ハイスクールD×D 俺と愉快な神話生物達と偶に神様   作:心太マグナム

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今回、再びショゴスくん登場。え?贔屓し過ぎだろって?

……まぁいいでしょ!

キャラと設定的に出しやすいんですよ。スズキとかも同じ理由ですし。

定治のノリについていけるキャラは必然的に出番の多くなる法則……仕方ないよね!


母と父

イリナとゼノヴィアとの対決から暫く経ったとある休みの日、定治は自宅にて忽然と消えた木場の行方を追っていた。現在定治は自室のソファに座って深淵の門(ルールブック)を片手に持ちながら木場を見つけるために放ったネズミ怪物たちのリーダーから報告を聞いていた。

 

『駄目ッスね定治さん、一族全員で探し回っているんスけど木場さんって人は未だ見つかって無いッス……』

 

『……そっか。ここんところ働き詰めにして悪かったな、今日はもう探索切り上げてゆっくり休んどいてくれ』

 

リーダーの報告を聞き、定治は表情こそ変えていないが残念そうに溜息をつく。それを見てネズミ怪物のリーダーは自身らの至らなさを感じ申し訳無さそうに頭を下げる。

 

『へい、申し訳ないッス定治さん。明日からまた探索を始めますんで……』

 

『ああ、頼むぜ。お疲れさん』

 

『へい!今日のところは失礼するッス!明日こそはあの時定治さんに助けてもらった恩を返すため、必ずや木場さんを見つけてみせやす!』

 

定治が申し訳無さそうに頭を下げるネズミ怪物のリーダーの頭を撫でるとネズミ怪物のリーダーは嬉しそうに目を細め、その後定治に頭を下げてから定治の肩から下り何処かへと走り去っていった。

 

 

「ハァ……ったくどこ行ってんだ祐斗の奴は……眠い……」

 

定治が溜息をついて寝ぼけ眼を擦っているとドアからコンコンとノックの音が聞こえた後、艶やかな黒髪を靡かせながら絶世の美女が入ってくる。

 

「定ちゃん……お友達が心配なのはわかるけれど……あなた最近あまり寝ていないでしょ?今日はお休みなんだからゆっくり寝なさい、お友達を探すのはまた明日からでいいじゃない、ね?」

 

定治を''定ちゃん"と呼ぶこの女性は定治の母親の阿見矢儀(あみしぎ)。矢儀は部屋に入ると定治の隣に座ると赤子をあやすように慈愛の笑みを浮かべて定治の頭を撫でるが定治はその手を掴んで撫でるのを止めさせてしまう。

 

「母さん……悪い。でも今回はそういう訳にはいかないんだよ」

 

「定ちゃん……」

 

「ダメだよ矢儀(シギ)、こういう時の定治はテコでも動かない。全く、友達思いなのは良いことなんだがいかんせん根を詰め過ぎてしまうのがコイツの悪いクセだ」

 

矢儀の手を止めて定治はルールブックを開き、他の神話生物を呼ぼうとするのだが開かれたページは定治でも矢儀の手でも無い人物に閉じられてしまう。いつの間にか現れルールブックを閉じた人物を見て矢儀と定治が反応する。

 

「あら、あなた」

 

「あん?親父じゃん。株はもういいのかよ?今日が売り時って言ってたじゃん」

 

そこにいたのは定治の父親阿見夢桐(あみむどう)、夢桐は矢儀に片手を軽く上げて返事をしてから定治の問いに反応する。

 

「ん?ああ、それはもう済ませたよ。あんな上がる株をテッペンになった瞬間売るヌルゲー、私がしくじるわけないだろう。」

 

「まぁ親父ならヌルゲーになるか……。」

 

夢桐が株取り引きをヌルゲーと答えると父親の事をよく知っている定治は参ったように溜息をつく。溜息をつく定治を見て夢桐は傲慢の表情を浮かべて口を開く。

 

「当たり前だ。私を誰だと思っているんだ定治」

 

「修行と称して邪悪な教団の本部にほっぽり出すクソ親父「そぉいっ!!」ブホッ!?……クソ親父……テメェ」

 

