pso2仮想戦記二年前の戦争   作:オラニエ公ジャン・バルジャン

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3話ですwここから、主人公は東郷平八郎提督やネルソン提督やヤン・ウェンリーや、ラインハルト・フォン・ローエングラムの様に采配を振るう訳ですが、キャラがキャラなので偉大さゼロだと思いますw


『3惑星アムドゥスキア宙域防衛戦』

『3惑星アムドゥスキア宙域防衛戦』

星が瞬く宇宙という虚空に光を放ち、一万三千隻に及ぶ、艦隊が出現した。

どうやら無事にワープアウト出来たようだと、司令官席に座る。艦隊司令官タクミ・F准…いや少将は安心した…

ここから二日、通常航行で目的地に移動するのだ。彼は指を鳴らした。すると従卒が、紅茶を持ってきた。紅茶が入ったティーカップにチョコチップが入ったスコーンとブランデーである。

時刻は午後三時…ティータイムであった。彼はブランデーを少量紅茶に加えると、こう号令を出した『艦隊各員適度ニ休息ヲ摂ルベシ』…彼の幕僚は休息を取りに艦橋を出たが、彼の艦隊副司令官はこの時の事をこう話している。

『まさか戦場でティータイムをする人が居るとは思わなかったよ。オマケにブランデーまで入れてる始末だからこの司令官は大丈夫かと心配した。』

艦橋は必要最低限の人のみが残った。彼の居る司令塔は全高6メートルの柱で作られており、これの最上階に司令官以下幕僚が鎮座し、二階に戦闘指揮場、一階に航方指揮場があり、そしてタワーの先の広大なフロアには様々な部署が置かれている。全長50メートルの艦橋は特殊ガラスで覆われており、見晴らしも良く、耐久性も高い、レーザー副砲程度な

ら跳ね返してしまう程である。

彼は指揮官席の端末を開く、そこに映し出されたのは、自分の所属するcrescentmoonのメンバー達の写真…そして画面をスクロールすると映し出された一人の少女…マトイ…彼女の写真であった…彼は紅茶を飲み、スコーンを口にしながら、思った『出航前に会えなかったのは残念だ。』その場の流れで、出撃する事になったとはいえ、彼女に目覚めた事を教えて無かったのは心残りだったのだ…。『婚約者様ですか?』

突然のこの一言に青年は紅茶を吹き出しそうになった。後ろを見ると、金髪の少し、髪を短めに切った女性士官が立っていた。『そんなんじゃありませんよアリス・シンプソン航海長大尉殿…ただの友達です。』取り敢えずこう言っておこう…しかし、アリス航海長は食い下がった。『では、何故彼女一人写ってる写真なんか持ってるんですかそれも笑顔で大きく引き伸ばしてされてありますが』結構グイグイくる人だと、心中で思ったが、正直返す言葉が無い…『兎に角そんなんじゃ無いし!それに用件はそれでは無いでしょう?』少し、ぶっきらぼうに言ってやった。彼女は微笑ったが、直ぐに態度を直し、こう告げた。

『我が艦隊は現在惑星アムドゥスキア宙域を航行しており、敵との戦闘宙域に至るまで通常航行で二日といった具合です。この宙域には補給線があり、敵艦隊による補給線破壊が懸念されます。』

『成る程、だから総司令官殿はアムドゥスキア宙域での防衛戦を行えと命令したのだ…数は恐らく同数…だが戦力的にこちらが有利、下手な事をしなければ、そうそう負けない。』彼は指を二回鳴らした。すると従卒が入ってきた。

『五時間後各幕僚を召集、会議を開く。そう伝えてくれ。』

『はい、閣下』とそう一言を返し、一礼した後艦橋を出て行った。

こうして幕僚達が艦橋に集結した。

タクミは自分の幕僚達に作戦を説明した

『敵艦隊総数は同数の一万三千隻…陣形は横陣…攻撃も防御も程よく行える陣形だ。そこで我らは突撃の体型を取り、敵中央を突破、陣形を乱し、左右に残った艦隊を潰乱させる。恐らく、敵はこちらが中央突破すると分かれば、必死に迎撃してくるだろう。または突破されたまたはされる前に敵が中央を空け、挟み討ちの隊形を取り、後方に回り込む可能性もある。これは何としても阻止したい。神速を持って、敵に突撃する。』

