ゼロの使い魔~白黒の自称普通の魔法使い~ 完結   作:WryofuW

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あと3ページほどですかね・・。


第四話 虚無への目覚め

 

 めんどくさそうにしながらも巫女は村長へと交渉に入る為、村長宅へお邪魔することに。いきなりの訪問にも動じず、笑顔で向かえられ少し気持ちが和らぐ気がしていた。

 

 

 「すまん。邪魔したか?」

 

 「そんなことありませんよ。むしろ巫女さんならいつでも大歓迎ですよ!それとオーク鬼の討伐、今回もありがとうございます。非力な私たちではどうすることもできませんでした。」

 

 「ここの領主もしっかりしてくれれば問題ないのだがな・・・さて本題を話しても?」

 

 「ええ、とりあえずお茶でも飲んで喉を潤してください」

 

 

 村長の言葉に甘え、一口だけ飲み改めてコルベールに聞かされたことの事情を話す。それを聞いた村長は、何故か頷き笑顔で話しかけてくる。

 

 

 「そうですか。お偉い様に目をつけられるのは厄介ですね・・多分巫女さんは一時的にここを離れるのが心配なのでしょう?」

 

 「・・はいそのとおりです。もし私がいない時に何かあればと思うと・・・」

 

 「でしょうね。しかし心配なされる事は何もないのです。なぜならば私たち村民はずっと考えておりました。あなたに休暇を与えたいと・・・少しくらい休んだって誰も怒りませんよ?それにオーク鬼なんて普通この地域自体くるものじゃないですしの」

 

 

 巫女はその言葉の意味がよく分からなかった。休暇をもらうほど心身共に疲れてない、それに村民?ここの全員を指しているのか?・・と考えれば考えるほど謎が深まり、改めて村長に聞くことに。

 

 村長はやれやれと言わんばかりにため息を吐き、仕方ないと思い口を開く。

 

 

 「巫女さん、あなたはこのタルブ村を何十年も守ってきてくださいました。この恩をどう返そうかと考えておりました・・・。今がそのときなのです!村民の総意なのです!別に出て行けなんて言っているわけではございません。ただ少しくらい」

 

 「あー・・・うん、そうか・・・なんか申し訳ないな。まさかそこまで思いつめていたとは思ってなかった。ふぅ・・分かった、ではお言葉に甘えて一週間くらい貰ってもいいか?」

 

 「一週間とはいわずもっと取ってもいいのですよ?」

 

 「さすがにそれ以上は私が困る。ここを守るのは私の義務だからな・・・」

 

 

 それじゃあ明日にでも行くとしよう。準備があるからまた明日会いにくる。・・と巫女は言葉を残しすぐに神社へ戻っていく。その素早い行動や後ろ姿を見ていつでもこの人は変わらないな・・・と思ってしまう村長だった・・。

 

 ・・・そして出立の時、村人総出でルイズや魔理沙たち、そして9代目博麗の巫女を見送る。

 その時巫女はひとつだけ村長や村人たちに、自分が行った後にやらなければならない事を指示していた。4枚の札とまた別の札を村長へ・・・。

 

・・・

 

 「なぁーなぁ!さっきタルブの人たちになに指示してたんだ?」

 

 「ん?あぁあれはな、もし、もし私のいない間に村に何かあるといけないからな・・・そういう時の為に村を守る札を渡したのさ。東西南北に4枚な。それと村長にその結界の起動の為の札をな」

 

 「へぇ、結界張ることができるんだな!さすが博麗の巫女だな」

 

 「と思うだろ?実は結界張ったり維持したりは苦手なんだ・・あれも何年単位で私が作ったものなんだよ・・」

 

 

 恥ずかしそうに頭に手を置く巫女に対し、魔理沙は 博麗の巫女なのに結界維持が苦手なんだな・・なぁんだ褒め損じゃないか、と正直な感想を口に出していた。すぐに口を噤むがどう見ても遅く、巫女はしょぼんとしていた。

 

 

 「で・・でもな私は妖怪退治が専門だからな。そこらのやつには負けんよ。その代わりに結界の維持とかはあいつ・・守りの博麗にまかせっきりだったけどな」

 

 「ふうん・・その守りの博麗ってのはどんな人なんだ?」

 

 「私より年上だけど敬語とか使われるのが嫌いでな、砕けた話し方だったよ。結界系に関しては一流だったな。うらやましい限りだ・・それでな・・・」

 

 2人の会話の間、ルイズたちは話についていけず文句を言いたそうだったがキュルケの計らいで収まっていた事を魔理沙は知らない・・・。

 

 

 時は過ぎトリステイン魔法学院・・・。

 博麗の巫女を連れたコルベールは早速学院長へ向かうのだが・・後ろには魔理沙も着いてきており戻るよう説得しても駄々をこねる様に否定している。コルベールはため息を吐きながら、ストレスで髪が抜け落ちる気がしてならなかった。

 巫女をドアの前で待たせ、先にコルベールが入っていく

 

 「オールド・オスマン、コルベールただいま戻りました」

 

 「うむ、今は情勢が悪いからのぅ。無事でなによりじゃ・・して礼の件は?」

 

 「オールド・オスマンに直接あわせた方がいいと思い連れてきて参りました。私から見ますに一応信用のできる方だと思います。」

 

 「ふうむ、どんな人かのぅ~女性と小耳に挟んでおるからの~ちょっと楽しみじゃわい。よいかモートソグニル、いつもの配置につくのじゃよ?報告はしっかりとな。」

 

 「・・・このじじぃは・・・んんっごほん・・・巫女さん!どうぞ入ってください!」

 

