ゼロの使い魔~白黒の自称普通の魔法使い~ 完結   作:WryofuW

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第四話 アルビオン王国へ出発

 そして極秘任務を行う当日の朝。予定時間まではまだまだある為、魔理沙はコルベールの元へ向かうのだった。

 何故向かうというと前にオスマンから、紋章についてはコルベールを頼ると良い、と言われていた為である。女子寮からはちょこっとだけ離れているが、せっかく気持ちのいい朝なんだから徒歩で行こうと考え、魔理沙は鼻歌交じりで向かうのだった。

 

 

 「おーい、コルベール先生いるかー?」

 

 「こんな朝早く誰だい?・・あぁミス・魔理沙かこんな早くからどうしたんだい」

 

 「おこしちまったか?ちょっと出かける前にこの紋章について聞こうかなって」

 

 

 それのことですか・・ふむ少し待って下さい、と言われたため数分待つことに・・。たぶん部屋の整理をやっているのだろう。あんま気にしなくていいのに、私の所もあんま変わらないし・・・うぅ自分で言ってて恥ずかしいな。・・とコルベールに呼ばれたため、改めて失礼することに。

 

 

 「で、その紋章についてだったね」

 

 「そうそう、オスマンのじいさんからコルベール先生を頼れって言ってたからな」

 

 「はぁ、押し付けてるだけじゃないですか。まぁ自分がわかる範囲で教えますよ」

 

 

 しかしこの部屋は、どうしてこんなに臭いがきついのだろうか?でもなんだろう嗅いだ事あるような・・。河童が機械を動かしている時に嗅いだ事のあるものだ。たしか・・・ガソリン?・・。と思考に耽っているとコルベールが話し始めた為、思考を中断し聞くことに。

 

 

 「ガンダールヴと言うのは、火・水・土・風の他に虚無という属性が存在する。その虚無を守るために存在する使い魔が、ガンダールヴってことなんだよ」

 

 「虚無ねぇ、でもそれって失われた系統じゃなかったか?」

 

 「そう言われている。だけどミス・魔理沙の左手にはそれがある・・・けど現在虚無の魔法使いはいない。だからその紋章がガンダールヴというのも分からないんだよ」

 

 「ふーん、まぁ何でも良いや。そこら辺はコルベール先生に任せるからさ よろしく頼むな」

 

 

 その言葉を聞いたコルベールは、肩を落とし 君までそういう扱いして・・、と呟いていたが無視した。それよりこの臭いの元凶、ガラス瓶に入ったものについて聞くことに。

 

 

 「なぁなぁこれって・・・」

 

 「ん?ああすまない、女の子にはきつい臭いだったね。聞いて驚け!これは竜の血なんだよ!昔凄まじい雄たけびとともに2匹の竜が天より現れ、1匹は消え去ったがもう一匹は何処かに落下したらしいんだ。その時に流した血らしく、運よく手に入れることができた為、私が複製しようと研究中というわけだよ」

 

 

 

 ふうん、と魔理沙は首をかしげ自分の意見を言おうとしたがふと、時間を見る。しまった! と声に出してしまいコルベールに一言感謝を伝え、急ぎルイズの部屋へ向かう・・・。

 

 

 「あっミス・魔理沙!話はまだ・・!・・・全く今時の子は元気な子が多いことだ・・私自身からも聞きたいことあったのにな。あの箒に何か秘密がありそうだし何より、あの小さな丸っこい物、また聞く機会があるだろう・・その時でもいいか」

 

 

・・・

 

 

 魔理沙が急ぎ寮へ向かっていたが、先に中央塔付近に集合していた様でルイズとギーシュが馬を連れ待機しているようだ。そこに魔理沙が姿をあらわすと、第一声がルイズの怒鳴り声で相当お怒りのようだ。

 

 

 「どこいってたのよ!いつまでたってもこないから置いていくところだったわよ!」

 

 「わーるい悪いっちょっと用事があったんだよ、時間通りに来たからいいじゃんか、な?」

 

 「あんたって人は・・「ちょっといいかい?」・・・・なによギーシュ」

 

