ついでにヒロイン未定とありますがこれはヒロインを作らないという選択肢も含んでおります。原作がどうなってるか全然わからないので笑
正直グリムガルのヒロインは全員好きです。誰が一番とか選べない作品は自分が見てきた中では結構珍しいです。
ギルドを出てから一週間が経過した。
俺パーティに入ることなく、試験の時に行った森や、昔は街だったが今はゴブリンの住処となっているダムローという場所の旧市街でゴブリンを狩り続けていた。新市街の方は一度足を踏み込んだが、本格的に武装したゴブリンやかなりでかいホブゴブリンなどの集団が多く、今の俺では勝てないとわかりそれ以来足を踏み入れていない。
一度五匹の集団と出くわしたときなどは試験と同じ死の危険を感じたが、何とか生き残ることができた。
こんなことになるくらいなら、パーティーにでも入ればいいのに、そのことを考えるたびにどうも気分が乗らなくなって、俺は一人での活動を続けている。
頭ではわかっているはずなのに、人と一緒にというのに抵抗を感じている。理由は俺にすらわからない……
そして、ゴブリンは意外に稼ぎが良く、すでに所持金は20シルバーを超えていた。一人でやると報酬は俺一人の物だ。パーティーで活動するよりもお金の貯まる効率が良い。
俺はすぐに団章をブリト二ーから受け取った。団章を持っていると色々と値引きがされるのだ。特に今住んでいる宿舎は一人部屋なんかを借りてしまったせいで一日25カパーもする。後で聞いた話だが四人部屋で10カパーという一人当たり2.5カパーという破格の宿舎もあったのにそのあたりは情報収集を怠った自分が悪いと思った。しかし、団章があれば10カパーにまで割引きされるのだ。部屋の質もいいし、共有の風呂もついている。団章を持ってる人からするなら優良物件に変わる。
義勇兵になったことにより、手持ちのお金は4シルバー程になってしまったのでまた稼がなくてはならない。
「魔戦士……スキル多すぎるんだよなぁ」
さらにもう一つ後悔したのが魔戦士ギルドは他のギルドよりも習えるスキルが多いのにも関わらず値段が高いのだ。師匠いわくそこまで所属人数が多くないのでとれるやつからとるという主義らしい。ほんと、見習いにはお勧めできない職業である。
今の俺は刀を使った近接スキルを3つ。回復と攻撃の魔法をそれぞれ1つずつ覚えている。しかし、器用貧乏といわれるだけあり、回復も傷の治るのが神官より遅く、魔法も決定打に全くならない威力しか出せず魔法の分野では中々に苦戦している。武器を装備しているのも理由の一つだが、根本的に魔法が弱いのだ。代わりに近接スキルの熟練度はかなりのもになり、覚えたばかりとは比べ物にならないほどの威力を出せるようになっていた。
「今日は……森の方でいいか」
ダムローに行こうとも考えたが、一人で行く以上ダムローではかなり神経を使う。団章を買うためにずっとダムローに通い詰めだったので少し気を抜いてもいいだろう。
俺は宿舎から荷物をまとめて森の方向へ向かうのであった。
「うおおおぉぉぉぉりゃあああぁぁぁぁ!」
森に入ってから少し経ってから、ゴブリンではなく人の声が聞こえた。
どこかのパーティーが戦闘でもしているのだろう。これはよくあることだが勝手に狩りに割り込むのはルール違反であるが、俺はその声に聞き覚えがあり、足をとめた。
「今のは、ランタか?」
ここに来た初日、うるさい声で喋っていたのが印象に残っていたので、俺はその声がランタのものであることが分かった。
つまり、解散でもしてない限りマナト達のパーティーがここにいるということになる。
邪魔するのも気が引けるが久々に会う知り合いだ。顔くらい出してもいいか。
そう思い、声のしたところまで近づいて見るがそこでは現在進行形で戦闘が行われていた。俺は見つからないように茂みに隠れる。そこでは、ランタとハルヒロが一匹のゴブリンと斬り合っているが全然当たっていない。むしろ押されているように見える。
「なにしてんだ!ハルヒロ!」
「お前だって――っ!?」
さらに、ユメが弓矢で援護をしようとしたのだろうしかしその弓は大きく外れ、ハルヒロの隣を通過した。もう少しずれてたら直撃コースだ。
「ご、ごめんな!」
「……なんだこれ?」
俺はあまりのグダグダな動きに言葉を失いかけた。その後もユメが武器を剣鉈に変え三人がかりで攻めるがゴブリンにダメージを与えらてない。そして、もう一匹の方ではなぜかモグゾーがいてゴブリンと対峙していた。
「おおおおおぉぉぉ!」
大ぶりでバスターソードを横なぎに振るうが、ゴブリンに避けられ、剣が木に刺さってとれなくなってしまう。
そして、モグゾーが動けなくなったことでゴブリンは少し離れた所にいるシホルに狙いを定め、走り出す。
