時雨転生史   作:航空戦艦山城

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第4話 初めての執務はやはり大変だな

 やあみんな。今俺は執務室に向かっている。時刻は0500。提督たちに執務開始時間を聞くのを忘れていたので早めに部屋を出ることにした。多分この時間なら遅刻はないだろう。因みに髪の毛は三つ編みのやり方がわからないのでおろしたまんまだ。そんなこんなで執務室に着いたのでノックをすると・・・

 

「開いているぞ」

 

 と、返事がきた。さすがに提督という職業の朝は早いらしい。

 

「失礼するよ」

 

「ああ、時雨か。そういえば昨日執務の開始時間を伝え忘れていたな。すまない」

 

「僕も聞き忘れていたからおあいこだよ。気にしないで」

 

「それは助かる。さて、改めて執務開始時間を伝えさせてもらうと、執務開始時間は0700だ。ちなみに総員起こしは0600だ。執務終了時間は2100だから覚えておいてくれ」

 

「了解。じゃあ少し早いくらいか。見た所もう執務を始めてるみたいだけど、なにか手伝うこととかある?」

 

「今は特にないな。扶桑が来たら扶桑に尋ねてみるといい。昨日嬉しそうに色々教える事を考えていたみたいだしな」

 

 と、提督がそこまで言った直後に扉がノックされた。

 

「噂をすればなんとやらだ。開いているぞ」

 

「失礼します。あら、時雨もう来てたの」

 

「そうなんだ。昨日いつ開始か聞くのを忘れていてね。念のため早く来たんだよ」

 

「あらホント。ごめんなさい。うっかりしていたわ」

 

「気にしてないよ。ところで、僕はなにをすればいいのかな?」

 

「そうね。時雨にはまずここの棚の資料の配置を覚えてもらうわ。」

 

「つまり取り出して片付ける時は同じ場所に収めればいいんだね?混乱しないように」

 

「理解が早くて助かるわ。まあこれは執務が始まるまでで構わないから、その後はわたしのサポートをお願いね」

 

「わかったよ。朝食とかはどうするの?」

 

「朝食は総員起こしの後に食堂で食べるわ。ここに持ってきて食べてもいいんだけど提督がそれは良くないってことでね」

 

「コミュニケーションは大事だからな」

 

 と言いながら黙々と手を動かす提督を見た扶桑が溜息を吐きながら・・・

 

「ハァ・・・提督。一体何時から執務を始めていたんです?」

 

「いつからって、0400からだが?」

 

 え!?そんな時間からしてたのかよ!?

 

「そんな早くから始めていたということはあまりお眠りになっていないんでしょう?少しは自分の身体を大切になさってください」

 

「でも早く始めたらその分早く終わるじゃないか。執務も速く終わるしいいじゃないか」

 

「その過程で身体を壊されたら元も子もありません。これからは気をつけてください。だいたい提督は・・・」

 

 おおっとこれは長くなりそうだな。このままだと下手すると朝食に間に合わないかもしれんし、俺もどうかとは思ったがここは提督を助けてやるか。

 

「ねえ扶桑。もうそろそろ朝食の時間になるけどいいの?」

 

「え?あら、もうこんな時間なのね。提督?今日はこれで終わりにしますけど程々にしてくださいね?」

 

「すまんね。いつも」

 

「悪かったと思うのなら最初からしないでください」

 

 夫婦漫才ご馳走様です。さて、まだ長くなりそうだし二人はほっといて行きますか。

 

 

 食堂前にきてやっと二人が追いついたようだ。どんだけ夢中だったんだよ。

 

「時雨、先に行くなんてヒドいじゃない」

 

「惚気を見るよりは朝食食べたほうがいいかなって」

 

「の!?惚気てなんか・・・」

 

「なんであれが惚気に聞こえるんだよお前は。如月とかもそうだが最近の子供はませてんな」

 

 提督、お前鈍感主人公かよ。扶桑がなんか諦めた表情してるけど、まあご愁傷様だな。相手が悪かったな。

 

「さて、そんな事より飯だ飯。お前らもとっとと食えよ」

 

「了解。僕は和食定食かな」

 

 俺は基本米が無い時とか急いでる時以外は大体米に味噌汁の日本人のスタンダードスタイルだ。やっぱり日本人の口に合うんだろうな。

 

「私も和食定食かしら」

 

 

