pso2仮想戦記二年前の戦争   作:オラニエ公ジャン・バルジャン

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33話 サスタナの戦い

シューマッハとゲオルグがバルトハルト艦隊を撃退する事に成功したので、アウグスト軍は安全通行可能なルートを手に入れた。自分の本隊を軸に各諸将を第二銀河各星系の確保に向かわせた。だがただ戦力を分散させればどうなるかはアウグストは分かって居た。その為、ある惑星を攻略し、この周辺星域の敵の指揮系統及び補給を完全に断ち切ってしまおうと考えた。

 

惑星サスタナ…人類居住可能惑星の中ではかなり巨大な部類に入る星全体が砂漠、そしてある程度の間隔をあけて存在する大きさがまちまちなオアシスによって出来ている。

シャーオン星系の中で太陽を除いて一番巨大な惑星である。そこに教国軍つまり貴族達は惑星首都周辺を超巨大な軍事要塞でガードし、星そのものを守る為の宇宙港を作り一大拠点として居た…が実際は要塞を作っただけで止まってしまった。

 

宇宙港は手が回らずこの内戦を迎えてしまったのだ。そこにアウグスト軍が迫り、シャーオン以下周辺星系の制圧に掛かりだした為、各星系の防衛に戦力を回してしまい、シャーオンは、サスタナはほぼ無防備であった。一応一個艦隊総数一万二千が守備についたが、アウグスト本隊二万、更に護衛として、ヤン・ザムエルスキ大将一万二千の聯合艦隊に為す術も無く消滅した。

 

この時代、1つの惑星を占領するのに一年二年と言う長い月日は食わない。最悪一週間ほどである。理由は上陸兵力を各主要都市に降下させ、占領。おまけに衛星軌道からの艦隊からの地表爆撃。中には大気園内に入って来て空中から支援する艦隊もいる。すなわち全主要都市の制圧を持って惑星を支配下に出来るのだ。

 

もちろん、アウグストは自ら指揮を取るべく、降下した。だがアウグストは別の考えがあった。それは自分を支える大将達の中でヤンだけが陸戦での手柄を持って居なかったからであり、この若武者に手柄を立てさせる事が目的であった。そうでなければ、彼はヤンを連れて降りなかったであろうし、そもそも艦隊司令官二人が惑星制圧にかかること自体が異例であった。

 

そして二人が兵45万を連れて降り立って2日がたった。

場所は首都の近くの町である。

 

帝国士官

『閣下!各主要都市が陥落し、残すは首都のみとなりました。閣下直属の近衛10万皆指揮旺盛!いつでも出陣できます!どうか御裁可を!』

 

アウグスト

『ご苦労。夜の砂漠は冷える。下手に兵を動かすのは宜しくない。適度な時間で休憩を作り、見張らせろ。食事と睡眠を忘れるな。』

 

帝国士官

『はっ!失礼します‼︎』

 

士官は敬礼し、去っていった。アウグストはこの砂漠の街を見て、気になった。余りにも住人が少な過ぎる事に。居ても、老人や子供ばかり、男は?女は?何処に行ったのだ?アウグストは太刀を下げたまま散策する事にした。

 

暫く行くと脇に兜を抱えて立っているヤン・ザムエルスキに会った。

 

アウグスト

『ザムエルスキ、何をしている。…この村の女達か?』

 

ザムエルスキ

『分かりません。かなり遠くから連れて来られたやも知れませぬ。可哀想にダーカーに無残に処女を奪われ、あられのない姿で孕み、産み、貴族やその家臣にまた犯され、殺された…。』

 

アウグスト

『ここはダーカーの神殿か!中のダーカーは殺したか?』

 

ザムエルスキ

『はい。悉く八つ裂きに致しました。情事の最中の物も居ましたので、混沌を極めましたが無事な者は救うことは出来ました。そこに倒れている娘達は我らが助けに来る前に手遅れだった者たちに御座います。もっともここの娘達は全員手遅れでした。』

 

アウグスト

『いたわしい…みな奪われたか…恋も知らぬ年頃の者まで、 怖かったろうに…ザムエルスキ。この娘らを責任を持って家族の元へ帰してやれ。死んだ者はせめて美しく着飾ってから手厚く葬るのだ。良いな?』

 

ザムエルスキ

『ハハッ…。』

 

アウグスト

『明日出陣する。捕虜は取らぬ。卿に命ずる。多くのダーカーの首とここの領主の首をお前の槍と軍刀に突き刺し、我が目の前に持ってこい。』

 

ザムエルスキ

『必ずや‼︎』

 

翌日サスタナの首都サスタナ・ポリスの戦いが起きた。

侵攻兵力10万に対し、防衛兵力6万もはや勝負にならない。が、サスタナ公(惑星サスタナを治める領主)は首都及び首都手前の要塞を更に小規模の兵で運用しても威力を発揮できるように備え付きの重機関銃を更に塹壕内に取り付け、対戦車砲陣地を増やし、それらを前線の前に集中させた。更に驚くべき事に火炎放射器を塹壕に備えつけた。

