ゼロの使い魔~白黒の自称普通の魔法使い~ 完結 作:WryofuW
ファイナルスパークを撃ったその後、ルイズたちと魔理沙の間にギーシュの使い魔、ヴェルダンデとギーシュが顔をだしきょろきょろ周りを確認している。こちらを見つけると声に出しながら穴から体を出し近づいてくる。
「キュルケにタバサ、うまく繋げておいたよ。いやぁしかしまさかのヴェルダンデがいるなんて思わなかったよ、あっはははは。でどういう状況なのかな?」
実は魔理沙とフーケの戦闘後、シルフィードで空へ向かう時1人と一匹は気がつかなかったが、足に必死に掴む一匹のモグラの姿があった。
魔理沙とルイズはいなかったが、キュルケとタバサ、そしてギーシュが魔理沙の話(ワルドの事)を聞いて念の為に退路を確保するようにギーシュに依頼していた。といったところである。
ギーシュに状況を教え、そのまま外へと続く退路へと進んでいく。
「おーい頼むから俺のこと忘れないでくれよーなぁー相棒の帽子もここにあるんだからよー」
へいへい と軽く返事をしながら回収するとその近くに光るものが。・・・なんと風のルビーである。ウェールズの指に填められた指輪が何故ここに。と思うと険しい顔つきになるが、それをポケットへしまいつつウェールズのいた方を見る。
一礼すると帽子を深く被り、すぐに背を向け外へ続く穴へ入っていく。
丁度その頃、レコン・キスタに雇われた兵士がアルビオン内に入った後、魔理沙が放ったファイナルスパークにより建物のバランスが崩れ崩壊していく。
盗賊である雇われ兵はその崩壊に巻き込まれるのだった・・・。
魔理沙の放ったファイナルスパークを目撃するまでは、したり顔をしていたレコン・キスタ総司令官、オリヴァー・クロムウェルは狼狽えながら秘書官、シェフィールドを問い詰める。
めんどくさそうにシェフィールドはため息を吐いている。
「な・・なんなんださっきの光線は!?ミス・シェフィールド!?こ、これは予定とは違うのでは!?あの光線で数隻の船が落とされたというのに!?」
「・・ッチ・・黙りなさい!・・・予定が狂ってしまった・・・あぁ・・ジョゼフ様になんて言われるか。ジョセフ様申し訳ありません・・・・・!傭兵どもを先行させ私たちも内部へ行って確かめねば。。」
「あ・・悪魔、死神が相手にいるのでは!?ミス・シェフィールド!?何とか言ってくだされ!」
「役立たず!お前は雑兵の指揮だけ執って堂々としてればいいのよ!」
そういうとシェフィールドと呼ばれた女性は容赦なく蹴りを浴びせ、ストレスをぶつける様に踏む蹴るを繰り返す。
結局捜索したがウェールズの死体は確認できず、さらにはワルドの姿さえ確認できなかったと言う。
、、、、
時は進み今、魔理沙たちはシルフィードの上である。かなり重そうで先ほどから鳴いているが、タバサの強行に文句を言いたげだが仕方なく必死に飛んでいる。
しかしギーシュ以外疲れているのか、はたまた思う事があったのか口は閉じたままである。
ここでふと呟く様にルイズの口が開く。
「・・・なんだか無性にちいねぇさまに会いたくなってきたわ・・」
「ルイズの姉さんか、別に会いたいなら会えばいいじゃないか」
「魔理沙、普通に考えて無理よ。時間もなければ遠すぎるわ・・そしてなにより怒られるわ!・・あぁこの世にあれほど恐ろしいものもないわ・・」
「ばれない様にすりゃいいだろ。私が送ってやるよ、私も会ってみたいしな」
「そりゃあ見せるんだったら家族全員に魔理沙の事を見せたいわ、けどお忍びでいくんだったらばれた時がやばいわ・・」
ふうん、まそんなもんかと軽い返事で返すとそれっきり話は終わってしまった。
数時間ぶっつづけで飛行するのは流石にシルフィードの体力が持たない為、休憩を取りつつ姫殿下へと報告しに王都トリスタニアへと向かうのだった。
そして休憩中にふと思い出したかのように魔理沙は口を開く。
「私な思うんだけどよ。ただの恋文程度で結婚が駄目になるとは思わないんだよな・・」
「ま・・!キュルケたちがいるのに!「だろうと思ったわ~まぁ察しはついてたけどね」・・・絶対にいうんじゃないわよ!?」
「分かってるわよ、それで魔理沙の話だけどね。ひとつ言うけどその程度じゃびくともしないわ。うちの皇帝はそんな小さい人じゃないわ。なによりこっちの国にもメリットがあるもの」
