灰と幻想のグリムガル ―孤独な魔戦士―   作:雨宮海人

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あれ?今回の話地の文少なすぎ……
まぁ、いいか、というわけでメリイの過去話です。
といってもおやっさんとフミヤが話すだけの回となりますが、

ゆっくり読んでいってください!


第21話 過去

「これはお前さんがこのオルタナに来るよりもかなり前の話だ。この酒場に一組のパーティーが来てた。5人パーティーでな。戦士のムツミとハヤシ、盗賊のオグ、魔法使いのミチキ、そして神官のメリイって感じのある程度バランスが整ったパーティーだ。まだこのころは嬢ちゃんはテーブル席で仲間と飲んでたからな。俺はたまにその姿を遠目で見る程度だったけど、初々しいパーティーだったぜ」

 

……ハヤシ、何度か出てきたが元パーティーのメンバーだったのか。そして、おやっさんの言う通り戦士二人が前線を支え、盗賊と魔法使いがサポートで神官が回復役。悪くない組み合わせだ。

 

「ここからは嬢ちゃんから直接聞いた話になるけど、お前さんから聞いた子たちと違って嬢ちゃん達は順調な方でな。他にも優秀なパーティーがいたから注目はされなかったが、ギルドの演習終えてから10日で団章を買えたらしいぜ。まぁ、一人で一週間で団章を買うっていうありえないことをしている奴もいるから。これぐらいは普通だろう」

 

実に大きなお世話である。しかし、そんなにすぐに団章が買えたのか。ハルヒロ達と比べてしまうとやはりハルヒロ達は大きく躓いたパーティーというのがよくわかる。

 

「最初はお前さんたちと同じダムロー旧市街での活動が主体だったんだけどな。そのうち装備もスキルも充実して、サイリン鉱山ってとこに行くことにしたらしい。わかるか、サイリン鉱山のこと?」

 

「コボルトの住処になっているところで、確か何層にも下りるような形状になってるんでしたっけ?」

 

「そう、あってるぜ。そこを狩場に変えた嬢ちゃんたちの活動は極めて順調だった。ただ、話を聞いている感じその勝利は紙一重のものだったけどな」

 

「紙一重ですか?」

 

「嬢ちゃんの神官としてのスタイルは、全体に目を向けて回復、後衛である魔法使いの護衛、前線に出てのサポート、正直坊ちゃんの話を聞いている時重なっちまったよ。そのマナトって神官と昔の嬢ちゃんがな。それに今と違って可愛く笑う女の子だったんだよ嬢ちゃんは、そしてその笑顔で常に周りの士気を上げてたらしい。ハヤシが言うにはな。あいつもメリイが心配で話をしに来た時に聞いた」

 

……間違いなくマナトと同じだ。いや、マナトは作戦を立てたりと他にも負担はあったが、メリイの負担も相当のものだ。

 

「嬢ちゃんはこの時点で危険なことはわかってたみたいだけど、仲間の笑顔を見たら言えなくなったってずっと悔やんでた。ハヤシ達は順調に進んでいることに調子に乗ってたんだろうな。恐れを知らない新人義勇兵によくある行動だ。危険に気づけてただけでも嬢ちゃんはマシな部類だったな」

 

「でも、伝えられなければ他の奴らはそのまま……」

 

「その通り、特にどんどん下に下がっていく構造のせいか。他のパーティーに先を越されたくないなんて考えちまったらしくてな。どんどん奥へ進むようになったそうだ。当然そのたびに危険は増え、勝利はより紙一重になっていった。そして、5層でデットスポットというコボルトに出会っちまった」

 

「デットスポット……ですか?」

 

今までわかる話ばかりだったので突然わからない単語に反射的に聞き返してしまう。

 

「デットスポットまでは知らんかったか。今でもまだサイリン鉱山にいてな。白黒斑の毛で幾人もの義勇兵を殺したことで有名になって名付けられた超大型コボルトさ。もしサイリン鉱山に行くなら覚えときな。あったらすぐに逃げろこれが鉄則とされている」

 

「……そんなに強いんですか?」

 

「今の坊ちゃんが5人いれば勝てると思うぞ。一人なら確実に殺されるだろうな。それぐらい強い、故に賞金までかけられてる」

 

