ゼロの使い魔~白黒の自称普通の魔法使い~ 完結   作:WryofuW

18 / 33
話がまともに進まないのに文字数的にここで投稿します。


第七話 フーケの事情とルイズの意地

 その頃ルイズ一行は・・。

 

 魔理沙に殿をまかせ、裏口から出てきたルイズたちは一直線に目的の場所、アルビオンへ行く船がある港へと向かう。外は真っ暗で月明かりが柔らかく道を照らしている。

 先ほどワルドが言ってた、この街は賊の住処 と言っていたがそれにしては人の気配もなく、襲われるような気配は無い。もしも襲われてもワルドがいるから大丈夫だろう・・。と他人任せの思考が働き無性に自分自身を叩きたい気分になってしまった。

 

 無意識に歯を食いしばっている所をワルドに見られ、心配するように顔を覗かれてしまい恥ずかしがるのを隠すように、顔を横にずらし目線を外す。しかし横にキュルケが居たせいで目線が合ってしまい、別の意味で歯を食いしばってしまった。何故かキュルケに舌打ちされてしまったが。

 

 すると目線の先に大きな木が見え、あれが港の役割を果たしているのだろう。長い階段があり道も整備されている。しかし時間帯が悪いのだろう、一隻を残し後は静けさだけである。乗ろうとしていた船もなくワルドは苦しい表情をしている。

 手段は選べないと一言つぶやきワルドは、一隻の船へ赴く。それに追従するルイズたち、先の展開を読めてしまったルイズたちは、緊張しているのか顔が強張っている。

 ワルドが多少大きな声で呼びかける。

 

 

 「・・・だれかいるか!?船長と話をしたい」

 

 「・・・あぁ!?こんな時間にだれでい!・・あん?だれだお前さんたちは」

 

 「すまんが急遽アルビオンへ向かわなければいけないのだが今すぐ船を出してもらいたい」

 

 「俺らを足につかうとは・・あんま調子にのるなよ小僧・・」

 

 「私は貴族だ、これを意味する事をお前たちがわからない、なんて事がないだろう?」

 

 

 貴族、という言葉に船長はしわを寄せるように顔を歪める。しかしプライドがあるのか弱弱しくも反論している。

 

 

 「き・・貴族様ですか。しかしですね?この時間からの出航は危険や船員の体調が崩れる可能性もあるのですよ?せめて明日の朝でだめでしょうか?」

 

 「いいやダメだ。無論無償というわけではない。ここに積んでいる荷物はなんだ?」

 

 「大量の硫黄と硝石だがそれがどうした・・どうしましたか?」

 

 「ふむ・・では交渉しようではないか?それの倍を私たちを運んでくれたら出そうじゃないか、貴族の名にかけて約束しよう」

 

 「倍ぃ?二倍・・いや三倍じゃないと駄目だ!・・です!」

 

 「では二倍と半分でどうだ」

 

 「ふうっ、まあいいか・・・商談終了、野郎共!出航だ!準備を急げ!今すぐ出るぞ!」

 

 

 このまま一日が終了する予定だった船員は、不満をこぼしながらもテキパキと準備をしている。その素早さにルイズたちは声を漏らし賞賛してる。あっという間に準備が整い出向するが、ルイズがワルドへ声をかける。

 

 

 「ちょちょっとまって!まだ魔理沙がきてないわ!」

 

 「つかい・・ミス・キリサメは私たちに敵が来ないようにするための殿だ。合流はしないだろう、もし合流するならここではない、もっと先だろう。そのためにミス・タバサの使い魔を置いてきたのだ。心配することはない、大丈夫だよ。」

 

 「・・そう・・ね でも流石に一人で残るのは不味かったんじゃ・・」

 

 「心配するのはいい、だけどねルイズ。あの自信や一人で残るという意思を尊重するべきだと私は思う。それに任務を完遂することが今は全てだ、わかるねルイズ?」

 

 

 頷きたくはない。もしも魔理沙になにかあったら・・と思うとルイズは、胸が苦しくなって悲しくなってくるようだった。キュルケはなんとなくそれを察してか、目線をルイズに向けるだけで何もいわない。

 ちょうどその頃、タバサはシルフィードと視野の共有を図るがそこに移るのは魔理沙はおろか、ゴーレム・・フーケの姿さえみえない。シルフィード自身必死に探しているようで、首を上下左右に振って捜している模様。

 もしかしたら・・・とタバサの脳内に魔理沙が倒された状況が流れるが、頭を振るようにネガティブな思考を振り払う。がしかし、この事をルイズに話せば、もしかすると魔理沙を優先してこの船を無理にでも下りる可能性が出てくるだろう。そうしなくとも任務に支障が出るのは予想済み。タバサはルイズの様子を確認するため一旦共有を停止する。

 

 もう船は出発してしまったため、ルイズは魔理沙のいた方向を見ながら祈るように心配するのだった。その頃魔理沙は・・・。

 

・・・

 

 

 「あーあ・・・私の大事な大事な箒が・・・今までご苦労様だぜ。向こうじゃなくてこの国で置いていくのは心苦しいが、さようならだ」

 

