ゼロの使い魔~白黒の自称普通の魔法使い~ 完結   作:WryofuW

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第二話 タルブ村を30年間守る者

 一方その頃、ルイズにキュルケそしてタバサの三人は、シルフィードに乗りながらタルブへの道を確認しながら飛んでいる。

 今回はさすがにルイズは始祖の祈祷書はもってきていない。がしかし考えるだけならいつでもできる為、先ほどから無言で考え事をしている。

 その様子が非常につまらないキュルケではあるが、集中しているのを邪魔する事は流石にしない。が暇なのは事実である。

 

 そんな状態が数時間、そして夜暗く先がかすかにしか見えないのもあり、さすがに我慢の限界である。

 と思っていた時期がキュルケにもありました・・と。巨大な光線が、ある場所から力強く放たれている。それは木々をもろともせず、突き進んでいく。

 光線が消える前にシルフィードへと指示を出し、その場所へ向かっていく。

 

 一方魔理沙&シエスタ組みはというと。

 

 

 「ふいい、シエスタ怪我はないな?」

 

 「・・ふぁい・・」

 

 

 目の前でマスパを見たシエスタは、口をあけっぱで放心状態になっていた。

 魔理沙がシエスタの頬を優しくペチペチと叩くと、はっ、と我に返り左右を見渡している。

 

 

 「・・!オーク鬼は!?私たちのご飯は!?」

 

 「オーク鬼は塵になったよ。おばあさん、ご飯は数時間前に食べたろう」

 

 「あ、倒してくれたのですね・・本当に助かりました。たぶん逸れたオーク鬼でしょう。ここら辺に巣はないので。(おばあさんって誰のことだろう)」

 

 「・・・なるほどな、んじゃあまた寝なおすか?」

 

 

 魔理沙は二度寝を誘うが、シエスタ自身、頭が冴えてしまい寝るに寝れなくなってしまっていた。とそこに月の光が遮られ辺りが一段と暗くなってしまう。と同時にふと上を見上げるとそこには大きなドラゴンが。

 すぐに八卦炉を構え戦闘態勢にはいるが、そこから見知った顔が降りてくる。キュルケとタバサ、そしてルイズである。

 

 

 「お前らか、お・・ルイズ?なんでここに?」

 

 「えっとその・・ふ・ふん、魔理沙が寂しいと思って急いできたのよ。感謝するなりあの星をくれたりしてもいいのよ?」

 

 「・・・貪欲だし理由考えるの下手だなルイズ。まあいつものことなんだけどさ」

 

 

 ・・・今日はやけに寒い夜と思う一同であった。

 そして朝・・・。

 

 

 軽く朝ごはんを終え、シルフィードの体力も回復したところで改めて出発することに。

 数時間もすればタルブ村も見え、ここからは住民を驚かせないようにと徒歩でいくことに。

 

 先に手紙で伝えていたのか住民数名がシエスタたちを出迎え、家に案内される。

 

 

 「貴族様方、何もないところですがどうぞゆっくりしていって下さい」

 

 「ほんと何もないわね。まぁ期待するだけ無駄かしら」

 

 「こらルイズ!そういうのは思っていても、口に出さないのが上に立つ人の常識だと思うんだぜ?」

 

 「む・・・ふぅ、そうね。前言撤回するわ。ごめんなさいね」

 

 

 キュルケからしたらルイズがここまで丸くなっていたとはまったく思っておらず、成長したわね・・と(謎の)母親目線で見ていると隣のタバサが 30年くらい歳取った? と聞いてしまった。お礼にデコピンをプレゼントをしていた。タバサは何もいわないが、おでこを何度もなでていた。

 

 そしてちょうど昼ごろだったためご飯を食べながら食事をしていると、シエスタが魔理沙を見て 案内したいところがある。と声をかけてくる。

 

 ・・・ご飯も食べ終わり早速、と思ったがキュルケとタバサは少し休憩してから向かうとのこと・・・なので仕方なく魔理沙とルイズを連れ、シエスタはある場所へと向かうのだった。

 

 

 「なぁどこいくんだよ」

 

 「紹介したい人がいるってあの時言ったの覚えてますか?その方のところへ行くんですよー」

 

 「ふうん、だれかしら。魔理沙しってるの?」

 

 「いや?詳しくは教えてもらってなくてな、だから初めてなんだぜ」

 

 「魔理沙が分からないなら私は知るわけないわね。まぁシエスタがそこまで張り切って紹介する人だから外れではないんでしょうけど・・」

 

 「楽しみにしてください!・・・ここですここ!は・・は・・・巫女さーぁーんただいま帰りました!!」

 

 

 シエスタが呼びにいくと魔理沙はその場で立ち止まり、唖然としている。ルイズは急には立ち止まれなく、背中に鼻をぶつけていた。

 

 「・・・ん!?これ・・・これ・・これって・・この木造の家・・みたことある・・これは」

 

 「んぶっ・・・?ちょっと、いきなり立ち止まって魔理沙ぁっ!・・・?大丈夫?このボロ屋に見覚えでもあるの?」

 

 

 ルイズの言葉にも反応しない魔理沙に、ムッとしていたが何かを言う前にシエスタが戻ってきた。その紹介したい人を連れて。

 

 ルイズはその人を見た感想としては、変な服、赤と白で統一されていて派手である。あれ?そういえばオールド・オスマンと魔理沙の話でもそんな人物が話題に上がっていたような・・・?