冗談を言ってるようには見えない。本当にそれだけ強いということなのだろう。

 

「で、話を戻すな。デットスポットに会っちまった嬢ちゃんたちは一応撤退も考えたらしいけど、会った場所が5層って地上から離れすぎちまってたからな。戦うことにしたらしい、ついでに相手はデットスポットだけじゃなく手下のコボルトもいたそうだ」

 

確かにそれだけの状況ならすぐに逃げるにしても結構なリスクがある。もし俺ならどうする?いや俺だけならすぐに逃げるだろう。ならハルヒロ達と一緒なら?……モグゾーとかが追い付かれる可能性を考えるなら最低でも相手の戦力を削ることが望ましいか……?

 

「最初は順調だったらしいぜ、戦士組がうまくローテーションでデットスポットを抑えて、その間に他のメンツで手下を片付ける。普通の策略だが調子乗るだけあって力はあったようだなうまくいったらしい。少し手間取りつつも手下を片づけ、デットスポットのみ、パーティーメンバーは全員無傷だ。お前ならどうする坊ちゃん?」

 

「……デットスポットのスピード次第ですけど、逃げます。よっぽどのメンツがそろってない限り勝ち目がない」

 

しかし、これは俺が今冷静に物事を考えられているからだ。これが実際と同じ状況でできるのだろうか?そして、メリイ達にはそれができなかったのだろう。

 

「それが教科書通りの答えだ。でも、現実はそうじゃない。パーティーのメンバーはここで勝てる、そう思っちまったのさ。だが、デットスポットがそんな簡単に倒せるやつなら恐られることはない。パーティー全員の総攻撃でもピンピンしてたらしいぜ。嬢ちゃんはこの話をするときはいつも泣いてた。どうしてあそこで逃げなかったのかってな」

 

相手が倒せなければ長期戦になる。そうなった場合一番の問題は魔法力だ。これが尽きれば回復ができなくなる、そうなれば前線は崩壊する。

 

「後は予想できたんじゃねぇか?長期戦により嬢ちゃんの魔法力はそこを尽きた。まず、盗賊が殺され、魔法使いが重傷を負い、戦士の片方ミチキが何とかデットスポットを食い止めてたそうだ。そんな状況で魔法を使えなくなった嬢ちゃんはただその場で謝ることしかできなかったってよ。その後、ミチキがデットスポットを抑えている間にハヤシと嬢ちゃんはその場から離脱した。嬢ちゃんは残ろうとして無理やり引っ張ってきたってハヤシが言ってたよ」

 

メリイが常に保守的な立ち回りをしているのは、いざというときに魔法が使えなくなることを避けるためか、前に出ないのも自分がやられれば自身を回復するのに時間を割いてしまう。それが嫌だ、いや怖かったのだろう。

 

「ここまでが嬢ちゃんたちのパーティーの話だ。その後残った二人はオリオンが拾ってもらったが、嬢ちゃんはすぐに抜けちまったよ」

 

なるほどだからシノハラさんは今でもメリイを誘い続けてるいるのか。でも……

 

「どうしてメリイはオリオンを抜けたんですか?」

 

「坊ちゃんなら自分に置き換えてみればわかるんじゃねぇか?」

 

そう言っておやっさんは酒を飲み始めたので俺は少し考える。

 

もし、俺が神官で自分の状況判断などが悪かったせいで仲間を失ったら、まず絶望するだろう。おやっさんに話を聞いてもらう前の俺ののように何をしていいのかすらわからなくなる。でも、そんな中でオリオンなんていう有名クランに迎え入れられて、普通に義勇兵として活動していく――

 

無理だ。俺はおそらくどうして自分のせいで仲間を殺したくせにのうのうと神官なんかやってるんだと思ってしまう。

 

そこまで考えたところでおやっさんは酒を飲み終え、こちらを向く

 

「さて、答え合わせだ。正解はオリオンの居心地がよすぎて、苦痛だっただ。どうだい同じだったか?」

 

「……大体は」

 

「だろうな。そして、ここまでがハヤシの知っているメリイの話だろう。で、ここから話すのはそのあとの話だ」

 

「そのあとですか?」

 

すでにメリイのトラウマは理解できた。なのにまだ話の続きがあるのだろうか?