 

 地面と衝突した衝撃なのか、真っ二つに折れた箒を目の前に一、二言いうだけでその場を後にする。

 自分の放った得意技、マスタースパークを直撃したフーケは仰向けに倒れており、服がところどころ破け、焦げた後がある。とそこにタバサの使い魔、シルフィードが嬉しそうに速度を上げ向かってくる。着地するときに風圧が凄く、少しだけ吃驚したがさらにその後の出来事で吃驚してしまう。

 

 

 「うぉ・・ちょうどいいタイミングだったな。フーケの奴は私が退治してやったぜ!へへっ」

 

 「きゅいきゅいきゅいぃ!すごいのね!あのでっかいゴーレム倒すなんて!さすが私より速いだけはあるわね!」

 

 「・・・・?・・・は?」

 

 「・・・きゅい・・・ぃ」

 

 

 まさか話せるとは思わなかった。シルフィードがしらばっくれ様としたから問い詰めた、あれやこれ問い詰めまくった。文屋に負けないくらいには。

 そこで分かった事は、シルフィードが風韻竜という絶滅したと言われている古来から住む幻種の一種らしい。シルフィードが話せることは主人であるタバサから止められており、これがばれると杖で頭をたたかれるらしく、内緒にしてほしいとのこと。まぁ面白いものが見れたしそのくらいは別に何ともない。できたらペットにしたいけど、タバサの使い魔だからあきらめるがね。

 

 

 「で、ちょっくらこいつに聞きたいことあるから待ってくれないか?すぐ終わるからさ」

 

 「きゅい、あなたがいいならいいんだけどさ」

 

 

 魔理沙が指示をだしシルフィードは、フーケの頭を突き起こす。しかし起きずでもう一度突こうとしたらカッ・・と目が開く。シルフィードを見て次に隣にいる魔理沙を見る。

 

 

 「(・・私は負けたんだったね)ふう、あんたの好きにするといいさ!煮るなり焼くなり牢獄にぶち込むなりね」

 

 「別におまえの命なんて興味ないよ、それより隣にいたあの仮面はなんだ?どうしてそっち側にいるんだ?いやまぁ何となく分かるけど・・さ」

 

 「まぁ戦う前に約束しちまったし答えるか・・予想通りだよ、あの仮面はお前らと動向している奴・・だと思う」

 

 「なんだその確証がない言い方は」

 

 「そのままさ、信用されてないのかほぼ全て教えてくれてないし、ようは捨て駒ってところね。でそれだけかい?」

 

 「かわいそうな奴だなー、・・・んーあぁそうそう出来るかは分からんけどさ、折れた箒直してくれよ!あれがないと飛ぶ気が起きなくてさー」

 

 「それくらいなら・・っては?飛ぶ気がないってあれがなくても飛べるような言い方するね?」

 

 

 そうだけど?ときょとんとした顔をする魔理沙に、フーケはあの仮面の男に対して 話が違うじゃないか と心の中だけでツッコむ。フーケは、もしこのまま助かれば大切な妹とずっと一緒に居たいと考えていた。今回のレコン・キスタに参加したのだって復讐の為じゃない、いや少しあったけど・・。今まで以上の稼ぎになるかと思ってたのと脱獄の為だ。

 とそんな言い訳を心の奥で考えながら、錬金でうまく修理していく。とはいってもこの程度あっという間なので、すぐに直ってしまった。ついでに固定化もした、どうしてここまでしたのかは自分自身分かることではない。自暴でもしてるのだろうか?

 

 

 「そら、これでいいかい?」

 

 「ほえー便利なもんだなぁ、私には使えないらしいからうらやましいぜ」

 

 「はいはい、でちゃっちゃと私をどうするか決めてもらいたいんだけど?」

 

 「んー?あぁ今後私たちに危害加えないってのが約束できるなら好きにしたら?さすがにお前だけに気を配ってられないぜ」

 

 「甘い娘だね・・けど今回は素直に感謝するよ、もう隠居でもする気分だったからね」

 

 

 ん、そっかじゃあな とそっけない魔理沙に、やれやれとでも言いそうな顔をするが余計なことは言わないで置く。その意思を曲げられちゃ元も子もないからだ。ともう会う事はないだろうと考え最後に一言だけつたえる。

 

 

 「恩を返すようだけどひとつだけ教えてあげるよ」

 

 「ん?まだ話すことあるのか?」

 

 「私がまだロングビルだったときにあの学院長は、よく女性のスカートの中を覗いてたわよ?無論あなたも」

 

 「・・・・は?本当に言ってるのかそれは」

 

 「そうさ、王宮も何故だかあのじじぃに強くいえないのか大ごとにはなってないから大変ね、じゃそういうことでサイナラ」

 

 

 あぁちょっと! と言うがフーケの自慢の身体能力で闇夜に消え見失ってしまう。魔理沙は先ほどのことを脳内で繰り返す。後にシルフィードは言う。あのときの魔理沙は怖かった・・と。あの状況のまま学院長と会っていたら、この世に髪の毛すら残してなかったかもしれない・・とそれくらい怒っていたらしくちょっとしたトラウマになってしまったシルフィードであった。

