序盤に艦これ要素はほとんどありません。
終盤はこれでもかってくらい艦これを出したつもりです
続編を書くつもりはあるので、そこから艦娘をたくさん出すつもりです。
誤字脱字、感想、批判、指摘、なんでも待ってます。
5/7追記 長文過ぎて見にくい、分割して投稿すればもっと読んでもらえるというありがたいアドバイスをいただきました。なので、本文を一度消して、サブタイトルにあるように区切っていこうかなと思います。続編の最前線の少女まで連日で再投稿する予定なので、よかったら見てください。
そんなん我慢できるか! という方は http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6365706 からピクシブに飛んで
青年が一人、海へと続く道を歩いていた。海から流れてくる風は、心地よい温度で青年の横を通り抜けていく。
青年は、片手にバケツ、片手で釣り竿を肩に担ぎ、まだ薄暗い道を、サンダルをパタパタ言わせながら、夏休みを満喫しているような風貌だ。
頭には麦わら帽子、白いタンクトップに黒のチノパンで、どこか呆けた表情を浮かべている。
「さぁて、今日は釣れるかねぇ……」
彼のつぶやきに答えるものは誰もいない。
彼がそのまま歩を進めると、彼の視界には美しい海が広がった。
それに感慨を得る様子もなく、彼は防波堤に進む。
「よっこいしょっと」
そこが彼の定位置であるように、防波堤の先にぺたりと座り込んだ。
釣り竿の先に餌を付け、それを海に放り投げる。動作の一つ一つに気怠さが垣間見える。
「はぁ……」
彼は水平線の先を見ているようで、その実何も見ていないようだ。
なんにせよ、浮きを見ていないことは確かだった。
彼は餌を求めるカメのようにゆっくりと首を右へ向けた。
その方角の先には、何隻もの船が並んでいた。いくつかの船はすでに漁に出たようだ。
今も、何人かの漁師が船に乗り込んでいた。
その内の数人がこちらをチラリと見たような気がしたが、じっくり見ると、どの漁師も自分の仕事に専念していた。
青年はまたゆっくりと正面に顔を戻した。
浮きの先に餌は残っているのだろうか。
それを確かめようか、しばらく待ってみようか、青年がそんなことを考え始めた時、確かな熱量が彼の顔を焼いた。
思わず顔をしかめ、左に背ける。
港の逆には、ドラマのワンシーンに使えそうな立派なビーチがあった。
といっても、この村に観光客など来るのは月に数度なので、ビーチというよりは、自然の中にあるプールみたいなものだった。
村の子供たちにとって、ビーチのようなプレミアム感などというものは、テレビドラマの中の産物だった。たとえ、それが歩いてすぐの距離にあるとしても、だ。
その似非ビーチの真ん中に、赤く光る何かが見えた。
太陽に照らされ、世界が夜から離れていくにつれて、その正体がはっきりとした。
赤いスカート、それが朝日とのコントラストでなおの事輝かしく見えた。
もちろん、赤いスカートだけではなかった。
白いシャツの制服を着た少女が一人、似非ビーチに倒れていた。
その姿は、とても弱々しかった。
****
少女は夢を見ていた。
熱くて冷たい戦いの夢を。
その手には主砲、敵に向けて撃った。敵は沈んだ。
敵が撃ってきた。避けたけど、下から何か来た。避けられなかった。
身体が海に沈んでいく。ゆっくりと。
お腹の辺りが熱い、でも身体はとても冷たい。
けれど、そこより、もっと深いところ。
『ココロ』が痛かった。
次回は5/8の昼12時予定。
僕はたぶん砲雷撃戦行ってます。