時雨転生史   作:航空戦艦山城

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海風が来なくて必死に潜水棲姫をボコしてる毎日です。
E-2でも出るけど攻略重視で丙でクリアしたから出ないんですよね。
海風が乙以上限定だと知ってたら乙でやってたんだけどな。
まあたらればの話はやめておきましょう。


第6話 格闘訓練は思ってた以上にキツかった

「敵を殴って倒すだと?」

 

「そうだよ。

 

「なにを馬鹿なこと言っているんだ。戦艦クラスの装甲と筋力があれば可能かもしれないが、駆逐艦がそんなことをすればただではすまないぞ」

 

「大丈夫だよ。僕はいわゆる幸運艦だしね」

 

「幸運だろうがなんだろうが、そんなことを認める訳にはいかないんだ。わかってくれ」

 

「あ、なら提督、せめて護身程度にやるのはどうでしょうか。出来るのと出来ないのではそれだけでかなり違いますし」

 

 扶桑からのアシスト感謝します。

 

「む、むぅ・・・護身と言われると無理にやめさせられんな。わかった。柔道と合気道の教本を取り寄せよう。ついでにそのCQCの本を貸す。だが、決して無理はしないように。ダメだと判断したらすぐにやめさせるからな」

 

「承諾してくれただけでも嬉しいよ。じゃあ執務の合間にでも特訓してみるよ」

 

 

 やあみんな。そういう訳で今日から格闘の特訓を行う事になった。取り寄せる教本は今日には届くらしい。妙に速い気もするけど損するものでもないし気にしないことにする。格闘は提督が心得があるらしいので可能な時に師事してもらう事にした。それと自主訓練をするという感じだ。ちなみにこの事を夕食の時に会った姉妹に話すとなんて事を考えるんだという目で見られた。だが、格闘が出来ても体力が無ければ意味がないので走り込みをするなどして鍛える事にする。その事を伝えてみるとどうやら早朝に一部の艦娘が走り込みを行っているらしい。なので今日はいつもより早くに起きて走り込みに参加しようと思う。運動場でやっているらしいので早速向かうと数人が集まっていた。

 

「む?時雨・・・だったか?おはよう。それでこんな時間にどうした?」

 

 話しかけてきたのはかのビッグセブンの長門。その他にも日向、長良、そして神通というかなりそうそうたるメンバーが集まっていた。

 

「やあ長門に日向に長良に神通。おはよう。実は体力を鍛えようと思ってね。提督に聞いたら毎朝ここで走り込みをしているって聞いたから混ぜてもらおうと思ってね」

 

「そういう事か。なら私は異存はないな。みんなはどうだ?」

 

「最上から話は聞いている。とてもいい娘だと褒めていたぞ。もちろん私も文句はないな」

 

「長良も文句ないですよ!むしろ大歓迎です!」

 

「わ、私は構いませんが・・・無理はしないでくださいね。出来る範囲でいいですから」

 

「だそうだ。私たちは君を歓迎するぞ」

 

「ありがとう。頑張るよ」

 

「よし。じゃあ早速走る訳だが、時雨はなにか運動出来る服を持っているのか?」

 

「あ」

 

 すっかり忘れてた。おれジャージもなんも持ってねえぞ。別にこのまま走ってもいいんだけどそれだと恐らく遅刻する。

 

「その顔は忘れていたようだな。しょうがない。こういう事もあるかと思って常に駆逐艦用も持ってきているからそれを使うといい」

 

 なんでそんなもん常備してるんですかね長門改めてながもんさんよお?しかもご丁寧に駆逐艦限定だし。

 

「とりあえず長門の事はこれからながもんって呼ぼうかな」

 

「ブフォッwwwww」

 

「なんだそのあだ名は!?それと長良!笑うんじゃない!」

 

 

 なにはともあれ着替えてきました。ながもんにしては珍しくジャージだった。ながもん曰く

 

「本当はブルマがよかったんだがブルマだとちゃんとサイズを合わせないといけないからな。そこまでは出来ないから仕方なくジャージにしている」

 