 

 ドアの向こうにも聞こえるよう少し大きめに声を上げ、巫女に入らせるよう伝える。数回のノックと入る言葉と共にドアが開かれる。

 

 

 「改めてご紹介します。こちらがタルブ村を守っていた方でえーっと・・・巫女さん、でよろしかったでしょうか?」

 

 「問題ないよ。さて・・・久しぶり・・・というべきかな?」

 

 「・・・?はて何処かでお会いしましたかの・・?」

 

 

 ボケるオスマンとまさか覚えていないとは・・・と眉をハの字にしてちょっとだけ落ち込む巫女。それを見た魔理沙は、オスマンに指差しをしながら大笑いしている。それを 女の子がはしたない!女性は口元に手を当ててクスッと笑うものですぞ!と叱るコルベール。カオスとはまさにこのことなのだろう。

 

 

 「あー、本当にわからないか?」

 

 「んー・・すまんのぅ。タルブ村に知り合いはいないしの」

 

 「・・・この赤と白の服、ワイバーン、素手で撃退、守護の札・・ここまでいって分からないことはないだろう・・?」

 

 「ん・・お?・・おおおぉ!?もしやあの時の・・30年前ほどの時の女性か!・・思い出した。すべて思い出した・・このオスマン、命の恩人のことを忘れていたとは一生の不覚・・あの時は態々学院まで運んでくださったのですな・・その後馬鹿どもが追っ払ったと聞いてワシは・・・」

 

 「気にするな、仕方なかったことさ。言葉も通じなかったしな・・それより良かった。これで分からなかったらどうしようかと・・。まぁこれも魔理沙のおかげだよ。ありがとう」

 

 「それをいうなら私よりシエスタだろ?まぁ良かったな!結果おーらいってやつだ」

 

 

 3人がにぎやかに会話する中、いまだに話に入れず寂しそうに見ているコルベールを残し話は進んでいった・・・。

 

 

 その頃ルイズはタバサやキュルケとは別れ、一人自室で魔理沙を待つことに。

 ふと自分がやらなくてはいけないことを思い出し、あわてて始祖の祈祷書を取る。しかしあわてていた為、祈祷書の上にある水のルビーに気がつかず床に落としてしまった。

 すぐに気がつき拾い何かを考えながら指に填めると、始祖の祈祷書と水のルビーが反応し強く光輝く・・・。

 

 

 その頃魔理沙は自分の出番はないと判断しオスマンと巫女、そしてコルベールを残し直接ルイズの居るであろう部屋へ向かう。

 魔理沙はいつも通りノックせずそのまま部屋へ入ると、予想通りルイズが椅子に座っていた。しかしこちらには気がつかず本を凝視していた為、仕方なく声を掛ける・・がそれでも本を凝視しているため近づくとルイズが震えていた。

 

 

 「ル・・ルイズ?どうしたんだ?私なにかやらかしたか?・・」

 

 「・・・ま・・魔理沙・・私・・わたし・・き・・」

 

 「お、おおおちつけ。とりあえず水だ!ほれ、飲んで深呼吸して話せって」

 

 

 ルイズは言われたとおり水を一杯飲み、肩の力を抜いて深呼吸すると冷静になったのか魔理沙をしっかりと見る。

 魔理沙は何を言われるか分からないが、とりあえず身構える。もしかしたら、巫女と話していた時に放置をしすぎたのかもしれないと・・・。

 

 

 「魔理沙おどろかないでね・・・?私の魔法の系統、・・虚無かもしれない・・わ」

 

 「・・・?は?虚無ってえーっと・・ぶりり?・・びりり?・・ぶるるなんとかって人が使ってた魔法だったよな?」

 

 「ブ リ ミ ル!あほかあんたは!・・・ごほん、そうその虚無よ。この始祖の祈祷書と水のルビーが反応したのかしら?頭に流れこむ様にいつのまにか始祖の祈祷書を読めるようになってたのよ!」

 

 「ふーん・・いまだに私には真っ白けっけの本としか見えないけどな」

 

 「そうなの?・・選ばれた人しか見れないのかもしれない。それでこの本に書かれた虚無魔法を覚えたのよ。ただこの本にも注意書きされてたけど本当に危険な魔法らしいわ。えっと・・エクスプロージョン・・自分の視野内の指定した物体を破壊、消滅させる・・らしいの」

 

 

 それを聞いた魔理沙は、火力は大事だけど・・さすがにやり過ぎだと思う・・そしてえげつない魔法だ。いつも失敗していた魔法はそういう事か・・と思い次に考えたのが、ずっと人々に忘れられていた虚無がどうして今更・・と。

 そこまで考えた途端、頭の中で考えていた事がパズルの用に組みあがっていった。今まではごちゃごちゃだったものがこの一件で分かった気がする。

 

 どうして幻想郷住みでさらに数居る生き物の中でどうして私が呼ばれたのか。

 人々に忘れられた虚無、人々に忘れられた幻想郷。幻想郷の魔法使いっていうと数が限られるしその中で性格を考えると私なのか。と想像すると何故だか笑えてくる。

 ルイズが使い魔を呼ぶために、サモン・サーヴァントをすれば必ず私が呼ばれる・・と思われる。運命というのは予め決められているんだろうか?ちょっとだけ縛られてる感じで気持ち悪いけど・・。

 

 

 「くふふ・・あははっ。なるほどそういうカラクリか!いやぁなんだかスッキリしたんだぜ」

 

 「はぁ?なによ!私にも教えなさいよ!」

 

 「へへっ内緒なーんだぜ!」

 

......

 

 


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