「あっ、マリク・エム・パルク――きゃあ!」
シホルも魔法の詠唱で反撃しようとするが間に合わず、ゴブリンに乗りかかられる。
しかし、マナトがすぐにカバーに入り、持っているスタックでゴブリンを吹き飛ばす。だが、退いただけでダメージはほとんどない。
「大丈夫!?立てる?」
「ご、ごめんなさい。私っ……」
シホルはその場で泣き出してしまう、少し怪我をしているように見えるが……
「一応治そう。光よ、ルミアリスの加護のもとに……
すぐに回復魔法を使うが、ゴブリンが黙っているわけがない。すぐに突撃体勢に入るが――
「ちっ、煌めく焔、猛追!」
素早く詠唱を終えると、俺の突き出した右手に魔法陣が描かれ、炎の玉が発射される。一直線ゴブリンの頭を捉えた……がやはり倒せてない片目を潰したぐらいだ。
「なっ、君は!」
マナトが俺の方を見て驚きの表情を浮かべるが、そんなことしている暇はないだろう。敵は目の前にいるんだぞ。
しかし、俺が乱入したのを見た瞬間、ゴブリン達はまずいと判断したのかすぐに引き上げていってしまった。追うこともできたが元はマナト達の獲物だ横どりをするつもりはない。
ゴブリンが行ってしまったことで緊張感が解け、みんなその場にへたり込む。そんなのを見ていると少しため息が出てしまう。
六人もいてゴブリン二匹を仕留められなかった。これは由々しき事態だな。確かにこのパーティーは余り者のメンツで形成されたものだがここまでとは。
一段落ついて六人が集まっている場所に俺も姿を現す。
「あ~!お前はフミヤじゃねぇか!」
「うるさい、それよりもマナト。みんな疲弊しているみたいだがまだ狩りは続けるのか?」
ランタのいうことを一切無視して俺はマナトに問いかけた。みんな息が上がっている。疲れているのは明白であった。
いくらなんでも動きが悪すぎる、連戦だったのだろうか?いや、俺も初めての戦闘の時はこんなものだった。俺が一人で頑張り続けて慣れただけであって、普通はこんなものなのだろう。
「いや、今日はもう帰るよ。少し無理をしすぎた。助けてくれてありがとう」
「礼を言われるほどじゃない。それよりも俺もついて行ってもいいか?少し話を聞きたい」
「えっ?うん、いいけど」
「お前何勝手に!」
「お前には聞いてない」
ランタをスル―して俺は今日の狩りをやめ、マナト達について行くことにした。
そして、オルタナの街に着くまでの間に、このパーティの現状を聞いた。
まず、なぜモグゾーがいるかについてだが。連れて行かれた先輩にギルドに入ったあとお金を全部取られたらしい。そこで途方に暮れているところをマナト達に拾われたということだ。
マナト達もハルヒロが盗賊、ユメが狩人、シホルが魔法使い、マナトが神官でランタが戦士をやる予定だったのだが、ランタが勝手に暗黒騎士にギルドを変えてしまい前線を支えられるやつがいなくなっていたらしのでちょうどよかったようだ。
しかし、活動がうまくいってるわけではなく、今だに稼ぎはゼロとのこと。
格安の宿舎にいるのでまだ生活できているらしいが徐々にきつくなっているらしい。
「フミヤはどうなんだい。どこかのパーティで活動してるのかい?レンジたちの噂は聞くけど」
マナトの言うとおり、俺もレンジ達の噂は聞いていた。もう義勇兵になったらしいあの人数分の団章を買う以上ゴブリンを狩っててはこのペースでお金を稼ぐのは不可能だろう。何かしら別のモンスターを倒したということになる。さすがはレンジといったところだ。
「どうせ、何もできず。ここら辺をうろついてたんだろぉ?」
「これをみて同じこと言えんのか?」
俺は首に下げてある団章を見せつける。それに六人はそれぞれ驚きの声をあげる。
「すげぇ、フミヤどこのパーティにいるんだ。もう20シルバーも集めるなんて」
……ここで素直に一人でやってると答えるべきか少し悩んでしまう。
なんかランタ辺りにボッチ野郎とか言われるのも面倒だしな。
「てきとうにパーティーについて行ってるだけだ。特定の所に所属してない。フリーってところだ」
実際、パーティーの推称人数は5~6人だ。その人数の数合わせにフリーの義勇兵がいるのは不思議ではないし実際に存在する。変に一人でというより説得力があるだろう。
「へっ、それで稼げるってことは相当運がいいってだけじゃねぇか」
結局ランタに罵られた。どうすればこいつの嫌味をかわせるのか……
「そうだな。稼げないよりはマシだ」
ランタの言葉に俺は強く返してしまうが、その言葉がパーティー全体に言えることに言った後に気付いた。
少し場が鎮まってしまい。俺は考え込んだ結果……
「悪いな。代わりにお前らのパーティーの手伝いをしてやるよ。これでもお前らよりは戦いの経験があるし役に立つと思うが」
