そして、随分とアニメの進むペースは遅いようなので追い抜かさないように考えながら話を作っていきたいと思います。
それでは今回もよろしくお願いします!
マナト達とあった次の日の早朝、俺は自分の宿舎を後にして、西町方面へ向かっていた。
少し歩くと、マナト達が拠点としている宿舎が見えてくる。
二人、四人、六人部屋があり、共同の風呂などがついて一日各部屋10カパー。団章を持っているなら無料で宿泊できるらしい。しかし、その分藁のベットなど環境が良いとは言えない。
といっても俺自身そこまで気にしてないので、単純にこの宿舎は格安でいいと思っていたりするが、一度決めてしまった以上今の宿舎を離れるのもなんなので今更変えるつもりはない。
宿舎の中に入るとそこではマナト達が朝食をとっていた。服装を見るにまだ出発するような感じじゃない。そして見た所朝食は誰かの手料理のようだ。
「おはよう、朝食中に悪いな」
「おはよう、フミヤ。今日はよろしくな」
「あーおはようさん。もうご飯食べてきたん?」
「いや、まだというか。あんまり朝食をとらないたちでな」
「ちゃんと食べないと元気でないよ。今余ってるのを持ってくるよ」
ユメの言葉をてきとうに流そうとしたが、モグゾーが俺の返答を聞く前に調理室と思われる方へと行ってしまう。
「モグゾー!こんなやつに気を使う必要ねぇぞ!」
ランタの言葉を無視して、モグゾーは俺に作ったスープを渡してくれる。
作ったのは誰かわからないがうまそうだ。
「じゃあ、ありがたくもらわせてもらう。いただきます――うまい、これ誰が作ってるんだ?」
正直味にそこまでの期待はしてなかったが予想以上にうまい。俺は思わず聞いてしまう。
「今日は僕が作ったんだ。口に合ってよかった」
しかも、女性陣が作ってると思ったがモグゾーが作ってると聞き俺は素直に感心した。俺には料理のスキルはないので、屋台や酒場ですませてしまうことしかしてない。まぁ、だからお金貯まるのに少し時間がかかったのかもしれないが、必要経費と割り切っている。
「じゃあ、これ。タダってわけにはいかないしな」
そう言って俺はモグゾーに5カパー渡した。それにモグゾーは驚いている。
「悪いよ、屋台のお肉が4カパーなのに……」
「俺がそれだけの価値を感じたんだ。遠慮するな」
俺はモグゾーにお金を握らせ、残りを食べて近くの椅子に座る。
「それで、今日はどうするんだ?」
まだ、何の予定も聞いてないので、マナトの方を見る。
「みんな昨日の疲れはなさそうだから、今日も森に行くつもりだよ」
「了解、じゃあここで待ってる。準備ができたら声かけてくれ」
ちゃんと時間を決めてないせいで早く来すぎてしまった。早起きしすぎて眠いので俺はみんなの準備が整うまでそのまま少し睡眠をとることにした。
「フミヤ、みんな準備できたよ」
みんなの準備にそこまで時間はかからず、俺はマナトの声に起こされ体を起こす。
見渡すとみんな昨日の装備を身につけている。やる気も十分そうだ。
みんなで宿舎をでて、森を目指して歩き始める。
「わかった。目標はゴブリンでいいんだよな?」
「うん、でもフミヤがいると言っても無茶はできないから3匹以上は戦わない方針で行くよ」
「それでいい、まだ一度も殺したことがないんだ。無理して集団に突っ込むなんてする必要のない」
マナトはこのパーティーの現状をよくわかっているようだ。だが、俺は初日に3匹のゴブリンを相手にしたというのに目標が低すぎるのではと少し思ってしまう。
しかし、今の俺は魔戦士ではなく、魔法使いとしてこのパーティーにいる。刀を使うにしてもそれを主体に戦えば怪しまれる。刀を極力使わないで他の連中を守りながら戦うというのは無茶である。
それ以前に攻撃魔法のスキルは熟練度が低すぎて、このパーティーですら使いものになるか微妙に不安もある。
もしそうなったらランタに何言われるかわかったもんじゃないな。
「匙加減が難しそうだ……」
「なにか……言いました?」
考え事をしながら歩いていたので特に気にしていなかったが、近くにいたシホルに聞こえてしまったらしい。
「いや、なんでもない」
「そうですか、少し気になったんですけど私はギルドで金属製ものは持ったらダメだと教わったのですが……その武器は――」