 「僕の使い魔を連れて行きたいんだけど・・?」

 

 「勝手にすればいいじゃない、でもどこにいるのよ」

 

 

 ギーシュの周りを見ても何もいない為、首をかしげるルイズと魔理沙。すると地面が盛り上がり、大きく土が抉れていく。そこに顔を出したのは人間以上の大きさであるジャイアントモール。ルイズは、そういえばギーシュのは・・と思考に耽っていたが、魔理沙はうぉお、と声に出しながら恐る恐る観察している。

 ギーシュの使い魔であるジャイアントモールは、鼻をぴくぴく動かし何かの匂いを探しているようだ。キラッと目が光ったと思ったら、ルイズに飛び掛り押し倒す。

 

 

 

「ってなななっ何すんのよこいつっ!ギーシュこいつ止めさせなさいよ!魔理沙ぁっ」

 

「すまん私にゃどうしようも…って、わっばか!」

 

ジャイアントモールは、ルイズだけでなくまさかの魔理沙までのし掛かり、帽子の中の匂いを嗅いでいるようだ。その結果、帽子の中からミニ八卦炉が転がり落ち、魔理沙は急いで回収し、大切に守るようにミニ八卦炉を抱え込む。

 

 

「やめろよっこれは大切な物なんだっ!ギーシュ!なんとかしてくれぇっ」

 

「ヴェルダンテは宝石を集めるのが得意なのさ。だからルイズのその指輪に反応したのだよ、…しかし魔理沙のそれは宝石じゃないだろうに、うっかり屋さんだなぁヴェルダンテは!ほんと可愛いな!あぁヴェルダンテ!!」

 

「そんなことはいいから助けろってぇっ」

 

 

ジタバタ暴れる魔理沙から帽子が落ち、そこから中に入っていた物も落ちていく。ただの少し太い紐や細長く一部が約90度に曲がった針のような金属など…。

 

とルイズと魔理沙がジャイアントモールに襲われていたが、何処からともなく大きな音をたてつつ、竜巻のようなものがジャイアントモールに直撃する。ついでに魔理沙にも。

ジャイアントモールは飛ばされた後、数回地面をバウンドし仰向けに気絶してしまう。魔理沙はジャイアントモールの腹に着地し、竜巻が現れた方向を睨み付ける。

 

 空から大きな影と共に、大きく羽ばたく音が聞こえルイズやギーシュもその方向を見る。そこに現れたのは、アンエリッタの護衛を勤めていた者で、ルイズがその時見つめていた人物である。

 ルイズは口に手を当て驚いているが、ギーシュは薔薇型の杖を構え威嚇している。しかしそれに臆することなく、グリフォンに乗る者は慣れた手つきで飛び降り着地する。

 

 

 「僕のヴェルダンテに何をする貴様ぁっ」

 

 「いやすまなかったね、私の許婚の相手が魔物に襲われていたと思ったので咄嗟に対処してしまったよ、私は、アンリエッタ様からの任務の護衛を承ったグリフォン隊隊長の、ワルドだ」

 

 「いいなずけっ!?いやそれよりもあの有名な魔法衛士隊の・・!」

 

 「ワ・・ワルド様が今回の護衛でしたの!?」

 

 「あぁそうだよ、久しぶりだね愛しのルイズ。会いたかったよ・・・ふふ、相変わらず軽いなぁルイズは。ちゃんと食べてるかい?」

 

 

 ルイズは、お姫様抱っこをされ、すぐ目の前に憧れの人がいる為か頬を赤らめ目線をはずす。と目線をはずした先に先ほど風の魔法で吹き飛ばされた、魔理沙が腕組をしながら怒っている様子。

 ルイズはワルドに一言言い降ろしてもらい、すぐに魔理沙に近寄り話しかける。

 

 

 「魔理沙ごめんなさいっワルドに悪気はないの!怪我なかった?」

 

 「だいじょーぶそんな軟な体してないからな、つかまさか許婚だとはな。さすがに予想外だわ」

 

 「そ・・それは親が勝手にそう言ってただけで・・」

 