このままではこいつらの生活が心配になってしまい。多少自立できるまで俺は手伝うことを提案した。
「うーん。俺はありがたい話だと思うけどみんなはどう?」
「俺も賛成。フミヤが手伝ってくれるなら心強いよ」
「ユメも別にええと思うよ。フミヤはランタと違って優しいしもんな」
「私も……さっき助けてくれたし」
「僕も先輩たちに捨てられた時、フミヤ君がこうなるとわかって呼び止めてくれたってわかったから、信用できると思う」
マナトが聞くとハルヒロ、ユメ、シホル、モグゾーは快く了承してくれる。が……
「俺は反対だぞ!仲間に頼りきりのやつなんかどうせついてきたところで役に立つかよ」
ランタは相変わらずだった。さすがにここまでけなされると腹が立ってくるが。初めてのパーティーとなるやつだ。これ以上仲を悪くすることもないだろう。
「ランタは反対みたいだが、明日俺もついて行かせてもらう」
「な、お前なぁ!」
「そ、それよりフミヤって魔法使いのギルドだよな?魔法使ってたし」
ハルヒロが俺に対して首を傾げながら質問してくる。それはそうだろう。魔法使いといえば今のシホルのように杖を持ったりする。俺のように刀を持ったりはしないだろう。
「確かになぁ。でも、かっこええ武器持ってるもんなぁ」
別に言ってもいいのだが、俺はこのパーティーを養うために入るわけじゃない。手伝うつもりはあるがずっと付き合うつもりは毛頭ないので、俺が前線を支えてはパーティー全体の成長につながらない可能性がある。
「いや、魔法使いだ。武器は護身用に持ってる。俺の魔法は何も使わなくても発動できるしその分武器を持てるなら持った方がいざという時に使えるからな」
別に近接系のギルドじゃなくても刀を振れないわけではない。言い訳としては上出来だろう。いや、魔法使いであるシホルからしたら言いたいことがあるかも知れんが魔戦士の存在を知らない以上問題はないか。
「なんだよカッコつけかよ」
ランタはどれだけ俺のことが嫌いなのか。さっきか突っかかってくることしかしてこない。これは会話をし続けると疲れる。
「お前よりもうまく刀を使える自信ならあるけどな。じゃあ、明日からよろしく頼む。俺はこの森で少しやることがあるんだ。お前らの活動拠点はどこだ?」
「西町近くの義勇兵の宿舎なんだけど……」
マナトが言ったのは俺が考えていた格安の宿舎だった。良く見つけられたものだ、見つけたのはマナトだろう。いい情報収集能力だ。
「そこなら知ってる。明日の朝そっちに行く」
「えっと、一人で大丈夫?」
モグゾーに心配されてしまうが、さすがに稼ぎゼロで帰るわけにはいかない。かといって今のこいつらを連れていっても足手まといにしかならないので何とか誤魔化すしかない。
「森の薬草をとってこいと言われてるだけだ。すぐに終わるし戦闘もしない。心配するな。それとこれ俺が止めなかったせいで取られたんだろ。受け取っとけ」
そういいながら俺はモグゾーに対して銀貨を二枚投げた。モグゾーは何とかそれを受け取る。
「えっ、これはもらえないよ。元々僕が原因だし」
「それでもだ。出なきゃ俺自身が納得いかん。もらっとけ」
俺はすぐにさっき来た方向へと足を踏み出そうとしたが、服を後ろから掴まれる。見るとシホルがそこにいた。
「あの、助けてくれてありがとう……」
初日にわかっていたことだがかなり人見知りなようで、俺の顔を見ず下を向いたままだが感謝の気持ちは伝わってきた。
「別に感謝されるほどのことじゃない。それよりも明日からよろしくな」
「は、はい」
その俺はマナト達から離れて森の中に入り、ゴブリンを2匹殺した。ほんとはもう少し粘るつもりだったが、本来今日は息抜きのつもりだったので、これぐらいで切り上げた……が今回は大当たりで二匹なのに6シルバーも稼げた。
これで当分の生活の費用は問題ない、スキルを学ぶための余裕はなくなるかもしれないがそれよりもマナト達の方が優先だ。
しかし今までパーティーに参加してなかったのに、マナト達の動きを見たら助けなければならない使命感のようなものにかられ、助けることになってしまったがなぜそこまでするのか、自分自身でも理解できないのであった。
この世界でどのぐらいのペースで稼ぐのがいいいのかという判断基準がよくわからないので勝手に考えてます。
そして、フミヤはすぐに義勇兵にしました。レンジレベルの強さなのでずっと見習いというわけにもいかないのでさっさとなってもらいました。
そして、フミヤですが。マナト達の手伝いとしてパーティーに加わります。正式加入ではありません。しかも魔法使いとしてです。
正直、魔法使いとしてだけで見るならフミヤはわりとポンコツです笑
それでは感想などお待ちしております。