ハイスクールD×D 俺と愉快な神話生物達と偶に神様 作:心太マグナム
ライザー戦?……まだ先ですね……。
尺稼ぎ?いいえ違います!本当です!信じて下さい!
まだもう少し特訓編で遊びたいんです!本当です!信じて下さい!
エターナルフォースブリザードを習得した次の日の午前、定治は木場の訓練相手をしていた。
「ハァッ!!」
「ほいほいっと」
「くっ……強い……!定治くんがこんなに強かったなんて……!」
木刀を持って襲い来る木場を定治は冷静に脚で捌く。人間である定治相手に良いように攻撃を捌かれてしまい木場は焦りを見せて一気に突っ込んでいく。
「ハァァァッ!」
「焦っちゃダメだぜ祐斗、こうなるから……な!」
「なっ!?ぐぁっ!?」
その瞬間を待っていたかのように定治は木場の木刀を持っている方の手を掴み、合気道の技である四方投げを決める。地面に叩きつけられた木場は肺から空気が抜けるような衝撃を受けて呻いてしまう。呻く木場だがすぐに起き上がろうと行動をするが視界には既に拳を振り下ろす定治の姿があった。木場がやられると直感した時、定治の拳は木場の眼前数センチのところでピタリと止まる。
「へへへ、俺の勝ち」
木場の視界にはいつも通りヘラヘラと笑う定治の姿があり、木場に手を差し伸べていた。木場は友人の強さに驚きながらもフフっと笑い、定治の手を取り起き上がった。
◆
「人型で速さのある奴と戦ってみたい?」
定治が木場を投げ飛ばしてから少し経ち、タオルで汗を拭きながらスポーツドリンクを飲む定治に木場が要望を伝えてくる。
「うん、そうなんだ。現状で相手の騎士の速さに対応できるのは副部長と僕だけだからね。速く動く相手にできるだけ対応できるようにしておきたいんだ」
「んな事言われてもなぁ……」
定治は木場の要望に困ったように頭を掻く。現在定治の召喚できる神話生物の中でダントツに速いのはシャッガイからの昆虫だ。だが木場が出した条件には"人型"というものがある。定治が召喚できる神話生物はシャッガイからの昆虫を除くといずれも種族の平均値をみたら定治より遅いものしかいない。木場が求めている相手は恐らくシャッガイからの昆虫並みの速度を持つ相手の事を言っている。
定治がシャッガイからの昆虫を人にする魔術でもかけようか迷っている時、定治にある神話生物の姿が思い浮かぶ。
「あー、速さとはちょっと違うかもだけどそれっぽいのはいるな」
「本当かい!?なら早速召喚してもらってもいいかな?」
「あいよー」
定治が呟いた一言に木場が目を輝かせ、再び木刀を持ち構える。木場の好戦的な面を見て定治は苦笑を浮かべ、
「先に言っておくけどコイツは速く動くというより、瞬間移動を使って攻撃してくるタイプだ。ありとあらゆる所から攻撃してくるから気をつけろよ裕人」
「うん!ありがとう定治くん!」
「そんじゃいくぜ。来い!空鬼!」
『定治、久しぶり。何の用?』
『ちょっとダチの稽古相手をしてやってほしくてな』
『なるほど、暇だったからいいよ』
『んじゃ頼むわ。あ、くれぐれも言うけど殺すなよ?』
『言われるまでもない。定治の友達、俺の友達』
何回か定治と空鬼がやりとりをした後、空鬼がチカチカと少し光ってからスーッとその姿を完全に消した。それを確認した定治は木場の方に目を向ける。
「そんじゃ始めんぞ裕人、少しヒントをやる。空鬼は現れる時、消える時みたいに現れる場所がチカチカと光る。それを見逃さないようにな」
「うん、ありがとう定治くん!」
定治の助言に木場が礼を言って木刀を構えて辺りに気を配る。木場が注意を払っていると木場の死角である真上の方がチカチカと光始める。
「ほら裕人、上から来るぞ気をつけろ」
「ハッ!」
定治の一言に木場はすぐに反応し、真上を向く。そこには定治が先ほど言ったチカチカと光るものがあり、裕人はすぐに身構える。
『しょーりゅー◯ーん』
「へぶっ!?」
「あ、ごめん下からだった」
上を向いていた木場だったが、それを嘲笑うかのように木場が見えない角度でチカチカと光りだし空鬼が現れる。空鬼は木場に上を向いて気を取られている隙に屈んで力を溜めてからそのままジャンプするようにアッパーカットを当てる。
「クッ!!」
『遅いよ』
木場は空鬼のアッパーで空中に浮かび上がるが直ぐに体制を立て直し、近くの木を足場に空鬼に斬りかかるが既に空鬼はの体は既にチカチカと点滅しており木場が斬りかかる頃にはその姿をスゥーッと消してしまう。
「次はどこから来るんだ……?」
「祐斗、左左」
「え?」
『たつまきせ◯ぷうきゃく』
「ぐぁっ!?」