 との事。そこまでされてたら怖いわ。それは置いといて、走る訳だが日向や神通に秘書艦の仕事もあるし始めてだから出来るところまででいいと再度言われた。まあ俺もあまり体力があるとは全く思っていないのですぐ抜ける事になるだろうとは思う。じゃあ準備も出来たし、みんなのところに戻りますか。

 

「着替えてきたな。じゃあしっかり柔軟しておけ。いきなり走るとアキレスを切るからな」

 

「あ、私手伝いましょうか?」

 

「神通さん?ありがとう。お願いするね」

 

 正直こういう時の神通さんは怖かったりする。史実でも二次創作でもそうだけど鬼教官だったりする。この柔軟ですら鬼になるかもしれないのだ。

 

「じゃあまず開脚前屈からいってみましょうか」

 

「了解」

 

 開脚前屈か・・・前は身体が硬くて柔軟系は軒並みできなかったんだが果たしてこの身体ではどうだろうか。・・・お?

 

「あら?意外と柔らかいんですね」

 

「僕もビックリだよ」

 

 まさか腹がつくとは思わなかった。さすがは艦娘の肉体だ。柔らかいな。だけどこれは好都合。格闘する時って身体が柔らかいといろんな動きが出来るからな。

 

「これなら手伝う事はあまりありませんね。すぐに柔軟を終わらせてしまいましょうか」

 

「そうだね。怪我は怖いからある程度はしっかりやらないといけないけどね」

 

 

 はい。柔軟終わりました。かなり柔らかくてちょっと気持ち悪い感じもしたけどやってれば慣れるだろう。

 

「終わったか?なら少し時雨を休ませたら走ろうか」

 

「了解」

 

 

「さあもう大丈夫か?大丈夫なら始めるぞ」

 

「大丈夫だよながもん。いつでも始められる」

 

「だからながもんというのをやめろと・・・まあいい。行くぞ」

 

 

 走り始めてから五分くらいたったな。まだまだいける。

 

「思っていたよりも体力はあるようだな。全く走っていないやつは多少息に乱れが出るものだが」

 

「少し体力には自信があるからね」

 

 嘘です。前はそこまで体力無かったし、この身体になってから体力を測った事はない。

 

 

 三十分くらい経過。さすがにキツい。みんなはまだまだ余裕そうだ。さすがにずっと走っているだけの事はある。無理して身体を壊すのは本末転倒なので、みんなには悪いがこれで抜ける事にする。

 

「ご、ごめん。さすがにもうキツいから抜けさせてもらうね・・・」

 

「いや、全然構わない。むしろよく三十分ももったと褒めたいくらいだ。結構一般的に見てもハイペースで走っている自覚はあったんだがな」

 

「タオル多めに用意してますので使ってください」

 

「水飲み場はタオル置いてるとこにあるからね」

 

「ありがとう。ありがたく使わせてもらうね」

 

 いやあ結構キツいわこれ。でもながもん曰く一般よりもハイペースだったらしいし、それで三十分ももったのだから体力もそれなりにあると見ていいだろう。タオルで身体を拭き取り水を飲んでみんなの様子を見ていると終了なのかみんなが戻って来た。

 

「時雨ちゃんお疲れー!」

 

「お疲れ様。みんなまだまだ走れそうだね」

 

「まあ確かにまだまだ走れるが、朝食に遅れるわけにもいかないのでな。大体いつもこんなものだ」

 

「それにしてもかなり体力があるな。あそこまでついてこれるのは珍しい」

 

「さすがに終わるまでついていく事は出来なかったけどね」

 

「そろそろ着替えないと朝食に遅れますよ」

 

「おっとそうだな。じゃあ汗を流して朝食にしよう」

 

 

 朝食を食べて執務室に行くと提督から教本は今日の昼頃に届くらしいと伝えられた。幸い今日は書類が少なかった。お陰で昼食前にはほとんどの仕事が終わってゆっくりと食事がとれた。もしかすると提督がまた早朝からやってたのかもしれない。そうだったら嬉しいがやはり無理をするなと言った本人が無理をしては説得力が無いな。