幕僚の一人がこう反論した

『敵は同数の横陣。いくら、こちらが陣形有利の縦陣等で突撃しても数がフェアーではこちらが不利になるのでは?』

『成る程…ではプレゼントを贈ろう。』

『プレゼント?』『何をするのです?』

『突撃前に巡航艦、駆逐艦、そしてこのスサノオの長距離対艦広域ミサイルを使って、敵最前列巡洋艦隊を殲滅、ないしは巡洋艦隊に対し、半数以上の損害を与える。』

『対艦広域ミサイル?』

『戦闘班長。各戦隊司令官に説明して差し上げてくれ。』

『ハイ提督。長距離対艦広域ミサイル…このミサイルは名前の通り、長距離用対艦ミサイルです。通常のミサイルと違うのは、着弾して爆発する際、巨大な火球を作り、ターゲット及び、周囲の敵にも損害を与える兵器ですが、現在、このミサイルを使用した戦いは無いため、効果は未知数です。』

『それを我らが使うのだ。敵艦隊との有効射程で撃ち合うより、合理的だし、何より…』

『『『なにより?』』』

『楽で良い』この発言に各幕僚の表情は様々だった。アリス航海長の、様に一緒に笑う者も居れば、香取大佐(この艦隊の副司令官)の様に眉を顰めたり、ぽかんとする者も居た。

『後は敵に突撃して、崩れてくれればこっちの物だ。レーダー長、敵艦隊は捉えたかな?』

『船団からの情報が正しければ、36時間後には会敵します。超長距離レーダーはまだ精度が高く無い為、敵艦隊の編成艦艇までは分かりませんが敵旗艦に出ている反応はダーク・ファルス・エルダー模倣体の様です。』

『ルーサーでは無いのだな。では間違いなく、対等に殺り合おうとするだろうね。ルーサーとは違い、奴は戦うのが本分だ。計略を巡らすタイプじゃ無い。ましてや大量に量産されたクローン(模倣体)のクローンじゃあね。』

『では、各戦隊はその様に動くと言う事で宜しいですな?司令官閣下?』

『そうして下さい副司令。二十四時間後ワープを行う。敵に先を越されては堪ったもんじゃない。良いな?』

『『『『了解‼︎』』』』

こうして二十四時間が過ぎ、艦隊はワープを開始、目的地に到着した。敵艦隊も予測航路を真っ直ぐ通ってきたのかワープアウトした時には敵艦隊が真正面に見えていた。艦隊は直ぐに第一種戦闘配置が下令、戦闘の開始を待った。

『提督閣下全艦配置につきました。提督には、戦闘前の演説をして戴きたく思いますが?』

『あい分かった。…。第一艦隊の諸君!知らぬ者は居ないだろうがこの艦隊を預かったタクミ・Fだ‼︎我らは今、敵と相対している。だが我らは負けるわけにはいかない。負ければ、惑星アムドゥスキアの同胞や現地の龍族、各拠点の同胞を餓死させてしまうからだ。諸君私から言わせてもらうことは一つだ。それは、国家や主義の為に戦うのでは無く、自らの為に戦え!護るべき人の為に戦え!愛する人の為に戦え!国家や主義といった人間社会の道具の為に死ぬな‼︎心配せずとも何れこれらはひいては国の為に戦う事になる。これは諸君がこの艦隊に居る以上最上位の命令だ!必ず厳守する様、諸君…勝とう!生きて帰ろう!以上だ‼︎』

タクミは目蓋を閉じ、軍人としては言うべき事では無いと思っていたが今日死ぬかも知れないのだから言いたい事を言ってやろうとした結果この演説になったのだ。失笑を買うだろうな…青年はそう思って眼を開けると視界の先に居る、将兵達が敬礼したまま動かず中には涙を流す者までいた…『調子が狂うじゃないか』