 

「ここで終わったら俺と嬢ちゃんの関係が全く説明されてないだろ」

 

「えっ?普通に酒場で俺みたいに知り合ったんじゃないんですか?」

 

「そういうわけじゃねぇんだ。オリオンを抜けてしまった以上嬢ちゃんはどうにかして稼がないといけなくなる。そうだろ?」

 

確かにただ生活するというのは不可能だ。色々と金が必要になる。だが――

 

「フリーの神官は簡単には見つからない。パーティー同士で引き抜きあいにすらなるって聞いてるんですけど、そんなにパーティー選びに困らなかったんじゃないんですか?」

 

俺の何気ない言葉におやっさんは顔を暗くした。

 

「坊ちゃんもフリーの義勇兵をやるなら覚えときな。義勇兵っていうのはみんないい奴らじゃない。むしろ悪いやつらのほうが多いといっても過言じゃねぇ。雇われるパーティーはちゃんと見極めなくちゃならねぇんだ」

 

「……どういうことですか?」

 

「嬢ちゃんは見た目が良すぎる。おっさんだって一目ぼれしちゃいそうになるほどにな。それに加えて神官ときた。男共はこぞって嬢ちゃんをほしがるよな?でも、嬢ちゃんの態度は今とは違う意味で悪くてな、ほとんど口を聞かなったらしい。男どもにしてみれば面白くねぇだろ?」

 

確かにコミュニケーションが取れなければ一緒に活動するというのは難しいだろう。それにメリイはこの時からすでに保守的な立ち回りをしているわけだし。でも――

 

「……それがメリイなんだからしょうがないってあきらめてパーティーから抜けてもらうって展開になるだけじゃないんですか?」

 

「坊ちゃんそれはお前がいいやつだからそう思えるんだ。汚いやつらからすれば見た目はいいが、ろくに話もしなければ仕事もまともにできない。なのに自分たちの稼ぎをもっていく。そんな女に何の価値がある?」

 

そこまで言われて俺は一つの可能性に至ったがそれをすぐさま否定した。そんなことをする奴は人間の屑だ。そんな奴が普通にいるわけがない……

 

「――襲われたんだよ男共に」

 

その言葉を聞いた瞬間俺は持っているジョッキを握りつぶしそうになった。もちろんそんなことはできないのだが……

 

だが、俺は顔すら知らない男共に明確な殺意を覚えた。それは自分ですら怖くなるぐらいのドス黒い感情だ。

 

「……その屑は今も生きてるんですか?」

 

「さすがにわからねぇな。俺は一度も目にしてないがな。ついでにこの話はハヤシにはもちろん喋ってない。あいつに無駄な責任感じてほしくないからな」

 

「そいつらを知ってたんですか?」

 

「違う、襲われているとこに偶然居合わせちまってな。見過ごせなかったんで全員ボコ殴りにして追い返してやったんだ。ついでに脅しもかけておいたから普通の奴ならもう何もしてこねぇだろうな」

 

おやっさんの口ぶりからして相手は間違いなく義勇兵のはずだ。それをあっさり倒したみたいに言うってことは……

 

「おやっさんって実は強い?」

 

「あん?坊ちゃんと喧嘩したら一方的に殴り続ける自身ならあるぜ?」

 

この人に逆らうのは絶対にやめた方がよさそうだな……

 

でもおやっさんの軽い口調のおかげで怒りも何とか収まったので結果オーライといったところだろう。

 

「で、それが俺と嬢ちゃんの出会い。あー、俺がもっと若ければ運命の出会いとか言えたんだけどなぁ~」

 

「年の差を考えてください……一歩間違えば犯罪者ですよ」

 

「失礼な、これでもまだ30代だぞ!」

 

いや、もうその時点で問題なんだって……とこれ以上言っても話が進みそうにないので少し黙ってスルーする。

 

「……まぁ、その後な成り行きで色々な話を聞いてな。ああ、勘違いするなよ!酒場で話を聞いてやっただけで他には何もしてないぞ!」

 

「なんですか!そんなに犯罪者になりたいのかあんた!」

 