やっぱり予想してた通り、魔法使いギルドでは刀のような武器の装備は推奨されてないらしい。しかし、この話題を長々と続けてもボロが出るだけである。
「俺の師匠が変わり者で護身用の武器ぐらい持てって言われたんだ。俺自身、近接もできた方がいいと思ったしな」
「そうなんですか?」
「まぁ、その分エレメンタルが機嫌を損ねるから多少魔法の威力は落ちるけどな。俺は気にしてない。シホルは近接なんて危ないことしないだろうから魔法使いとしてしっかり働けるように頑張れよ」
「……は、はい」
シホルがあんまり喋るタイプじゃなくて助かった。おかげですぐに話題をきれた。
その後はみんなで森に乗り込み、盗賊であるハルヒロと狩人であるユメが中心になってゴブリンを捜索する形になった。ついでだが、ハルヒロは別に隠密系のスキルを持っているわけではないので俺が探索にいった方が効率が上がりそうだがわざわざ口出しはしなかった。
「んーと、ひぃー、ふぅー、みぃー、よっ!」
ユメが木にぶら下がりながら遠くにいるゴブリン達の数を数えるが4匹は多すぎる。刀を使ってもいいなら何とかなるが魔法だけなら俺も一体相手するのがやっとだろう。
隣にいるマナトとハルヒロも無言で首を振る。諦めるしかない。
「あー!」
「おいユメ!気付かれるぞ!」
ユメが中々の大声をあげたので、ハルヒロが焦るようにユメを咎めるが。
「だってなぁ、ゴブちん達ユメ達よりもおいしそうなもの食べてるんやもん」
その言葉に俺たち3人はガックリ肩を落とした。
しかし、このままだと食生活に問題が出てくるのは目に見えてる。せめて今日中に一匹は仕留めて、みんなに自信をつけさせたいところだ。
しかし、そんな簡単にはいかず、どんどん時間が経ち俺たちは少し早いが昼食をとることになった。俺は個人的に用意しておいたパンを食べつつ、皆ユメが起した火を囲む。
そんな中急いで食べていたせいか、ユメが喉を詰めらせてむせてしまう。
「大丈夫か、ユメ」
ハルヒロが心配そうに声かける。俺も見ていたが少し苦しそうだった。
「はぁ、ちょっぴり苦しかったなぁ」
「食べる時はもう少し落ち着いた方がいいよ」
「何でかユメ。食べる時いつも慌ててまうやんか。お師匠にもよく言われたなぁ」
モグゾーも心配するが、ユメはとても気楽そうである。
「お前そんなんで弓矢使えるのかぁ?」
「弓術はなぁ。アカンかもしれんなぁ。いっくら練習しても上達せんかったし」
確かにあの弓術は中々に危うい、正直昨日の動きを見ると敵より気をつけなければいけないとすら思った。
「お前な!昨日のこと忘れないからな」
「ごめんなぁ~。ランタに当たってもいいかと思ってなぁ」
「何だと!」
「いや、当たりそうになったの俺だし……」
相変わらずランタの言うことはめんどくさいなとパンを全て食べ終えると……
「許さんぞ、ちっぱいの分際で!」
「ちっぱい?」
「そんなことが許されるのはシホルみたいな隠れ巨乳だけだ!」
ランタがさらにくだらないことを言い出した。その言葉のせいで俺の視線はシホルの胸に少し向いてしまう。
確かにシホルの胸は平均的な女子に比べればかなり大きい方であるが、それが許されるかどうかの基準値になるのはどうなのか。
そんなことを考えていると、シホルと目があってしまう。おかしい、何もしてないはずなのに何とも言えない罪悪感が生まれる。
「……なんかごめん」
「……い、いいえ」
ついでに俺の視界にはシホルの胸を見ているハルヒロが写った。俺が謝ってるのになんか納得がいかない……
その後もランタが胸についてどうでもいいことを喋り続けていると。
「私は、その、太っているだけだから」
「シホルは太ってるように見えんけどなぁ~」
「き、着やせするだけで……」
「はぁ、シホルお前女子に嫌われるタイプだな!」
「えっ……」
「太ってねぇのに――」
「そんぐらいにしとけ、男女に平等的に卑下されそうなやつが言うことじゃねぇだろ」
ただでさえ繊細そうなシホルに余計なことを言うランタに嫌気がさしたので俺は途中でランタの言うことを止める。
「確かにその通りだな」
俺の言うことにハルヒロも同意する。むしろ、こいつのことを受け入れるやつを見てみたい。