「ほー・・で、どんなメリットだ?」
「そうね、まあ分かりやすいのを一つ。ここと比べて歴史的に見るとゲルマニアって日が浅いのよねぇ、技術とかは他を凌駕してるけど地盤的にまだ不安定なのよ。それにおたくとの関係も悪いとはいえないし、だれだって恋文くらい書いてるわよ、お姫さんでもなんでもよ」
「なるほどな。まあルイズもちょっとは気がついていたんじゃないか?」
「う・・まぁ・・でも姫様の命令だもの・・」
気まずい雰囲気が漂うが、あと数十分でトリスタニアにつく所でキュルケとタバサ・・・そしてギーシュとも別れる。
その為、ルイズと魔理沙だけで報告しにいくことになってしまった。タバサが2人について行くならヴェルダンデをここに置いて行く、と言った途端ギーシュが泣く泣く諦めたといった事があった。
後々考えてみればわかるが、置いて行かれた所で問題ないのは主人であるギーシュには分かっているはずである・・。
「じゃあねルイズに魔理沙っ。気をつけていくのよ?ここまで付き合ってあげたんだからご飯くらいおごりなさいよね」
「はぁーはいはいツェルプストーに借りなんて残したくないし・・まぁ助かった部分も多いし、勿論タバサにも感謝してるわ。あ・・ありがと・・」
「・・別にいい、いい訓練になったから。でも、奢るのは忘れないように」
どこまでも食に関しては貪欲なんだな、と改めて一同思い知らされた。
雲に手が届きそうなくらいの高さで飛行しており、トリスタニアまで難なく来れた魔理沙たちは、とりあえず城の庭を目標にそのまま降下していく
「なぁどうやってアンリエッタにあうんだよ、頭の固そうなやつらに話しても無意味だと思うんだがね?これ極秘任務だし・・」
「う、うーん・・確かにそうね。・・てか姫様相手でも態度変えようと思わないのね・・ウェールズ皇太子にもそうだったけど・・」
「そんなんいまさらだぜ。年代だって変わらんつうのにな、・・さて部屋の場所を教えてくれれば向かっても構わないぜ?」
この手紙は直接、渡さなければならない物であり同時に報告もしなくてはならない。たとえ姫殿下の側近だとしても報告を躊躇ってしまうのは仕方ないと思い、それもありか・・と少し考えた後、ルイズは部屋の位置を指差す。
下では兵士が叫んでおり、素早くマンティコア隊が出撃して来ているのを確認後、魔理沙は逃げるようにその部屋へ入っていく。
ベランダへ着地しすぐに窓をノックする。が出てきたのはアンリエッタではなくその母、マリアンヌであった。
「なにものっ!?」 「・・?ああっルイズ!は・・母上、その方々は私のご友人です。とりあえず中に入れましょう。」
「・・・ふぅ全く・・アン、話してもらうわよ?」
、、、、
手紙をアンリエッタに渡すが母、マリアンヌに奪われてしまい、手紙の内容を見た後ため息をついていた。ばれてしまったのは仕方が無い、と思いアンリエッタは報告するよう指示する。
ルイズは今回あった出来事を一つ一つ細かく報告していく。そしてワルドがレコン・キスタ側の人間であり、裏切りののちウェールズ皇太子殿下を暗殺しようとした事を涙ながらに報告。
それを聞いたアンリエッタ自身もひざから崩れ頭を抱えてしまう所を母、マリアンヌに宥められる。
渡すタイミングが掴めないが早い段階で渡そうと思い、魔理沙はポケットから拾った指輪、風のルビーをアンリエッタへ返すため近づき差し出すとアンリエッタは勿論、ルイズ自身も驚き何故あるのか質問する。もう何も驚かない、とでも言いたげなマリアンヌは心を宥めつつ静観を貫いている。
「・・・ウェールズが私に託したんだぜ、アンリエッタに渡してほしい と。だから・・・返すぜ」
さすがに自分が止めを指したなんて真実は話せない為、今即席でつくった嘘の物語を話す。
「・・そうで・・すか。亡命は受け入れられなかった、という事ですね。殿方は・・どうしてこう・・置いていかれる者のことを考えないのでしょう・・か。身勝手なのだから・・・身分の関係上仕方ない・・のでしょうね・・」
「・・・」
その質問に答えるものは誰もおらず静まり返るばかりである。
とそこにノック音が響き渡る。
「姫殿下、緊急事態でございます!今不審な物体が飛んでいると報告がありました。只今捜索していますので外へ出られないようお願い申しあげます」