 

 そんな事を思いつつ魔理沙を見ると、召喚してから今まででそんな顔をするの初めて見た・・あのウェールズ皇太子殿下を魔理沙の手で葬ってしまった時でも、そんな顔はしていなかった。

 今にも泣き出しそうな、嬉しいのか悲しいのか複雑な感情が入り混じっている。そんな感じに思える・・。

 この人は何者?

 

 

 「えへへ紹介しますね!この方ははきゅ・・・えっと巫女さんです!何十年もこの村を守ってくれているんですよ!私が生まれる前から・・祖父とも関わりがあった方です!」

 

 「シエスタ、無理しなくてもいいぞ・・・さてシエスタの友達か、そっちでも上手くやってけてるようで安心だよ。私は巫女、とでも名乗っておくよ。よろしく」

 

 「まだ慣れなくて・・すいません・・・」

 

 

 ルイズは自己紹介しただけなのに、何処かで会った感覚に襲われる。もちろん会ったことはないがこの雰囲気はどこかで。・・そうこれはルイズの母であるカリーヌと似た雰囲気、そして威圧感。その為なのか、無意識に敬語になってしまっていた。

 

 

 「あっ、私はヴァリエール家の三女のルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールといいます」

 

 「ほぅ、あのヴァリエール家の・・・そんな大層な所の子と仲良しになるなんて、シエスタは幸せものじゃないか。これからも仲良くやってほしい」

 

 「は、はい!料理上手く気使いもできる子なので頼りにさせてもらってますわ」

 

 

 ルイズの自己紹介も終わり、次は魔理沙の番だと言わんばかりに視線が集まる。がその人物を見てまた固まっている魔理沙にルイズが、蹴りをお見舞いし意識を戻させる。

 

 

 「魔理沙!あんたいつまで寝ぼけてるのよ!自己紹介でしょさっさとしなさいよ」

 

 「いちち・・蹴る事ないだろー・・・ふぅ、私は霧雨魔理沙。気軽に魔理沙って呼んでくれ」

 

 「!?・・・珍しい名前だな。ここらじゃ聞かないが出身はどこなんだ?」

 

 「・・・それは・・「巫女さんとりあえず中でお茶でも飲みながらでもいいのでは?外は寒いですし」」

 

 「そうだったな、気が回らなかったな。さすがシエスタ、気の回るいい子だな」

 

 

 えへへと嬉しそうに喜ぶシエスタを先頭に、一同は中へ入っていく。

 

,,, 

 

 

 「じゃ改めて、私は霧雨魔理沙、住んでたところは・・・多分巫女さん、知ってるはずなんだぜ、いや住んでいたと言うべきか」

 

 「・・?知ってる?すまん分から・・・その名前、私のよく知る場所。まさか」

 

 「私は、幻想郷からこのルイズに召喚されて今に至るんだぜ・・。」

 

 

 先代と名乗る人の雰囲気が一瞬変わった。それはルイズでもシエスタでも分かるほどに。だが先代は口を開かない、険しい顔をしたままこちらをみている。魔理沙はそのまま話を続ける。

 

 

 「この家といい、巫女さんのその服装。博麗の巫女服だろ?30年前に姿を消した攻めの博麗。一応軽くだけどな香霖・・森近霖之助からも話は聞いてるのさ」

 

 「・・・そうかその名前はこのハルケギニアじゃあ無い名前だ。幻想郷から来たと言うなら納得だな。森近霖之助・・・あぁ懐かしい名前だ・・あいつは元気か?服はよくあいつに任せてたよ」

 

 「・・あぁいつも通りじゃないかな。のんびりして外の世界から来る物を集めては店に置いてるよ。多分今もね」

 

 

 ここまで話したがルイズやシエスタが話についていけず、説明するよう2人に求めている。

 それに答え、先に魔理沙から話しが始まる。

 

 

 「すまん、えっとそうだな。ルイズは私が幻想郷から来たってのはしってるよな。会った頃に教えたから忘れちゃったか?」

 

 「おぼろげに覚えてるわ。神様とか妖怪がどうたら・・・あ、あとオールド・オスマンを助けたのが赤白の脇のでて・・・る?あれ?この先代さんと似たような部分あるわね?」

 

 「多分だけどな。あのじじぃを助けたのはこの人だ」

 

 

 そう言われて先代は、顎に手を置き首をかしげること数十秒。ついでに魔理沙の持つ、残りわずかの守護の札を渡すとおぉ、と声をあげ思い出す。

 いい機会だ、と思い守護の札を懐かしそうになでたり、眺めたりしつつ先代はあの時の状況を話す。

 

 

 「あの時の人はいまや学院長か・・すぐに気絶してしまい名前を聞かず今まで知らなかった。・・三十年とちょっとか、幻想郷の魔法の森を歩いていたら、いつの間にかこのハルケギニアにいてな。大きなドラゴンに襲われていた所だったので私が撃退したんだ。まぁまぁの相手だったな」