彼は一言そう呟いた。

『さぁ諸君、始めよう。』

この一言の直後、スサノオと巡航艦と駆逐艦の群れから数百万発のミサイルが発射された。これらは真っ直ぐ飛翔し、敵艦隊の迎撃ももろともせず敵艦隊最前列で爆発した。

『着弾!敵艦隊最前列の大半の消滅を確認…凄い!』

『感心してる場合では無いよ。全艦突撃開始‼︎神速を持って突撃せよ‼︎尚、全艦各砲座私が良いというまで撃つな。』

艦隊は突撃を開始した。スサノオに、至っては、全長5㎞の船体に似合わず他の艦艇を凌ぐ速度を、見せた。

一方、開幕から損害を受けた、ダーカー艦隊に目を向けてみよう。

『何が…何が起こったのだ‼︎』

艦橋で怒号を挙げて居るのはダーク・ファルス・エルダーの模倣体だ。(ダーク・ファルス・エルダーのオリジナルに遠く及ばないが、元々の能力が高いため、模倣体一体いるだけでも、戦場に与える影響は大きい。

『何故、最前列の巡航艦隊が撃沈した!ありえんだろう‼︎』

計器を確認していたゴルドラーダの一体がその答えを究明した。

『敵艦隊ハ超長距離ミサイルヲ使ッタ模様デス。既ニ最前列ハ大半ガ消滅シマシタ‼︎』

『おのれ…アークスめ…再編を急げ戦列を維持しろ‼︎』

『敵艦隊楔型ノ陣形ヲ取リ突撃シテクル模様…ハ、速イ‼︎』

『グヌゥ…全艦迎撃‼︎』

『敵艦隊迎撃来ます!』

『陣形の外側に居る戦艦各艦にシールドの出力をあげさせろ。こちらも頃合いか…坂東武者の槍の味を馳走してやる‼︎全艦艦首レーザー主砲並びに連装レーザー主砲…ファイヤー‼︎』

若きの提督の号令で全艦が一斉に火蓋を切った。急速に接近した艦隊は敵中央…取り分けに旗艦に対し、火力を集中した。たちまち、敵艦隊中央は爆発が止まらず、敵艦隊の最前列はすでに、一万隻以上の艦隊に左右双方から押さえつけられている。そして艦隊は遂に中央に到達されてしまうのだった。

『おのれ…全速前進‼︎我が艦と敵旗艦と一騎打ちに持ち込め‼︎』

『ナリマセン‼︎既ニ後列ノ戦隊ニスラ被害ガ及ンデイルノデスゾ‼︎』

『煩い‼︎全軍突撃(ヤシャスィーン)‼︎』

『敵艦隊こちらに前進してきます。』

『まさか前進するとは…正しく、向こうから、撃ってくださいか突き殺してくださいと言っているようなものだ。香取大佐、前進する艦は全て撃沈する様、下令して下さい。望みを叶えてやろう。』

『はい閣下!全艦速度そのまま弾幕を強化、敵艦隊は刺し違えるつもりだぞ!』

旗艦スサノオの一斉射がダーカー艦隊の旗艦に襲い掛かる事、6回目遂に中央旗艦エルダー模倣体座乗艦は撃沈した。

『おのれ…アークス…人間風情がぁぁぁぁ………‼︎』

彼の断末魔を最期に敵艦隊旗艦は沈み、艦隊は統率を失った。スサノオが敵艦隊後列中央に至った時には、敵艦隊は思い思いの方向に逃亡していた。この時、提督タクミは、追撃するか、否かを問われたが…

『追撃はするな。こちらは補給線の防衛は完了した。それよりも、生存者を救出して、負傷者の手当てを行え。』

彼は、古の名将達が名将たらしめた要因を思い起こしていた。名将とは引き際を心得ていなければならない。戦う目的を明確にし、それを達成するべく策をめぐらす、目的を達成したのなら残敵は追わず、またはとっとと退却することが出来るのが名将であり、それたらしめる所以でもあるのだ。

『そんな事も出来ないで何が艦隊司令か、何が将軍であろうか…。』

ともかく、艦隊は勝利し、一路、オラクル船団を目指した。タクミが目覚めて、僅か、数日の出来事であった。

……………




まぁこんな感じの3話です。次はもっと戦闘に話を使いたいですね。文中の坂東武者とは、戦国時代北条家が支配した
関東地方の勇猛な武士を指す言葉であり、主人公は、地球の日本関東地方出身の祖先の末裔と言う裏設定がありますので、そこから取って坂東武者となりました。槍は、一万三千隻の艦隊から発射される、数万本のレーザーの比喩です。それを敵艦隊に向ける為、『坂東武者の槍の味を馳走してやる…』となった訳です。次回もどうかご贔屓にw

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