【完結】もしパンドラズ・アクターが獣殿であったのなら(連載版)   作:taisa01

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第8話

 今にもその猛威を振わんとする魔樹の竜王ザイトルクワエ。

 対するラインハルト・ハイドリヒは、アインズ・ウール・ゴウン至高の四十一人から五人を爪牙として展開し、迎え撃たんとする。

 

 その光景を見る者達は、その姿に一様に驚いていた。もっとも驚き方は人それぞれであるのだが。

 

「ウルベルト様の在りし日のお姿、仕草や立ち振舞は本物と見紛うもの。しかし分かるものなのですね、己の創造主かどうか」

「うん。たしかにぶくぶく茶釜様に見える。でも違うことも同時に分かるけど、ウルベルト様の違いが分からない。たぶん創造主か他の至高の御方かの違いかも」

「我々には、創造主との縁というものがあった……と考えるべきなのかもしれませんね」

 

 デミウルゴスとアウラがそれぞれの主の影を見ながら感想を漏らす。

 

 以前、ラインハルトがモモンガの姿になった時、その違いを見つけることが出来なかった守護者達。しかし己の創造主と他の至高の御方の影を同時に見た時、はじめてその違いに気がつくことができたのだ。

 

 具体的に何が違うか分からない。

 

 しかし創造主に対してだけは、明確に本物かどうかがわかるのだ。まさしくデミウルゴスの言う通り、”縁”というものなのかもしれない。

 

「でもお姉ちゃん。ぶくぶく茶釜様は、さっき僕達に手を振ってくれたよ?もしかしたら、僕達の事覚えているのかな?」

「その辺は後でラインハルトに聞いてみるしかないんじゃないかな?モモンガ様は至高の方々の想念の具現化とおっしゃっていたから、去られる前の記憶を持っていらっしゃるのかも?」

「ソウダナ。武人建御雷様ノ歩クオ姿。姿勢、足取リ、ドレヲトッテモ熟練ノ武芸者ノソレダ。記憶ト経験。ソノドチラモガ無クテハ再現デキヌモノダロウ」

 

 二人の会話にマーレとコキュートスが加わる。

 

 もし推測通り姿形だけではなく、記憶まで持っているならば……。

 

 また、守護者達とは全く別の驚き方をしている者も存在する。ナザリックに残った最後の至高の存在、モモンガである。

 

 ユグドラシル時代、テストで爪牙を発動させた時は二人実体化した。しかし今回のように会話することもなく、自動攻撃するNPCの傭兵キャラクターと大差ない動きだった。だが今回の発動で実体化した者達は、自然に会話やリアクションをしている。その姿は、モモンガの目から見ても当時の、一番楽しかった時代(・・・・・・・・・)の友の姿だ。

 

「これはどういうことだ?NPCと同じように、パンドラズ・アクターの爪牙も自意識を持っているのか?他のNPCと同じなら設定に由来し、ソレ以外は種族やカルマ、創造主の性格をある程度反映しているはず。ならあの爪牙は……」

 

 モモンガはラインハルトや生み出された爪牙を見ながら、骨となっている右手を顎に置き一人考えに耽る。しかし一通り考えた後、総てを告白し共有する共犯者、アルベドに問いかける。

 

「アルベドよ。私はあいつの設定に、パンドラズ・アクターは己の内側たる宇宙( ヴェルトール)想念(プレイヤー情報)を取り込むことができる。取り込んだ想念はパンドラズ・アクターの中に構築されたグラズヘイムにて永遠の時を共に生きる。そして必要に応じて爪牙として実体化すると書いた」

「はい」

「では、目の前にいる我が友らは、どういう存在なのだろうか」

「少なくとも別の存在かと」

「そうだな」

 

 モモンガはアルベドの回答に若干気を落とす。考えればその通りなのだ。否定する要素などない。

 

「しかし、ある意味では本人かもしれません」

「その理由は?」

「私達は生きています。モモンガ様の主観ではこの世界に来てからになりますが。もしかしたら、ラインハルトの爪牙も同じように当時の記憶を持ち、パンドラズ・アクターに取り込まれた存在として、設定通りに生きているのかもしれません」

