ハイスクールD×D 俺と愉快な神話生物達と偶に神様   作:心太マグナム

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久しぶりに更新します。

前回手をぶった切られたりした定治ですが今回はチートタグに恥じない活躍をします。

それではどうぞ。


"とっておき"、使っちゃいます!

「クッ、いきなり落とすとはやってくれるなミ=ゴ」

 

「重かったから」

 

「お、重くなどない!他の同年代の女子より多少筋肉は多いがまだ適正体重だ!」

 

ミ=ゴに落とされ顔から地面に激突したゼノヴィアは顔面をさすりながらミ=ゴを睨む。

 

しかし睨むゼノヴィアに対してミ=ゴは無感情に返しており、ゼノヴィアを落とした事について全く気にしていない様子。ミ=ゴとは短い付き合いだがずっと無感情に返され続けているゼノヴィアが感情を荒立たせていると敵を見据えている定治が声を荒立たせる。

 

 

「おい、漫才なんかやってる暇ねぇぞ!ゼノヴィア!一手間稼いでくれ!」

 

「死ねや狂人野郎ゥゥゥゥ!」

 

「あ、ああわかった!」

 

定治の声にゼノヴィアは直ぐに戦闘へと気持ちを切り替え聖剣を握る手に力を入れる。

 

 

戦闘態勢に入ったゼノヴィアは真っ直ぐ向かって来るフリードを見ても動かずフリードが間合いに入るのをじっくりと待つ。その光景にフリードは勝利を確信し、口元に笑みを浮かべる。いくら聖剣エクスカリバーの一振り、破壊の聖剣といってもこちらは何本ものエクスカリバーを錬金術で束ねた一振り、質が違う。相手が剣を振るうより早く心臓に突き刺して終わり、とフリードは脳内でシュミレーションをしてその通りにゼノヴィアに斬りかかる。

 

エクスカリバーの力で手に入れた驚異的な速さに身をまかせるように真っ直ぐ自身のの心臓目掛けエクスカリバーを突き立てるフリードを見てようやく動き始めるゼノヴィア。しかし既に距離はもう遅い、避けられず、返し技も放てない間合いに入っている。ゼノヴィアの心臓にエクスカリバーが突き刺さる光景を誰もが目にすると思ったその時"ガギン‼︎"と金属がぶつかり合うような音が響き渡り、フリードの手には激しい衝突により生まれた衝撃が伝わって来る。

 

 

フリードが目にしたのは剣の腹でエクスカリバーを受け止めるゼノヴィアの姿。ありえない、いくら破壊の聖剣といえどいくつもの聖剣を束ねたこのエクスカリバーを受け止めきれるものでは無い。予想外の事態に困惑するフリードとは対象にゼノヴィアはこの光景を知っていたかのように口角を吊り上げる。

 

 

「これはデュランダル。ローランが叩き折ろうとしても決して折れることのなかった伝説の聖剣。不完全なエクスカリバー如きに砕けるものではない。定治!」

 

「オラァ!」

 

ゼノヴィアの声と同時に定治の蹴りがフリードの横顔に突き刺さる。フリードの顔からは骨が砕けるような音が聞こえ、それと同時にその身体は横に飛んでいき激しく地面を擦った。あの蹴りを受けてはもはや立ち上がることすら困難だろう、一瞬でフリードを退場させてみせたゼノヴィアと定治は油断する事なく直ぐにコカビエルの方へ意識を向ける。

 

「さて、一人倒したがこれからどうする定治。奴は聖書にも名を残す強大な堕天使、デュランダルだけでは勝てんぞ」

 

「そうだな……よし決めた。お前が"とっておき"を見せたんだ。なら今度は俺の番だ。俺の"とっておき"、見せてやるよ」

 

「ほう?随分と自信があるようだな」

 

眼前に強大な敵がいるというのに定治は楽しそうに笑う。"とっておき"という部分を強調しながらかなりの自信を見せる定治にゼノヴィアは妙な安心感を覚え定治に任せようと一歩身を引いたその時、ゼノヴィアの上に漂い沈黙していたミ=ゴから声が発せられた。

 

「待て定治。まさか、"アレ"をやるつもりか?」

 

感情が無いとされるミ=ゴが見せたのは明確な恐怖。もしも定治が見せようとしている"とっておき"がミ=ゴの予想しているモノなら絶対にやめさせなければならない。

 

だが焦り、止めさせようとするミ=ゴに対し、定治は笑いながらチッチッチと指を振る。

 

