ゼロの使い魔~白黒の自称普通の魔法使い~ 完結 作:WryofuW
いつもの時間にルイズを起こし、髪を梳かし準備をさせる。そして昨日の買い物で手に入れた剣、デルフを背中に携え魔理沙は先に廊下へ出ることに。
部屋から出て通路に出ると丁度キュルケと出会い挨拶する。そのまま背をドアに預け話し込む。
「おっ、キュルケか。それとフレイムだったか?」
「あら、魔理沙じゃない。ゼロのルイズはまだ寝てるのかしらぁ?」
「もう来ると思うぜ? いてっ!?」
と魔理沙が言った途端、魔理沙が後ろに転んでしまい頭を擦っている。魔理沙の背中から謝る声が聞こえ、そちらを見るとドアを開けたまま停止しているルイズがそこに居た。
「わわっ魔理沙大丈夫?どうしてそんな所で突っ立ってんのよ、ってキュルケのせいか」
「ちょっと!人のせいにしないでくれる?」
「あんたがもっと遅く出ればこんなことにならなかったでしょ!」
「いっつも喧嘩してるよなールイズとキュルケは」
2人の様子を見て自分の場合を考える。
霊夢はー・・まあ無いな。パチュリーは・・これも無い。アリスは、近いけどここまで酷くは無いな。
「おぉ!これはあれだな。喧嘩するほど仲が良い ってやつだな!」
「「そんなわけないじゃない!」」
「おー。そんな漫才しててもいいけどな、授業はじまるんじゃね?」
まずい!と思い2人とも魔理沙を置いて走っていってしまう。魔理沙は、別に急ぐことも無いので歩きながら今日の昼飯を考えるのであった。
先に進んだ2人は、無事に時間通り到着し席に着く。そこでルイズは、魔理沙のことを思い出し頭を抱える。しかし授業の鐘と共にギトーが入って来た為、考えるのは後にし授業に望む。
「一番最初の授業だ。自己紹介をしてやろう、私はギトー、二つ名を疾風。疾風のギトーと呼ぶが良い」
そう言うとギトーは、一人ひとり生徒を見ると馬鹿にしたように鼻を鳴らす。何か気に入らないのか、ため息を吐くとキュルケに指を刺し話しかける。まさか自分が指されるとは思っていなかったが、平常心のまま対応する。
「ミス・ツェルプストー、君に質問だ。最強の系統を答えなさい」
「?、虚無じゃないですか?ミスタ・ギトー」
「はぁ、伝説の話をしているわけじゃない。さぁもう一度チャンスをあげよう、答えなさい」
「っ・・・。4系統の中であれば勿論火、ですわ」
やれやれといった様子のギトーにキュルケはムッとするが、一応相手は先生なので素直に引き下がる。
するとギトーは杖を取り出しキュルケに振り向き、にやついた顔を向ける。そのやり取りを、ルイズは見ていてふと魔理沙遅いな・・と思った途端、驚いた顔をする。どういう事かというと・・・
ルイズに置いて行かれた魔理沙は、この広い学院の為盛大に迷っていた。こうなったら徒歩で進むより飛んで探すほうが楽と考え、外に出られる通路から外へ飛び出す。
「そいやあ陰湿な何とかっていう先生だったよな。ちょっと早めに探したほうがいいかな?お?あのピンク髪、ルイズだ」
ここで普通に入ろうとはせず先生の斜め後ろにある窓から顔を出す。すると生徒のほとんどがこちらを見て驚いている様子。ルイズに至っては、開いた口がふさがらない様子。だが魔理沙はそんな気も知らずこちらを見る生徒に手を振っている。
ギトーは、自分の演説に酔いしれているのか生徒の異変に気がつかない様子。するとギトーはキュルケに対し杖を向け、何かを喋っているようで魔理沙は、何を勘違いしたのか 危ない! と思い窓を勢い良く開けギトーに飛び掛る。
「キュルケに何してんだ!」
「おわっ何だね君はっ!?」
飛び掛ると同時に魔理沙は、すぐにその場を離れキュルケに近づく。両肩に手を置いて心配してくれている様だがキュルケは、若干引いているようで周りの生徒はざわつき浮き足立っている様子。
倒れこんだギトーは、何が起きたのか分からず近くに落ちている杖を拾い、周りを見る。と魔理沙を見つけもしやと思い声をかける。