「難しいな。記憶があれば本人と言って良いのか、違うと言って良いのか。ただ……」

「ただ?」

「タブラさんに、アルベドの事は謝ってみたいな」

「タブラ・スマラグディナ様であれば、娘を嫁に出す思いで許していただけるとおもいます」

「そうだといいのだがな」

 

 アルベドはにこやかに笑い、モモンガも釣られて自嘲のように小さく笑い声をあげる。しかしアルベドは表情こそ笑っているが、もし正面から瞳を見ていれば、笑っていないことにモモンガでも気がつくことができたであろう……。

 

 そんな会話が行われているとは露とも知らず、魔樹との戦闘開始が刻一刻と近づくのであった。

 

 

 

******

 

 

「さて、具体的にどう料理してやろうか」

「建御雷さん。やる気ですね」

「実際どんな風に指揮するんだ?姉貴がやる?」

「そのへんは、召喚者であり、この世界の戦いを知るパンドラズ・アクターにまかせようかな~」

「私はだれでも構わんよ」

 

 半巨人であり全身を禍々しい鎧で覆った武者、武人建御雷。

 同じく半巨人であり巨大な籠手を装備した、やまいこ。 

 鳥の頭と翼を持ち、弓を携えたバードマン、ペロロンチーノ。

 不定形の肉の固まりのように見える、ぶくぶく茶釜。

 ヤギ頭に漆黒のローブを纏う悪魔、ウルベルト。

 

 五人の異形が、黄金の獣ことラインハルトを中心に蠢き作戦会議をはじめる。もしこれが夜なら、枯れた森の奥底という立地も相まって、サバトと勘違いされることだろう。

 

「よかろう。全体の指示は私が出させてもらおうか。事前準備はやまいこ殿、そして私がバフを皆にかけよう」

「ボクはかまわないよ。でも後の回復を考えると、そんなにバフを回せないよね。節約したいけど、ワンドもスクロールもないし」

「MPの一割程度が妥当だろう。むしろ未知の敵だ、作戦を途中で組み替える余裕が必要であろう。戦闘がはじまれば回復を任せる」

「うん。わかった」

 

 外見こそ醜悪な巨人だが、やまいこの声とかわいく頷く仕草は女性のソレである。

 

「先制はペロロンチーノ殿、卿に任せる。行動阻害系スキルを中心に射撃。何分敵は巨大だ。前衛が接敵するまでの時間を稼ぐ。その後は迎撃に参加しつつタイミングを見て天頂部の薬草を回収」

「おう。まかせな!」

 

 ペロロンチーノは右手の親指を立てやる気を示す。

 

「聞いての通り、ぶくぶく茶釜殿、武人建御雷殿、卿らは戦闘開始と同時に移動を行い接敵。そしてヘイト管理をしつつ本体を攻撃。薬草の回収が終われば一気に削りきってもらってかまわん」

「生物にヘイト系スキルが効けばいいけど」

「なに、効かなければ足でタゲを回すだけだ」

 

 若干の心配があるぶくぶく茶釜とは反対に、やる気に満ち溢れる武人建御雷。今にも走り出しそうな雰囲気を醸し出す。

 

「ウルベルト殿。卿には私と共に遠距離から六本の触手を迎撃となる」

「ああ、しかし、最後は前衛に花を持たせなくともよいのだろう?」

「最後の華は、それこそ競争でもかまわんよ。無論私も楽しませてもらおう」

「おう。シャルティアにいいとこ見せてやんよ」

「しかし武装も本体も弱体化してることを考えると明王コンボは二つが限界か?ぎりぎり三ついけるか?まあ出来るとこまで決めてやるさ」

「これだから男どもは」

「まあ、元気が良くていいとおもうよ?茶釜さん」

 

 異形たちの方針が固まった時、まるで図ったように大地の鳴動がはじまる。見れば、魔樹ザイトルクワエの根の何割かが地表に這い出し、まるで多足の生物のように動き出す。

 そして近場の木を触手が、雑草を抜くような手軽さでへし折り口に運んでいく。まさしく森を捕食しながら進む害獣だ。

 