普通塹壕戦での火炎放射器は攻め手が塹壕にいる敵を炙り殺す為に使うが塹壕側につまり土の中にいる連中が火炎放射器使うのは異例であった。余程防衛側の状況が苦しいか物語って居た。

 

そんな守り手とは裏腹に、攻め手であるアウグスト軍は万全な編成であった。10万の機甲軍団であり、そのうち2つの師団で構成されている。戦車重・中・小合わせて68輌、支援車両25輌、歩兵6万5千、騎兵4千6百、山砲、野砲、重砲合わせて250門。完全な大部隊である。

 

アウグストは自分の専用の重戦車で指揮を執った。

だが陸戦においてアウグストは采配を殆ど振らなかった。制空権は勿論、制宙権をあるので空爆し放題であり、(勿論対空防御は行われているので下手をすると危ないが )更に、第二銀河侵略を掛けたオラクル軍に対抗すべく開発された、アンチネガフォトン800mm重砲(開発が間に合わなかったのでオラクル軍相手には使われて居ない)をなんと20門も持って来ており、いかに塹壕を掘っていようと、そのまま抉られてしまうのだ。そんな強烈な支援砲撃の中、戦車と歩兵が塹壕から塹壕へと走っていった。

 

その中をヤン・ザムエルスキは、軍刀型のカタナとパルチザンを持って駆け抜けて居た。塹壕から塹壕へと兵を率いて走り、敵の塹壕の中にいる兵を悉く斬り殺した。お陰で24歳の若者が身に纏う灰色の軍服が赤黒く染まった。

 

ザムエルスキ

『引くな‼︎この戦いは圧倒的に我らの有利に運んでいる!敵の砲撃に臆すな、進め‼︎』

 

ザムエルスキに叱咤激励に兵達は士気をより古い立たせた。貴族軍の塹壕からの機関銃の薙射で多くの兵が犠牲なったが砲兵陣地からの砲撃が塹壕の中の兵士を吹き飛ばしていく。アウグストは前線の兵達を支援すべく、機甲部隊を自分の本陣と合わせて、最前線に移した。戦車の突破力に加え、撃破するのが難しいと言われる重戦車を主力にしたアウグスト軍の猛攻は、遂に塹壕帯を超え、要塞に取り付いた。ヤンは要塞の城壁で指揮をとる豪勢な鎧を着ている人物を見た。それを敵の指揮官だとヤンは分かった。

 

ヤンはワイヤーを使って一気に城壁を駆け登った。

 

ザムエルスキ

『敵将、サスタナ候とお見受け致す。それがしはアウグスト・ヴォン・シュヴァーベン候の家臣。ヤン・ザムエルスキ。その首貰い受ける。』

 

サスタナ候

『サスタナ4世である。若造。我が剣に掛かって死ねる事を誇りに思うが良い。行くぞぉ‼︎』

 

サスタナの重い一撃がザムエルスキに迫った。ザムエルスキは槍で防いだがザムエルスキの槍を斬り落とされてしまった。ザムエルスキはこの大男の一撃の威力を直ぐに理解した。そしてその隙も見つけ出した。

 

サスタナ候

『死ねぇぇぇ‼︎』

 

ザムエルスキ

『さらばだ。サスタナ候。』

 

サスタナの剣をザムエルスキはスレスレで回避しその腹を横に一刀両断した。サスタナ候の胴体と足は分かたれた。ザムエルスキはサスタナ候の胴体を切り、首を掴んだ。

 

ザムエルスキ

『敵将‼︎討ち取ったり‼︎』

 

ザムエルスキはサスタナ候の首をその辺に落ちて居たパルチザンに突き刺し、高々と掲げた。サスタナ候の兵は抵抗を辞めた。サスタナはアウグストの手に落ちた。

 

アウグストは残ったダーカーを殲滅すると同時に捕虜の始末を行なった。ダーカー神殿に居た女に手を掛けた者以外は助命し、それ以外は生きながら首を斬り落とした。それでも大多数の捕虜が首を斬られる事になったが。

 

首都の牢獄に、先の街の住人達が囚われており、男達は労働力として使われる所であり、女達は他のダーカー神殿の慰め物になる所であり、もう既に何人かはサスタナ候、その家臣に手を出された後であったがそれでも命を取られた者が居なかったのは幸運であった。

 

首都の住人達はアウグストを喜びを持って迎え入れた。アウグストはサスタナの住人に公正を約束すると同時に全軍の前線基地として機能させる事を宣言した。

内戦が始まって3週間後の事である。

そして同日、フランシス・オーヴェルニュがアウグストの元に馳せ参じようとする勢力を連れ、約80000の艦隊を連れ、シャーオン星系に到着した。

 


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