ラブライブ!+man   作:shintaro-0630

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どうもシンタローです!
前書きなんですけど本編書き上がってから書いてます!
なんとこの二期の九話、一日で書き上がるという...
いつもは何日か分けて書くのですが
頑張りました!
なかなか綺麗に収まった感じです。
ではスノハレ回どうぞ!


二十二話 大好きだったから

二十二話 大好きだったから

もうすぐクリスマス。辺りはイルミネーションが飾られ、夜になれば綺麗な木々が見れるのだろう。

しかしそんな物に目をくれる暇もなく

十人は学校の屋上に集まり、練習を行っていた。

「よし!今日はここまで!」

慎は九人のダンスが終わると手を叩き、呼びかける。

「ええ〜!まだお昼だよ!?」

穂乃果が文句を言う。

「穂乃果。踊りたい気持ちはわかるけど、もうすぐ最終予選。オーバーワークして前みたいに倒れないようにね?」

絵里が穂乃果を説得する。

「そうですよ!穂乃果!穂乃果がオーバーワークしないように私が毎日家に行きましょうか?」

「海未ちゃん寝起き怖いからやだよ〜!」

「なら大人しくしてなさい。わかりましたね?」

海未が穂乃果にずいっと詰め寄る。

「うぅ...はい...」

穂乃果はしぶしぶ頷いた。

「ならもう一回だけやるか」

「え?」

慎の提案に穂乃果以外の八人が驚く。

穂乃果は目をキラキラさせていた。

「穂乃果が不完全燃焼で本番に支障が出たら良くないだろ?みんなも全然疲れてないし、いいんじゃないか?」

「慎、何か変わった?」

にこが慎の違和感に気づく。

「うーん...あ、わかったにゃ!」

「慎ちゃん、最近痩せたにゃ!」

「言われて見れば...」

凛と花陽も慎の違和感に気づく。

「そんなことないって!それよりもう一回だけ通すぞ!」

慎は話題をそらすように練習を再開した。

痩せた。というより、もう長くはない。

慎はそれがわかっていた。

九人はそのことを知らない。

どうするか慎は未だに悩んでいた。

 

練習が終わり、その帰り道。

凛と花陽の二人と別れて真姫と二人になった。

「ねぇ」

二人と別れて少しすると真姫が口を開いた。

「痩せたっての本当に大丈夫なの?」

いつになく真剣な表情。

「大丈夫だって、さっきも言った通り...」

慎が喋ってる途中で

「嘘。あなたは嘘つくときいつも目をそらすか自分の頭を触る。」

慎の手は自分の頭を照れくさそうにかいていた。

「本当だって」

 

 

「嘘つかないでよ!」

 

 

大声にあっけをとられる。

昼間に周りを気にせずに大声を出した。

幸い周りには誰もいなかった。

こんな必死な真姫はあの時以来かもしれない。

自分の想いをぶつけたあの公園の時と似ていた。

「ま、真姫...」

慎が口を開くと真姫は我に返って

「ご、ごめんなさい」

「なんだか私...怖い...うまく言えないけど」

 

「慎が遠くに行くような...そんな気がして...」

「何か悩んでるなら言って...欲しい。μ'sのみんなに言えないなら私にだけでも...」

 

慎は心が軽くなった気がした。

許されたような、不思議な感覚。

自分の好きな人がこんなにも自分のことを大切に思ってくれている。

それが何よりも嬉しかった。

「...なぁ」

「ラブライブの最終予選終わった次の日...空いてるか?」

いきなり慎が真姫に尋ねた。

「え?ええ...」

「なら二人で出掛けよう。」

「その時に全部話す。」

 

「俺が音ノ木坂に来た理由も全部。」

「...今じゃ駄目なのね?」

「ああ...すまない。ラブライブに支障が出るかもしれないが...」

「わかったわ。私はそこまで子供じゃないわ。切り替えは早い方よ?」

「待っててあげる。その代わり、全部話して欲しい。全部。」

「ああ、約束する。」

「ありがとう」

慎はお礼を言った。

「なんでお礼言うのよ...イミワカンナイ...」

「いや、ほんと...なんでだろうな」

二人はその後特に会話をせずに別れた。

家に帰り、慎は夕食の用意を始めた。

(みんなに心配かける訳にはいかない...とりあえず食べて、痩せた分をなんとかしないと...)