「じゃあ、バフいくよ」

 

 やまいこの掛け声と共に、各種防御とステータスUPバフをかけはじめる。

 

「じゃあ、いくぜ」

 

 ペロロンチーノは魔力の矢を弓につがえ放つ。光の尾を残し疾走る矢は、ザイトルクワエにあたる直前に、無数の光に分裂しその身を抉り地に縫い止める。

 ザイトルクワエは絶叫とともにその身を動かし光から逃れようとするが、簡単には抜け出せない。

 

「愚弟!よくやったわ!」

 

 ザイトルクワエが光をなんとか砕き、自由を取り戻した時には、前衛の二人が配置に付き攻撃のモーションに入っていた。

 

「さあ、ここから私の見せ場よ」

 

 そしてぶくぶく茶釜が両手に持った盾で、シールドアタックをぶちかますのだった。

 

******

 

「さすがはペロロンチーノ様。一撃であの巨体を縫いとめるとは」

 

 シャルティアが創造主の御業を見て、頬を染ながらうっとりと呟く。周りのものたちも、おのが創造主の素晴らしい技に魅入っている。

 

「ぶくぶく茶釜様のあれは、どんなスキルなのでしょう。あまりダメージを与えていないようですが?」

「ああ、茶釜さんの役割はタンク。敵の攻撃を率先して受ける役割なのだよ。あのスキルは、敵の意識を引きつけ、攻撃を自分に集中させるスキルだ」

「なぜ、ぶくぶく茶釜様がわざわざダメージを率先して受ける必要があるのでしょうか?」

「個人戦では不要な考え方だ。しかしチーム戦の場合、全員が攻撃を受けることを想定すると、それなりの装備・スキル・魔法などのリソースを防御に割り振らなくてはならない。攻撃のリソースを防御に振れば効率的に防御ができるが、ダメージの量も速度も落ちる。そこでリソースを攻撃につぎ込み効率的に攻撃するものと、防御するもので役割分担することで、高いレベルの戦闘を実現しているのだ。事実あれだけの猛攻を受けながら茶釜さんのHPはほとんど減っていないだろう?」

「なるほどぉ」

 

 マーレやアウラは、自分たちとは真逆のまったく考えたことのない創造主の戦い方に、大いに困惑していた。そこでモモンガがチーム戦のいろはについて話を聞かせているのだ。

 

「本来ノ力ノ八割トイウノハ、本当ナノダロウ。技ノ切レト言ウ点ダケ見レバ、納得デキル。シカシ……」

「そうだね。六本の触手の振り下ろしなどは、加速する前にすべてウルベルト様やラインハルトが迎撃。そして失速したところを悠々と武人建御雷様が回避し、その動きをそのまま次の攻撃につなげている」

「攻撃トハ、次ノ防御ヤ攻撃ノ布石デアルコトハ理解デキル。ナルホド、ソレヲチーム全体デ実現シテイルノカ。ナント無駄ノ無イ戦イダ」

 

****

 

 魔樹の竜王ザイトルクワエとの戦闘がはじまり数分。すでに三桁に近い攻撃を受けており、HPも三割ほど削れている。このまま押しきれるかのように見えたが、このタイミングでザイトルクワエの動きが突如変化した。

 

 先ほどまで六本の触手の内、二本が入れ替わるようになぎ払いや振り下ろしを行っていた。しかし突如三本を大地に突き刺し、残った三本だけで攻撃をはじめたのだ。

 

「総員警戒せよ」

 

 ラインハルトが、援護魔法を放ちながら警告を発する。その瞬間全員が攻撃を続行しているものの、避けるなり防御なり次の行動が可能な程度に余裕をもたせる。

 

ーーGUUUUUGYAAAAAAAAAAAAAAA!