「おいそこのお前、今飛び掛ってきたのは君か」
「ん?あぁそうだよ。キュルケになに杖向けてんだ!あぶないだろ!」
「っ貴様!・・・ふぅ、何を言っているんだ?授業の一環を君は邪魔するのか?」
「授業の一環・・?キュルケそれマジか?」
「ん・・まぁ一応そう、ね(ありがと魔理沙っ)」
やっちまった、と魔理沙はおでこに手を当て唸っている。一方ギトーは怒りに身を任せ魔法を使おうとしたが、先ほどキュルケにしようとしたことを魔理沙にしようと考え悪巧みを考える笑みになる。
「そういえば君はミス・ヴァリエールの使い魔だったか?いいだろう君にも聞くとしよう」
「はぁ?いきなりなんだ?」
「使い魔くん、最強の系統を答えなさい」
最強の系統ときいてちょっと考えるが、魔理沙の答えは決まっているようなものだ。何が系統か、私には関係ないとでも言いそうな雰囲気と共に強く発言する。
「なーにが最強の系統だ!そんなもの火力次第で変わるじゃないか!火でも火力次第で水に勝てるんだぜ?」
「ふん、これだから平民は何もわかっていない。ならば試してみたまえ、君の系統はしらないが得意な魔法を私に撃つといい。その言葉が間違いだということを証明してあげよう」
「え?得意な魔法?いやいや止めとけって、気絶じゃあすまないかもしれないぞ?」
「ミスタ・グラモンとの勝負に勝ったから、といって慢心しているのだろう。その試合は見ていないが、この場で思い知るが良い」
あの試合を見ていた人からしたら、やらせてはいけない と分かっておりざわついている。ギトーの思惑とは違い、生徒の心配する声の対象は、まさかのギトー。 その様子に気がついたギトーは、イライラした様子で催促してくる。
「なぜ私の心配をするのかは知らんが、早くしたまえ。時間がなくなるではないか」
「駄目よ魔理沙っ」 「魔理沙だめっこれは命令よ!」 「教室が壊れる」
「なんだよ3人して息のあったチームワークだな。まあ心配すんなってちょっとここが壊れるだけだから」
もう知らない、とキュルケは言いタバサを連れ後方にいきルイズも追従する。それを見た生徒も逃げ惑うように後方へ移動する。
ギトーは、生徒たちの行動に怒りを覚え魔理沙にさっさと行うよう目線で指示する。
「服の一枚二枚、自分でなんとかしろよ?恋符、マスタースパーク!」
ミニ八卦炉に魔力を込め、その魔力を八卦炉を通し一気に開放する。鈍く甲高い音と共に、巨大なビームをギトーの居た場所もろとも軽く飲み込む。後方にあった黒板、壁、窓ガラスは高濃度の魔力によって消えていく・・・。
ふう、と魔理沙はひと息つき、八卦炉に流し込んでいた魔力を止めると光はすぐに消え四散する。
「あ・・っ・・ま・・まりさっ!あんた馬鹿じゃないの!やりすぎよ!ああああアホ!」
「んー・・・これでもかなーり威力抑えたんだぜ?ギーシュの時の半分以下だぜ」
たはは、と後頭部に手を置く魔理沙とその言葉に、口をパクパクさせるだけで声が出ないルイズ。一方他の生徒はギトーの居た周辺をみると、机も椅子も無い。そして大きな穴がありそこから少し冷たい風が入ってくる。ギトーの姿もそこには無く、これには魔理沙もヤバイと思っているのか如何しようかルイズたちをみている。
そこにへんな頭に装飾されたコルベールが走ってきたのか息を乱し、現状を把握しようと努力してる。
生徒が頑張って笑いをこらえる中、近くにいたルイズがコルベールを見ないように、穴のほうをみながら説明する。コルベールは気難しい顔をし、穴の先を見る。すると・・・
他の道具と共にギトーが木に引っかかっており、服が所々破れ気を失っている。この後に控えている事を考えると、現実逃避したいコルベール。がしかし、運が良いのかこの教室は正門のある方位とは真逆であるため、一応は安心である。
「(やりすぎだとは思うがこれで頭を冷やして物事の考え方を改めてくれればいいですけど・・)」
