ゼロの使い魔~白黒の自称普通の魔法使い~ 完結 作:WryofuW
オスマンは話し合いが終わったため一足先に、学院長専用席へ移動する。が魔理沙だけがその場に立ち続け待機している。
ルイズたちは魔理沙の行動に疑問があったが魔理沙自身が 先に行ってくれ と真剣な目線で言うため不満もあるが、ルイズたちは先に行くことに。
オスマンも気がついたのかこの行動に疑問を感じ振り向き対応する。
「じいさん、すまんね 聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「人払いもして質問とな?・・・よほど大事とみえるのう、わしに答えられるものであれば聞くがよい」
「あぁ助かるよ 早速だけど、魔力って人によって違いがあるのか?例えばコルベール先生は火だっただろ?キュルケも火だ、これはまったく中身は同じなのか?」
「なるほどなるほど、もちろん違う。人によって様々じゃ、魔力の質は血がつながっていても微妙に違うものだといわれておるの、それがどうしたというのじゃ?」
「んー・・・いや気のせいかもしれないけどもしかしたらフーケと教師の誰かが同じ感じがしてね」
「なんと・・?魔理沙、おぬしはそういう方面にも精通しているのかの?これはかなりすごいことじゃぞ・・・いや今はそれどころじゃなかったの」
ゴホンと一咳し、雰囲気を入れ替え改めてその人物が誰だかを聞くことに。
「して名前はわかるじゃろうか?そのフーケと同じように感じる魔力の者を」
「ロングビルって名前のやつな さっきそこにいただろ? 誰でも魔力は洩れるものだから分かったよ」
「なんと!まさか・・・いや・・ううむ・・・わかった、魔理沙の言葉を信じよう。だとすると危険じゃのう・・・よしならばこちらからコルベールを派遣しよう」
「あの人が?大丈夫なのか?その・・・言いにくいけど戦力になるとは。」
「戦力的に見ると学院の中では3本指の中に入るぐらいじゃ、心配するでない・・それと宝物の件も解決したい。じゃから泳がせようと思う 良いな?」
魔理沙は頷くと、少し遅らせて向かわせるようにするからコルベールの説得は任せなさい。 とオスマンが言うと魔理沙は、まぁこんなものかと思い改めてフーケ捕獲のためルイズたちと合流することに。
そして今は馬車で移動中。最初はやる気のあった生徒たちだったが数十分もすると同じ光景で飽きてしまったのか寝ていたり本を読んでいたりと自由気ままに時間をつぶしているが魔理沙にいたっては馬車すら初めてなので割とテンションが高めである。
魔理沙はルイズにあれやこれや嬉しさを共感してほしいのか話しかけている。
「馬車って飛ぶのと違って地を走る訳だから楽しいもんだなあ、なぁルイズもそう思うだろ?」
「むしろ私は、馬を扱うほうが圧倒的に多いんだけどね・・・」
「住むとこが違うと変わってくるもんだな!」
はははっ と笑う魔理沙であったが次に、フーケかもしれないロングビルへと探りを入れるため、ルイズとの会話を中断し後ろから声をかける
「なぁー先生はなんの属性使うんだ?」
「私は土の属性を扱うわ、あなたは何を扱うのかしら?」
「私?ーん…、光…?星かな?まぁそんなことより盗まれた宝ってどんなものなんだ?」
「・・・紙に文字が書いてあるだけの物ですがオスマン学院長を助けた人から譲ってもらったらしいです」
へぇ・・・とそれについて興味はあるほかの話題に移ることに。
ロングビルの出身など聞こうとしたが躊躇われルイズに後頭部を殴られ襟付近を引っ張られ元の位置へ戻されてしまう。
魔理沙はルイズのこの行動に不満があるのか、ぶすっとした顔をするが渋々従うことに。
ロングビルからもう少しで着きます と言われボーっとしていたルイズたちは、気を引き締める。
「これ以上ばれる危険性があります。ので降りて徒歩で行動しましょう」
「えぇえ!?歩く・・むぐっ」
「ルイズ、うるさい。おだまり」