「さて、時雨は席の確保でもしててくれお前の分は俺が持ってきてやる」

 

 と言って、二人は間宮さんのところへ向かった。さて、席の確保か。どこが空いてるかね。お、あそこ空いてるじゃあないか。

 

 

 席を確保してすぐに提督たちが料理を持ってやって来たので手を振って場所を伝える。

 

「すまんな。待たせてしまって」

 

「そんなことないよ。今席を確保したところだから」

 

「そうかい。じゃあとっとと食おうか。ほれ、お前の飯」

 

「ありがとう」

 

 さて、腹も空いたし、とっとと食おうかね。

 

 

 食堂では提督と扶桑が飯食べながら新しく解放する海域について話していた。俺はまだよくわからんから黙々と聞きながら食べてた。今は執務も始まって各艦隊に指示を出してからそれなりに時間が経っている。俺は今扶桑の机の隣に別の机を持ってきていろいろ教わりながら手伝いをしている。ついでに執務が始まる前に扶桑に髪の毛を結ってもらった。

 

「ねえ扶桑。この書類ってこれでいいのかな?」

 

「見せてみて。・・・ええ。これでいいわよ」

 

「よかった。違ってたらどうしようかと思ってたよ」

 

「別に間違えても大丈夫よ。それにしてもあなたすぐに覚えてくれるのね。教えがいがあるわ」

 

 なんで話してると提督が

 

「んー・・・なあ、資材の帳簿ってどこだっけ?」

 

 なんて聞いてきた。んー?帳簿って確か・・・

 

「「上から二段目で左から六番目のところです(だよ)」」

 

「おう、そうか・・・え?」

 

「え?」

 

「ん?」

 

 帳簿の在り処を扶桑とハモりながら答えたら二人がありえないものを見るような目で見てきた。

 

「時雨?お前もしかしてもう覚えたのか?」

 

「うん。覚えたけど・・・」

 

 そこまで珍しいかね?記憶力は良い方だとは俺も思うが・・・

 

「もしかして執務の才能があるのか?」

 

「教えたことはすぐに覚えてくれるし、文章もすごく読みやすいですし・・・」

 

「この仕事をさせてよかったな」

 

 二人がなんかいろいろ評価をしてくれてるのがすごくむず痒い。

 

「あら、提督。もう1200ですね。お昼にしましょうか」

 

「む、もうそんな時間か。わかった。一旦休憩だな」

 

 昼か。助かった。背中掻き毟るとこだったぜ。

 

「じゃあとっとと飯食って再開だ」

 

 

 特にイベントもないので昼食はカット。ちなみにお昼はうどんを食べた。麺類の中でも多分うどんが一番好きだな。

 

 昼食を食べて執務を再開してから三時間くらいすると提督の喉が乾いたらしく扶桑がお茶を淹れてこようとしているが、そこは一番下っ端の俺の仕事。役職的にも茶は淹れれた方が良いということを伝えると

 

「そう?じゃあお願いね」

 

 と快く任せてくれた。給湯室の場所を教えてもらい、茶を淹れに行く。疲れた時は緑茶が良さそうという俺の個人的な解釈を元に緑茶を淹れてみたが、どうやら茶を上手く淹れることが出来なかったらしく、扶桑から苦笑しながら今度お茶の淹れ方の練習をしようというお誘いをいただいた。むむむ、精進せねば。

 

 

 この後も特になにもなく時間が過ぎ、現在は2030。この間にあったことといえば、遠征艦隊が帰ってきて報告をするといった事くらいしかなかった。ちなみに朝に提督が進めていたお陰か、夕飯前には書類が一通り片付いてしまった。今は夕飯も食べて執務室で二人とのんびりしている。

 

「あ、そういえば」

 

「どうしたの時雨?」

 

「朝は覚える事が多くて気にする暇もなかったんだけど、どうして今日は遠征艦隊しか出撃していないの?」

 

 そう。実は今日の朝に指示を受けるために来ていた艦隊は三艦隊分しかいなかったのだ。その事を尋ねると

 

「ウチの艦隊は月一で遠征と哨戒以外の出撃をしない日を設けている。ちょっとした休暇だよ。因みに遠征と哨戒はローテーションを組んでいる」

 

 との返答。まあ出撃を控えて資材の確保を優先するという事だな。オリョクルとかはしないのかと聞いてみると

 