こんな時にまでこんな冗談を言える心の無駄な広さに俺は少し疲れてしまう。

 

「でも、大変だったんだぜ?嬢ちゃんは今まで相手に対して無言だったのが拒絶に変わっちまったからな。それで今のお前の知るトゲトゲしい嬢ちゃんの完成ってわけだ。人と深くかかわらず距離を置く、まぁフリーの義勇兵には多少必要なスキルかもしれないけど、度が過ぎればそれは悪評に繋がる。俺も何回かパーティーを斡旋してやったんだがうまくいかなくてなぁ。俺にできること嬢ちゃん愚痴を聞いて励ますぐらいしかできなくなっちまったよ」

 

人と距離を置く、確かに必要なことかもしれないが、あれでは連係もまともに取れなくなってしまう。それにメリイにはもう確立された自分のスタイルがある以上話をしなければそれが伝わらず、はたから見れば偉そうにしているようにすら見えるというわけか。

 

いや、それだけじゃない。人と深くかかわらないようにしているのはおそらく自分が仲間を見捨てた神官だと今も重荷として背負っているからだろう。

 

「これが俺の知る嬢ちゃんの話だ。どうだい似てるだろ?なんでも背負っちまうところがさ」

 

おやっさんの嫌味に俺は酒を飲んで誤魔化すことしかできなかった。俺は今でもマナトは俺のせいで死んだとそう思ってる。シホルはみんなのせいと言っていたがやはり中途半端な自分を許せないのだ。そして、メリイも自分のことを許せないのだろう。だから自分に厳しくあり続ける。

 

「でもな、今回のお前さんの話を聞いたとき思ったんだ。同じ境遇の奴らとなら嬢ちゃんはうまくやれるんじゃねぇのかってな」

 

その言葉に俺は何も返せなかった。確かにメリイとマナトは神官としてよく似いている。そして、片方は無理した結果仲間を死なせた、もう片方は無理した結果仲間を残して自分が死んでしまった。仲間を失った神官と、神官を失った仲間、今までうまくいかなかったがこれならうまくいくかもしれないと思ったおやっさんの気持ちもわからないでもない。

 

「それに坊ちゃんがいる。俺はまだ坊ちゃんの仲間と話したことがないからわからないが、坊ちゃんは何があろうと嬢ちゃんを見捨てない。いや見捨てることができない。そういう人間だ。もし、あのパーティーに追い出されたとしても坊ちゃんが嬢ちゃんのそばにいてくれるだけでおっさんとしては安心できる」

 

俺がメリイを見捨てるなんて考えられなかった。そしてそういう人物をおやっさんは待ってたのかもしれない。メリイの孤独を少しでもいやせる存在が、でも――

 

「俺が出る幕なんてありませんよ。ハルヒロ達はメリイを受け入れる。俺はそう信じてメリイが勝手に逃げださないように手助けするだけですから」

 

俺がメリイを見捨てるのがありえないのと同じくらいに俺はハルヒロ達がメリイを見捨てないことを確信していた。まぁ、ランタはわからないがそのほかのみんなはメリイを見捨てるほどの下種じゃない。だとすれば問題になるのはメリイがオリオンのように逃げ出すことだけだ。それがわかってるなら俺はそれを助けてやればいい。

 

「言うじゃねぇか。そうでないとわざわざ嬢ちゃんの信用を失うリスクを負ってまで話した意味がねぇってものだ。まぁ、いざってときは坊ちゃんが嬢ちゃんを養えるぐらいの立派な男になれば何の問題もないしな」

 

「メリイが俺に振り向いてくれるなんて到底思えないんですけど?」

 

「そんなことねぇさ。お前が一人で戦ってるって知った時の嬢ちゃんの反応、あれは見ものだったしな」

 

「そりゃ、そうでしょ。仮にも知り合いなわけだしそれが死んだとあったらメリイは昔のことを考えてしまう」

 

それだけメリイは仲間を大事にしているってことなんだろう。どれだけ不器用なのだか、

 

