ARIA The SUBMARINER   作:ルナ中尉

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1年、あれから1年ですか。早いですね。こんにちは。


第2話 〜その、偶然(?)の出会いは〜

夢を見ていた。

 

あれは4年程前、俺が少尉だった頃--

 

「おい黒乃!黒乃!!もうダメだ、脱出するぞ!!」

 

「わかってる!わかってるけど、今艦のコントロールを放棄するわけにはいかない!それこそ悪夢だ!」

 

「コントロール!?んなもんもうどうでもいいだろう!総員上甲板の命令が出てんだぞ!もう沈んじまう!急がねぇと!」

 

「そういうわけにはいかないだろう!敵の攻撃は艦の心臓部のすぐ横に直撃してる!このままコントロールを放棄すれば辺り一帯が放射能に汚染されてしまう!それだけはダメだ!君だけでも先に行ってくれ!その怪我じゃ、急がないと逃げきれなくなるぞ!…私は最悪、艦と一緒に沈むよ。君だけでも助かるんだ!」

 

「少尉、脱出しましょう!魁少尉なら絶対大丈夫です!少尉は大怪我をされているのですから早く脱出を!!」

 

「おい馬鹿野郎離せクソッ!黒乃、黒乃!!テメェ死んだら承知しねぇからな!!必ず戻ってこいよおい!分かってんだろうな!!」

 

「ふふ…今までありがとう火星。…………さようなら。」

 

「お、おい。黒乃!黒乃!!!」

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

「黒乃!!!…………はっ!?」

 

自分が発した大声と共に、天城火星は目を覚ます。

地球と同じく、管理された綺麗すぎる空気の味、耳に響くエンジン音、不審がる周りの人の目…地球と火星を結ぶ宇宙船の中だ。

 

「お客様、大丈夫ですか?お具合がよろしくないのであれば、お薬をご用意致しますが…。」

 

「いや、大丈夫だ。少し変な夢を見ただけだから…。かわりに熱いコーヒーを一杯貰えるかな。」

 

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ。」

 

去っていく乗務員の姿を見ながら、火星は現状を確認する。

火星は、司令部の長官から長期の休暇を貰い、はるばる地球から火星へと向かっている最中なのだ。

 

「しっかし…よりにもよってあいつの夢か…嫌な夢みたなぁ…。」

 

4年前、国防海軍の観艦式の最中、火星の乗っていた艦は《秩序を乱すもの》に襲撃され、撃沈されたのである。

 

その時に負った腹部の傷の痛みが、嫌な記憶と共に蘇った。

 

「あの時、無理矢理にでもお前を連れ出しておけば良かったな、黒乃。」

 

魁黒乃。

海軍兵学校の同期であり、女の身でありながら首席卒業者。次席卒業である火星が唯一成績で勝つ事の出来なかった人間だ。

黒乃は結局、あの後艦と運命を共にした。撃沈されることにより、核燃料を動力とする艦の心臓部から放射能が出ないように最後の最後まで奮迅したのだ。

 

「お客様、お待たせ致しました。コーヒーでございます。」

 

「ああ、すまない、ありがとう。」

 

1人昔の記憶に浸る火星の元に、乗務員がコーヒーを持ってくる。そのコーヒーに口をつけ、火星は窓の外を眺めた。

眼下には、水で覆われた美しい星が光り輝いている。

 

「あれが…アクア…。美しい星だ、映像の中で見たものよりも、何倍も…。」

 

『本日は、太陽系航宙をご利用いただきまして、誠に有難うこざいます。当機はまもなく、惑星アクアの大気圏に突入致します。』

 

アナウンスが流れ、火星の乗る機体は大気圏を抜けて行く。

 

『この惑星が、テラフォーミングされてから150年。極冠部の氷が予想以上に融解し海が出来たことにより、地表の9割以上が海に覆われた惑星。それがアクア。ここは水の惑星として、今日は親しまれております。』

 

どんどんと、アクアの海が目の前に迫ってくる。

 

