ゼロの使い魔~白黒の自称普通の魔法使い~ 完結   作:WryofuW

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第三話 タルブ村 巫女の力

 

 9代目博麗の巫女との話の途中、外にいる村人の悲痛な叫びが部屋の中まで届いてくる。それによりここでの話し合いが中断となる。先代が素早く移動し外へ出ると、知らせに来た村人と出くわし詳細を聞く。

 

 内容は、何故だかは分からないがオークの1個小隊が向かってきているとの事。それを後ろで聞いた魔理沙たちは、すぐに察し先代に予測を含めた昨日の出来事を伝える。

 あの時のオーク鬼は実は、逸れた訳ではなく偵察として単独行動していたらしくやられた事を仲間に知られてしまい、後をつけられたという事である。

 

 先代は一つため息を吐き、オーク鬼の来る方向へと歩き続ける。

 

 

 「み・・巫女さん、あなたもう歳なんですからあんまり無理すると・・」

 

 「コラ!いつも言っているだろう?ここに留めて貰ってる代わりにここを守ると。それに私は博麗の巫女だぞ?妖怪退治は得意中の得意だ。」

 

 村人はその様子を見て諦めた表情をしつつ、すぐに避難の誘導を先決する。

 魔理沙たちは巫女を止めようとするが、それを遮りむしろ避難を催促する。

 

 

 「ここは私たちの村だ。客人に手を汚させるわけにはいかんよ。それに少しだけ腕に自身はあるんだ。ここは私に任せてくれ、オーク鬼程度に怪我をするほうがおかしいというものだ。」

 

 

 その言葉を素直に受け入れられないルイズたちに、タバサがせめて戦う姿を見させてほしいと発言する。

 巫女は困った様子で、取りあえずそれで納得する。魔理沙は箒、ルイズたちはシルフィードへ乗り込む。

 巫女が走りそれを追いかけようと、タバサはシルフィードに指示を出す。・・・その瞬間に待った、の声が聞こえてくる。ルイズたちがそちらを見るとそこにいたのは、魔法学院の先生であるコルベールがそこにいた。

 

 

 「え?ミスタ・コルベール!?どーしてここに?」

 

 「いやはやオールド・オスマンからちょっとした依頼があってね。それで訪れたんだけどオーク鬼が迫ってきてるらしい。君たちも早く逃げなさい」

 

 「ミスタ・コルベール!大丈夫ですよ。巫女さんがいますからっ」

 

 「みこ・・?その人はメイジなのですか?」

 

 

 その言葉に、シエスタとタバサが首を振って否定する。じゃあ、コルベールが言葉を続けるが、キュルケがとりあえずコルベールに乗ってもらい観戦することを提案する。

 提案するといってもほとんど強引なのだが、そのやり方の詳細は・・・省く。魔理沙はその様子を見て苦笑いしている。

 

 博麗の巫女を追いかけている途中で違和感を感じる。コルベールは村人の様子を見ていると、何故か怖がっている様子はあまりなく、むしろ冷静に対応している。その様子にコルベールは疑問に思うが、口には出さず観察するだけに留める。

 

 

 

 「おぉ、ルイズ!見てみろもうやりあってるぞ・・・はーすげえな 人間業じゃないんだぜ」

 

 「うわぁ・・なによあれ。私の目、おかしくなっちゃってるのかしら・・・」

 

 「あれが・・・(・・要注意人物か、太陽の光を浴びても問題ない所を見ると吸血鬼では無い・・・宮廷が危険視するのも分かりますね。もし私たちに害する者であれば・・)」

 

 

 キュルケも唖然としており、タバサにいたっては鋭い視線で警戒している模様。シエスタは見慣れた様子で、むしろ楽しそうに応援している。

 

 そして当の本人である博麗の巫女は、オーク鬼を目の前にしても構えを解かず先ほどの柔らかな目線とが違い、相手を射抜くように鋭い目線で相手の出方を待つ。

 