「潜水艦娘の育成でついでにという形で偶にやることはあるが基本オリョクルはしない方針ではある。・・・あるんだが、偶に暇だからと勝手にオリョールに繰り出して資材を持ち帰ってくることがあるんだ。無断出撃は控えるようにといつも言ってるんだがな・・・」

 

 潜水艦たちが暇だからオリョクルに行くのか・・・ちょこちょこ二次創作とか見てたから新鮮だな。

 

「まあ、その暇つぶしオリョクルで普段あまり出番のない潜水艦たちの鬱憤も晴れるだろうし、少なからずとも鎮守府のプラスにはなってるからあまり強くは言えないんだがな。・・・ともうこんな時間か。そろそろ上がるか。扶桑、時雨」

 

 時計を見ると2050。やる事もないしそうさせてもらおう。立ち上がろうと思ったら提督が

 

「そうだ。せっかくだし鳳翔の店にでも行くか。二人も来るか?奢るぞ」

 

 奢りという言葉に反応しないはずもなく俺は二つ返事でOK。扶桑も快く了承したので、三人で鳳翔さんの居酒屋に行く事になった。

 

 

 居酒屋鳳翔。二次創作では大体存在する軽空母鳳翔の営むお店。ここでは大体酒飲みの艦娘が多く来店している描写が多いが、提督の話だと駆逐艦も来る時は来るらしい。が、今日は酒飲みしかいないようだ。

 

「誰かと思ったら提督と秘書艦'sじゃーん。仕事お疲れさーん」

 

「隼鷹たちも飲んでいるのか。お前たちをここで見ない日がない気がするな」

 

 今日来てる客は隼鷹、那智、千歳の酒飲み艦娘の筆頭たちだった。

 

「私たちもここで飲むのが一番の楽しみなのだ。提督たちも来い。今夜は飲みあかそうじゃないか」

 

「時雨は駆逐艦だから勘弁してやってくれよ」

 

「それくらいはさすがにわかってますよ提督」

 

「心配しなくてもそのうちあたしらみたいにガブガブいけるようになるから安心しなって!」

 

「毎回潰れたお前らを引きずっていく保護者の身にもなってやれよ。・・・と、鳳翔さん。俺には黒霧島と時雨になにかジュースでも。それと俺たち三人になにか摘めるものお願いします。扶桑はどうする?」

 

「では私も提督と同じものを」

 

「わかりました。少々お待ちください」

 

 そう言って鳳翔さんは厨房の奥に消えていったが、割とすぐに料理と飲み物をもって戻ってきた。

 

「お待たせしました。こちら揚げ出し豆腐です」

 

 おおさすがは鳳翔さん。盛り付けも完璧ですごい美味そう。

 

「それと、黒霧島とリンゴジュースです」

 

「鳳翔さん。ありがとう」

 

 さて、いただきますか。・・・うん。とんでもなく美味いな。この揚げ出し豆腐。衣はサクサクしててだが脂っこくはない。中の豆腐も大豆の味がしっかりしててすごく美味しい。一緒に乗ってるミョウガもいい感じのアクセントを効かせてくれてる。

 

「やっぱり鳳翔さんの料理は美味いな。酒が進む」

 

「いつもありがとうございます。今日も美味しいです」

 

「ありがとうございます。時雨ちゃん?お味はどうかしら」

 

「すっごく美味しいよ。こんな美味しい揚げ出し豆腐初めて食べた」

 

「お口に合ってよかったです。それじゃあゆっくりしていってくださいね」

 

 

 提督たちと喋っていると少し眠くなってきた。案外疲れていたようだ。名残惜しいが今日は先にお暇させてもらおう。提督たちに今日はもう風呂に入って休む旨を伝えると鳳翔さんに少し待ってと言いのこして厨房に消えていった。大人しく待っているとなんと鳳翔さんが羊羹を持ってきてくれた。

 

「あの、鳳翔さん。これは?」

 

「私からのサービスです。明日からも頑張れるように甘いものでも食べて英気を養ってください」

 

「よかったじゃないか。鳳翔さんが甘味をサービスするなんてなかなかないぞ」

 

「ありがとう。鳳翔さん。じゃあ早速いただくね」

 

「うわ、いいなあ・・・なあ鳳翔さんあたしにもちょうだいよ」

 

「構いませんけど料金はしっかりいただきますね」

 