定治が父親に聞かれた質問に対して思っていたことを口にするが、夢桐が焦りを浮かべながら繰り出したヤクザキックにより最後まで喋ることは出来ず定治は最後にクソ親父と呟いて意識を失う。

 

「油断してた……そう言ってくるとは思っていたが対応が遅れてしまった「あ・な・た?」……ハッ!?」

 

冷や汗を垂らしながらホッと一息をつく夢桐だが横から矢儀の声が聞こえると顔から汗をダラダラと垂らす。汗を垂らしながら夢桐が横目で矢儀の方を見ると矢儀は微笑みを浮かべていたのだが矢儀が醸し出すオーラを感じ取り、夢桐はダラダラと垂らしていた冷や汗がより一層流す。

 

「今あなた定ちゃんに何をしたのかしら?わたしには貴方が定ちゃんのお腹に蹴りを入れているのが見えたんだけれど?それにさっき定ちゃんが邪悪な教団に一人でほっぽり出したって言ってたんだけれど……説明、してくれるわよね?」

 

「お、おおお落ち着くんだ矢儀!まずああいう時の定治は休めと言われても素直にハイと言わないのはわかっているだろう?あれは気絶させて無理にでも休ませる親としての心遣いだ!」

 

「ふーん?」

 

恐ろしいオーラを撒き散らしながら夢桐に質問をする矢儀を見て夢桐は口をどもらせながら必死に考えた言い訳を口にする。その言い訳を聞いた矢儀はというとふーんとだけ呟いて恐ろしいオーラは未だに収めようとはしていない。矢儀の顔は口にはしていなが"じゃあ邪悪な教団にほっぽりだした理由は?"と聞いており、夢桐はどうにかこの場を乗り切ろうと必死に言い訳を考える。

 

「あ、後ほっぽり出したことだがアレは……えーと……すまん!」

 

必死に考えた結果言い訳が思いつかなかった夢桐が取り敢えず全力で土下座をして謝ると矢儀から呆れたような溜息が聞こえてくる。

 

「ハァ……貴方って人は本当に……覚悟は出来てるわね?」

 

「……許してもらえない?」

 

「ええ」

 

矢儀の言葉を聞いて夢桐は土下座の状態のまま頭を上げて矢儀を見てヒクついた笑みで許してもらえるかどうか聞くと矢儀は普通の男ならその微笑みだけで恋に落とせそうな美しい笑みを浮かべて返事をする。もう許してもらえないことが確定した夢桐は再び頭を下げて土下座をして口を開く。

 

「……逃げちゃダメ?」

 

「逃げてもいいけれど、逃げたらどうなるかアナタなら言わなくてもわかるわよね?」

 

矢儀の返答をきいて夢桐の脳内には暫くの間自分の食事がどう見ても生ゴミのようなものになっている光景と燃やされた自分の書斎、そして何時も使っているパソコンが粉々にされている光景が目に入る。この光景を見て夢桐は観念したように溜息をつくと顔を上げて矢儀に啖呵を切る。

 

「……好きにしろやぁぁぁ!!ナメんなよ!そう易々とこの私をヤレると思うなよ矢儀ィ!!「そうね、だから手加減しなくていいわよね?確定してる未来ってツラいわねあなた?」ハイそうですね!っておいバカやめろぉ!そこはダメェ!!ちょ!ヤバイヤバイヤバイ!アッーーーー!!」

 

こうして定治の部屋から近所ではイケメンお父さんと呼ばれている一人の男の絶叫が響き渡るのであった。

 

 

定治が気絶してから暫くすると机に置かれていた定治のスマホから着信音が鳴る。

 

「お、起きろ定治……電話来てるぞ……」

 

「……ハッ!?親父テメェ!何いきなり人に踵落とししてんだ!ぶっ飛ばしてや……あ」

 

電話の着信音と夢桐の声により定治は目を覚まし、父親の顔が目に入った瞬間に先程いきなりヤクザキックをされた事を思い出して夢桐にヤクザキックをやり返そうとするがその足をすぐに止めてしまう。

 

何故なら起き上がった定治の視界にはパンツ一丁の姿で亀甲縛りをされ天井に吊るされ、何故か身体が若干痙攣している父親の姿があったからだ。このような光景を見て定治が固まっていると、夢桐が自嘲気味に笑いながら口を開く。