 オーク鬼は思考能力が高くないが、一番後ろにいるボスだろうか通常より1.5倍ほど大きいオーク鬼が指示を出している。そのため囲むように展開している。

 左の一体が、手に持つ棍棒を振り下ろす形で攻撃を仕掛ける。・・しかし9代目巫女は2歩後ろに下がり、自分の目の前に棍棒が通過する瞬間に左腕に霊力を纏わせ、棍棒の柄付近を殴る。

 目にも留まらぬ速さでオーク鬼の手も一緒に巻き込み殴った為か、物がひび割れる音、そして普通じゃあ聞かないであろう何かが砕ける音と共に棍棒の軌道がずれ棍棒が吹き飛んでいく。

 その隙を見逃さず、巫女は霊力を溜めた右腕でオーク鬼の顔面へ容赦なく叩き込む。さしたる反撃もできずオーク鬼は吹き飛び、地面に叩き付けられそのままピクリとも動かなくなる。

 

 

 「さぁこい、これが博麗の巫女だ。タルブ村を守るものだ」

 

 

 元々博麗の巫女の仕事は博麗大結界の維持、幻想郷に住む人間の味方、そして幻想郷にとって害する妖怪の討伐。

 このタルブ村とオーク鬼のような化け物、そしてそこに住む博麗の巫女・・・まさに幻想郷を縮小したような状態である。それに魔理沙は気がつき、心が震え是非とも加勢したくなる気持ちにでいっぱいになっていた。

 

 

 「おお!?相棒の心が震えてる!喜びかこれは?・・いいねいいね!加勢しようぜ!・・あっ俺っち使ってくれよ?」

 

 「デルフは背中から見て満足してなっ!異変解決は人間の仕事だぜ!」

 

 「え?ちょっ!あいぼぅそりゃないぜ・・」

 

 「ミス・魔理沙!危険です待ちなさいっ!」 

 

 

 デルフやコルベールの言葉を無視し、ルイズに一言伝え加勢する為博麗の巫女の元へ急行する。魔理沙の行動に唖然とするが、コルベールやルイズが慌ててタバサへ追いかけるよう願い出ると素直に頷きシルフィードを向かわせる。

 

 

 「(私はいつも戦いに明け暮れているな。40年はたったか?もう少しで向こうで住んでいた時間と同じくらいここにいることになるな・・・)・・ふっ」

 

 

 9代目博麗の巫女は思考に耽っているが、オーク鬼への攻撃は止まず圧倒していく。殴るだけではなく相手の武器を奪いそれで叩いたり、同士討ちを狙ったりと・・・手馴れた様子で多数の相手の攻撃を捌いていく。

 とそこで巫女の近くにいたオーク鬼が、巨大な光線により体の7割が消し飛びそのまま倒れる。巫女は未知の事態に警戒しつつそちらを振り向くと、そこには霧雨魔理沙が笑顔のまま箒に座っていた。

 

 

 「・・まりさ?お前がやったのか。これほどとはやるじゃないか・・・しかし危ないぞ?下がっていなさい」

 

 「私だって異変解決する側なんだぜ?むしろ霊夢と一緒に解決してたんだからな!私も加勢するんだぜ」

 

 「今の幻想郷は変わったんだな。いい意味で・・な。よしなら後方支援でもしてもらおうか」

 

 「ちぇー。まぁここは譲るんだぜ」

 

 

 その様子に困った様子で微笑む巫女に笑顔で返し、魔理沙は少し離れ弾幕を放っていく。数を減らされ焦ったボスはいったん下がらせ、前に出てくる。

 博麗の巫女は一息吐き、手に力を入れ改めて気を引き締める。オーク鬼は棍棒を片手に持っているがそれで攻撃せず、手を前に向けそこから火を放つ。

 

 

 「フレイム・ボール!?オーク鬼が先住魔法だって!?オーク鬼の亜種なのか!?め・・めずらし・・じゃなくて危ない!」

 

 

