オープンベータからずっとやってました。現在レベル41。
関ヶ原やべえええええ、って言いながら遊んでます。
ウオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!
天に向かい、魔獣が咆哮を上げる。
だがそんな魔獣を見て男が舌打ちする。
「っち…………アレがなければこの程度か。っく…………ナベリウス、後は頼んだぞ」
男の言葉に答えるように魔獣の三つ首がそれぞれに咆哮する。
「次は確実に殺す…………お前たち全員だ。
そう言い捨て、男…………王が振り返って歩きだす。
神父がそれを止めようとするが、すぐさま魔獣がその間に割って入るせいで、神父も足を止めざるを得ない。
「殺す…………次は、確実だ」
「こっちの台詞だぜ…………次は絶対に逃さねえ」
王とキョウジの視線が一瞬、交わる。以前にも戦ったと言っていたが、何か因縁でもあるのだろうか?
そうこうしている内に、王の姿が虚空に消えていき。
後には一匹の巨大な魔獣が残された。
魔獣が一際大きな声で咆哮し、一歩足を進める。
ズドォン…………と、その巨体故に地響きすら感じる。
巨体故の威圧。それに飲まれ、僅かに足を止める俺たち。
そこから真っ先に飛び出したのは…………同じ理性を持たないソレだった。
シャアアアアアアアアアアアアアアアアアア
蛇が唸り、宙を泳ぐ。魔獣が近づいてくるその存在に振り上げた前足を勢い良く振り下ろす。
ズドォォォォォォ、地響きし、激しく砂塵が舞い上がる。だが砂煙を切って蛇が中から飛び出し、勢い良く空を翔け上がる。
真上に陣取った蛇に、魔獣のその三つ首全てが大口を上げ、その口内に火球を宿す。
同時に蛇も大口を開き、その口内に黒紫色の光を宿す。
ほぼ同時にそれらが放たれ…………宙で大爆発を起こす。
打ち勝ったのは…………魔獣。恐らく放ったのはアギダインかマハラギダイン、だが三つ首が全て放ったのだ、三発分の火炎魔法にいくらメギドラオンと言えど押されてしまった。
蛇が宙で焼かれ、ズドン、と音を立て地に落ちる。
当然ながらそれを見逃すような魔獣ではない。即座に前足が振り上げられ、その鋭い鍵爪で蛇の首根っこを押さえつける。
シャアアアアア、と蛇が叫びもがくが、首根っこを押さえつけられている時点でどうしようもなく。
魔獣の三つ首がもう一度、その口内に炎を灯し…………その時になり、俺はようやく正気に返る。
「アリス!!!」
叫ぶ、だが遅い。致命的なまでに遅い。一体なにを呆けていたのか、と自分を殴りたくなるくらいにもう遅い。
魔獣の口から炎が噴出す、吹き出し、蛇を燃やし尽くす。
「和泉!!!」
叫んだ、けれどもう遅すぎた。そう、思っていた。
青い光が弾けた。
ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!?