「大丈夫だミっちゃん、今回は"アレ"をやるつもりは無いって、使うのは4分の1だけ。あいつらを呼び出すつもりはねぇって……あいつら呼ぶとこの街がほぼ確実に消滅するだろうし」

 

「ならいいのだが……」

 

定治は安堵するミ=ゴから視線を会話の内容をいまいち理解出来ていないゼノヴィアの方へ向けると、ゼノヴィアに分かりやすく説明するように話し始める。

 

「あまり使わないんだけど実はルールブックには隠された章がいくつかある。恐らくは聖書の神が意図的に隠したと思われる章、今回はその一つを解放する」

 

「主が隠した、だと……!?それはつまり、主が封印しなければならないと思うほど危険な章ということか……!?」

 

「さぁ?それは"神のみぞ知る"、だ。まぁちっぽけな人間の俺が一つ言える事があるとすれば今から解放する章は生まれてからコレを持ち続ける俺ですら手に余るモノだって事だけだ。おっと、ナーク=ティトの障壁の想像!」

 

それだけ言うと定治はコカビエルが投擲した槍を障壁で防いでから親指を勢いよく噛み意図的に血を出すとルールブックの1ページ目、目次欄の上部分の白い箇所をなぞる。するとそこには"禁断の叡智"と書かれた文字が浮かぶ。

 

「我、見つけるは決して人が知り得てはならぬ禁忌!ルールブック第0章"禁断の叡智"、解放!!」

 

"Quarter Balance Break!!"(1/4禁手化!!)

 

 

「我、見つけるは決して人が知り得てはならぬ禁忌!ルールブック第0章"禁断の叡智"、解放!!」

 

定治の声は校庭に響き、その声はナイ神父、そして一誠たちの耳に入る。

 

「ほう、定治は0章を解放する気になったみたいだね」

 

「0章……?」

 

「ん?知らないのかい?なんだ定治の事だから親友のキミにはてっきり話しているものだと思っていたが。……いや、内容が内容だけに流石に話せないか。フフ、そのまま私の椅子になって見てればいい。そうすれば0章がどういうものなのかわかるよ。」

 

定治の0章を解放する宣誓にナイ神父は笑った後、0章が一体なんなのかわからず困惑する一誠の上で足を組み直しこれから定治によって振るわれるだろう蹂躙劇を想像し、より深い笑みを浮かべた。

 

 

0章を解放した定治にルールブックが答えるように定治の脳内に0章の目録を書きこんでいく。現在定治の脳内に書き込まれている目録はいわば知識のタイトルのようなもの。だが0章の目録はタイトルだけと言えど膨大な量があり、それらが時間にしてわずか数秒で定治の脳内に一斉に書き込まれていく。、脳に書き込まれた膨大な情報に定治の脳は悲鳴を上げ激しい頭痛となって定治自身に襲いかかる。

 

わかっていたとは言え、襲いかかる激しい頭痛に定治は苛だたしげに頭を叩く。

 

「ア"〜クッソ、頭は痛ぇし気持ち悪ぃ。やっぱ最悪だなコレ。」

 

一見するとルールブックにも定治にも外見に全く変化は見られない。ナイ神父を除く全員が0章とは一体なんなのか未だに検討がつかずただ見守ることしかできない。

 

「だけどまぁ、悪くない気分だ。ゼノヴィア、ここからは俺一人でやる。お前は巻き込まれないように一誠たちの方にいろ」

 

「何?」

 

「有り体に言うと邪魔だ。お前が近くにいると気になって0章の力を上手く使えねぇんだよ」

 

「……わかった。大丈夫なんだな?」

 

「ああ、100パーセント大丈夫だ」

 

邪魔だと言ってゼノヴィアを後退させた定治は満足そうに、楽しそうに笑顔を浮かべる。

 

定治が解放した力にコカビエル達が警戒し、定治の様子を注意深く見ていると定治が動き始める。

 

「クソ邪神。俺のダチに何時まで腰掛けてんだよ。」

 

定治が指差したのは一誠に腰掛けるナイ神父。最初の対象がまさか自分だとは思わずナイ神父は驚きどうにか0章の力を使う定治から逃れようとするがそれよりも早く定治が口ずさむ。

 

『チェック、クソ邪神(ニャルラトホテプ)の退散。チェック、クソ邪神(ニャルラトホテプ)の退散、儀式超簡略化』

 

「ま、待て定治!私はキミにプレゼントをーーー」

 

「えっ!?」

 

「ウソ……」

 

「バ、バカな!?ナイが消えた!?あ、ありえん!?あの男がああも容易く!?」

 