 

「時雨、この書類ファイリングしておいてくれないかしら?」

 

「了解。・・・この書類は出撃の報告書か。ならこのファイルだね」

 

「時雨。ついでに資材の帳簿と開発と建造の記録を持ってきてくれ」

 

「了解。またボーキ?」

 

「ああ。大方赤城なんだろう。あいつ作戦中は真面目なのにな・・・」

 

「加賀さんに会ったら念の為に監視をお願いしようか?はい。帳簿と記録」

 

「サンキュー。そうしてくれるとありがたい。確実に止められるのが加賀だからな」

 

 こんな会話をしていると執務室の電話が鳴りだした。

 

「はいこちら佐世保鎮守府。・・・ああそうですか。なら受け取りに参りますので。・・・はい。では」

 

「誰からだい?」

 

「教本が届いたら連絡するように言ってあってな。鎮守府の玄関先に来てるらしいから受け取ってこい」

 

「了解。すぐに行ってくるよ」

 

 ついに来たか。これで訓練が捗るな。

 

 

「あ、鎮守府の方ですか?こちら時雨様宛にお荷物です」

 

「あ、それ僕です」

 

「ならここにサインをお願いします」

 

「はい・・・これでいいですか?」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「ご苦労様です」

 

 勤めて冷静に受け答えしていたが顔が若干にやけていたのを俺は見逃さなかったぞ。まあなんにせよこれで目的を達成させられるのでとっとと戻ろう。

 

 ーーちなみに宅配の彼はその後この時雨の受け取りのサインをサイン部分のみ綺麗にコピーして友人に自慢している事を時雨は知らない。

 

 

「ただいま」

 

「おう」

 

「おかえりなさい」

 

「じゃあすぐに仕事終わらせて特訓しようかな」

 

「その必要はないぞ」

 

「え?」

 

「お前が行った後すぐに終わった」

 

「いや早すぎない?少ないとはいえもう少しかかると思ってたんだけど」

 

「本気出せばこんなもんよ」

 

「ええ・・・じゃあ特訓の師事をお願いしてもいいかな?」

 

「おう。じゃあ武道場だな。扶桑も付いてくるか?」

 

「あ、それなら食堂でお茶でも貰ってから伺わせていただきます」

 

 

 というわけでやってまいりました武道場。運動場に面した場所に建つここは隣にさらに主に空母が使う弓道場がある。提督が中に入るので慌てて俺も入る。中は真ん中から板敷きと畳敷きでちょうど別れる形になっている。提督に更衣室の場所を聞いて朝食後に酒保で売っていたのを買っておいたジャージを着た。

 

「じゃあ提督、よろしくお願いするよ」

 

「ああ。まあ最初は準備運動だな。その後基本から入ろうか」

 

 という事で柔軟などを重点的に行っていると扶桑と道中で会ったのか山城が入ってきた。

 

「あら、もう始めてたんですね」

 

「時雨あんたなにしてんのよ」

 

「おう扶桑。山城もよく来たな」

 

「やあ山城。護身程度には覚えておこうと思ってね」

 

「基本小さい駆逐艦なんか襲うやつなんていないと思うんだけど。まあ頑張りなさいよ。タオルと塩飴持ってきてあげたわよ」

 

 こういうさりげない気遣いは嬉しい。塩分補給はしっかりしないとホントに倒れるからな。

 

「作者は私を嫁にしてるのにしっかりと登場したのはこれが初めてよ?不幸だわ」ボソッ

 

(山城ったらなにか不幸な電波でも拾ったのかしら)

 

 さて、準備運動も終わったので基本からみっちり教えてもらおう。

 

「よし。じゃあ基本からだな。まずは・・・」

 

 

 これしんど・・・普段しないような事するとすぐに疲れるわ。汗がヤバい。

 

「ハア・・・ハア・・・」

 

「大丈夫?お茶飲める?」

 

「あ、ありがとう扶桑。なんとか飲めるよ」

 

「だらしないわね。それ飲んだら塩飴舐めときなさい。脱水症状は水分摂っただけじゃあ意味ないわ。それとタオル。身体冷やして風邪で寝込むなんて事にはならないようにしなさいよね」