「く・・・!背に腹は変えられないか。ちょうだい!」

 

「はい。すぐにお持ちしますね」

 

 うお!?すごい!口当たり滑らか!お菓子は間宮さんと伊良湖の領分かと思ってたが認識を改めなければいけない。お菓子対決してもらいたいな。

 

 

 あの後もう一度鳳翔さんにお礼を言って店を出た。そして今は着替えを取りに自室に戻ってきたところだ。

 

「あ、時雨お姉ちゃんおかえりなさいっぽい!」

 

「ただいま夕立」

 

「意外と遅かったわね。もうお風呂入っちゃったわよ?」

 

「ああ、ちょっと鳳翔さんのとこで食べてきたんだよ。遅くなってごめんね」

 

「鳳翔さんのお店で食べたんですか!?羨ましいです」

 

「あはは、時間ができたらみんなで行ってみるのもいいかもね。じゃあ僕はお風呂に行ってくるよ」

 

「あ、時雨待って」

 

 ?村雨に呼び止められたがなんだろうか。

 

「実は今日私たち非番だったからあなたのパジャマを酒保で買ってきたのよ」

 

「・・・酒保ってパジャマなんて売ってたっけ」

 

「売ってないと新人の娘とか困るじゃない。いつまでも私の使うのも嫌でしょ?」

 

 いやなんてとんでもないです。めっちゃ着心地よかったです。

 

「それで、僕のパジャマって?」

 

「パジャマはね、あなたに似合いそうなの買ってきたわ」

 

 そう言って取り出したのはピンクのフリルがなんか妙に多くあしらわれたいかにもな感じのパジャマ。っておい!

 

「い、いや村雨?そんなフリフリなのは・・・ちょっと」

 

「ええ?いいじゃない別にせっかく五月雨が選んだのに」

 

「え!?これ五月雨が選んだの!?」

 

 驚いて五月雨の方を見ると五月雨が泣きそうな顔でこっちを見ていた。

 

「や、やっぱりダメでしたよね・・・ごめんなさい・・・」

 

「おっと急にピンクのフリルのついたパジャマが着たくなってきたよ。じゃあ僕はお風呂に入ってくるね。先に寝ててもいいから」

 

 

 つい着ると宣言してしまった・・・いやだってあれはしょうがないじゃないか。あんなの断れるわけがない。しょうがないのでパジャマはこれを着ることにしよう。浴場についたが今は貸し切り状態らしい。よかった。あんまり人がいると辛いからな。目のやり場とか。手早く服を脱いで畳んで風呂に向かい、髪を洗う。一応昨日五月雨にしてもらった洗い方をうろ覚えながら実践してみる。合ってるかは知らん。手早く体も洗って湯船に浸かる。多少自分の体にも慣れた気がする。時雨の体になったからかもしれない。誰か来ないうちにとっとと上がって着替えることにするか。あのパジャマを着なければならないが致し方ない。

 

 

 さあ着替えたし髪も乾かした。部屋に戻ろうか。・・・と言いたいところだがついにきてしまった。そう。尿意だ。むしろ今までなんでこなかっだろうか。緊張してたからかな。でもさ?いずれにしても俺昨日から一度もトイレに行ってないんだぜ?なんか異常な気がするけど深くは考えない。確かトイレは階段のところにあったよな。でも小さい方でも座らないといけないんだよな。なんか嫌だな。元男としてはやっぱり立ってしたいんだが女子便所にはんなもんないからな。

 

 

 女子トイレ前だ。なんか入るのを躊躇ってしまう。わかるかな?なんかよくわからない背徳感?罪悪感?みたいなのが湧き上がってくるというか。まあなんか限界なんで入ります。

 

 

 用をたすところとか見せるわけないじゃん。全カットよ。感想?なにか男として失ってはいけないなにかを失った感じ。もうこの事は忘れて部屋に行こう。もうボチボチ消灯時間も近いし。

 

 

 部屋に戻るとみんな寝ていた。出していてくれたようで俺の布団が敷かれている。三人を起こさないようにゆっくりと布団に潜り込む。初日だったから疲れたけどそんなことも言ってられない。早く慣れないとな。というわけで、おやすみ。




正直主はお酒とかそこらへんは詳しくないので黒霧島と揚げ出し豆腐が合うのかとかは知りません。
ご了承ください。
お酒とおつまみのこと調べたほうがいいのかな。

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