 

「フフフ、ぶっ飛ばされた方がマシだったよ……母さんは今日スーパーのバーゲンがあるらしいから一旦出ていったが……帰ってきたら再び私のお仕置きが始めるだろう……お前も巻き添えを食らいたくなければ電話に出て家から離れるんだ……」

 

「お、おう……」

 

夢桐の話を聞いて定治の頭には"何で俺の部屋で亀甲縛りされてんの?"など色々な考えが頭の中によぎるが定治は戸惑いながら父親に向けようとした足を下ろして先程から着信通知が来ている自身のスマホを手に取ると夢桐が気まずそうに定治に頼み事をしようと口を開く。

 

「あ、定治、この縄ちょっと解いてくれないかな?この時間くらいに売りたい株があるんだ……パッパ一生のお願い★」

 

「おう一誠、どうした?うん、ちょっと人を探すのを手伝って欲しい?わかった、今から向かうわ。待ち合わせは?ああ、あそこか。了解、そんじゃ後で」

 

「ねぇ定治、縄解いてよ。ねぇってば」

 

父親の頼みを定治は完全に無視して電話を掛けていた一誠と少しの間会話をして電話を切る。電話を切った後も頼み込んでくる父親の声を聞き、定治は父親のいる方向に振り向くとスマホと財布、そして着替えを持ってから軽く手を挙げる。

 

「……母さんがキレる時は大体親父が悪いからこうなるのは仕方がないんじゃないかな!じゃ、俺は約束あるから!ていうかキレた母さん敵に回すようなマネしたくないから俺は逃げる!」

 

定治は言いたいことだけ言うと、自らの身体能力の全てを使って部屋から逃亡した。凄い速さでこの場から去っていく定治を夢桐はポカーンと眺めてから自身が見捨てられたのを理解すると悔しそうに声を荒げる。

 

「オーマイゴッド!!チクショウ!!何て日だ!!」

 

定治の神器ルールブックによって作られた黒い穴のようなゲート、実は大変使い勝手の良いモノで魔力さえあればゲートをいかなる場所で作れるのは勿論、ゲートの閉じる閉じないを自由に選択できるのは勿論、それに自らがゲートに入って指定した神話生物が住んでいるドリームランドや死の都市ルルイエ、狂気山脈に自ら移動することも可能なのである。

 

定治の家はとても大きな和風な家屋で、そこの普段使われていない部屋には現在定治が意図的に閉じていないゲートが何個かあり、そこは死の都市ルルイエなど様々な場所に繋がっている。

 

そしてその門からショゴスが魚を咥えながら現れる。ショゴスは魚を咥えながらのんびりとした歩みで定治の部屋へと行き扉を開ける。

 

『定治ー!遊びに来たよー!アレ?定治は?(何で定治のお父さんパンツ一丁で天井に吊るされてるんだろう……変態?)』

 

『や、やぁショゴスくん……定治なら友達と約束があるって出かけて行ったよ。あとコレは矢儀にやられたんだ。私の性癖がドMでこんな事をしてるわけじゃ無いからね?信じてくれるよね?』

 

ドアを開けるとそこには先程と変わらず亀甲縛りで天井に吊るされている夢桐の姿が目に入りショゴスは少しヒキ気味に夢桐を見る。

 

『そんなー。スズキさんから美味しいお魚貰ってきたから一緒に食べようと思ったのに……(ドン引き……)』

 

『そ、それなら私が定治の元に送ってあげようか?あと変態じゃないからね?本当だよ?』

 

夢桐の口から定治がここにいない事を聞いてショゴスは落ち込んだ様子を見せるが夢桐の提案にハッと視界を挙げる。

 

『え、いいの?』

 

『ああいいとも。それじゃあこの縄解いてくれないかな?じゃないと術が発動出来ないからね』

 

『うんわかったー!』

 

夢桐の提案を聞いてショゴスは夢桐を縛っていた縄を噛みちぎって無理やり解く。縄を解かれ夢桐は固まった筋肉をほぐすようにストレッチをしてショゴスの方へ視線を向ける。

 

