカルネ村で戦ったとき、ハイドリヒ殿に頂いた品だ。そして君の持っている矛と同じといえば同じだな」

「私の我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)と……」

「もっとも効果は真逆だがな。君は対軍で味方を守る力。私のはただひたすら自己の加速だ」

 

 ガゼフは少し肩をすくめながら「いままで皆と走っているつもりだったが、実のところ一人で突っ走っていた俺らしい」とつぶやく。

 

「いくら加速といっても、こうはなりませんよね」

 

 エンリはゼロだったものを見ながら指摘する。まるで業火に焼かれたように黒くすすけている。さらにどうみても一刀ではない数の斬撃で切り裂かれているのだ。

 

「ああ、この剣はもともと雷撃の追加ダメージがある。加速した上で六光連斬を放ったからな。しかしこれでもハイドリヒ殿には効果が無いのだろうな」

 

 ガゼフは簡単に解説しているが、六光連斬は一刀で六の斬撃を生み出すまさしく英雄の武技。それをレジェンド級の武器で加速して放ったとあっては、常人にはまず避けることはできない。そして、その絶技をもってしても効果がないというラインハルト・ハイドリヒとはいったいどんな存在なのか戦士隊の面々は半信半疑の表情を浮かべる。

 

 逆に普段からいっしょにおり、魔樹ザイトルクワエの戦闘すら見ているエンリやゴブリン達は、「まあ効果ないよね」と納得しているのは、あまりにも対照的であった。

 

「さて、エンリ殿」

「そうですね」

 

 ガゼフとエンリは並んで来た道を戻る。戦士隊の面々やゴブリン達も付き従う。

 

 王城内の残敵は掃討された。この場に残る理由はない。

 

 すでに王都内の暴動もラインハルトによって鎮圧されている。であれば、あの方の元に馳せ参じ、次の行動に移るまで。売国を図った貴族を鎮圧し、外敵となった帝国を打倒する。

 

 そして……。

 

 その後は……。




この後の予定

・モモンガ日記2
・第四章

・第三章と四章の間にある「カッツェ平野 殲滅戦」はコミケ頒布のおまけに回す予定


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