アカメが斬るではクロメが好きです(どうでもいい)
さて前回からの続きなのでいきなり戦闘となります。
それではどうぞ!
まず最初に突っ込んできたのはザンザだった。他の奴らはまだ様子見といった感じだ。完全に舐められてるな。
ザンザが持っている剣を振るうが、直線的すぎる。オークのほうがまだ強い。
俺はかわしてザンザの鎧をつけてない部分である腕を切り裂く、もちろん回避など考えてなかったザンザ腕は半分以上斬られる。そこから血が一気に噴き出すが俺は気にせずそのままザンザを蹴とばす。
「ぐああああぁぁぁぁぁ」
「この野郎!治療しろ残りは突っ込め!」
痛みでのた打ち回るザンザに代わりにもう一人の男が指示して、剣を持った奴とダガーを持った奴が突っ込んでくる。後ろのほうでは聖騎士がザンザを治療して、狩人が弓を構えているが、
弓はどうせ大したダメージにならないから無視、まずは前の奴らを片づける。
同時にやってきた刃を俺はぎりぎりでかわし、反撃するが、うまく片方に攻撃すればもう片方がガードする。
――ちっ、腐っても義勇兵か、連係がとれてる。しかし、それなら、
俺は盗賊の攻撃をかわすと同時にそのダガーを持っている腕をつかんで引っ張り、剣士と思われる奴との間に盗賊の体を持ってくる。
さすがに仲間は斬れないようで動きが止まる。それだけで十分だ。俺はそのまま押し付けるように盗賊を蹴とばし、二人が体勢が崩れたところで
「火炎の炎帝、地の底より舞い戻れ」
イラプションでその場を爆発させ二人を吹き飛ばす。そして、追撃を加えようと動き出したところで。
「死ね!」
後ろの狩人が俺の背中を目がけて矢を放つ音が聞こえる。距離が近いこともあり避けるのは難しいだろう。
俺は回避を放棄して致命傷を避けるように動き、わき腹に弓矢が突き刺さるが、同時に小太刀を抜き放ち、投げる。それは狩人の右肩をとらえ、狩人はその場に蹲り動けなくなる。
わき腹に弓矢が突き刺さったはずなのに痛みはない。体も問題なく動く、日ごろからボロボロになるまで戦ってるだけはある。
「くそ野郎が!調子づいてんじゃねぇぞ!」
傷を治してもらったザンザがすぐにこちらに向かってきて、聖騎士は他の奴の治療にあたる。これでは埒が明かないな……
なら回復役からつぶすのが最善手だ。そう考えながら俺はわき腹に刺さった矢を抜く、どうやら毒などは入ってなかったようだ。入っててもやることは変わらないがな。
「真紅は落ちて、爆ぜては真紅に」
俺はまだ体勢を立て直している、盗賊と戦士にバーンストライクで出した三つの炎弾を放ちつつ、ザンザに突っ込む。後ろのほうでは爆発音とうめき声が聞こえたがあれぐらいでは仕留められていないだろう。
「死ねやぁ!」
安直な剣捌きしかできないザンザの攻撃を避け、そのまま狩人を治療しようとしている聖騎士に攻撃を仕掛ける。
すぐに聖騎士も盾を構えようとしたがもう遅い。鎧の隙間を狙って刃を突き立てる。
「あああぁぁぁ!?」
聖騎士が叫び声を上げるが、かまわず鎧の隙間となる場所を何か所か刺し、致命傷ではないが動きを封じる。
聖騎士は自分自身を回復できない。まともに動けなくさせればこいつらは回復の手段を失う。
ついでに隣でいまだ肩の痛みに痛みに悶える狩人から小太刀を抜き取りつつ蹴とばし、俺はザンザを睨みつける。
「これで詰みだ。諦めろ」
回復手段を失い、連係をとっても勝てず、今のこいつらに俺を倒すすべなどもうないだろう。
「ははは、なんの冗談だよ……俺たちはお前なんかよりもずっと義勇兵をやってきたんだぞ!」
ザンザはそう粋がるがすでに後ろの二人組は俺に恐れをなして戦意喪失状態だ。ここまで弱いのか?いや、普通の義勇兵ならここまで弱くない。こいつらは鍛錬すらまともに行っておらず日々の生活費を稼ぐ程度で満足する程度の奴らなのだろう。
「そうらしいな。でも、うまくいかないのをメリイのせいなんかにしている時点でお前らの底は知れてる」
そう言いながら刀を向けると、ザンザの顔も恐怖に染まった。
「わ、わかった。俺たちが悪かった!だから許してくれ!」
ようやく実力差がわかったのか、ザンザは俺に許しを請うように頭を下げだす。土下座、初めて見るがここまで不快なものとはな。
おやっさんが言っていたことがよくわかった。義勇兵にはこんな奴もいるだからそれは気をつけないとフリーの義勇兵なんてやってられない。こんな奴に雇われたらくだらないところで囮にでもされて殺されるのがおちだろう。