 

「ふう・・・山城もありがとう。そうだね。塩分を摂る事も汗を拭き取るのも大事だね」

 

「別に当然の事をしてるまでだから。気にされても困るわよ」

 

「それでもだよ。お礼は大事だからね」

 

「あれ?俺の分は?」

 

「ああ提督いたんですか?自分の汗でも舐めてたらどうですか?」

 

「こら山城そんな事言わないの。どうぞ提督。お茶と塩飴、それにタオルです」

 

「すまんね扶桑。山城も、タオルと塩飴いただくぞ」

 

「どうぞご勝手に」

 

 俺と提督の対応がかなり違っててちょっとおもしろいです。

 

「じゃあ今日はこんくらいでいいだろう、初めてだしな。少しづつやっていこう」

 

「了解したよ。提督も今日はありがとうね」

 

「気にすんな。部下の願い叶えるのも上司の役目だ」

 

「時雨終わったのならとっととシャワー浴びて着替えてきなさい。ベタベタして気持ち悪いでしょ」

 

「そうだね。じゃあ行ってくるよ」

 

 

 提督は帰ったのか着替えて出てくると扶桑と山城が待っててくれていた。

 

「あれ?提督は?」

 

「提督は自室にお戻りになったわ」

 

「姉様とこれから間宮さんで甘味食べるんだけど時雨も来る?」

 

 甘味か。鳳翔さんのとこでも食べたけど間宮さんのとこでは初めてだな。

 

「もちろんご一緒させてもらうよ」

 

「そ。ならとっとと行きましょ」

 

 間宮さんの甘味処は食堂の隣に位置している。早速入ると奥から足音が聞こえてきた。

 

「いらっしゃいませ!甘味処間宮にようこそ!あら、扶桑さんに山城さん。それに時雨ちゃんも」

 

「伊良湖さんこんにちは。いつもの海軍DXパフェを三ついただけますか?」

 

「DXパフェですね!わかりました!間宮さん、注文入りました〜!」

 

 と伊良湖が叫ぶと奥から間宮さんのはーいという声が聞こえてきた。

 

「じゃあお席にご案内させていただきますね!」

 

 

 パフェクッソ美味かったです。最初見た時はDXの名に恥じないド級のサイズだったんだが、女の子になったからか余裕で入った。伊良湖が転けそうになるというハプニングがあったが俺の幸運が勝ったのか俺がトイレに立った時だったのですぐに抱き抱えて事なきを得た。伊良湖が顔を真っ赤にして謝っていたのが少しおもしろかった。

 

 

 こんな感じで訓練や走り込みをして数日経った頃、俺は今海上にいる。提督に敵と会敵したらすぐに報告をして戻るという条件で許可をもらっている。なぜ海上にいるのかというと海の上でどれだけ動けるかを確かめる為だ。明石からも許可を貰って標的用の的を借りている。木製なので余程変な当て方をしない限りは怪我はしないはずだ。手になにかを握り込めばパンチ力が増すらしいので工廠から手頃な大きさの屑鉄を貰って試したりしていた。まあ今は丁度サマーソルトを試してみたところだが。

 

「意外と動けるね。これは僥倖かな。走る事もすり足もジャンプも出来るし、倒立も出来たからいろんな事が出来そ・・・」

 

 ドカーン!

 

「うわ!?」

 

 なんだ!?なにが起きた!?と思ってずぶ濡れになりながら見渡すと敵艦隊が!?それも駆逐艦級が三隻とあれは・・・!?戦艦級!?恐らくル級だが何故こんなとこに!?ここは一応制圧された海域で制圧前でも戦艦はいないと聞いていたのに!とにかく報告をして撤退だ!駆逐艦が昼戦で勝てる相手ではない!幸い通信機は艤装とはまた違う扱いらしく使う事は出来た。

 

「こちら時雨!提督!聞こえる!?」

 

『こちら司令室の提督。どうした?会敵したのか?』

 