「いよいよ惑星アクア、か。この星はどんな体験を俺にさせてくれるのか…。」

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

マルコポーロ国際宇宙港。

惑星地球の宇宙港と、惑星アクアのネオ・ヴェネツィアを結ぶ、ネオ・ヴェネツィアの玄関口である。観光都市であるネオ・ヴェネツィアにあるこの国際宇宙港には、毎日沢山の人間が出入りしている。

その中に、天城火星の姿もあった。

 

「ん、んーーー。あー疲れた。思ったより長旅になったな…。ここがネオ・ヴェネツィアか…。」

 

燦々と輝く太陽、そしてその太陽の光を浴びキラキラと光る運河。植物の光合成のおかげか、とても心地の良い空気。どれをとっても、確かに地球ではもう味わえないものなのかもしれない。火星は、ふと目を閉じ、この星からの自然の贈り物を全身で感じた。

 

「うん…確かに気持ちいい…。これは地球じゃ味わえねぇな。体が芯から温まる。」

 

アクアの季節はちょうど初夏、1番太陽の恵みを浴びることのできる時期である。

 

自然の恵みを全身で感じた火星は、次に大好きなタバコで一服しようとして、喫煙所を探す為にマップを開いた。もっとも、幾ら体に良い空気や良い光を浴びたところで、タバコを吸えば全部オシャカになってしまうのだが。

 

「やっぱり少ないな…喫煙所。」

 

時代が進み、ガンも完璧に完治できる技術は存在しているが、それでも毒の塊であるタバコを吸う人はもうほとんどいないと言っても過言ではない。それを考慮すれば当然の結果であった。敷地の中であれば、ある程度自由に吸うことができるが、公共の場所になるとそうはいかない。

 

「まぁ仕方ないな…。とりあえず1番近い喫煙所は……空港のすぐ横だな。ウンディーネとの待ち合わせまでまだ時間あるし、ここで時間潰すか…。」

 

ポケットからタバコを取り出し火をつけ、紫煙を吐き出す。この瞬間が、火星の何よりも好きな時間だった。

 

タバコを吸いながら、改めて目の前に広がる景色を眺める。

左手に見える橋は…スカルツィ橋だろうか。ヴェネツィアのカナルグランデに架かる4つの橋のうちの1つだ。カナルグランデを越えて向こう岸には、地球では決して見ることのできない建造物がそびえ立っている。長い年月を歩んで来たのだろう、傷んでいる部分、剥げてきている部分も確認できる。だが不思議なことに、そういった部分も含めて、この街が成り立っている要因なんだなとすんなりと理解できる。初めて生で見る光景なのに、どこか懐かしさすら感じさせた。

 

火星はもう一度スカルツィ橋に目を向ける。地元の人、観光客、子供、大人、男性、女性、犬猫まで、皆楽しそうな顔をして渡っている。

 

「あんな笑顔、地球でもそうそう見ないぞ。ここがいかに治安がいい場所かってのがよく分かるな。」

 

地球全土の治安が悪いという訳ではないが、小規模な紛争は未だ何処の地域でも発生している。国防海軍の士官として最前線で戦っている火星の周りでは、もはや見ることのないような笑顔だ。

 

10分くらいタバコを吸っていただろうか。まるで自分の周りだけ時が止まっているような、そんな感覚を火星は味わっていた。地球での暮らしのような、目まぐるしい早さで時間は駆け抜けていかない。本当に、ゆっくり、ゆっくりと、流れていく。

 

そろそろ待ち合わせ時間かなと時計を見ようとした火星は、ある事に気付く。

 

「あん…?何してんだあのガキ」

 

視線を正面に移すと、スカルツィ橋の柵から身を乗り出している少年がいた。恐らく、ゴンドラや運搬船が橋から出てくる瞬間を見ようとしているのだろう。気持ちは分かるが、相当身を乗り出していて、いつ落っこちてもおかしくはない。

 

「…やらかしそうだな。」

 

これはマズそうだとカンで判断した火星は、待ち合わせ場所もすぐ目の前なので、橋に近付くことにした。

 

少年はついに、身を乗り出し、足をぶらぶらし始めた。非常に危険である。

 

「周り、誰か注意してやれよ…ったく…」

 

見てられなくなり、一言声をかけてやろうとさらに近付いた、その瞬間、

 

