時雨転生史   作:航空戦艦山城

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みなさん長らくお待たせしてすいませんでした。
やっと出来上がりました。
これからも遅くなるでしょうがどうかよろしくお願いします。


第10話 大規模作戦開始であります

 やあみんな。今日からついにアレが始まるぞ。え?なにが始まるかって?決まってるじゃないか。大規模作戦だよ。今は作戦の開始を提督から発表されるのを姉妹や他の艦娘と一緒に待っている。秘書をしているとはいえただの代理だからな。提督や扶桑のポジションに立つわけにもいかないというわけだ。

 

「・・・作戦概要は以上です。えー、では提督からなにか一言お願いします」

 

「一言か・・・そうだな・・・俺が言いたい事は一つだ。死ぬな。絶対に生きて帰ってこないと許さん・・・だ」

 

「提督・・・それだと二つだよ」

 

 どっかの神を喰らうゲームのワンシーンが浮かんだぞおい。

 

「や、やかましいぞ時雨。とにかく!無事に帰ってくるように!以上!」

 

 

 今回の大規模作戦は四段階構成の大規模というより中規模作戦だ。第一段階は水雷戦隊による資材回収作戦、第二段階は通常艦隊による前線基地の建設・・・ちなみに第一と第二は同時進行らしい。ゲームだと札が付きそうだが今回はそんな事もないらしい。そして第三段階は第一段階で回収した資材を前線基地に輸送する。集めた資材を一度鎮守府に持ち帰ってそこから前線基地に輸送するのは二度手間かもしれないがこうやらないと俺たちの燃料が保たないとか。んで、最後の第四段階で敵を叩く。俺は第一段階のメンバーで、必要ならば他の作戦にも出なければいけないらしい。こちとら実戦経験が少ないんだから第二と第四はキツいっす。

 

「ル級含む一艦隊をほぼ一人で殲滅しておいてなにを言っているんだお前は」

 

「いやいや、あんなのむこうが駆逐艦一人で油断してたから勝てたわけで本気で来られてたら殺られてたのは僕だよ」

 

「結果勝ったんだからいいじゃないか。ほらとっとと作戦の準備してこい」

 

「はーい」

 

 

「あ、時雨ちゃん。他の皆さんは集まってますよ」

 

「ごめんね。提督と話してたら遅れちゃった」

 

 第一段階の作戦メンバーは

 旗艦

 神通

 

 僚艦

 俺こと時雨

 山雲

 満潮

 暁

 響

 

 神通が旗艦の時点で本気が伝わってくるな。勢い付けるには華の二水戦と武勲艦神通の名は伊達ではない。

 

「やっと来たわね・・・ってあんたの武装って噂通りそれなのね」

 

 それとはもちろん俺の手甲とか脚甲の事である。装備が完成したので俺も出撃するようになったのだが、やはり最初は不安げな表情をされるので戦果で安心させようとしたのだが戦闘が終わると大体みんな変なものを見る目になるのだ。解せぬ。

 

「おはよう満潮。そういえばここに居るメンバーと出撃するのは初めてだね。改めてよろしく」

 

「よろしくね〜」

 

「よろしく」

 

「よよよよよろしく!」

 

 はて?暁はなぜそんなに緊張しているのだろうか。

 

「気にしなくていいよ。暁はとある人のファンだからね」

 

「ひ、響!」

 

「ファン?」

 

 誰だろうか?まあ順当に考えて神通さんだろうか。でも暁の目指すレディ像と合ってるのかはわからんが。

 

「みなさん、お喋りはこのくらいにして、行きましょう」

 

「「「「「了解」」」」」

 

 

「今回は資材の回収が主な任務です。主砲等の重しになりそうな装備は最低限を残して降ろしています。戦闘と回収を同じぐらいの割合で行う事のできる時雨ちゃんが頼りです。本当は私がメインで戦わないといけないんですが・・・」

 

 おおう・・・そうくるか。なら頑張らないといけないな。

 

「大丈夫。僕も資材を運ぶけど、いざという時はみんなの背中を守るから」

 

「大変心強い言葉ですがあなたはまだ本来の練度では着任したてです。最悪資材を捨てて逃げる事も忘れずに」

 

「了解・・・と、あれが目的地かな?」

 

「そのようですね。では、資材の回収に移ります。四人で四方を監視し、残り二人で回収。これを交代しながら行います。最初は私と響ちゃんで回収しますので、残りの四人は周囲の警戒を行ってください」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 

『こちら満潮。西はクリアよ』

 

『こちら山雲〜こっちも異常無し〜」

 

「時雨だよ。南も特に報告する事はないよ。暁ちゃんはどう?」

 

『え!?え、ええっと北も問題ないわです!』

 

「暁ちゃん落ち着いて。日本語がおかしくなってるよ」

 

『あ・・・ご、ごめんなさい・・・』

 

「まあ大規模作戦だし、緊張もするよね。落ち着いていれば周りが見えるから」

 

『は、はい!』

 

『こちら神通。回収が完了しました。交代しましょう』

 

「了解。じゃあ次は僕が行こうかな」

 

『あ、暁も行きます!』

 

『わかりました。では時雨ちゃんと暁ちゃんは交代をお願いします』

 

 

