時雨転生史   作:航空戦艦山城

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海風が出ません。
それと今回ジョジョネタ入れちゃったのでタグに追加しておきました。
ダメな人はごめんなさい。


第5話 女子の買い物は大変ね

 時雨が仕事にも慣れてきたある日の事・・・

 

 

「時雨」

 

「ん?なんだい提督」

 

「明日お前に休みやるわ」

 

「え?」

 

「休みだよ休み。着任してから一度も休んでないだろ」

 

「それは提督たちもじゃないか」

 

「俺と扶桑は慣れてるからな。それに明日はお前の姉妹も軒並み休みだからな。どっかに出掛けてくるといい」

 

「む、そういう事なら断る訳にはいかないね。謹んでその休暇を受けるよ」

 

「あ、そうそう。これ小遣い。いろいろ大変だろうから持っとけ」

 

「ありがとうって十万!?多すぎやしないかい?」

 

「新規着任艦にはみんなに配ってる。気にすんな楽しんでこい」

 

 

 やあみんな。そういう訳で今日は姉妹全員揃って買い物に出掛けることになった。休みを貰った事を部屋に戻って村雨たちに伝えてみると俺の服を買いに行く事になった。まあ制服だけで今後生活する訳にもいかないだろうからな。んで、なんか五月雨の様子がおかしい。

 

「五月雨?どうしたの?窓の方向いて気合いなんか入れて」

 

「あ、なんでもないですよ姉さん」

 

「?そう」

 

 そんなに楽しみだったんだろうか。まあ俺も姉妹と初めてのお出かけは楽しみだったんだけど。

 

「姉さんを着せ替えさせるの楽しみですフフフ・・・」

 

 五月雨がなにかブツブツ言ってるがなにを言ってるのかはわからなかった。が、なにか悪寒が走った。嫌な予感がする。

 

「二人とも準備できた?ってどうしたの時雨。震えちゃって」

 

「いや、なんでもないよ。ところで夕立は?」

 

「あの娘はとっくの昔に外で待ってるわよ。白露たちも待ってるから早く来なさい」

 

「「はーい」」

 

 なんだろうな。村雨の方が俺より姉してるんだよな。まあここでは俺が後輩だしなによりこうなる前の俺は姉弟の末っ子だったからな。

 

 

「三人とも早く来るっぽーい!」

 

 外に出ると俺たちが遅かったからか白露と夕立と涼風が少しご立腹のご様子。春雨が困ったように宥めているな。

 

「ゴメンね。待たせちゃって」

 

「ホントだよ!今日はあたいたちにとことん付き合ってもらうからね!」

 

「ははは・・・お手柔らかにお願いね。ところで移動手段はどうするの?電車?徒歩?」

 

「電車を使う予定だったんだけど珍しく金剛さんが一人だけ非番出かける予定だったらしいからついでに乗せて行ってくれることになったの!」

 

「金剛さんが?悪い事しちゃったな。後で謝っておかないと・・・」

 

 金剛か。挨拶回りで会ったきりだな。てっきり執務室に突撃ティータイムでもするのかと思ったが意外にもそういう事は一切なかった。

 

「じゃあ急いで行くっぽい!」

 

 

「ヘーイ!グッドモーニング!待ってたネー!準備はオーケー?」

 

「おはよう金剛さん。僕たちが準備に手間取って待たせちゃってごめんなさい」

 

「ノープロブレム!気にする必要はないワ!早く車に乗り込むネ!」

 

 どうやら気にしている様子はないな。さすがは金剛だ。心が広いぜ。しかも車はワンボックスか。まあ姉妹でよく出掛けるだろうからちょうどいいんだろう。

 

「じゃあ今日は僕たちの送り迎えをお願いするね」

 

「「「「「「お願いしまーす!」」」」」」

 

「もちろんデース!礼儀正しい娘は好きですヨ!シートベルトは着けた?なら、出発デース!」

 

 

 という訳で着きました!ショッピングモール!今日のメインは俺の私服を買う事だが、その他の小物とかもついでに買う予定。ちなみに金剛は俺たちを降ろして集合時間を決めると本来の自分の目的を達成する為に走り去っていった。

 

「さあ!姉さん!早く行きましょう!」

 

 春雨がえらいキラキラしてるな。買い物が好きなのかね。今までと比べてテンションが全然違うわ。つーかもう店内に入ってるし。

 

「春雨速!?ちょ、ちょっと待ってよー!」

 

「白露も待ちなさいよ!はあ・・・行きましょうか」

 

 