「あっ!!」

 

小さな声が聞こえたと同時に、少年が海に落ちた。

 

「言わんこっちゃねぇ!!!」

 

火星は一気に体のギアを切り替え、凄まじい速さで少年の元へ向かう。少年は泳げないらしく、水の中で激しくもがいている。服も靴も着けた状態では、非常に危険だ、一刻を争う。周りの人間もようやく事態に気付き、騒ぎ始める。しかし誰も助けに行こうとしない。当然だ。素人が飛び込んで助けに行くなど言語道断。二重事故を招きかねない最も愚かで危険な行為である。

 

橋の側に到達し、上着だけを脱ぎ捨て、飛び込もうとした瞬間、

 

「これに掴まって!早く!!」

 

火星の耳に、驚くほど美しい、女性の声が入ってきた。

 

顔はよく見えないが、美しい、長い長いブロンドの髪。こんな事態だというのに、思わず火星は見惚れる。火星は髪が長い女が好きなのだ。今までこんなに髪の長い女を見たことがなかった。

 

少年がその女性の持っていたオールを掴む。これで助かるかもしれない、周りがそれに安堵した時だった。

 

「きゃっ!?」

 

ざばん!!!と、新たな水飛沫がまう。ブロンドの女性が、オールごと少年に引きずり込まれたのだ。

無理もない、少年は泳げなく、パニック状態になっている、水の中でパニック状態になっている人間は、大人でも何をしでかすかわからない。海軍軍人である火星は、その事をよくわかっていた。

 

「やれやだぜ!待ってろよ!!!」

 

叫ぶと火星は、ブロンドの女性と少年目掛けて一気に飛び込む。周りが目をみはるほどの恐るべきスピードで2人の元に到達する。少年が女性の体を掴んでもがいていた。一番危険な状態だ。最悪、ブロンドの女性を巻き込み、2人とも溺死しかねない。そういった二重事故は水難事故でよく起こるケースだ。

 

「おいあんた!!!とりあえず船の上に上がれ!!!このままだと巻き込まれんぞ!!!」

 

火星はまず、ブロンドの女と少年を、力尽くで無理矢理引き離す。そして、一瞬で側にあった船の上にブロンドの女を投げ入れる。

 

「わ、私よりその子を!」

 

「分かってる。任しとけ。」

 

少年の元に向かうと、少年はどんどん沈み始めていた。そろそろ体力も限界が近いのだろう。

 

だが逆にこれはチャンスでもあった。体力の限界が近いという事は、もう暴れる力が残っていないという事。つまりかなり救助しやすい状況とも言える。

 

火星はタイミングを計らい、少年を掴むと一気に先程と同じように船の上に投げ入れた。そして火星も、船の上に乗り込む。周りから拍手が起こっているが、まずは少年の状態を確認するのが先だ。

 

「ごほっ!!がはっ!!!」

 

少年は相当体力を消費しただろうが、沈む寸前だった事もあり、意識もある。海水も飲んではいるだろうが多量ではないはずだ。

 

「おい坊主。大丈夫か?俺の顔が見えるか?」

 

「かはっ、かはっ!は、はい。」

 

「俺の指を見ろ、これは何本だ?」

 

「はぁ、はぁ…さ、3本です…。」

 

「よし、まぁ大丈夫だろ。意識もはっきりしてるようだしな。おい坊主。あんなに身を乗り出したら危ないだろう。自分を危険にさらす事になるし、周りにも迷惑を掛ける。よく考えて行動する事だな。」

 

「ぐす…ごめんなさい…ごめんなさい…悪気は無かったんです…本当にごめんなさい…。」

 

「あーーーーもう。泣くな泣くな!男だろ!男がギャンギャン泣くもんじゃあない。1度分かったら、もう同じ過ちを繰り返す事はないだろう?ならそれでいい。1度目は勉強だ。何事もな。しっかりと覚えとけ。いいな?」

 

「はい…本当にごめんなさい…。」

 

なんだかそんなに泣かれては説教しているこっちが負い目を感じてくる。本人は本当に悪気は無かったのだろう。とても反省している様子だった。

 