 コルベールが危険を知らせるが巫女は特に反応せず、避けるどころかそれを正面から受けようとしている。

 魔理沙も焦りながら急行するが到底間に合わない。ルイズは目を背けるがキュルケとタバサは見続けている。

 

 

 「行動が似たり寄ったり・・。亜種だがなんだろうと所詮オーク鬼。頭の中はからっぽ・・・はぁぁっ反射ぁっ」

 

 

 手に高濃度の霊力を集めその手で受け止めた、と思ったときには巫女の体内に吸収される。その後すぐに手を前に突き出し吸収した力を相手へ向け何倍も威力を高め解放する。

 動物の本能なのかこれは耐えられないと判断し、オーク鬼は武器を盾にしさらに自分の腕を犠牲にする覚悟で体の前に出す。

 

 しかしその行動は無意味だと、喰らったオーク鬼を見れば誰でもわかってしまった。上半身は吹き飛び見るも無残な姿となって仰向けに倒れていた。

 それを見た他のオーク鬼はわれ先と来た道を逃げるという形で戻っていった。その瞬間村方面から歓声が上がる。キュルケもタバサも手に汗握る思いだったようで、肺にある空気を吐き出す。

 

 

 「すっげーな巫女さんやるじゃんか。それが能力か?」

 

 「そうだ、反射する程度の能力。扱いにくいけど威力はなかなかさ。魔理沙のあの光線はそれ以上だったと思うが?」

 

 「ま・・まぁな!へへっ私のは魔法を使う程度の能力。さっきのはマスタースパークって技なんだぜ。火力は大事なんだぜ!」

 

 「お!分かってるじゃないか。火力は大事だ!いい酒が飲めそうじゃないか?」

 

 

 

 他愛もない話をしているとルイズたちが降りてくる。一斉に魔理沙と巫女へと声を掛けているが、コルベールが真剣な表情で巫女へと声をかける。

 

 

 「・・・巫女・・さんでよろしかったでしょうか。少しお話を伺いたいのですがよろしいですか?」

 

 「・・・いいだろう。魔理沙たちは先に戻ってご飯でも馳走になったらいい。シエスタ、案内してやってくれ。私は後で向かうよ」

 

 「・・?わかりました。では皆様いきましょう!」

 

 

,,,

 

 

 「で何のようだ?私だけならまだしもあの子達に危害を加えるのであれば容赦はしない。貴様の視線は獰猛な妖怪の様だったぞ。背中からでも感じていた」

 

 「(任務について話したほうがいいですねこれは・・)・・・っ。いえ数々の無礼を失礼しました。私は魔法学院の教師でコルベールといいます。」

 

 「教師か、それで何のようだ?」

 

 「宮廷からあなたのことを調べるよう魔法学院長オールド・オスマンへ声がかかったのです。そこで私が使わされました」

 

 

 その言葉と同時に任務について書かれた紙を手渡す。じっくりとそれを読んだ巫女は、はぁ・・とため息を吐きそれを突き出すように返す。

 巫女は腕組をしイライラしておりあほくさい、という言葉が漏れそうになるが我慢しコルベールへ話しかける。

 

 

 「事情は分かった。で私にどうしろっていうんだ?宮廷とやらにでも行って身の潔白でも証明するのか?それなら却下させてもらう。私はこのタルブ村を守る者だ、そう簡単に出るわけにはいかない」

 

 「いえ宮廷に行く必要はないと思われます。オールド・オスマンの直筆で問題ないことを証明していただければ大丈夫なはずです。」

 

 「ふむ、それで直接会いにいけと言う訳か」

 

 「・・・一言で言えばそうなります。未知の力は周囲に恐怖を植え付け危険視されてしまいます。まさに今がこの状況です、いままでこのようなことがどうして起こらなかったのか・・と言うのは置いて置きますが・・」

 

 「・・・はぁ、村長に話しかけてみるが期待はしないでくれよ・・」

 

 「ええ、よろしくお願いいたします。」

 

 

 めんどくさそうにしながらシエスタがいるであろう家に向かうことにした・・・。

 

............


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