「違う違う、嬢ちゃんは確かに入ったパーティーの奴が自分のせいで死ぬのは恐れてるかもしんねぇが、それ以降はそんな心配したこともねぇぜ。すぐに捨てられたパーティーが壊滅したって聞いた時も表情が少し変わったぐらいだ。嬢ちゃんは無意識のうちに大事に思ってるんだよ。坊ちゃんのことをな」

 

意外だ。おやっさんが言う以上嘘ではないと思うが、そこまで心配されてるとは……

 

「だから一人で活動するのに文句はねぇが、勝手にくたばったりは絶対にすんなよ。ついでに俺の稼ぎも減っちまう」

 

「わかりました。でも、それならどうして一人での活動を止めないんですか?どう考えても危険なことをしているんですけど」

 

自分で言ってばからしいが、おやっさんが言っていることの矛盾が気になり、つい訪ねてしまうが。

 

それに対しておやっさんの表情はなんとも複雑なものだった。

 

「……そこが坊ちゃんと嬢ちゃんの違いだ。俺は嬢ちゃんは誰かと一緒に助け合わなきゃならねぇってそう思うんだが、坊ちゃんは何というかひどい言い方をするなら一人がお似合いなんだよ。全員死んじまったが今まで一人で活動してきた連中と同じ雰囲気を感じるんだ」

 

「縁起でもないこと言わないで下さいよ!俺が死ぬみたいじゃないですか!」

 

しかし、俺と同じように一人で活動している義勇兵はやはりいたのか、前例があるのはいいのだが、それで死なれては意味がない……

 

「だから死ぬなって言ってんだろ?義勇兵っていうのは甘くない。どんちゃん騒ぎしてるから気づきにくいが酒場に来るメンツだって時が過ぎれば総入れ替えだ。誰も残っちゃくれねぇ。だからこうしておじさんは固定客が離れないように努力しているってわけだ」

 

おやっさんの言葉に俺は少し考えさせられた。確かにここオルタナにはかなりの人数の義勇兵がいる。でも、それだけたくさんの人々が日々戦い死んでいるのだろう。マナトが死んだときにいった墓場の墓の数も正直簡単に数えきれるものではなかった。あれで生還で来た死体なのだから、無事に帰れない死体を含めれば一体どのくらいのペースで義勇兵は死んでいるのだろうか。そこまで考えたところで俺は考えるのをやめた。これ以上考えれば気が遠くなりそうだからだ。

 

「嬢ちゃんも今はどうにかなってるけど、今じゃ最底辺パーティーの神官だ。もう雇ってくれるパーティーもだいぶ減っちまってるからな。早くどうにかしておじさんを安心させてくれ」

 

「……絶対にメリイはハルヒロ達のパーティーの神官になってもらいますよ。ハルヒロ達のパーティーに入ってくれる神官はそんなに多くないですからね。メリイほどの神官を逃したら……二度目はないかもしれませんから」

 

ひどい言い方だがこれが現実だ。メリイほどの腕の神官がハルヒロ達のパーティーを手伝ってくれることは普通じゃありえない。実際ここまで簡単に神官が補充できたのは奇跡といえるだろう。

 

「そうだな。互いのためにもうまくいってほしいものだ。そして、そのためにお前さんがいるんだろ?」

 

「俺がいなくてもハルヒロ達なら自分でどうにかしそうですけどね。今日、メリイの話を聞いてあいつらがどうするのか、明日様子をみて色々助けてやろうと思います」

 

「頼むぜ。失敗したら今日の酒代はお前持ちだからな。ついでに2ゴールドだ」

 

いきなりの言葉に俺は持ち上げたばかりのジョッキを落としそうになる。

 

「はっ!?2ゴールド!これそんなに高いんですか!いや、すごいおいしかったですけど……」

 

正直払える気がしない。おやっさんなりの激励なのかもしれないが、俺の生活に関わる問題に一気に発展してしまった。

 

しかし、そんな俺のことはよそにおやっさんは大笑いしていた。本当にこの人は……と俺は頭を抱えることしかできなかった。

 




正直メリイのような子がパーティーを転々としてたら絶対こういう下種に当たってしまうのではと思ったので追加してみました。

そしておやっさんの戦闘力はすごかった笑
現状メリイが心を許して会話できるのもこれで納得できると思います。

感想などあったらよろしくお願いします!

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