ケルベロスが驚愕したような声を上げながら吹き飛ばされる。あの巨体が、である。
青い光が収まる、その中心にいたのは…………。
「和……泉……?」
一人の少女だった。先ほどまで蛇がいたそこにいたはずの場所、けれど今は一人の少女がいた。
白い、白い、見慣れたはずの…………けれど、今はどこか神聖さすら感じさせる少女。
「……………………………………」
現れた存在を見て、神父が眼を細め。
「…………ほお」
キョウジが興味深そうに声を上げる。
「………………………………」
ナトリが無表情に見つめ。
「……………………は?」
俺は事態についていけず、呆けていた。
* * *
焼ける、焼ける、焼ける。
体が? 否、否……焼けているのは、ただの抜け殻である。
自分はもうここにいる、自分と言う存在はもうここにいる。
だから、こんな窮屈なもの脱ぎ捨ててしまおう。
どうせもう…………こんなものは必要ない。
『本当ニ?』
ああ、本当に。必要ない、もう必要ない。
『目覚メテモ、マタ傷ツクダケ』
そうかもしれない、だがこのまま眠ってなんていられない。
『否定サレル、傷ツケラレル』
きっと受け入れてくれる、彼なら。私の罪も、私の咎も。甘やかしてはくれないけど、寄りかかるくらいはさせてくれる。だから私は大丈夫。
『本当ニ、受ケ入レテクレル?』
自分勝手に信じてる、それにもう私はただ救われるだけの子供じゃない。自分で立てる、自分で起き上がれる、だから大丈夫、もう折れない、見失わない。
私の帰る場所は、ちゃんとあるから。
だから。
『ダカラ?』
帰っておいで…………サマエル、ううん『私』。
『…………………………うん、そうね。なら、行きましょう』
うん、行きましょう…………まずは目の前の獣から地に叩き伏せましょう。
手の中にありったけの力を集めて、溜めて、溜めて、溜め込んで。
それから…………叩きつける。
『妬みの暴圧』
目を開くと、暗い夜空を広がっていた。
手を握る、動く。足に力を込める、入る。首を回す、回る。口を大きく開け、息を吸い込み、吐き出す。
「ふふ……………………なんだか久々に気分が良いわ。さあ、行きましょう、サマエル」
赤い蛇が自身に背後に浮かび上がる、と同時に一歩、一歩と踏み出し視線の先の魔獣に向かい歩く。
起き上がった魔獣が怒りの形相でこちらを睨み、今にも飛び掛ってきそうな表情をしている。
「あら怖いわね…………ダメよ、私はそんなに肉体派じゃないの。だからもっと抑えないと」
足を止め、魔獣を指差す。それに反応したのか、魔獣がその巨体から想像できないほどの速度で疾走し。
「だから、あなたの力、私に頂戴?」
ランダマイザ、そう唱えると同時、指先から魔獣へ向けて光が飛び出す。突進してくる魔獣に正面から直撃したソレだが、魔獣の勢いは一向に衰えず、そのまま和泉に向かって衝突――――――
「あら、怖いわね」
――――――しようとして、避けられた。
「あなた、とっても力強いのね…………
ケルベロスがこちらを向き直る…………と同時、途端、膝から崩れ落ちる。
「あら、どうしたのかしら? この程度? この程度じゃないわよね? まだ大丈夫でしょ? まだいけるわよね? だから頂戴? もっと頂戴? 羨ましいの、妬ましいの、だから欲しいの、頂戴? 頂戴? 全部頂戴?」
低く唸り声を上げるケルベロス。震える足に力を込め、大きく咆哮を上げ。
「あら、ありがとう、わざわざ私にくれるのね」
その身を竦ませる咆哮はけれど和泉にとっては逆効果でしかない。
「さあ蝕みなさい、神の毒。その全てを余さず私に寄越しなさい」
強欲と嫉妬は全く違う感情に似ていて、その実よく似ている。
どちらも自分に無いものを欲しい、と思う感情だ。
違いと言えば、他人の存在である。
他人など関係なく、自分に無いものが存在することが許せないのが強欲であり。
他人と比較して、自身に無いものが他人にあることが許せないのが嫉妬である。
和泉の本質である嫉妬とはつまりそういうものだ。
他人と比べて、他人にはあるものが自身にないことが羨ましく、妬ましい。
だから欲する、例え、他人から奪ったとしても。
他人を貶めた分だけ他人から奪う、それが和泉の手に入れた能力だ。