木場が定治の忠告通りに左を向くとそちらとは逆方向に空鬼が足を横回転させ、ストリート◯ァイターのリュウばりの蹴りをお見舞いする。その光景を見た定治はふと何か気づいた表情をすると木場にリュウ向かって両手を合わせる。
「ごめん。俺から見て左だった」
『ばいばいきん』
攻撃が決まると空鬼は再びチカチカと点滅してから消える。先ほどから(主に定治のせいで)ペースを乱されている木場は一度深呼吸をしてから空鬼を撹乱させる為に辺りを素早く動き回る。
「おお速い速い。空鬼、いけるか?」
『余裕』
素早く動き回る木場を定治は目で追いながら
素早く動き回る木場だが、動き回りながら辺りを見回すとある場所がチカチカと点滅しているのが目に入る。
「そこっ!」
チカチカと光るものを見つけ木場がそれに向かって走ると、定治の視界に木場の後ろで点滅する光を見つける。
「あ、祐斗後ろ後ろ」
「その手には乗らないよ定治くん!」
定治が忠告するが木場は定治が自身に注意を引かせる為の嘘だと思い、定治の忠告を無視して自身の視界に入る点滅する光の方にしか視界を向けない。だがそれがいけなかった。空鬼は木場の後ろに現れ、逆さになりながら足を180°開き、木場の背後から襲い掛かる。
『すぴにん◯ばーどきっく』
「ホントに後ろへぶっ!?」
「だから後ろっていったじゃん……」
『再びばいばいきん』
本当に後ろから来ると思わず背後に目を向けていなかった木場は空鬼の蹴りが直撃する。その光景を見た定治は呆れたようにため息をつく。先ほどから(主に定治のせいで)ペースを乱されて仕方のない木場は定治に向かって思わず声を荒げてしまう。
「ちょっと定治くん黙っててくれないかな!?気が散るから!」
「えぇ!?」
「ええ!?じゃないよ!とにかくそこで静かにしてて!」
「わかった……」
自分としては真剣に助言をしているつもりだった定治は木場が声を荒げながら言った言葉が心に思い切り突き刺さり、ガックリと項垂れてしまう。項垂れた定治は木を背もたれにして体育座りをして地面に木の棒で何かを書きながらイジけてしまう。それを見て木場はこれで気が散らなくて済むと思いながら木刀を構える。
『定治にひどいこと言ったらダメ』
「へぶっ!?」
だが木場は空鬼の気配を感じ取れず、斜め後ろに現れた空鬼に頭をフルスイングで引っ叩かれて地面とキスをしてしまう。その後数時間に及ぶ戦いの末、木場は空鬼の気配を完全に感じ取る事に成功し絶えず瞬間移動をする空鬼を相手に負けずとも劣らないほどにまで持ち込めるようになった。
『定治泣かないで!ほら!定治のママから貰った僕のおやつ、黄金の蜂蜜酒味の飴ちゃんあげるから!』
『うん……ありがとショゴスくん……』
『美味しいでしょ?ほら元気出して!いつもみたいに笑っていこうよ!』
『そだね……あ、○が勝ったよショゴスくん……』
『いつもみたいなテンションに早く戻って定治ーー!!何かすごい面倒くさいよ!こんな定治僕じゃ扱い切れないよ!!助けてスズキさーーーん!!斎藤さーーーん!!』
木場と空鬼が真剣に闘っているその頃、定治はショゴスくんに宥められながら貰った飴を舐めて地面で一人○✖️並べをしていた。そして今までに無いくらいイジけている定治を見てショゴスくんはお手上げと言わんばかりに自分と定治が共に仲良くしているグールの斎藤、深きもののスズキに届くはずもないのに声を出して助けを求めていた。
今回定治めんどくさくね?って?うん、作者もそう思った。でも仲の良い友人にお前ちょっと黙ってろ!って言われたら誰だってショボーンってしちゃうでしょ?少なくとも作者はなります。
落ち込む定治に自身のおやつまであげて慰めるショゴスくん……やっぱりショゴスくんって天使やな!(不定の狂気
合気道の技ってスタイリッシュでなんかカッコ良いですよね。作者は合気道やったことありませんけどね!四方投げはyo○tubeで探せば出て来ると思います。
あ、この特訓編あと二、三話は続くと思います。特訓が終わったらシリアスになる可能性が高いので今の内にふざけておきます。
テキトーな神話生物講座
空鬼
次元と次元の間、宇宙の様々な世界の間を行き来出来るとされる生物。彼らは本来、惑星から惑星といった大規模な移動しか出来ないがこの作品ではこまごまとした瞬間移動も可能。また瞬間移動?をする為には4ポイントのマジックポイントと1ラウンドの時間が必要だがこの作品ではコストと時間は大幅に軽減されているのでホイホイ移動してくる。定治の友人であり、よく定治の家で格ゲーをしている。阿見家ゲーム最強の定治パッパに格ゲーで勝つのが当分の目標らしい。