 

・・

 

 

 「むおっ・・・なんじゃいまのは、うーむなにかわしの身に何かが起きそうな予感じゃな。・・ま、そんな妄想はトイレにでも流そうかの」

 

 

 いつもどおりの気楽な爺さんである。これ以上でも以下でもないマイペース加減。・・

 

・・

 

 

 それからシルフィードと共に空の旅をする魔理沙は、今後起きるであろう展開を予想する。

 あのワルドが向こう・・レコン・キスタ側の人間で、さらには今回の任務も知っている。今、自分とルイズたちとは別行動を取っているという最悪なパターン。近くにキュルケとタバサがいるが、もしもの時に正常な判断が出来るかが心配である。無論私もその一人に入るのだが。

 とは言え、ここでどんなに思考をしても仕方ないのだろう。空を飛ぶにあたり、今は背中に乗せてもらい案内して貰っている。何故かと言うと急いでいる今、箒に八卦炉をセットすればシルフィードを追い抜くことは可能だが、それを使わないとなるとシルフィードのほうが速度が上である。それともう一つ、今後の為に魔力の消費を抑えること。

 魔理沙が急かす様に背中を軽く叩く。

 

 

 「シルフィード急ごう、さっきの会話を聞いたからにはモタモタしてられないぜ」

 

 「きゅいい、まっかせなさい!私の力みせるんだから!」

 

 

 さらにスピードを上げるシルフィードに魔理沙は、先ほどの真面目な思考が吹き飛ばされてしまったのか楽しそうにしていた。そして魔理沙より先に進んだ一行の乗る船の状況だが、まだ到着してないにも関わらずルイズたちはひとつの問題に直面した。任務がここで駄目になる可能性が出るほど。

 

・・

 

 自分たちが乗っていた船が、別の船・・空賊に目をつけられてしまった。向こうは、こちらの船より大きく主砲の数も倍以上あるだろうそれをこちらに向け、乗り込まれてしまった。

 ルイズが抵抗しようとしたがワルドに説得されしぶしぶおとなしくしているのだった。

 

 

 「ほぉ、硫黄に硝石か。いいもんもってるじゃねえか・・それにべっぴんさんばかりだ」

 

 「おれらも空賊だ!なぁ仲間だろ?手を組もうじゃねえか」

 

 「あぁ?これは俺らのものだ。よく言うだろ?お前のものは俺のもの、俺のものは俺のものだ。へへっ」

 

 「っ・・あんた「ルイズ、ここは大人しくしよう。チャンスはまだあるはずだ、今は耐えよう。大丈夫私がいる」・・分かったわ・・」

 

 「よし客室(牢)へ連れて行け、応答はそこで行うからな!」

 

 

 この船の頭だと思われる者が、連れて行かれるルイズたちをニヤニヤと笑いながらジロジロ見ている。がしかしルイズは、そんな目線を突き飛ばすかのように睨み返す。頭は無意識に ほぅ と声に出しており何を考えたのか近づいてくる。

 その行動にワルドは、危機感を覚え必死にルイズの前に立ちはだかろうとするが他の賊に取り押さえられ倒れこんでしまう。

 

 

 「意地汚いあんたらが私に何か用?」

 

 「ははっ、口だけは達者だな。ルート的にアルビオンへの道のりだよな?何の用があるってんだい?」

 

 「ウェールズ皇太子に会うためよ!邪魔するんだったらあんたらただじゃおかないんだから!」 

 

 

 最初の一言に頭は、険しそうな顔を一瞬するがすぐに戻り理由と問いただす。

 

 

 「ほおん、そんなやつよりよこっち側、レコン・キスタ側に付けよ。報酬もたんまりだしな!」

 

 「ばっかじゃないの!そんな下種な方に行くぐらいなら首くくったほうがマシよ!」

 

 「もう!ゼロのばかルイズ!少しくらい自重しなさいよ!」

 

 「うっさい!えろ河童はお黙り!「なぁにがえろ河童よ!もう少しまともな例え無かったのかしら!」突っ込むところそこじゃないでしょ!」

 

 

 ・・・まさかこの空間にいる2人を除き全員が呆れるとは思っても見なかっただろう。一斉にため息を吐いていた・・・。

 

 

 「・・おい!さっさと連れて行け!俺じきじきに行う!・・ったく、なんだってんだ・・」

 

 「へ・・へい!」

 

 

 ・・・ 

 

 頭が丁度牢へ向かおうとした時、ドアが開かれあせった様子で甲板員が入ってくる。

 

 

 「お・・おおおかしら!こ・・甲板に・・!」

 

 「・・・?なんだ?・・・ドラゴンだと?こんな所でなんだってんだ。弓で追い払え!」

 

 「へぃ!・・・!?すぐに雲に隠れていなくなりました!」

 

 「なんだったんだ?・・・それよりおれぁ牢にいってくる」

 

 

 ドラゴンの行動に疑問を感じながら、頭と呼ばれる男は牢へ向かうのだった。ルイズの発した言葉を思いながら・・・。

 そのころ魔理沙は・・。

 

.........


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。