 最初は小物を見るという事でみんなに引っ張られながら女の子っぽい店を連れ回された。俺は姉妹の勧めで犬のキーホルダーを買った。他の姉妹はシュシュ買ったりして気がついたらもうお昼になっていた。

 

「お腹空いたっぽい・・・」

 

「春雨も少し・・・」

 

「ちょうどいい時間だしお昼にしましょうか」

 

「そうだね。もうこんな時間なんだね。こういうのは初めてだったんだけどなかなか楽しいね」

 

「そう思ってくれたんならあたいたちも案内した甲斐があるってもんさ」

 

「でもこれ今日って休日だし座れるかな?」

 

「そこはまあ運に任せるしかないと思いますね」

 

 席はなんとか全員分確保出来ました。俺はとりあえず荷物番兼席取りで俺を残してみんなは食事を買いに行った。五月雨がなにがいいか聞いてきたので五月雨と同じ物と言っておいた。

 

「席の確保ありがとねー」

 

「おかえり白露。へえ、牛丼か」

 

「なんかガッツリいきたくてねー」

 

 その後そこまで時間がかかる事もなく全員集合。白露は牛丼、村雨はうどん、夕立と涼風はラーメン、春雨は麻婆春雨・・・ではなくハンバーガー、五月雨は麻婆豆腐と天津飯を持ってきた。モールのフードコートでどうやって作ったんなもん。

 

「姉さんはどちらがいいですか?」

 

「じゃあ麻婆豆腐でも貰おうかな」

 

「あれ?五月雨確か時雨お姉ちゃんに同じのって頼まれてなかったっぽい?」

 

「と、特に理由なんてないですよ!?」

 

(もしかしたらあーんが出来るかもしれないからなんて言える訳ないじゃないですか)

 

(あー五月雨の考えがあたいには手に取るようにわかるよ。まあ頑張りな)

 

(こいつ直接脳内に・・・!?)

 

「どうしたの?」モグモグ

 

「あ、なんでもないですよ!いただきます!」

 

 みんなでお話しながら食事してると五月雨の天津飯が美味しそうに見えてきた。あるよねそういうのって。

 

「五月雨、その天津飯一口ちょうだい?」

 

「!構いませんよ!なら私が・・・」

 

「なら失礼して・・・うん美味しいね」

 

「あ・・・そうですか。よかったです・・・」

 

(遅かった・・・せっかくのチャンスが・・・)

 

「貰ってばっかじゃあ悪いし僕のもあげるね。はい、あーん」

 

「ふえ!?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「?食べないの?」

 

「い、いえ!いただきます!」

 

「そう?じゃああーん」

 

「あ、あーん///」パクッ

 

「美味しい?」

 

「お、美味しい・・・です///」

 

「よかった」ニコッ

 

「はう!///」

 

「?」

 

「コーヒー買ってくるっぽい。ブラックを五本でいいよね?」

 

「お金は後で払うわ。なるべく速くお願いね」

 

「あー口の中が甘ったるい」

 

「誰だいあたいのラーメンに砂糖ブッ込んだやつ」

 

「ポテトが甘いよう・・・チョコ掛けてないのに」

 

「どうしたのみんなして甘いなんて言って」

 

「「「「「ドーシテデショーネ(棒)」」」」」

 

 どうしたんだうちの姉妹は・・・

 

 

 食事も終わり俺の私服を買う為に服屋にやって来た訳だが、オシャレに無頓着だったのでなにもわからない。

 

「ちょっと服とかわからないからさ、僕の服を選んでくれないかな」

 

 と、聞いてみたが目の色が変わる姉妹を見てこの何気ない一言を俺は後悔した。

 

「わかりました!五月雨が姉さんにピッタリの服を選んできますね!」

 

「コスプレみたいなのも似合いそうっぽい!」

 

「ゴスロリとか良さそうだよね!」

 

「ついでに大人っぽい下着とかも見てきてあげるわ!」

 

「涼風ちゃんは上を探してきて!春雨は下を探してくるから!」

 

「合点承知!分担した方が効率良さそうだ!」

 

「え、ちょっ、みんな」

 

 アカン・・・

 

 

 その後から俺は文字通り着せ替え人形と化している。真面目なのを選んでくれるのは五月雨と春雨、涼風コンビだけでそれだけでもやはり少し恥ずかしかったのに夕立の犬コスやメイドコス、白露のゴスロリときて俺の精神はマッハ。にもかかわらず村雨は大人っぽい下着ばっかり持ってくるのでずっと顔が熱いです。それと途中から五月雨が鼻を押さえて悶えていたりしたが偶に血が出ているのを俺は見なかった事にしたい。