 

 その瞬間、ザイトルクワエはその大きな口を開き地獄の蓋が開いたような大きな悲鳴を上げ、大気を震わせる。その音に衝撃波などは載っていなかったが、あまりに大きな音に一瞬だが前衛の二人意識が逸れる。

 

 しかし次の瞬間、声を上げる。

 

「バフが剥がされた!」

 

ーーシールドアタック/シールドスタン/メガインパクト/ナイトチャレンジ

 

 武人建御雷が叫び距離を取る。

 逆にぶくぶく茶釜は前に出て、シールドアタックからはじまるヘイト上昇のスキルコンボを決める。そして走りこむようにやまいこが前衛のそばに立ち、回復とバフのかけ直しをはじめる。

 

 迎撃陣営もバフを織り交ぜてサポートをぶくぶく茶釜に飛ばす。だが結果的に、一時的ではあるが迎撃に精彩を欠くこととなった。

 

 ザイトルクワエの攻撃はここで終わらない。先ほど大きく開いた本体の口から、無数の弾丸をはき出したのだ。弾丸一つ一つは、それこそ人間の子供程のサイズ。無防備に当たれば高レベルであっても吹き飛ばされるような勢いを持ち、ちょうど距離を取り立て直し中の武人建御雷とやまいこに降り注ぐ。

 

 誰もが。

 攻撃された者達でさえ、ダメージを覚悟した。

 

「狙い撃つぜ!」

 

ーー精密射撃/速射

 

 しかし、このタイミングで素早く迎撃に入ったのは、ウルベルトやぶくぶく茶釜でもなくラインハルトでもない。ましてや立て直し中の武人建御雷とやまいこでもない。遊撃で上空に飛び上がり、弓を構えたペロロンチーノだった。

 

 ザイトルクワエが吐き出した弾丸を、ペロロンチーノが弓で撃ち抜いたのだ。

 

 飛来する射撃攻撃を、同じく射撃攻撃で撃ち落とす狂気の技。ミサイルパリィなど手持ち武器で打ち払うスキルは存在するが、味方にあたる攻撃だけを選び、射撃で叩き落とす神業じみたことを、ペロロンチーノは精密射撃と速射のスキルだけでやってのけたのだ。

 

 もし先ほどの攻撃が成功していれば、少なくとも一人は一時的に戦線離脱をし、フォーメーションを崩すことができた。しかし的確に迎撃されたため、逆にザイトルクワエにとって大きな隙となる。

 

「見せろ我が愛しきものたちよ!その渇望を叩きつけてやるがよい」

 

 ラインハルトの声と共に、一気に攻勢にでる。

 初手はラインハルトであった。

 

oh(ああ).Licht des Tages ist unerwartet Notwendigkeit (日の光は要らぬ) .Wenn meine was für Nacht die Welt(ならば夜こそ我が世界)

 

 ドイツ語の呪文が響き渡る、同時に辺りは暗くなり、上空に美しい月夜が広がる。

 

Das ist ein seliger Augenblick(何よりも幸福なこの瞬間),den will ich nie vergessen bis an meinen Tod(私は死しても 決して忘れはしないだろう).Sophie, Welken Sie(ゆえに恋人よ 枯れ落ちろ)

 

 どこからともなく現れた薔薇が、ザイトルクワエに巻きつきその棘を突き当てる

 

Der Rosenkavalier Mondnacht(月夜の薔薇騎士)

 

 そして薔薇は赤い花びらを散らせ、そこには乾いた棘だけが残るのだ。

 

「私自身、敵の弱体化など好まぬが、彼の物語と渇望はかくも鮮烈で美しい」

 

 その言葉通り、月と星々の光、そして薔薇の棘を受けたザイトルクワエは、途端に動きが鈍くなるのだった。

 

「ブループラネットさんのコンボが、このタイミングで見れるとは……」

 

 モモンガはラインハルトの痛い呪文で荒んだ心を、目の前に広がる美しい光景で癒やす。しかし、残念なことにその傷を誰も気が付くことは出来ない。

 

「あ~もういい声だなこんちくしょ!次いくわよ!生贄(サクリファイス)

 