「私とイリナをまるで羽虫のようにあしらったあの男が一瞬で!?アイツは何をしたのだ!?」

 

一瞬、ナイ神父の身体に不可思議な紋章が現れたと思ったらナイ神父の姿が文字通り消える。圧倒的な強さを見せつけていたナイ神父のあまりにもあっけない退場に一誠達はもちろん、ナイ神父が持つ強力な力の事を知っていたコカビエル達も驚愕することしかできない。

 

定治は消えたナイ神父を目にし、まるでそれが当たり前のように何も思う事なく一誠の元へと歩み寄るとナイ神父の魔術により動けなくなっていた一誠の足を動かせるようにし、笑顔を向ける。

 

「大丈夫か親友」

 

「……ああ、大丈夫だ親友」

 

親友が露わにした強大な力に聞きたい事はあるものの、一誠はあえて何も聞かず、伸ばされた手を掴み起き上がると無事な事を定治に伝える。

 

「ん、小猫ちゃんも無事みたいだな。副部長はダウン、部長は……チッ支配をやられてんのか。」

 

一つ小さく頷いて一誠と小猫の無事を確認した後、定治が周りを眺めるとそこには気絶している朱乃と支配の呪文をかけられ目が虚のリアスを目に入る。定治は舌打ちをしてこの後ニャルラトホテプを必ずシメると決めるとリアスに歩み寄り額に人差し指を当てる。

 

「支配」

 

ニャルラトホテプ同様定治はリアスに支配の呪文をかける。定治の強大な精神から発動された支配の呪文はナイ神父がかけた支配を強制的に上書きする。こうしてリアスの主人がナイ神父から定治へと変わり、主人からの命令をいつでも受けれるような状態に入っているのを確認すると指をパチンと鳴らす。

 

「解除」

 

「ハッ!?わ、私は何を……!?」

 

「おはようございます部長。起きて早々悪いんですけど一誠達を守ってて下さい。俺はこれからアイツらをシメに行くんで」

 

「え!?さ、定治!待ちなさい!「ナーク=ティトの障壁」定治!」

 

目覚めて早々のリアスに一方的に頼みごとをし、その返事を聞く前に障壁を展開した後定治はコカビエルを見据える。

 

「ーーさて、コレを使った以上悪いがここからずっと俺のターンだ。蹂躙させてもらう」

 

「死"ねぇぇぇぇ!」

 

定治はそう宣言した後背後からグチャグチャになった顔のまま襲いかかってくるフリードに指を向ける。

 

『チェック、ジジイ(クトゥルフ)の右手』

 

フリードを指差した定治の右手から禍々しい巨大な手が現れると禍々しき巨大な手はフリードに抵抗も避ける時間も与えずフリードの身体を鷲掴みにする。

 

「さっきからうるせぇよクソ神父。寝てろ」

 

「ガフッ!?」

 

禍々しき巨大な手は定治の手が握りつぶすような仕草をするとそれに連動するようにフリードを握りつぶす。フリードの体からは骨の砕ける音、そしてグチャ、と何かが潰れたような音が鳴り禍々しき巨大な手がフリードを手放すとフリードは口から鮮血を吐き出して動かなくなる。

 

「さて、コカビエルさんの前に次はお前にしようか。なぁ、クズ野郎」

 

「ヒィッ!?」

 

定治が指差したと同時にバルパーは短い悲鳴を上げて後ずさる。

 

何故ならバルパーには笑いながら自身に向け指差す定治の姿は悪魔以上に邪悪な存在に見えたからだ。

 

強力な力を持つナイ神父を消し、聖剣使いを握りつぶした男を見て狂気に走った男が感じたのは恐怖、そして死。どう足掻こうと殺される自分を認識すると今更バルパーの足がガクガクと震え始め、表情は恐怖と泣き顔をごちゃ混ぜにした見るに耐えないものへと変化する。

 

「と、いきたい所だがテメェは見逃してやる。テメェは裕斗の獲物だからな」

 

怯え竦むバルパーを見て満足したのか定治はより口角を吊り上げながら指先をバルパーからコカビエルへと向ける。

 

「待たせたなコカビエルさん。次はアンタだ。……さて0章を解放した今、あんたを倒す方法はいくらでもある。だけどここはルールブックらしく、神話生物を召喚して倒させてもらう。チェック、ゲートの制限解除。」

 

ルールブックを開くと定治は自らの持つ膨大な魔力をルールブックに送り込むとルールブックはそれに呼応しかつてリアスとライザーの結婚式の時よりも激しく鈍重な光を辺りに撒き散らす。