ルイズのわがままが炸裂しそうになったがキュルケの迅速な対応でなんとかなったがそれでも不満そうである。
少し進むと古びた小屋のようなものがそこにはあり人が住んでいないほどに寂れているようだ。
草で隠れられ目視できる位置まで移動するとそこで作戦を考えることに。
「先生、なにか言い案ありますか?」
「そうですね、とりあえず誰かに偵察してもらう、というのはどうでしょう?」
他も同意したのか声には出さず頷いておりさらにロングビルは、腕の立つ魔理沙に行かせるのはどうか という提案を出し他の者は文句が無いのか魔理沙を見ているが、魔理沙自身は乗り気ではないようだ。
何故なら、フーケかもしれない者から目を離すことになるからである。しかしここで拒否すると標的から疑心暗鬼にさせてしまうと考え仕方なく了承することに。
しかしここでひとつ保険としてタバサだけに伝えることに。
こうなると考え、事前に紙に状況と指示の紙を書いておいたためタバサへ渡す。
「タバサ、これを・・・そっちは任せたぜ」
「・・・?・・・わかった」
そして魔理沙は古びた小屋へ向かいそれを見計ったようにロングビルは偵察のためルイズたちに一言伝えその場から離れる。
少し離れたタイミングでちょうどコルベールが到着。またこの予想外の援軍でルイズが驚きの声を上げそうになるがキュルケのすばやい行動で収まりタバサはコルベールに説明と指示を出す。
「犯人だと思われる人はそっちへ行った。動いたタイミングで仕掛けてほしい。」
「オスマン学院長の言葉を信じるがまさかあのミス・ロングビルが土くれのフーケだなんて・・」
「え!?ミス・ロングビルがつ・・・むぐっ」
「ルイズって本当に学ばないわねぇ・・・私は、頭がパンクしそうだけど考えないようにしたわ」
とここで静かに進んでいた魔理沙が、古びた家前まで着き窓を目だけ出すように確認する。
遠目から見ても暗く少しだけ天窓から注ぐ光があるだけだが何を思ったかすぐさま立ち上がりドアまで開けてしまう。いまだ隠れているルイズたちに魔理沙は、こっちへ来るよう手招きする。
合流し内部へ入る魔理沙に危険じゃないかとルイズは言うが 魔力の気配が無いと言いそのまま進む。
「ほんとうねぇ、埃っぽいし長居したくないわね・・・」
「確かにそうね、ん?魔理沙これが宝とかいう紙切れ?何枚かあるようだけど」
「おお!ちょっと見せてくれよ・・・これだ間違いないぜ!いやぁよかったよかった、とりあえずルイズ持っていてくれよ、私じゃあ無くしちゃいそうだし」
机の上に適当に置かれたようにある守護の札をルイズが内ポケットへ丁寧にしまい外に出る。
「そんなのが宝なんて変な話よねぇ 宝って行ったら良い書物とか武器とかそういうものなんじゃないの?」
「確かにそうだな、あのじいさんの考えもあったんだろう。とりあえずそれ持って帰ろうぜ」
全員が外へ出ると一部の木から火の手が上がっておりルイズは短く悲鳴を上げる。
しかしその木は倒れており、他には延焼していない様子。 燃えていなくともなぎ倒されている木も多数ありそこで誰かが戦闘している様子でそちらに目をやるとコルベールとロングビルが戦闘をしていた。
しかし火と土では相性が悪いのか苦戦している様子で一瞬の隙を付かれてしまう。その隙を見逃すわけも無く、土くれフーケによって生成した土の手により足を拘束される。
「アースハンドか、しまったっ・・発火!」
土くれのフーケが行った呪文、アースハンドはドットノスペルで地面から手を生成し相手の足を拘束するだけの呪文であり、火でも簡単に焼き払うことが可能である。使い道は少ないが一瞬だけでも気を他に向けさせることができればフーケからすれば大成功である。
フーケは下から上へ杖を一線させ素早くゴーレムを生成しその肩に乗る。
「・・さてお前たちに聞きたいことあるんだよ その小屋の中で守護の札があったわね?それの使い方を教えてもらおうか、おっとコルベール先生も動かないでもらいたいね、生徒がどうなっても良いのかい?」
「・・・くっ」