 「ルイズは僕のことが嫌いなのかい・・?」

 

 

 2人が話していると急に後ろから話しかけられ、びくっと肩を震わせルイズはワルドの方向を見る。ルイズは怒っているようだが、ワルドは笑いながら慣れた手つきで怒りを治めつつ、魔理沙に話しかける。

 

 

 「君が噂の平民だけど魔法使いか、私はワルドだ。さっきはすまなかったね、それと使い魔お披露目会ではなかなか楽しませてもらったよ」

 

 「ちょっとびっくりしただけだし気にしなくていいぜ、私は霧雨魔理沙だぜ。自己紹介は終わったんだ、さっさといこーぜ」

 

 

 それに同意したのか頷き、ワルドは乗ってきたグリフォンでルイズと共に乗り込み、ギーシュは馬で移動。もちろん魔理沙は相棒とも呼べる箒に横から座り込み移動する。ギーシュが羨ましそうにこちらを見ている。無視だ無視。なおギーシュの使い魔、ヴェルダンテはお留守番の模様。

 ルイズたちが移動したと同時に、窓を閉めるような音が響いたが気にせず進むのだった・・。

 

 そして移動中、ギーシュがなにやら気になった様子で魔理沙に声をかける。

 

 

 「あ、そうだ。・・・ミス・キリサメ、聞きたいことあるんだけどいいかい?」

 

 「んな今更固い言い方で私を呼ばないでくれよなー、普通に魔理沙でいいよ。でどうした?」

 

「さっきのヴェルダンテが、ミス・魔理沙の武器に反応したことについてだ。今までに関係ない物を持ってくるなんて犯したことはないんだよ、その疑問が気になってね」

 

 

 魔理沙はなるほど、と頷き帽子からミニ八卦炉を取り出す。言い忘れていたが、先程落とした紐やら金属の棒やらは回収済みだ。

 魔理沙は、突き出すようにミニ八卦炉をギーシュに向けて見せる。するとその行動にギーシュは、ひぇっ…と声に出しミニ八卦炉をこちらに向けるな、とジェスチャーしている。多分、あの時の決闘のせいだろう。仕方なく魔理沙は、ギーシュに近づきミニ八卦炉を向けないように見せる。ギーシュは後に言う、違う意味でドキドキしたと…。

 

 

「これはな、ヒヒイロカネっていう物で出来てるんだよ」

 

「聞いたことないな…どんなものなんだい?」

 

「なんでも、どんなに高温でも形を変えず保っているらしいぜ、いわゆる永久不変だな。まぁそのままだとヒヒイロカネだとはいえ、少しずつ劣化するらしいからその為の防止はされているがね」

 

 「本当にそんなものが存在するのかい…?ありえないよ」

 

 「伝説級らしいからな。そう言えば別名があったな、たしか…オリハルコンだったかな?」

 

 「オ・・オリハルコン!?…あ・・あの存在すらあるか分からない伝説の中の伝説だよ…?本当に存在するなんて、どうしてそんな物を持っているんだい!?」

 

 「へぇそっちの名前で知られているのな、まぁそれで間違いないよ。加工して譲ってくれたんだよ、これがないと生活できないねもう」

 

 

  そこまで言うとギーシュは、口を開けたままこっちを見て固まっている。すぐに魔理沙はやばい、と感じ耳を塞ぐ。その後すぐにギーシュから驚いた表情と共に、大声が炸裂する。

 先行していたワルドとルイズは、ビックリした様子でこちらを見ている。ワルドは、グリフォンを反転させこちらに近づいてくる。必死にギーシュが言い訳しているようでごまかしているようだ。そんなに知られたくない物でもないんだけどな、それとも恥ずかしいからか?・・。 

 しかし、幻想郷にいた頃はそんなに大層な物だとは思ってなかったが…なるほど、これ程の物なんだな。流石、香霖だ。帰ったらキノコ鍋をご馳走してあげよう。

.......

 

 




押し倒されるルイズと魔理沙・・・なるほど閃いた!

___

ガソリンの描写を少し訂正

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