ランダマイザ、ランダマイザ、と唱える。
ランダマイザは相手の全能力を低下させる魔法。そうやって貶めた分だけ和泉が強くなる。
目の前の魔獣の力の全てを徐々に奪っていく。
自身の力が奪われているにも関わらず、けれど魔獣は動けない。
サマエルが常に発生させ続けている見えない毒が魔獣の体を蝕み続ける。
それはサマエルに与えられた名の一つ…………即ち、神の毒である。
神、と言う名を冠しているだけあり、この毒はあらゆる耐性を貫通する。
そして神の毒にかかった存在はその毒の猛威に命を削られ、さらには気力すら奪われ行動することすら許されない。
同時にその肉体の機能の全てを貶め和泉の力に還元していく。
最早魔獣が息絶えるのも時間の問題でしかなかった。
このまま何もしなければ、ではあるが。
* * *
魔獣は地に崩れ落ちていた。全身を襲うのは虚脱感、そして体を蝕む毒素。
命を削られ、精神を削られ、最早咆哮を上げる気力さえも奪われた。
ケルベロスは悪魔ではある、が獣でもある。獣とは須らく直感の鋭い生き物だ。
その獣の本能が告げる、このままでは敗北する、と。
目の前のこの小さな女が自身のこの虚脱感の元凶である、と。
残った力は少ない、だが目の前の小さな存在一つ程度であるならば殺せる程度の力は残っている。
故にこそ、絞り溜めた一撃を持って目の前の存在を葬りさる。
相手は動かない、動く必要が無いからだ。
動きを縛り、力を奪い取り、そして命すら蝕む。時が経つほどに相手だけが有利になっていく。
その油断を突く、本能で最善を選択する。
引き絞られた弓のように、徐々に魔獣の手足に力がこもっていく。
今か、今か、と相手に気づかれないよう、体を崩したまま、ゆっくりと狙いを定め。
ォォォォォォォォォォォォォォ!!!
吼える、と同時に走り出す。地を疾走し、その全身に炎を纏い、そして目前の小さな存在へ向けて突進する。
ピュリプレゲトン
間違いなく、魔獣ケルベロスの持つスキルの中でも最強の一撃。
だが。
「…………おしかったわね。いや、
突き出された女の右手一本。それだけで魔獣の必殺の一撃は止められていた。
少女へとその一撃が通じるだけの力が………………魔獣にはもう、残されていなかった。
つまり、それだけの話しであり。
「妬みの暴圧」
少女から放たれる青い光、それが魔獣の見た、最後の景色であった。
* * *
前々から疑問に思っていたことがあった。
和泉のペルソナ…………サマエルについてだ。
サマエルと言うのは、レベルにして90近い超高位の悪魔である。
和泉のペルソナは、そのサマエルであるはずなのに、だがそのレベルは60にも満たない。
ペルソナだから? 否、自身はペルソナ使いではないので絶対とは言わないが、強い悪魔のペルソナは強い、それは過去のペルソナ使いたちが証明している。
だとすれば和泉のペルソナは何故本来の悪魔よりも遥かにレベルが低いのか。
きっとその答えが目の前の光景なのだろう。
ペルソナとは精神的な存在だ。だからこそ、情緒不安定になると、ペルソナが暴走することもある。
和泉が今までどう思って生きていたのか、それは分からないが、察するに精神性の未熟さ、それ故に和泉はペルソナが本来の力を発揮できていなかった、そういうことなのだろう。
つまり、これが和泉のペルソナの…………否、和泉の本来の力だと言うこと。
圧倒的、その一言に尽きる。
見れば見るほどに一方的であり、戦えば戦うほどに相手が弱っていく。
ここからでは何をしているのかは分からないが、その様子を見ていれば察しも付く。
「えぐいな」
キョウジがぽつりと呟く。先ほどまで身構えていた俺たちだったが、すでにボロボロになったケルベロスの惨状を見て、あの戦いに加わる気は全員失せたようだった。
ナトリはすでにキョウジの指示を受けて、次の動きを見せているし、神父らしき男もギロリと和泉を睨んで帰っていった。
残ったのは俺とキョウジ、そして向こうで戦っている和泉だけだ。
「お前ならどう戦う?」
和泉と魔獣の戦いを見ていたキョウジが、ふとそう尋ねてくる。
そう尋ねられ、先ほどから頭の中で考えていたことを口を出す。