こいつらは自分たちがどれほど愚かしい存在なのかを理解していない。こんな奴がいるから――
心の中から湧き上がる感情を俺は押さえつけず、ただただ本能の思うがままに刀を振るった。
「ぎゃあああぁぁぁ!?」
俺は迷いなく土下座しているザンザの手に刃を突き刺した。もちろんザンザは痛みで絶叫を上げる。
こんな奴はこの世に必要ない、そう判断した俺はすぐさま刀をザンザから抜き、持ち直して振り下ろそうとしたが……
「ま、待って!」
メリイの静止の声が聞こえ、俺の動きが止まる。メリイのほうを見ると恐怖をこらえながらも俺をみていた。その恐怖はザンザに対するものか?それとも――
だが、その一瞬は致命的だった。
「――こんな奴に殺されてたまるか!」
俺が殺そうとしていることを本能で感じたザンザは無傷の右手で剣を持ち俺に攻撃してきた。すぐさま俺はザンザのほうを向くが、
――近すぎるっ、回避もカウンターも不可能だ……
「――っ!」
何もできず、攻撃を受ける覚悟でその後に刺し違えても殺す。必ず殺す!そう思い俺は刀を振り下ろしたが――
「ちょっと待った。熱くなるのはいいけどやりすぎは良くないわ」
一体どこから現れたのかもわからない和服の女性が俺に迫る凶刃と、俺が振り下ろした刀を素手で受け止めていた。
どうやってと思ったが、親指と中指で挟んでいただけで、それだけで刃の動きを完璧に止めた。人間技じゃない。
そして、そんなことができて、和服を着ている人物は俺の知る中で一人しかいない。
「……師匠」
「そうよ、バカ弟子。酒場でくだらないことを企んでるやつを見つけたから追いかけてみたら、まさかフミヤが戦ってるとは思わなかったわ」
「な、何ものだ――」
「黙りなさい。あなたも、その仲間も、余計なことをしようものならその首を跳ね飛ばすわよ?」
師匠の殺気は俺以下の義勇兵であるザンザ達を制すのには十分だった。それだけでザンザ達は動かなくなる。まさに格が違うというやつだ。
「さて、あらかた状況はこいつらの話をきいてたから理解してるけど、大変だったわねお嬢さん、こんな面倒な連中に絡まれて、でも安心してこういう輩はブリトニーのとこに叩き込んどいてあげる」
「えっ、あの」
メリイはあまり突然のこと過ぎて混乱している。そりゃそうだ、ただでさえ色々あったがこの人の存在はその中でも群を抜いている。
「ちょっと、師――」
俺が反論しようと口を開きかけたところで、俺の首筋には刀が突きつけられていた。いつどうやって動いたかは俺の目には全く見えなかった。
「私はあなたに殺人してもらうために技を教えた覚えはないのだけれど?全く、こんな街中で物騒なことしようとして、私が何もしなければあなたはお嬢さんの前で人殺しにでもなるつもりだったのかしら?少し頭を冷やしなさい」
「……そんなつもりは」
なかったとは言えなかった。俺は本気でザンザを殺す気でいたのは紛れもない事実だ。
俺が答えに戸惑っていると、何人かの義勇兵がこちらにやってきて、ザンザ達を縛り上げてから治療したりなどし始めた。
「そいつらブリトニーのとこに運んどいて、あとで私が話をつけに行くからって伝言も一緒に」
「わかりました」
一人が返事をすると、ザンザ達は引きずられるようにして持っていかれてしまった。全員師匠により戦意を根こそぎ持ってかれていたのでろくな抵抗もなかった。
「さて、フミヤ。あんたはお嬢さんを家まで送りなさい。私は後始末があるわ」
「……わかりました」
色々言いたいことはあったのだが、今の師匠に逆らえば本当に首を飛ばされかねないので俺は刀を納めて、メリイのほうに行く。
「大丈夫だったか?」
「大丈夫なわけないでしょ!傷見せて!」
俺はメリイの心配をしたのだが、怒られてしまった。確かにわき腹弓矢で刺されていたけどそこまで深く突き刺さってもいなかったので気にしていなかったが、今も血が出てるな。
さっきまで全く痛くなかったのだが、傷を認識してから徐々に痛み出す。
「光よ、ルミアリスの加護のもとに――
俺は服をまくり傷を見せるとメリイはすぐに回復魔法を使って治してくれた。これぐらいなら自分でも治せたのだが口を挟む余地もなかった。
「ごめんなさい。私のせいで……」
「別にメリイのせいじゃない。勝手に俺が喧嘩を売っただけだ。気にするな」
「でも……」
「これぐらい何ともない。それより俺はお前のほうが心配だ。大丈夫か本当に?」
さっきまで震えていたメリイだが、今は落ち着いているようだ。というよりもそれ以上のことがあったから驚いてぶっ飛んだだけかもしれないが、