 

 

「え、選んでくれたのは嬉しいけどさすがに全部は買えないよ?」

 

 なんとしても犬とメイドとゴスロリだけでも回避しないと・・・

 

「大丈夫。これ全部私たちのプレゼントだから」

 

「!?」

 

「さすがにこの量を自腹切らせる訳ないじゃない。十万しか貰ってないんだし」

 

 マジかよ・・・いや嬉しいんだけどさ?嬉しいんだけどゴスロリとか犬とかメイドとかは・・・

 

「もしかして嫌っぽい?」

 

「え!?」

 

「そうですか・・・やっぱりこんないきなりだと迷惑ですよね・・・」

 

 あ”あ”あ”!そんな目で見ないで!断れなくなるぅ!

 

 

 はい。負けました。いやさすがに・・・ねえ?姉妹の好意を無碍にする訳にもいかないしね。そして買った商品を持って行こうとすると村雨が突然・・・

 

「じゃあせっかくだしどれか着てみたら?」

 

「え”」

 

「それいいかも!」

 

「じゃあせっかくなんですしゴスロリ着ましょうよ姉さん!」

 

「え、いやさすがにここでは・・・」

 

「はいはい、じゃあお着替えいってみようかね〜」

 

「涼風!?ちょっ・・・押し込まないで!」

 マズい!このままじゃあゴスロリを着せられる!そこで問題だ!この絶望的な状況でどうやってゴスロリを回避するか?

 三択 一つ選びなさい

 答え①美少女の時雨は突如回避のアイディアが閃く。

 答え②他の艦娘が助けてくれる。

 答え③着せられる。現実は非情である。

 俺が丸をつけたいのは答え②だが、期待はできない。

 たまたま俺たちのように非番でここに来ている艦娘がいたとしても、そう都合よく現れて、アメリカンコミックヒーローのようにジャジャーンと、待ってましたと。間一髪助けてくれるわけにはいかねえぜ。

 逆に喜々として着せに来るかもしれねえ。

 やはり答えは①しかねえようだ!

 

 

 絶望!突きつけられた答えは③ッ!現実は非情なり!辛たん・・・ゴスロリにされてしまった周りの目が痛すぎて死にそうだ・・・だが幸運な事にそろそろ金剛との合流の時間だ。鎮守府に帰ったら速攻で着替えればいい!

 

「そ、そろそろ金剛さんとの約束の時間だよね?そろそろ引き上げない?」

 

「それもそうね。面白いものも見れたしそろそろ駐車場に来てるかもしれないわね」

 

「ハア・・・ハア・・・時雨姉さんのゴスロリ・・・かわいすぎます。こんなの卑怯ですよ・・・ハア・・・ハア・・・」

 

「本格的にうちの妹がヤバい件について」

 

「白露。それは最初っから手遅れ」

 

 

 駐車場にやっと着いたが、恥ずかしさで顔から火が出そうだ。金剛の車はすぐに見つかったというか金剛が車から降りて俺たちを待っていた。

 

「ヘーイ!ショッピングは楽しかったデスか?すぐに帰りますヨー!・・・て時雨?その格好は?」

 

「出来れば気にしないでくれるとありがたいかな?」

 

「りょ、了解デース。早く荷物積んで乗り込むネー」

 

 

 現在鎮守府へ向かって車を走らせている。はしゃいで疲れたのか姉妹全員寝てしまっている。

 

「今日はどうでしたカ?」

 

「うん。すごく楽しかったよ。いろいろ恥ずかしい目にもあったけど、今日の事は一生の思い出になるよ」

 

「なら乗せてきた甲斐がありましたネ」

 

「ところで金剛さんの目的ってなんだったの?」

 

「特にこれといった事はないんですけどネー。紅茶の茶葉を買いに行っててネ。結構な距離だから毎回大変ネー」

 

「あはは、そうだったんだ」

 

「そうデス!せっかくなんデスから今度私たちのティータイムに来るといいデスよ!」

 

「え!?別にそこまでしてくれなくてもいいよ?」

 

「気にする事ないですヨ。私がそうしたいだけデスから」

 

「・・・なら、ご厚意に甘えさせてもらおうかな」

 

「イエース!楽しみにしてるといいネー!」

 

「ふふふ・・・ありがとう・・・ふぁ・・・」

 

「時雨も疲れてるみたいネ。着いたら起こすから寝ててもイイよ」

 