『ふぅ、ありがとうショゴスくん。それじゃあ約束通り定治の元へ送ってあげよう。今から転移させるんだけど、定治は転移してから10分後にそこに来るはずだからちゃんとそこで待ってるんだよ?』

 

『はーい!』

 

『ああそれと、お魚は鮮度が落ちちゃうからウチの冷蔵庫に入れて置きなさい。後でみんなで食べよう』

 

『わかったー!』

 

ショゴスは夢桐の言う通りに持ってきた魚を家の冷蔵庫へとしまってから夢桐の元へと戻る。夢桐は戻ってきたショゴスを指定した位置に移動させると掌に魔力を込める。夢桐が魔力を込めるとショゴスのいる位置の床から魔方陣が現れる。

 

『いい子だ。それじゃあいってらっしゃいショゴスくん』

 

『行ってきまーす!あ、定治のお父さん、緊縛プレイなら自室でやろうね!』

 

『だから私はドMじゃねぇから!早よ行けやボケェ!』

 

夢桐が自身の性癖を否定したそのすぐ後、魔方陣が光りショゴスの姿は消える。無事に成功したのを確認した夢桐は直ぐさま自室のパソコンへと向かっていく。

 

『さて、矢儀が帰ってくるまでに売る株を売っておかねば……』

 

阿見夢桐、天才相場師と呼ばれている彼はとんでもないお仕置きを食らうとわかっていても株取引を止めようとしないレベルの株ジャンキーである。

 

一方でここは駒王町のとある場所、そこに魔方陣が現れショゴスが街に現れる。

 

『よっと。ついたついた』

 

ショゴスは夢桐が言っていた10分後にここに定治が来るという情報を置いて信じて大人しく待つことにしていた。ショゴスが定治を待っている間の時間潰しに色々な考え事をしているとショゴスの頭の中にとある疑問が思い浮かぶ。

 

『それにしても定治のお父さん、血は繋がってないはずなのに定治にそっくりだなぁ。DNAはちゃんと違うらしいし……不思議だなぁ。ま、いいか!難しいこと考えるのはやーめよ!定治早く来ないかなー』

 

ショゴスは血の繋がっていないにも関わらずそっくりな定治と夢桐の姿を頭の中に思い浮かべ不思議そうに首を傾げるがメンドくさくなり直ぐに考えるのを止めてしまう。定治が街でショゴスくんと会い、驚き過ぎてひっくり返るまで後9分……。




ネズミ怪物

邪悪な人間の顔の頭部を持つネズミ型の怪物。邪悪な魔術によって生み出される神話生物で定治は邪悪な魔女をボコボコにして奴隷のように酷使されたネズミ怪物を結果的に助け、ネズミ怪物はその事を大きな恩と思い定治をとても慕っている。そのため下手したら魔女の元にいた時よりいっぱい働く事があるらしい……。

SANチェック 0/1D6


阿見夢桐(あみ むどう)

何処にでもいるAPP16のイケメンなおっさん。戸籍上は定治の父親だが血の繋がりなどは一切ない。阿見家の生活金を株で過剰なほど稼ぐ株ジャンキー。定治にナーク=ティトの障壁の創造など様々な魔術を教えている。グールを人の見た目にする、何処にあるかもわからない魔術書を手に入れてくるなど、定治が出した無茶ブリを平気で成し遂げるくらいにはスゴイ。


阿見矢儀(あみ しぎ)

戸籍上定治の母親だが夢桐同様血の繋がりは一切ない。傾国の美女すら霞むレベルの美女で定治の性癖を確定させた女性。とんでもないレベルの美女(APP測定不能)なため、ただ微笑むだけでそこにいる男が恋に落ちてしまうほどの男殺し。ショゴスから肉を切り落としたりするくらいにはメンタルがヤバい。怒ると大変怖いが定治に対してかなり過保護。


本来定治のマッマとパッパはまだ出さない予定だったのですが急遽変更して登場。パッパとマッマの血の繋がっていないうんぬんかんぬんはその内書く定治の過去編で補完させて頂くので少々お待ちください。

え?パッパとマッマが何者かですか?たぶん皆さん気づいてるでしょう?たぶんそれで合ってますよ。

次回!街に現れた恐怖の生物ショゴス!逃げ惑う人々の何人が犠牲になるのか、乞うご期待!

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