 

「気をつけろよコカビエルさん。これから作れる門は何もかもが今までとは桁違いだ。さぁ行くぜ!……あ」

 

無数の門を作りコカビエルを無数の神話生物たちで押しつぶそうと考えた定治。

 

 

だが最初の門を作ろうとしたその時、ルールブックのページが真っ黒に塗りつぶされる。定治はこのページが真っ黒になる光景を過去に何度か見ており、何が起きたのか直ぐに理解する。

 

「(あ、ファンブルだ)」

 

ファンブル、それはアザトースが望みヨグ=ソトースが書き上げたこのルールブックに混沌たるニャルラトホテプがかけた祝福の力によって起きてしまうもの。これはかなり低い確率で起きるものだが一度起きてしまえばルールブックは暫くの間使用不可となってしまう最悪のモノ。だがそれよりも問題なのはファンブルを引いてしまった時、現れるのが呼びたかった神話生物ではなく違う者達がランダムに呼ばれてしまう事である。

 

「…………」

 

ファンブルを認識した定治は顔から大量の汗を吐き出しながら暫しの間沈黙し、やがて意を決して一誠の方へ顔を向け口を開く。

 

「……ごめん……ファンブル、しちゃった♪」

 

定治の謝罪と同時に校庭から門が現れた。大きさにして十メートルは優に超える門。その巨大な門からはファンブルによって呼び出されてしまった者がゆっくりと姿を現わす。そして呼び出してしまった者の体の一部を目にした瞬間定治が笑い声をあげる。

 

「アッヒャッヒャッヒャ!もうこれ笑うしかねぇわ!!アッヒャッヒャッヒャ!!アッヒャッヒャッヒャゴフッ!?」

 

黒い門から見えたのは巨大な頭の頭頂部。それを見た瞬間定治は何が来てしまったのか即座に理解し「もうどうにでもなーれ★」と大爆笑。そして次にこれから起こる事を想像しあまりのストレスに吐血。

 

「お、おい定治!なんだよファンブルって!?何がマズイんだよ!?ていうか何が来るんだよ!?」

 

事態を把握できていない一同を代表して一誠が定治に問いかける。その問いかけに対し、定治は非常に言いづらそうな表情で、そしてか細い声でこれから来るだろう者の名を口にする。

 

「ク、クトゥルフ……」

 

呼び出してしまった者の名を口にした後定治はある程度気持ちが楽になったのか大きく息を吸って大声を上げる。

 

ファッキンクソビィィィッチ!!(おのれダイスの女神ィィィィ!!)

 

夜の駒王学園の校庭にいるかもわからないダイスの女神への暴言が響いた。

 

"ルルイエ"

 

ダゴン「ンッンー、ああ今日もルルイエは平和だぁ。ここは一つハニーに送るラブソングでも歌いたくなってしまうなぁ!」

 

深き者「ダ、ダゴン様ーーー!!」

 

ダゴン「ん〜?どうしたのだブリよ。今私はハニーに送るラブソングを歌おうとしていたのだ。邪魔をしてくれるな」

 

ブリ「ラブソングなんて歌ってる場合じゃないですよ!ク、クトゥルフ様が!黒い穴、ルールブックの門に顔だけ突っ込んでます!どうやら定治の奴がやらかしたみたいです!」

 

ダゴン「……は?」

 

ダゴン現場へ急行。

 

そして現場を見る。

 

ダゴン「な、何やっとんじゃあのアホォォォォォ!?」




ミ=ゴ
優れた科学技術、医療技術を持つ生物。鉱物資源の採取の為地球にいたりする意外と身近にいるかもしれない神話生物。雪男の正体とも言われている。基本的に人間という種に対して興味はないが、もし彼らの怒りを買ってしまった時生きたまま脳を引きずりだされる事があるそう。逆に気に入った種にも褒美として脳を生きたまま引きずり出して様々な場所へ連れて行ってくれるらしい。


ルールブック第0章"禁断の叡智"
隠されていたルールブックの秘密の章。これを使うためには所有者の血で目次にある0章のタイトルを見つけ、決められた言葉を言って0章の封印を解く必要がある。この章を解放した時、ルールブック所有者はありとあらゆる神話魔術と知識を手に入れ、死者の尊厳すら踏みにじる魔術すら行使できるようになる。わかりやすくクトゥルフ神話TRPGで例えるとクトゥルフ神話技能が100%になります。

というわけで御大の活躍は次回です。

あ、そうだ(唐突

原作3巻は後少しで終わる予定です。

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