 ぶくぶく茶釜が、両手を広げスキルを発動する。そして攻撃を受けると、いままでとは違いすごい勢いで吹き飛ばされ、大ダメージを負う。しかしザイトルクワエの動きはそこまでだった。ラインハルトの技でほぼ完全に停止してしまう。それほどまでに、一時的とはいえラインハルトの技は強烈だった。

  

 まだ連携は終わらない。ラインハルトの呪文と同じタイミングで、超位魔法の発動準備をすすめていたやまいこが、その巨大な拳を天に掲げ叫ぶ。

 

ーーオシリスの裁き(ペレト・エム・ヘルウ)

 

 空間内のカルマが変じる。悪徳のものはさらに悪徳に、正しきものはさらに正しく。

 特筆すべきはザイトルクワエだ。魔樹ということで、カルマはもともとマイナスであったのだろう。そこにぶくぶく茶釜の 生贄(サクリファイス)が炸裂している。この技を発動すると防御力が大幅に低下するが、攻撃を受けると攻撃者のカルマが強制的にマイナスになる。さらにやまいこが超位魔法で効果を最大化したため、今やザイトルクワエのカルマはマイナス1000程度まで落ち込んでいるだろう。

 

「薬草の確保完了。ぶちのめせ!」

 

 そのタイミングで、本来の任務を影で遂行したペロロンチーノが声を上げる。

 

 同時にモモンガがつぶやく。

 

「勝ったな」

「なぜでしょう?動きは封じられているとはいえ、まだHPはそこそこ残っているように見えますが」

 

 モモンガのつぶやきにアルベドが返す。事実、ザイトルクワエのHPは半分以上あるのだ。

 

「もし敗北があるとすれば、攻撃しすぎて天頂部の薬草が失われること。しかしペロロンチーノさんが奪取したことで、もう自重する必要はなくなった。そして茶釜さんとやまいこさんのコンボにより、魔樹とウルベルトさんのカルマはマイナス1000は行っているだろう。ここからマイナスカルマを存分に活用した攻撃が発動すれば終わりだ」.

 

 モモンガの答えはそのまま実証されることとなる。まずマイナスカルマで効果が最大化される魔法を、ウルベルトが発動する。

 

「闇より昏きもの!混沌の海より生まれし者達よ!我が呼び声に答えよ!」

 

ーー魔法三重(トリプレットマジック)最終戦争・悪(アーマゲドン・イビル)

 

 ザイトルクワエの周りの空間に無数の亀裂が生まれ、数えることが不可能なほどの悪魔が召喚される。召喚された無数の悪魔は、ザイトルクワエを切り刻む。悪魔が濁流のように押し寄せ、潮が引くように消え去った時、ザイトルクワエはぼろぼろに引き裂かれていた。

 

 同時にウルベルトさんの厨二病全開の呪文を聞いて、懐かしく思うと同時に、パンドラズ・アクターの呪文の源流を思い出す。ああ、ここにいたよ。

 

 さすがは世界を滅ぼすといわれたモンスター。ボロボロだが、まだHPを三割以上残しているのだ。しかしアインズ・ウール・ゴウンのコンビネーションは終わらない。

 

「吠えろ!」

 

ーー不動明王撃(アチャラナータ) 倶利伽羅剣(くりからけん)

 

 武人建御雷の背後に出現した不動明王が現れ、その手にもった剣で切り裂く。この一撃は相手のカルマが低ければ低いほど大ダメージをあたえる。普通明王コンボを狙うならもう一つの技だが、ラインハルトの技で動きを阻害されている今ならば、最大攻撃の連携が可能。

 

ーー降三世明王撃(ライローキャヴィジャヤ)

 

ーー大威徳明王撃(ヤマーンタカ)

 

 ザイトルクワエを不動明王と共に取り囲むように現れた降三世明王が槍を突き刺し、大威徳明王が棍棒で打ち据える。この連撃がトドメとなったのだろう。轟音と巨大な土煙を上げザイトルクワエが崩れ落ちる。

 

 同時に先ほどまで覆っていた夜の帳は晴れ、昼の日差しの元に大地が帰る。

 

 この日、世界を滅ぼすと言われた魔樹の竜王ザイトルクワエは、討滅されたのだった。

 


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