「あ・・あんたフーケだったのね!ずっと騙してたなんて・・・許さないから!」
「質問以外のことは黙ってもらおうか」
口を噤むルイズと他の生徒だが魔理沙だけは口を噤まずタバサに目線を一瞬送るとタバサは分かったのか視線をフーケへ戻す。
「なぁおばさん、私たちにだってこれの使い方知らないんだぜ?というか生徒が知るわけも無いじゃないか」
「おば・・っ口の悪い使い魔だこと、すこしお仕置きが必要な用ね?やりなゴーレム」
ゴーレムが腕を大きく振り上げると、魔理沙へ向け振り落とす。が魔理沙は予想済みなのか後ろへ飛び後退する。つもりだったがルイズが魔理沙を守ろうと身を挺して盾になるため前に立ちはだかる。
これには予想外の行動で魔理沙は、すぐさまルイズをタバサのほうへ向け投げ飛ばしタバサはすぐさまキュルケとルイズを乗せシルフィードで上空まで後退する。
「だめ魔理沙!にげて!!」
「こ・・こらルイズ暴れないの!落ちちゃうでしょ!」
「だめ魔理沙が魔理沙が!」
コルベールがすぐに魔理沙の下へ向かおうとするがどうやっても振り下ろす速度には追いつけず思わず舌打ちをしてしまう。
そのままゴーレムの一撃が魔理沙を襲い土煙が舞う。
ルイズもキュルケも視線をはずし目をつぶってしまう・・・、しかしコルベールは驚いた様子で土煙の中を見る。
上にいたタバサも声には出さないが目を見開き驚いている様子でそれにキュルケが気がつきルイズも続いてその様子をみる。
「・・・ふぃー・・・やっぱこういうやつだったか・・・懐かしい感じがしたと思ったんだが名前と良い予想通りってか・・・嬉しいような複雑な気分だな・・・」
薄い膜のようなものが小さいが一定範囲に出現しこれはまるで“結界”のようである。
魔理沙が生きているということだけが嬉しく思わず涙を流しそうになるルイズだが、戦闘は終わったわけではないのでフーケをきつく睨む。
「・・!?、守護の札か!、まさか自動発動だなんてね・・・やっかいね」
「・・こんなところで過去の事を躊躇しているわけにはいかない!いけ!蛇よ、ゴーレムを溶かせ!」
コルベールがチャンスと思い杖から巨大な炎の蛇のようなものを出しゴーレムへ絡みつかせる。
焦げる臭いとともに炎の蛇が触れている部分が溶けたりぼろぼろと崩れていく。
「な・・なぜ再生しない・・!?きゃっ・・」
「再生できないくらいまで焼き溶かしたからだよ」
肩からバランスを崩したフーケは何とか着地するが、背後にいた八卦炉を構えた魔理沙に動きを制限されてしまう。
フーケはこの時点で、潔く負けと判断し抵抗せずコルベールにより拘束される。と同時に空にいた三人も寄ってくる。
「馬鹿!魔理沙の馬鹿!どうしてあんな無理するのよ!」
「え・・?あれ?私が悪いってことになってる?」
「それより魔理沙、どうしてゴーレムの攻撃防げたの?」
キュルケが、全員が思っている疑問を口にしたためルイズも魔理沙を見て答えを待つ。
あぁあれか と魔理沙は言うと手に持っていた灰のようなものを見せてくる。
「これ守護の札だよ、使ったから灰になったけどな」
「え!?でも魔理沙使い方知らないって言ってなかった!?」
「そりゃ分からないさ でもこれは持ち主が危険に晒された時に自動で発動してくれるもののようだな」
「あれ?魔理沙って全部ルイズに渡したんじゃないの??」
とキュルケの言葉にルイズは、自身の内ポケットを探す。とそこには受け取ったときの数どおりの守護の札がありルイズは困惑する。
どうして と思い魔理沙を見るが、笑顔のままだ。そこで察したのかルイズは、あの時か! と声を上げる。
魔理沙に一度だけ手渡した小屋での出来事のときしか考えられない。
暗かった為、盗んだ行動が分からなかったようだ。
これにルイズが文句を言おうとしたが、ゴーレムの一撃を助けてくれたものだから唸るだけで何も言えなかった。
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