「そうさせてもらうよ。おやすみ。金剛さん」

 

「Goodnight, Sigure. Sleep well」(時雨ぐっすりおやすみ)

 

 

「時雨、起きるデース」

 

「・・・ん?おはよう金剛さん。もう着いたの?」

 

「グッドモーニングネー。朝ではないけど。着いたヨ。他の娘たちは降りてるヨ」

 

「今日はなにからなにまでありがとう。助かったよ」

 

「気にすることないネー。あ、荷物置いたら提督の所に帰還を報告してから夕食ヨ」

 

「うん。それじゃあ、また」

 

「バーイ」

 

 

 駆逐艦寮に買った物を置いて提督のところに報告に向かう。白露たちには席取りを任せている。それにしてもさっきからすれ違う艦娘の視線が変だな。それになんか忘れてる気がする・・・

 

 トンットンッ

 

「提督?居るかな?」

 

「その声は時雨か。開いてるぞ」

 

「失礼するよ。時雨他白露、村雨、夕立、春雨、五月雨、涼風帰投したよ」

 

「報告ご苦労さん。楽しかったか?」

 

「お陰様でね。とても有意義な休日だったよ」

 

「なら休暇を出した甲斐があったってもんだ。夕食の時間だからとっとと食って風呂入って寝・・・」

 

「?」

 

「提督?如何されたの・・・」

 

 なんか二人が俺を見た途端固まった。寝癖でも付いてたかな?一向に動く気配がないので挨拶して退出した。腹空いたしな。

 

 

「あ、時雨ー!こっちこっちー!」

 

 白露たちが確保した席はあそこか。なになに?今日は唐揚げがあるのか。唐揚げにしようそうしよう。

 

 ザワザワ・・・

 

 ん?なんか俺が来た途端騒がしくなったな。本当にどうしたんだろうか。寝ぐせでこんな騒ぎになるはずないし・・・服装が乱れてたか?ん?服装?

 

「・・・!?///」

 

 わ、忘れてたぁ!?ゴスロリのまんまじゃあねえか!!あかん・・・明日から生活出来ない・・・

 

「ども!青葉です!一言お願いします!」wktk

 

「み、見ないで!」

 

 

 あの後羞恥に耐えつつ食事を食べ、その後風呂とトイレ以外一切部屋から出ずに過ごしました。翌日掲載されていた青葉の新聞には何故か既に俺のゴスロリ姿がデカデカとトップに貼り出されていた。見出しには『新秘書艦の趣味はゴス!?』と載っていた。とりあえす今日青葉を見かけたらしばく。

 

 

 その事を提督や他の艦娘にからかわれながら執務をして、休憩時間に執務室に置いている本を読んでいる。実は最近艤装が使えない理由を探ろうと本を読んだりして情報を集めている。今読んでいる本を読み終えて次の本を探そうと本棚を漁っていると『猿でも分かるCQC入門』と書かれたとにかく幼稚なタイトルの本が目に飛び込んだ。いや、内容はかなり過激だと思うけど。でもこの本を手に取った時になにかパズルのピースがハマったような感じがした。

 

「これだぁ!」

 

「「!?」」

 

 そうだよ!火器が使えないんなら殴ればいいじゃない!ゲームでは伊勢型も天龍型も木曾も刀使ってるし、史実では霧島が戦艦同士で殴り合いしたし、アニメで言えば金剛は砲弾を殴り飛ばし、長門は文字通り殴り合いしてたし!異形型はともかく、人型深海棲艦なら人体とほぼ同じ急所がつけるはず!

 

「ど、どうした時雨?急に大声出して」

 

「提督・・・」

 

「ん?」

 

「この本以外のいろんな武術や格闘技の本って集められる?」

 

「そ、そりゃあ俺が個人的に持ってるのもあるし、なんなら取り寄せることも可能だが・・・」

 

「今すぐ取り寄せて」

 

「おいまさかお前・・・」

 

「そのまさかさ。僕は主砲も魚雷も使えない。なら、敵を殴り倒せばいいだろう?」

 

 これで俺も戦える!




私服について書こうと思ったけど主自体がオシャレに興味なくて断念・・・
ちなみにイメージとしては白露は活発そうな動きやすい服
村雨は少し大人っぽさを出した服
夕立は狂犬とかのイメージとはかけ離れた可愛い服
春雨と五月雨も同じように可愛い服
涼風はボーイッシュな服
みたいなイメージです。伝わったらいいな・・・
ちなみに次回はこのお話の別キャラ視点です。なんとなくわかるかもしれませんがね。

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