「男女どころじゃねぇ!ワールドクラスなんだよ。俺はなぁ!」
「何の自慢だそれ」
あまりにくだらなくて頭が痛くなってくる。
「なんだよ!善人ぶってるんじゃねぇぞ、フミヤ。お前だってさっきシホルの胸見てたろ!ハルヒロお前もだ!心の目でだけどな!」
「心の目なら見えてないじゃんか……」
ハルヒロのツッコミがもっともだが、これ以上喋ると墓穴を掘るだけなので俺はあえてスル―した。
「わ、私はそんな……本当に太ってるし……」
うまく話題を逸らしたつもりだが、シホルは気にしていたようで、泣きそうになってしまう。
「な、なんだよ。泣くことねぇじゃねぇか」
さすがにランタも女の子が泣くというのには弱いようで、動揺している。
「な、泣いてないです……」
しかし、シホルが強がったのを見てランタは追い打ちをかけるようにシホルに近づき、
「泣いてんだろうが、明らかに涙ぐんで――」
いっそ燃やそうかと右手をつきだしたが、それよりも先にシホルを後ろから抱くようにしてユメがランタに向かって弓を構えていた。
「大丈夫やで、シホル」
「何俺のことを狙ってんだ!?」
「ユメなこの矢外れん気がするなぁ」
「当たり前だ!近すぎだろぉ!」
「でもな、シホルの体ほっそいように見えるけど触ったらプ二プ二してるもんなぁ」
そんなことを言いながらユメはシホルの頬に自分の頬を擦りつけながら、腕はシホルの事を抱きしめるような形をとった。
「あ、あんまり触らないで……」
そのまま、ユメとシホルがイチャイチャし始めたのを見て、俺はマナトとモグゾーの方を見た。二人は頷くと、荷物をまとめ始める。
女子二人の行動に、ランタとハルヒロは目をくぎ付けにしているが、あれを見続けるのは色んな意味でよろしくない。場の雰囲気も良くなってきてるしさっさと出発するべきだろう。
「眼福だぞ、この野郎!もっとやれ――」
「盛り上がってるとこ悪いんだけど、もう行くよ」
ランタはさらにテンションをあげていたが、マナトが声をかけたことによりユメはシホルから離れ、ランタはわけのわからない速さで準備を終えていた。
「何ぐずぐずしてるんだ?」
「はやっ、いっそすがすがしいな。お前」
あまりのクズっぷりにハルヒロは大きくため息をついていた。ストレス溜まってそうだな。
「当たり前だろ。俺は時と場所をちゃんと選ぶ男だ。選択王に俺はなる!」
「どうでもいいこと言ってるんじゃねぇよ。行くぞ。シホル大丈夫か?」
俺はシホルに手を差しのべながら尋ねると、シホルは帽子をかぶり顔をこちらに一切向けずに俺の手をとった。
「だ、大丈夫……です」
そして、俺たちは再びゴブリン探しに戻るのであった。
このまま、収穫なしはまずいと考え、俺も捜索班に加わりゴブリンを探すことにした。いつも一人でやってるので探すのもだいぶ慣れてきた。
森の中で耳をすますと、わずかに水を飲む音が聞こえる。ゴブリンがどこかで水を飲んでいるんだろう。
俺はすぐ近くにいるハルヒロに声をかける。
「ここら辺の水辺にゴブリンがいる。探すぞ」
「えっ、わ、わかった」
ハルヒロは意外と俺のことを信用してくれているのか。いうことにすぐに従ってくれる。
そして、二人で水場と思わしきとこに近づくとゴブリンはそこにいた。
一匹だ。いつもならここで奇襲を仕掛けて瞬殺と行くところだが……
「ゴブちんおったぁ?」
「「しーーっ!」」
気楽に声をかけてきたユメに対して俺とハルヒロはすぐに口に手を当て黙るように指示する。ユメもそれを理解したようだ。
「一度戻るぞ」
俺の指示に二人とも従い、残りの三人がいる位置まで戻る。
「いる、一匹」
「武装は?」
「剣」
ハルヒロとマナトが相手の情報を確認し合ったところで、覚悟は決まったようだ。
「行こう」
マナトの一声でみんなが頷き、大きい荷物を全て置く。
さて、せっかくのチャンスだ。こいつらは活かせるか……
昨日の戦闘もあるので一抹の不安を覚えながらも俺も集中力を高めつつ、荷物を置き、移動するのであった。
フミヤの索敵、隠密スキルはもちろんちゃんとギルドで技を習得した盗賊や狩人などには敵いませんが、一般の人よりはかなり優れています。そうでないとソロで活動するのは難しいですからね。
感想などあったらよろしくお願いします