(食いすぎって穂乃果と花陽のこと言えないな)

慎は一人でくすっと笑い、沢山作った料理を口に運ぶ。

すると

「うぉぇぇぇぇ...」

いつもの味で作っていつも通り美味しいはずなのに、慎は料理を戻してしまった。

床に戻してしまった物を見ると少しだけ血が混じっていた。

(嫌だ。まだ俺は...)

慎は認めたくなかった。再び料理に手をつける。

しかし何度食べても戻してしまう。

慎は疲れきって床の掃除をすませ、眠りについた。

 

そして朝。

慎は起き上がる。

するとすぐに強烈な頭痛と吐き気に襲われる。

「うっ...」

慎は吐くのをなんとかこらえて、タブレット状の薬を口に放りこむ。

普通、一日に一粒飲むという決まりを慎は守らず、五粒ほど放り込み、水と一緒に飲み込んだ。

すると吐き気と頭痛はすぅっとなくなっていった。

「はぁ...はぁ...」

慎は息を切らす。

「す、すぐにでも病院に行って...」

だが慎は昼からの練習を優先した。

みんなに心配をかけるわけにはいかない。

昨日も怪しまれた。なおさら行くしかない。

ラブライブの最終予選前に自分が倒れるわけにはいかない。

薬の効果もあり、だんだんと体調も回復した。

慎はいつものように着替えて屋上に向かい、平然を装った。

そして帰り道。真姫と二人になるが、二人の空気は気まずかった。あんなことがあったのに、

普通に話すのは少し無理があった。

慎は何粒も薬を放り込むことによってなんとか誤魔化していた。

 