「仲魔全員引っ込めるな…………それから攻撃する瞬間だけ全員召喚する、後は状態異常に耐性を持った悪魔を用意するか、だが」
俺の答えを聞き、キョウジが数秒考え。
「まあ60点と言ったところか」
そう返してくる。なら答えは? 俺がそう尋ねると、キョウジがもう一度考え込み。
「一撃だな、初っ端に一番強力な技を使って一撃で相手を倒す、あの手のタイプは基本的に自身のステータスはそれほど高いわけじゃないから、大概はそれでいけるはずだ」
なるほど、と呟き、けれど反論する。
「「だが」」
そうして呟いた反論の言葉は、キョウジと重なる。
どうやらキョウジも同じことを考えいたらしい。
「あれ、レベルいくつに見える?」
「最低でも80…………下手すれば90以上だな」
そして青い光が弾ける。
夜空を青く染め上げるほどの光が、一瞬眩く輝いたかと思うと…………。
後には何も残っていなかった。魔獣のいた痕跡一つ残さず、すべて消滅していた。
「ガイアの白死、ね…………できれば戦わずに済むことを願ってるぜ?」
それでも負けるつもりはない、とでも言うようにその口の端を吊り上げたまま、キョウジが去っていく。
「そうだな…………俺もアイツと戦うようなことはしたくないな」
どっちの意味でも、だ。
和泉TUEEEEEEEE、って思った方は感想どうぞ。
ちなみに和泉ちゃんの最新ステがこちらである
魔王“■■■■■■”サマエル
LV95 HP4180/4180 MP1590/1590
力85 魔123 体79 速71 運88
弱点:電撃、破魔
耐性:火炎、氷結、衝撃、万能
無効:電撃、物理(確率)
反射:破魔、呪殺
神の悪意、妬みの暴圧、メギドラオン、ランダマイザ
サマリカーム、電撃無効、破魔反射、神の毒
神の悪意 敵全体に万能属性特大ダメージ。さらに何らかの状態異常を一つ引き起こす(毒、能力低下以外)
神の毒 自身のターンの始めに敵全体に毎ターン対象のHPMPを10%減少させる神の毒を90%の確率で付与する。神の毒にかかった対象は50%の確率で行動することができない。このスキルで付与される状態異常は万能属性で判定する。さらに神の毒になった対象の全能力値を限界まで減少させる。
妬みの暴圧 敵全体に力+魔+速の合計値で計算したダメージを与える。このスキルは万能属性の魔法攻撃として判定する。
■■■■■■ 相手が使ったグッドステートの対象を自身に変更する。状態異常を無効化し、自身に付与された能力低下の効果を反転させる(向上させる)。自身のスキルの効果で敵のステータス数値が減少した時、相手の基礎値を減少させ、減少した数値の分だけ自身に加算する。HPやMPが減少したなら自身のHPやMPを回復し、能力低下を付与したなら減少量分、自身の能力値が上昇する(グッドステートではなく基礎値の向上)。
邪悪なる慈悲 自身の与える全ての状態異常の効果が1ターンで消滅する。
Q■■■■■■のスキルの効果が良く分からないんだけど
A簡単に説明すると、能力低下がバステじゃなくて元の能力値自体を下げるようになる(その戦闘の間だけ)。例えばンダ系の魔法が一回に付き10%的の能力値を下げるとすると、力100の敵にタルンダかけると力が90になり、和泉ちゃんの力のステータスに+10加算する。HPも同様なので、神の毒になると10ターンで最大HPが0になる。ちなみに一度に下げれる最大数は重ねがけ4回までなので神の毒くらうと全能力が40%一気に削れます。
Q有栖くんは和泉に勝てる?
Aジャアクフロストでメギドラダインごり押しで勝てます。基本的に和泉の戦術は神の毒でダメージ与えて行動不能にして能力低下させてさらにランダマイザで極限まで相手の能力値を絞り取っていく戦法なので、神の毒が効かない相手にゴリ押しで短期決戦しかけられると弱い。
いい感じにインフレしてきた。
あと1話か2話で三章終了かな?
しかしこれだけ書いて、マジでたった一日の出来事である。
しかも二章の旅行から帰ってきた翌日の話。
自分でも思ったけど、早すぎである。
あと狙撃手の話どうしようかと思ったけど、あれは今色々考えて、面白い設定が生えつつあるので乞うご期待。