「ああしたよ!駆逐艦が三隻と戦艦が一隻!今撤退中!」

 

『なんだと!?すぐに援軍を向かわせる!なんとか逃げろ!』

 

「全速で走ってるけどダメだ!戦艦の砲撃が直撃こそしなかったけど余波で主機にダメージがいったみたい!速度が完全に出ない!」

 

 ここまで報告してまた砲撃が近くに着弾し、その衝撃に通信機が耐えられなかったようだ。ノイズしか聞こえなくなった。そして通信に夢中になっていて気づかなかったがかなり距離を詰められている。このままだと囲まれる。というかもう包囲しようと動いてるようだ。

 

(これはもう逃げ切れないな。スピードが出ない時点で予想はできていた事だが・・・仕方ない。やるか)

 

 こっちには魚雷も主砲もないが爆雷がある。駆逐艦程度の装甲なら当てどころによってはなんとかなるかもしれない。ル級に関しては出来れば逃げたいが恐らく厳しい。人型だから格闘が通るかもしれないが正直そこまで極めてもいないしまず通じるかもわからない。だがやらないよりはマシだ。ちょっくら頑張りますか。

 

「時雨、行くよ!」

 

 

 ーーその頃の執務室

 

「時雨!?おい!クソッ!」

 

 時雨から通信が来たと思ったら駆逐艦三に戦艦が一だと!?あの海域で戦艦なんて聞いた事がないぞ!幸運艦の時雨にしては運が悪すぎる!

 

「提督!?先ほどの通信はもしかして・・・」

 

「そのまさかだ!至急足の速い連中を呼び出して援護に向かわせろ!それと遠征及び出撃中の艦隊にも連絡!近くにいれば援護に向かうように伝えろ!」

 

「了解しました!」

 

 扶桑はすぐに鎮守府の緊急用の放送機材で放送を始め、それが終わってすぐに出撃している艦隊に連絡を始めた。少し取り乱しすぎたな。落ち着く為に深呼吸をしておこう。そうしていると執務室の扉が思いっきり開いた。

 

「提督!時雨が危ないって本当!?」

 

「深海棲艦どもよくも私の大切な姉さんを狙ってくれましたね。根絶やしです(すぐに出撃させてください!)」

 

「本音と建前が逆っぽい!?」

 

「白露たちか。そのまさかだ。今駆逐艦三隻と戦艦一隻に追われているらしい」

 

「せ、戦艦!?大変じゃない!速く助けに行かないと!」

 

「ストップヨ。駆逐艦だけでは戦艦を相手にするには厳しいデース。私たちも手伝いマース」

 

「金剛か。姉妹も連れて来てくれたのか。正直助かる」

 

「仲間がピンチなんですから!気合い!入れて!助けます!」

 

「榛名もいつでも出撃出来ます!大丈夫です!」

 

「姉様が嫌な予感がすると飛び出して行ったのですが・・・納得です」

 

「扶桑の声が慌ててたからネ。不審に思ったから来てみたら戦艦デスデスか。速く救援に行かないと危ないデスね」

 

「その通りだ。本来の艦隊規定人数よりも多いが一刻を争う!早速出撃してくれ!」

 

「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」

 

 

「さて、改めて敵の識別をしてみようか」

 

 敵は戦艦ル級一、駆逐艦は記憶が正しければイ級が一とハ級が二体という構成だ。恐らくル級が旗艦だろう。既に方位されているようで正面にル級、後ろにイ級、サイドを固める様にしてハ級という陣形だ。まずは数を減らす事からだな。幸い明らかな急所をハ級は持っているのでそこに思いっきり爆雷をぶん投げてみる。

 

「「ハ!?」」

 

 爆雷を投げてくるなんて思ってなかったのだろうハ級は対応が遅れ見事目玉だろう部位に命中。やはり急所だったようで大爆発を起こし沈んでいった。

 

「まずは二つ!」

 

 ここでイ級に爆雷を投げてもいいかもしれないけど戦艦相手に背を向けるなんて殺してくれと言っているようなものだ。ここは危険だがル級を狙う!