そして最終予選当日。

クリスマスイブ。

辺りは大雪。なかなか止まない。

慎は穂乃果達の生徒会の仕事が終わってこちらへくるのを待っていた。

ビルの上から辺りを見渡す。

あまり高くないビルだがそこからはμ'sのみんなと行った沢山の場所が見下ろせた。

大雪で外が見渡せなくなくなってそろそろ穂乃果達以外の六人のところに戻ろうとしたその時、

「こんにちは」

「ツバサ...」

「最終予選...もう少しね」

「そうですね。」

当たり障りのない会話をする。

「μ'sは...俺達は負けません。」

「そう...期待しているわ」

「相変わらずの上から目線ですね...」

「で、どうするの?」

「何がですか?」

「わかってるくせに...」

「あなたのこと...話すつもりはないの?」

「...」

慎は黙り込んでしまった。

そして慎は再び口を開いた。

「どうしたらいいと思いますか?」

慎は真姫と約束したにも関わらず、まだどうするかためらっていた。

「それはあなたが決めなさい」

「わかってます...でも!」

「自分じゃ決められないんです...もうよくわからなくなって...それでどうしたらいいのか...」

「...そう」

ツバサはそうと一言だけ言うと、背中を向けて歩き始めた。

「ツバサさん?」

「ライブの直前に二人だけで会いましょ」

ツバサはそう言い残すとまた歩き始めた。

慎も六人のところへ戻ろうとした時、

携帯が鳴った。電話だ。

「もしもし...」

「慎!?今一体どこにいるの!?」

電話の相手は絵里だった。

「絵里!?どうかしたのか!?」

絵里の焦った声でただならぬ状況であることが感じ取れた。

絵里は焦りながらも冷静に状況を伝える。

「なるほど...穂乃果達が...」

それは大雪で穂乃果達三人が来られないという状況だった。

「...わかった。すぐそっちへ行く。」

慎はビルの下にいる六人の元へと向かった。

「すまん。遅れた。」

慎は六人と合流した。

「どうするん?このままじゃ...最終予選は...」

「そんな...ここまで頑張ってきたのに」

希とにこが悔しがる。

希の夢が叶う手前まできたのに、にこの念願のラブライブの出場がかかっている。

二人だけではなくこの場にいる、全員が悔しさで一杯だった。

みんなのため、何より自分のため。

真姫をピアニストにするために。

自分の夢を叶えるため。

慎は必死で頭を回した。

そして浮かんだのが

「...これだ」

「みんな聞いてくれ」

「何か策があるの?」

「ああ...正直これしかないと思ってる」

「今俺たちにできることはこれくらいしか...」

慎は六人にその考えた策を伝えた。

「わかった。」

六人はこんなめちゃくちゃな案を文句言わずに受け入れて携帯を取り出した。

慎はその時、ふと思った。

(なんだか...いいな)

くす...

慎の顔から思わず笑みがこぼれる。

「何こんな時に笑ってるのよ....」

となりにいる真姫が慎の笑みに気づく。

「いや、なんでもない...」

「...そう」

慎はその後電話をかけた。

その相手は

「慎ちゃん!大変!穂乃果達が...」

「ああ、わかってる。だから落ち着いて聞いてくれ。」

「頼みがある。」

 

 

あれから一時間ほどがたっただろうか。

慎達七人は祈りながらずっと三人がこちらにくるのを待っていた。

 

すると

「あ、あれ!」

花陽が目の前を指さす。

目の前には穂乃果達三人の姿があった。

息を切らしながら必死に傘を持って走ってきた。

「穂乃果ちゃ〜ん!」

「間に合った!」

凛が大きく両手を振り、三人を迎い入れる。

「穂乃果!」

「絵里ちゃ〜ん!!」

と穂乃果と絵里は抱きついた。

「うわ〜ん!寒かったよ!怖かったよ!これでおしまいなんて絶対嫌だったんだよ!みんなで結果を残せるのはこれが最後だし、こんなに頑張ってきたのになんにも残らないなんて悲しいよ!だからぁ...!」

穂乃果が本音を絵里に泣きながらぶつける。

「ありがとう...」

絵里はさらに穂乃果を抱きしめた。

「もうみんな泣いてる場合?」

にこがため息をつくがその目にはうっすら涙が溜まっているように見えた。

「目、うるうるしとるよ?」

希が茶化すように言う。

「私は泣いてない!希こそ...」

にこが希の涙に気づく。

「もう...」

希は涙を拭き取った。

「穂乃果〜!」

後ろから誰かが追いかけてきた。

それは穂乃果達と一緒のクラスメイトだった。

「慎ちゃん!連絡ありがとう!」

「こちらこそこんなこと頼んで...すまない...ありがとう」

慎は深々と頭を下げた。

話してる相手はヒデコ、フミコ、ミカの三人だった。

「また今度何か奢るわ」

「じゃあ全員分よろしくね!」

「今回協力した全員分!」

「じゃあ私クレープがいい!」

「おいおい!全校生徒分のクレープって何円するんだよ!」

「もちろん、ウチらの分もやで〜」

希がまた茶化す。

「勘弁してくれ!本当に!」

「うそうそ!そんなのいらないよ!」

「その代わり思いっきり楽しんできてね!」

「A-RISEに負けないで!」

「頑張って!」

「ファイト!」

クラスメイトから沢山のエールを貰う十人。

「みんな、本当にありがとう!私達一生懸命歌います!今の気持ちをありのままに!大好きを大好きなまま大好きって歌います!ライブ絶対成功させるね!」

そう言うと穂乃果達は様々な声援を送られながらその場を後にした。

 

 