「あらあら、うふふ♪」

 

ふとその声で存在を思い出す。視線を右にやると、さっきのブロンドの女が天使の様な笑みを浮かべてこちらを見ていた。

改めて顔を見る。透き通るサファイアの様な蒼い瞳、人形の様に整った顔、雪の様に白い肌、そしてなにより、腰まである長い金髪のブロンド。とてつもなく可愛い。というか、好みだ。

 

「あんたは余裕そうだな。大丈夫だったか?」

 

「ええ、貴方が助けに来てくれたおかげで。最初は怖かったけど、とても頼もしかったから、安心してみていることができました。」

 

そう言って微笑む顔は、なるほど、一体今まで何人の男を虜にしてきたのだろうか。本人にそんな気はサラサラないだろうが、立派な凶器だ。それほどまでに可愛かった。

 

「お姉さん…ごめんなさい…本当にごめんなさい…。」

 

ブロンドの女に対しても少年は泣いて謝る。あーーーもうだから泣くなっつってんだろ!

 

「この坊主もパニックになってたんだ。許してやってくれねぇか。」

 

火星がそう言うと、ブロンドの女が少年に手を伸ばす。その手は少年の頭に置かれ、優しく、撫でる。

 

「よしよし。怖かったわね。でも、助かった。もう大丈夫よ。もう大丈夫。安心していいからね。」

 

どんだけ優しい女なんだこいつは。優しさの塊みたいな女だ。

吹っ切れたのか、少年は大泣きしながら女に抱きついた。こんのクソガキ調子のってんじゃねぇぞ!!!羨ましい!!!

そう思う心をなんとか胸に押し込み、火星はタバコを口に咥え、火をつける。濡れていたが、これはこれで乙なものがある。

 

「しっかしお前、よっぽど船が好きなんだな。あんなに身を乗り出して船見てるなんてよ。」

 

紫煙をくゆらせながら火星が少年に対して問いかける。少年は船のどこを見ていたのだろうか。火星としても少し興味があった。

 

「あ…違うんです。僕は、船を見ていた訳じゃないんです。」

 

「あん?船じゃなかったら何見てたってんだ?魚なんて見えやしねーだろ。」

 

「僕は……その…おかしいと思われるかもしれませんけど、水を見ていただけなんです。海の水を、波を、船と船が行き交う中で起こる白波を、日の光を浴びてキラキラ光る水面を、本当に綺麗だなぁと思って、見ていただけなんです。」

 

ああ、と。火星は納得した。この少年は自分と同じなのだ。心の底から、海が好きなのだ。火星もかつて、バーチャルの中で見た海に憧れた。火星の海軍軍人になりたいという願いは、そこから始まったのだ。大いなる海、母なる海。どんなものよりも魅力を秘めていて、吸い込まれる。少年の言ったように怪しく揺れる水面が、自分をずっと虜にしていた。火星は、その海への情熱が、軍人へと傾いただけなのだ。

 

「坊主、お前本当に海が好きなんだな。俺と一緒だ。」

 

そう言うと少年は嬉しそうに、

 

「…はい!!大好きなんです!だから僕は、将来この海に携わる仕事がしたいんです!!」

 

真っ直ぐで眩しくて。

ああかつて、俺にも、

こんな時が、あったなぁ。

 

「このネオ・ヴェネツィアに住んでいる人々は…」

 

俺たちのやり取りを見ていたブロンドの女が口を開く。

 

「子供も、大人も、お年寄りも、皆、海が大好きなんです。だって皆、このネオ・ヴェネツィアの海と共に、大きくなって、生きてきましたから。」

 

「…ふん、なるほどな。確かにいい場所だ。」

 

「はい!とーっても、いい場所なんですよ♪」

 

随分と単純で幸せな考えだとは思うが、あながち間違いではないのかもしれない。火星がネオ・ヴェネツィアに着いた時、周りの人々の笑顔を見て、どうしてそんなに笑顔なのだろうと思った。それが、このネオ・ヴェネツィアという美しい街と、この美しい海のせいだというなら…まぁ、納得がいく。それだけの力が、やはりこの地にはあるのだ。言葉に出来ないような力が。