 

 「それで置いていくわけにも行かないから、ドラゴンとあの時の人の位置を考えて道なりに進んだ。そしたら大きな建物があったのさ。でも怪しまれて厄介払いされたんだ・・・。冷たいやつだなとは思ったけどまぁ仕方ないことだったのかもな。んでその後は適当に進んでたらここに着いたってわけだ。日本語が分かるシエスタの祖父もいたから色々話し相手になってもらえたよ。」

 

 

 ここまでで何か質問あるか? と巫女が聞くと真っ先にシエスタが手を上げる。

 

 

 「私の祖父も巫女さんも魔理沙さんも全員同じ・・その幻想郷というところからきたんですか?」

 

 「私と魔理沙は幻想郷。シエスタの祖父は幻想郷の外の世界・・同じ日本から来た訳だが幻想郷は日本のどこかにはあるが結界によって離隔されてる場所なのさ。言語は同じだからまぁスムーズにここ、タルブ村に留まる事ができたよ。今でも感謝してるさ・・・」

 

 

 初めて聞いたこの話に、シエスタは上手く次の言葉が出てこず黙ってしまう。そして次に恐る恐るルイズが手を上げる。

 

 

 「三十年という長い月日の間・・帰ろうとは・・思わなかったのですか?」

 

 

 言った後に、はっとし自分がなにを言っているのか分からなかった。

 魔理沙の方を向くと同時に、魔理沙が頭をなでてくれていた。察するのがずいぶんと鋭いようだ。

 

 

 「そりゃあ勿論帰りたかったよ。幻想郷は私、博麗の巫女がいないと維持できない所なんだよ。不幸中の幸いというべきか、珍しく私の代は2人いたのさ。まあ結界の事に関してはあいつ・・・守りの博麗に任せてたけどね・・。

 そしてどうやってトリステインに来たのかも分からないのに帰り方なんて分かるわけもなく・・。それにこれだけ長くここに住んでいると恩を感じてしまうから離れるに離れられないのさ」

 

 

 「それに私はおばあちゃんさ・・向こうにいても仕方ないだろう・・・さて、そんなとこかな?そんな所にいないで君たちも入ってきなさい。シエスタのお友達だろう。外は寒い、暖かいものでも出すよ」

 

 

 そういうと申し訳なさそうにキュルケ、タバサが扉を開け入ってくる。普通にお邪魔しようかと思っていたが、内容が内容のためタイミングがつかめず外で話しを聞いていた・・らしい。

 

 ようやく対面したキュルケは、自分のとはまったく別の熱を感じた。私が微熱ならこの人はそれ以上、触れたらやけどではすまなさそう。と判断する。

 タバサは実際に会って分かったことだが、この人も強いと判断した。すぐにディテクトマジックを使ったが、魔力は感じ無いがまた別の力を感じることはできた。それが何なのかは分からず悔しくなる思い、そして幻想郷という場所に興味を抱くのであった。そこに行けばもしかしたら母を治す薬が・・。

 

 とすぐに思考を払うかのように頭を振り余計なことを考えないようにする。

 

 

 「大丈夫タバサ?」

 

 「問題ない(そんな幻想を抱くなんて私らしくない。みんなを巻き込む必要はない。私だけで・・十分。)」

 

 

 魔理沙は思い出したように、ちょこっと気になることを今聞くことに。

 

 

 「なあなあ本名は巫女って名前じゃないだろ?名前くらいはあるだろ?」

 

 「私の代までしか知らないが・・博麗の巫女は幻想郷を守るだけの存在だ。名前を知られる必要もなければ教える必要もないからな。多分つけてもらったんだろうな、忘れてしまったよ。その霊夢、という子が幻想郷に広まってるって言うことは、必要なことなのだろう。時代は変わっていくものさ」

 

 

 少し悲しそうに話すその姿に魔理沙はやってしまった・・と感じ口を閉じてしまう。

 

 暖かいお茶を出した後先代は改めて、今までどうしても聞きたかった事をつい最近まで幻想郷に住んでいた魔理沙に聞くことに。

 

 

 「私から魔理沙に聞きたいのだが・・・。紫・・・八雲紫は私のことを話していたか?紫に任された仕事を放り投げ、ここに来てしまったようなものだからな・・守りの博麗は・・・今最低でも分かることは今でも幻想郷があるということだ・・」

 

 「んーよく分からないけど、紫はたまに博麗神社をボーっと見ている時を見かける。聞いても話してくれないし興味もなかったから追求しなかったけどな。もしかしたらあんたの事だったのか・・」

 

 「そうか・・・して魔理沙のいた頃の幻想郷はどんな感じに変わっているんだ?」

 

 「んとだなまず今の巫女は、博麗霊夢ってやつだよ。弾幕ごっこ、スペルカードを考えた張本人でなー-・・・.....」

 

 

 ルイズたちは全く話についていけなかったが、どれだけ聞いても興味が飽きず真剣に聞いていた。

 

......




ワルドを出すか出さないか迷ってます。

修正
一部の言葉を変更。+台詞の追加

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