「そ・・それで先生は何しに?」
「・・!はっそうでした!皆さん急ぎ正装をして正門へ移動してください」
生徒はこの言葉に首をかしげ、ざわついている様子。コルベールは一喝し黙らせるとはっきりした口調で伝える。
「今日は大変良い日となるでしょう。何故ならばこのトリステイン王国の王女様、アンリエッタ姫殿下が、このトリステイン魔法学院へご来訪なさるのですから。しかし、もう少しで到着されるようですので急ぎ仕度をし出迎えるのです」
一瞬の静けさの後、その言葉を理解した生徒はわれ先と教室を飛び出し自室へ向かっていく。勿論ルイズたちも含まれ、魔理沙はまたもや置いていかれることに。グダグダ言われるのも嫌なので魔理沙は、コルベールにばれる前にさっさと穴から飛び降りルイズの部屋へ先に向かう事に。
・・・・
「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなーーーりーーーっ」
馬に角の生えたユニコーンという魔物に馬車を引かせており先へ進んでいく。生徒は口が開きっぱなしになっており早くその目にアンエリッタ姫殿下の姿を見たいようだ。
キュルケは生徒と同じ方向を見ているが、タバサは興味ないのかばれない様に読書をしているようで魔理沙は 何時も通りだな と苦笑いする。がルイズを見てみると違う方向をみてそちらに意識が持っていかれているのか、一人だけの世界に入っているようだ。
「?おいルイズどうしたんだ?何見てんだよ」
「・・・・・」
仕方なく同じ方向を見ると大きなグリフォンにのって静かに進んでいる灰色のひげを生やした男がまっすぐ前を見ている。
魔理沙は ははーん と何かを感じニヤニヤしながらその人物を見る。
「(・・・ルイズにゃ悪いけど私好みじゃないな)」
そう考えていると行進が止まり一番装飾されていそうな馬車から姫殿下と思われる人物が姿を見せ所々から おぉ と声が漏れている。
キュルケはその姿を見て ふうん と一言いうと続けて呟く。
「私のほうが美人じゃないかしら、ねぇ魔理沙どう思う?」
「え・・?あ・・ぁあどっちも美人だとおもう、ぜ?(キュルケはもう少し化粧を抑えればもっと良くなると思うんだけどな、こんなこと言えないな、はは・・)」
アンリエッタは護衛と共にオスマンの前まで移動すると、話しかける。
「急にきてしまい申し訳ありませんでした。ミスタ・オスマン」
「いえ!いえ滅相もございません。生徒共々お待ちしておりました」
「今回の使い魔お披露目会、楽しみにしていますわ」
「生徒も力が入ることでしょう。楽しみにしていただければと思いますじゃ」
その言葉に魔理沙は、首をかしげなんぞそれは・・と呟くとルイズは何かを思い出したかのように口元に手を置き固まっている。キュルケはまさかと思い恐る恐る聞くことに。
「ルイズ、まさか・・とは思うけど忘れてたとかいわないわよね?」
「え?そそそんなこと無いわ!も、ももういつでもかかって来なさいってかんじね!!」
「ふうんあらそう。楽しみにしているわね?ゼロのル・イ・ズ?」
「なぁ何なんだそのお披ろ、っ・・!?」
「((後で説明するからだまってなさい!))」
なぜ殴られたのかも分からずちょっとだけ気分が悪くなる魔理沙だった。
そしてこの日の授業はすべて無くなりお披露目会の準備や練習の時間に割かれることになった。そこで魔理沙にも説明し急いで何をするかを考える。しかし魔理沙は、ニヤリと笑い簡単じゃないか、と言い耳打ちする。
「えっ!でもほとんど私出番ないじゃない!」
「まぁそうだけど他の生徒にはできないことだぜ?ルイズのあのときの練習を今みんなに見せ付けるときだぜ」
「・・たしかにそうね、私ができることをするだけよ!恥かかさないでよね魔理沙っ!」
「へへっ、一位とってやろうぜ」
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