「それにしても師匠の言う通りだ。メリイがいるのに俺はあいつを殺すつもりだった。悪かったな俺、怖かったろ?」
ようやく頭が冷えてきたが、なぜ俺はあそこまで殺すことに固執してたのか?よくわからなかった。確かにあいつらは許せる存在じゃなかったが、師匠の言う通りやりすぎだった。
「……そんなことない。確かにあの人が止めてくれなければ、ザンザを殺してたかもしれないけど……それでもあなたが謝ることじゃない」
「まぁ、あいつらが近づくことはもうないだろう。仮に来たとしても今度はちゃんと守ってやるよ」
「……何も聞かないで助けるの?悪いのは私かもしれないのに」
隣を歩くメリイは申し訳なさそうな表情を浮かべている。対して俺はできるだけ明るい声を出しながら、
「それは俺が決める。今回は俺からしてみればあいつらは屑同然だし、あんな奴らにメリイを語ってほしくなかったからな」
「……話を聞いた通り、とんだお人好しね」
そういえば今日ハルヒロにバカ呼ばわりされたばかりだったか。あれは少しショックだったが否定もできないしな……
「そうだな。だから何かあったら気にせず頼ることを勧める。あと感謝してるんならハルヒロ達のこともっと前向きに考えてくれるとありがたい」
あんな屑みたいなやつらには一生頼られたくないが、ハルヒロ達やメリイに頼られるならこれほどうれしいことはない。
そういうとメリイが俺の服の裾をつかんでくる。表情はそっぽを向いているので全く見えないが……
「……前向きに考えてあげるから、何も言わず少しだけこのままで」
「了解」
色々あったがメリイとの距離は詰められたし、ハルヒロ達から逃げずに考えてくれると約束もしてくれた。
時間はかかるかもしれないが、これでオリオンのようにはならずにすむだろうと思いたい。
ほどなくして宿舎についたとき、メリイは俺から手を放しつつ、
「今日は本当にありがとう、また明日」
そう言って宿舎に戻っていくメリイを見て、俺はさっきまでの怒りを忘れて穏やかな気持ちになれた。今まで別れる時に挨拶してくれたことなんて一度もなかったからかここまでうれしく感じれるとは、これならゆっくり眠れそうだ。そう思い宿舎に戻ろうとしたが――
「お嬢様の護衛お疲れさま。中々可愛い子じゃない」
後ろから急に出てきた師匠に肩をつかまれた。ずっとつけていたのだろう。そして、経験則だが今の師匠は確実に機嫌が悪い。理由は単純、声が弾んでいるからだ。
すでに俺の背中には冷や汗が伝わっている。
「そ、そうですね。師匠、今回はありがとうございました。今日はもう日が暮れるので明日またお礼に伺います……」
「つれないわね。私はバカ弟子を今から調教してあげようとわざわざここまで足を運んだのにそれを無下にするの?」
ああ、この人俺を逃がす気はさらさらなさそうだ……
「いや、今日はさっきのこともあるし、もう疲れましたというかなんというか……」
「私は言ったはずよ?魔戦士ギルドの誇りを汚すようなことはするなと、確かに今回はあの下種どもが全面的に悪いけど、フミヤ、私は感情のコントロールもできずに何も考えず人を殺すとするあなたを見過ごせるほどやさしくないの。頭のいいあなたならわかるわね?」
そういわれると何も言えない。確かにあの場で殺人でも犯したなら少なくともギルドには迷惑をかけただろう。
「……確かに俺は感情をコントロールできませんでした。なんでといわれてもよくわかりません。なんか本能的にって言ったらいいんでしょうか?」
「そんな言い訳で私が許すと思ってないでしょうね?」
明らかに肩に触れている手の力が強くなった。まずい、これ以上怒らせたら本当にシャレにならない……
「わかりました……ついていきます」
「わかればいいのよ。さ、行くわよ」
俺は心の中ですぐ近くに住んでいるメリイにSOSを送り続けたがもちろん伝わることはなく、俺は師匠に連行され夜通し修行させられるハメになるのであった。
その日の師匠はいつもの修業とはレベルが違い、俺は文字通りの地獄を見ることになった……
ザンザ達を圧倒しましたがこれはフミヤが強いわけじゃありません。
ザンザ達が弱いんです。こういう連中はこの世界で生き残ることには長けてそうですが戦闘能力は一般の義勇兵よりも弱いだろ、という作者の勝手な想像です笑
まぁ、矢ぶっさされているのに平然としているフミヤは逆に強すぎる気もしますけどね……
感想などあったらよろしくお願いします!