「・・・ふぅ・・その声は魔法衛士隊のマンティコア隊隊長ド・ゼッサールですね?その件につきましては片がつきました。通常任務へ戻っても大丈夫です。」
「名前を覚えてくださり光栄です!し・・しかしまだ見つかってはいないのですが・・・」 「問題ありません。いきなさい」
「・・はっそれでは失れ・・宰相殿!?」 「うげっ・・これは不味いですわ」 「こら!アン、うげなんて言葉使ってはなりません」
「姫殿下、これはどういう事なのでしょうか?無論説明していただけますね?」
「は・・・はーい少々待っていてください!・・・ルイズにマリサ、今回の任務はご苦労様でした。ルイズ、これをお持ちになってください。それに今回の任務完了に伴い報いねばなりませんからね。あとは普通に帰っても平気ですからドアからお願いね?案内させるわ」
「これは・・・水のルビー・・!?しかし姫様 「いいの、ルイズに受け取ってほしいから、私情でこんなに危険な任務をさせてしまったのですから。本当に申し訳ありません、そしてご苦労様でした・・」」
出る時にマザリーニに驚いた顔をされ、とりあえず一礼し背を向け出て行く。後ろではマザリーニの静かだが重い声が響き渡りつづけていた。・・
そして事後のことはアンリエッタに任せ、魔理沙たちは帰路へ着く・・。
「ねぇ魔理沙、私もう疲れたわ・・・部屋に送っていってよ」
「へーへー同感だな もうあんなん勘弁してほしいぜ・・」
その夜、ルイズは夢を見た。それは夢だが現実のような・・・。
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気がついたときは小船の上にいた。ルイズはすぐに秘密でお気に入りのあの湖だ、と気がついた。
私はそこで泣いていた・・けど宥めてくれた人、ワルドはもういない。魔理沙が・・ころ・・・いや魔理沙は悪くない。悪いのはあいつなんだから・・。
そんなことを考えていると、いつの間にかなんだか古びた変な建物に座っていた。木で作られたボロ家のような、そして目の先には赤い門のようなものが。なんだか気分が安らぐ気がする場所であり、自然に満ち溢れたところなのだろうと・・。
気がついたらいつもの眩しい笑顔の魔理沙がいた。そしてその隣には、赤と白の脇が見えてる変な服の平民。何かを喋っているが聞き取れず険しい顔をしていると、魔理沙がルイズの肩を叩き、赤白の平民と一緒にそのまま飛んでいってしまった。
すぐに光の玉が交差し、マスタースパークの光線も放たれている。これが弾幕ごっこなのだろう・・とルイズは察することができた。
そしていつの間にか隣にドレスのような服に紫色とオレンジ色の模様が入った服をあわせて着ている女性が座っていた。怪しい笑みをこちらに向けながら口を開く。
「ふうん、あなたが魔理沙を呼んだ子ね。私ーーーって言いますわ。よろしくね」
「え?あっ、私ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと言います。あのここは」
「うふふ、気にしなくていいわ。ここはあなたの夢に勝手に写してるだけだから。もう少し時間かかるけどあの子、魔理沙を返して貰うわよ?」
「ゆ・・め?・・・!?だ、だめよ!魔理沙は私が召喚した使い魔なんだから!あんたが誰だが知らないけど勝手なことは許さないわ!」
その言葉を言った瞬間 後悔 という言葉が過ぎった。その貴族のような人間から恐ろしく鋭い視線を向けられてしまい、まるで蛇に睨まれた蛙のような状況だった。ナイフを首に、いや全身に突きつけられ、あと数ミリでナイフという異物が体内に入ってくる近さの様・・。
「あなたの意見なんて関係ないわ。勝手にうちの子を連れて行ったのよ?食われないだけマシと思いなさい。しかし異世界ねぇ・・そんなのが存在するなんて面白いこともあるのね」
「・・・うぅ・・・」
「あら、そんな脅すつもりは無かったのよ?でもあなたの立場をちゃんと理解してほしかっただけよ。まあまた会う機会があるかもしれないしその時はよろしくね?」
「魔理沙を見つけるのにここまで時間は掛かってしまったわ。私ともあろう者が・・けれどまぁ色々結界の問題点も見つけられそうだしなによりそっちの世界が気になるわね、この子についても色々調べたいし・・・さて夢なんて覚えてないと思うけど魔理沙によろしく伝えてね?、ふふ・・・ではまた近いうちあいましー-・・・・・」