そしてライブ開始三十分前。

慎は九人に今回は観客席で見ると伝えて、

ツバサとさっき会った場所へ向かった。

「こんにちは」

ツバサは衣装に着替えてその場に現れた。

衣装は予備予選のものと同じだった。

「もうお昼ではないですよ?」

「じゃあこんばんは、かしら?」

「とりあえず、はいこれ」

「これって...」

ツバサが持っていたものはいつも慎が飲んでいるタブレット状の薬だった。

「あなた最近その薬複数飲んでいるでしょ?それを何度も服用するのは体が持たない。だからこれを。」

「あ、ありがとう」

「でも、なんで...」

「とりあえず点滴に繋ぐわね何度も服用した分をここで取っておきましょ」

ツバサが指を鳴らすと医者達が慎を点滴で繋ごうと駆け寄ってきた。

慎は抵抗することなく点滴を繋いだ

「なんでそこまでして俺を?敵のマネージャーですよ?」

「...あなたは知らなくて当然よね」

「何が...」

チュッ

慎はツバサに唇を奪われた。

「え?」

慎は何が起こったかわからず、固まっていた。

「こういうことよ」

「じゃあね」

ツバサは逃げるように慎と別れた。

「慎様。こちらです。モニターを用意してる部屋があるのでそちらの方に案内します。」

慎は医者に手を引かれるまま、ただカチコチと固まった動きで部屋へ入って言った。

 

 

 

「ツバサ様。」

「どうしたの?」

「本当に伝えなくて良かったのですか?」

「輝様のことを...」

「じゃあなんて言えば良かったの?輝君のお父さんが道路に飛び出た私を避けて両親は交通事故で亡くなった。だから罪を償わせて欲しい。

両親を死なせてしまって本当にごめんなさいと言えばいいの?」

「それは...」

「私が道路を飛び出して置かなければあんなことにはならなかった。だからこそ私はあの人の分まで生きる。それが私の罪の償い。それが私の生きる理由なの。だからほんとはこんな感情は持ってはいけないのだけど...」

「好きに...なっちゃたからね」

「おそらく輝様も喜んでいると思いますよ」

「どうして?」

「ハンドルを右にきったのは幼い少年だったとのことですから。」

「ええ。わかってるわ」

「だから世間がなんと言うと私はあの人の味方よ?」

「後ろから身を乗り出してハンドルをきって...親より私を救って...感謝してもしきれないわね...」

「さあ、そろそろ...あの子達の出番ね」

「はい。ツバサ様も控え室の方に。」

「わかったわ」

 

 

「...」

慎はずっとぼーっと天井を見上げていた。

(キスされたのか...)

「唇...柔らかかったなぁ...」

慎はぼそっとつぶやく。

「って何言ってんだ俺は...」

慎は我に返り、モニターの電源をつけた。

μ'sがステージに上がり、手を繋いでいた。

「皆さんこんにちは!これから歌う曲はこの日に向けて新しく作った曲です!たくさんのありがとうをこめて歌にしました!応援してくれた人、助けてくれた人がいてくれたおかげで私達は今、ここに立っています!だからこれはみんなで作った曲です!」

「聞いて下さい」

九人は同時に目をつぶった。

そして慎も目をつぶった。

慎は九人の声が聞こえてくるような気がした。

 

 

 

学校が大好きで

 

音楽が大好きで

 

アイドルが大好きで

 

踊るのが大好きで

 

メンバーが大好きで

 

この毎日が大好きで

 

頑張るのが大好きで

 

歌うことが大好きで

 

μ'sが...

 

「大好きだったから」

慎は小さな声で切なげにつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




...いかがでしたでしょうか?
個人的にすごく納得の行く内容が書けました!
輝の両親の死んだ理由。
交通事故の原因はまさかのツバサさんということです。
ツバサさんはどんな気持ちでキスをしたのかと考えると胸が痛くなります...
今回も最後まで見てくださってありがとうございました!
誤字脱字報告お願いします!
次回もよろしくです!
では!

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