 

「はあ!」

 

 思いっきり突撃してきたのにル級は少し驚いたようだがさすがは旗艦というべきだろうか。すぐに冷静に主砲を放ってきた。後ろのイ級も撃ってきているが練度が低いのか当たらない。ル級の攻撃も正確に俺に向かって撃っているので軌道が読める。

 

「当たらないよ!」

 

「チィッ!」

 

 

「そこ!」

 

 思いっきり懐に潜ってまず屑鉄を握り締めて鳩尾に思いっきりパンチを放つ。提督からパンチだけでもまともに使えるようにしとけとパンチを重点的に教わっていたのが功を奏したかもしれない。

 

「グッ!?」

 

 少し仰け反ったのを機に今度は顎を殴ってあればだけど脳を揺らす。あれば脳震盪を起こしてダウンしてくれるかもしれない。

 

「まだまだいく・・・うわ!?」

 

「調子ニ乗ルナ!」

 

 喋るのかよ!?じゃなくてマズい!投げられた!しかし鳩尾を殴られたからかそこまで飛ばされる事もなく追撃もイ級の当たらない砲撃以外は無かった。

 

(やはり戦艦は耐久力があるな。ならこれならどうだ?)

 

 爆雷を二つ取り出して思いっきりル級に投げつける。さっきのハ級を撃沈したのを見ていたので難なく盾の様な艤装でガードされた。爆風でル級の姿が隠れる。

 

「ソンナモノ効クワケガナイダロ・・・モガッ!?」

 

 そう。俺からル級が見えないのなら逆もまた然り。直ぐに三つ目の爆雷を取り出してル級に突貫。ル級が顔を出して口を開けたのを見計らって即座に口に爆雷を突っ込む。この爆雷の信管は硬めに設定しているので口に突っ込んだくらいでは爆発しない。

 

「だろうね。だけど内側はそうでもないんじゃあないかな?」

 

 生物というのは予想外の事が起こると程度の差はあるがみんな固まるものだ。後は簡単。アッパーを顎に叩き込むだけだ。

 

「さようなら」

 

 顎を殴られて勢いよく爆雷を噛み砕くル級。当然口の中で爆発し、内側からの攻撃なんて普通はあり得ないので脆く、頭が吹き飛んで背中から倒れた。なんにせよこれで終わった。

 

「殴った手が痛い・・・それもそうか。戦艦殴ったんだから。どうにかしないとな」

 

 ふとル級の艤装が目に映り俺の中でなにかパズルのピースがはまった様な衝撃が走った。

 

「そうだ!これを使えばいいんだ!」これを加工すればダメージを最小限に抑えられる!」

 

 そうと決まれば早速艤装を貰って行こう。深海棲艦の艤装を使ってもいいのかという疑問は置いとく事にする。艤装を気合いで持って帰ろうと振り返ると魚雷の航跡が見えた。回避も間に合わない直撃コースだった。

 

(しまった!イ級の事を忘れてた!避けられない!)

 

 なす術もなく魚雷が命中。俺は体制を崩し膝をついてしまう。立ち上がることも出来ない。ゲームで言えば練度は1だろうし間違いなく大破だろう。イ級もゆっくりとまるで瀕死の獲物にトドメを刺そうと近寄る肉食動物の様にゆっくりと近づいてくる。その顔をどことなくニヤついている様だ。

 

(こんな所で沈むのか?そんなの嫌だ!まだまだ生きていたい!)

 

 イ級が必中距離から魚雷を放とうと口を開けた瞬間なにかが空を切る音とともにイ級は爆散して沈んだ。

 

(え?)

 

 なにが起こったのかわからずに砲撃が飛んできた方向を見るとうちの姉妹たちと金剛型四姉妹がこっちに向かって来ていた。金剛の艤装から煙が見えるので撃ったのは金剛だろう。救援が来たのを見て安心したのか俺の意識はそこで途絶えた。




という訳で今回は初戦闘でした。
いかがでしたか?
そこまで上手くいってないかもしれないのでダメな点などは気軽にご指摘やアドバイスをくれたら嬉しいです。

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