 

ふと視線を前にやると、血相を変えてこちらを見ている女性がいた。恐らくは少年の母親だろうか。こっちの仕事は終わった。早く会わせてあげねば。

 

「おい坊主、お迎えが来たようだぜ。」

 

「あ、お母さん、お母さん!!」

 

少年の嬉しそうな顔に、俺とブロンドの女は顔を見合わせ、ふっと、笑う。ブロンドの女が船を漕ぎ出し、船が陸へと向かう。

 

「お母さん、おかあさーーーん!!!」

 

「ルナ!!!ルナ、ルナ、良かった、良かった…無事で…。本当に良かった…。」

 

少年の母親は、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら少年を抱きしめる。感動の再会ってやつだな。一件落着一件落着。

 

「あの、息子を助けて下さったというのは、あなた方ですね!?本当に、本当にありがとうございました!!!あなた方がいなかったら、どうなっていたことか…本当にありがとうございました!!もう2度と、このようなことがないように言い聞かせますので…。」

 

物凄い勢いで頭を下げてくる母親。いい人なんだろうな、この人も。

 

「大丈夫ですよ。その子も無事で良かった。…坊主、お前、ルナっていう名前なのか。いい名前だな。」

 

「うん!僕も気に入ってるんだ!!お兄さんの名前は?」

 

「俺か?俺は、アクアだ。火星と書いて、アクア。」

 

「アクア…凄い!この星と同じ名前だ!!」

 

「別に何もすごかねーよ。でも、ルナとアクア、どっちも星の名前だ。互いに海が好きだし、似た者同士かもな、俺ら。」

 

「うん!!そうだね!!!僕も、お兄さんみたいに強くて逞しくて、カッコイイ男の人になれるように頑張る!!!」

 

「おう!!頑張れよ!!」

 

火星はルナの頭をガジガジと撫でる。嬉しそうにしているルナ、それを笑顔を浮かべて見ているブロンドの女、ルナの母親、どうやらこの星では優しい空気が充満しているらしい。いいことだ。

 

「あの、何か御礼をさせて下さい。息子の命を助けて貰ったのに、何も御礼をしないというわけにはいきません!!」

 

「それには及びませんよ。私は地球で水上警察の様な仕事をしているので、水難事故の対応はしょっちゅうです。お気持ちだけで十分ですよ。」

 

この星で、出来るだけ軍人だという事を言いたくはない。地球ではもうほとんど機能していない組織だが、水上警察というのがギリギリつける嘘のラインだった。

 

「いえ、そういうわけには!ああそうだ。私は家族でレストランを経営しているんです。なのでいつでもいらして下さったら、なんでも無料で提供させて頂きます!」

 

「そうですか。わかりました。そこまで仰るのなら、また伺わせて頂きましょう。楽しみにしています。」

 

そういうと、ルナの母親も納得したのか、ありがとうございますと笑顔で頭を下げた。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

笑顔で手を振るルナとその母親をブロンドの女と共に見送る。また近々会う事になるだろう。そんな予感を感じながら。

 

「アクア…さん…。」

 

ブロンドの女がボソッと俺の名を呼ぶ。

 

「本当に、いい名前…。」

 

そう言うとブロンドの女は俺の顔をじっと見つめてくる。…おいおい本気で可愛いぞこいつ。久しぶりにドキがムネムネしてきたゾ。

 

「そ、そうか?俺はあんまり好かなかったんだがな。今はそれなりに気に入ってるけど。…ところで、あんたの名前は?まだ聞いてなかったな。」

 

「あらあら、私としたことが自己紹介がまだでした。申し遅れました。私、ARIAカンパニーの、アリシア・フローレンスと申します。」

 

「アリシア…あの、3大妖精の…。」

 

 

 

 

これが、火星とアリシアとの、初めての出会い。

そしてこのアリシアが、後に火星の人生を、大きく、大きく、変えていく事になるのだが、2人は当然、まだそんな事は知らない。

 

 

続く(多分)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




海や川で遊ぶ時は本当に気をつけましょう。何かあれば適切な対応をしましょう。

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