『こちら満潮。資材の回収が完了したわ』

 

『山雲も完了しました〜』

 

『こちら神通。全員の資材回収を確認。これより帰投します』

 

「了解。これより合流するよ」

 

『響だよ。合流する』

 

『暁も合流するわ!』

 

 

「じゃあ集まったようなので急いで戻りましょう。私たちの帰りをみんな待ってます」

 

 全員資材を積んだドラム缶を積んで単縦陣で進んでいると、遠くに黒い物体が見えた。あれってもしかしなくても・・・

 

「じ、神通さん・・・あれって」

 

「?・・・っ!?全艦全速離脱!敵の艦載機に見つかりました!」

 

 やはり敵の哨戒機だったか。戦闘が無いに越たことはないが・・・さてどうなるか。

 

 

 数分もすると敵航空機が空を覆い尽くしていた。おいおい敵は機動部隊か。

 

「不味いですね。向こうは最低でも正規空母が一隻は居るようです。規模から考えるに正母一に軽母二でしょうか」

 

「僕は対空兵装が無いんだけど・・・ダメ元で爆雷を投げてみようか?」

 

「それはあなたの貴重な火薬なのでしょう?ならなるべく温存するべきです」

 

「神通さんがそう言うなら・・・じゃあせめてこれで対処する事にするよ」

 

 と言って俺はレッグシースからトマホークを取り出して神通に見せる。

 

「ト、トマホークですか?それでどう・・・」

 

「まあ見てたらわかると思うよ」

 

「二人とも話してる時間はもう無いわよ。追いつかれたわ」

 

「了解しました。全艦生き残る事だけを考えてください。最悪資材は投棄して逃げます。全艦対空戦闘用意!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

 

 空母との戦闘は何気に初めてだな。今まで上手い事空母に出会わなかったんだが、腹を括ってやりますか。

 

「トマホーク・・・」

 

 狙いなんて付けない。相手は前後左右しか動けない水上の敵じゃなく、そこに上下の三次元的な動きのできる艦載機だ。てか正直狙いを定めるのが面倒くさい。こんだけたくさん居たらどれかには当たるだろ。

 

「ブーメラン!!」

 

 俺の投げたトマホークは弧を描いて敵艦載機に吸い込まれていく。

 

 ドカァァァン!!

 

「うん!敵機撃墜!」

 

 戻ってきたトマホークを掴みながら周りを見るとみんなから機銃や主砲を撃ちながらではあるが呆れたような視線を向けられている。暁だけは羨望の眼差しだが。

 

「呆れた・・・なんて撃墜の仕方してんのよ」

 

「でも墜とせたからいいじゃないか」

 

「確かに見ればよくわかりましたけどそういう用途の武器でしたっけ?」

 

「全然違うと思うよ」

 

「突飛な事をしてくるのはもう経験済みだけどね」

 

「かっこいい・・・」

 

「みんな呆れる気持ちもわかるけど今は戦闘に集中しましょうよ〜」

 

 おっとそうだった。俺はみんなと違って投擲武器だからみんなよりも頑張らないといけないんだよな。と思いトマホークを構え直そうとすると視線を動かした際に俺に羨望の眼差しを向けて惚けている暁の上に爆弾を落とす敵艦載機が映った。その瞬間には体が動いていた。

 

「暁ちゃん!」

 

「え?きゃっ!?」

 

 俺は咄嗟に暁を右腕に抱えて左腕の手甲を盾にする様に構えて爆弾を受ける。

 

「う、ぐ・・・っ!!」

 

 痛ってぇ・・・ル級の装甲のお陰で腕が吹き飛ぶとか骨が砕けるって事は無かったけど衝撃が凄い・・・打撲と内出血くらいはしている感じか?

 

「ふう・・・暁ちゃん、大丈夫?」

 

「あ、暁は大丈夫だけれど・・・腕が・・・」

 

「大丈夫だよ。吹き飛んだ訳でも骨が砕けた訳でも無いし」

 

「で、でも・・・」

 

「あ、暁ちゃん、魚雷持ってたら一つ貸してくれない?」

 

「え?ぎょ・・・魚雷?再装填用のが一組あるけど・・・なにするつもりなの?」

 

「うん。ちょっと敵空母にご飯をご馳走してあげようかなって思ってね」

 

 

 空母ヲ級は油断していた。敵は武装をほとんどしていない遠征部隊。偶然艦載機が発見した敵だったが、この程度なら簡単に終わる。二隻のヌ級と共に艦載機を発艦させるだけでいい実際空母仕様の視力いい目で見ていれば、大した弾幕を張ることも出来ず(なにか投げて堕としている奴もいるが問題は無いだろう)損害を与えている。今自分の艦載機が落とした爆弾の下に居た駆逐艦を別の駆逐艦が庇ったところだ。あれなら一人は確実に倒しただろう。そう思っていたのだが

 

「ナニ?」

 

 だが、その目に映ったのは多少傷が付いてはいるもののほぼ無傷の駆逐艦。あの腕に付いている装甲でガードしたのだろうが・・・爆弾の信管が緩くて手前で爆発したか?なんて思っているともう一人の駆逐艦からなぜか魚雷を貰ったあの駆逐艦と目が合って・・・

 

「!?」

 

 まてまてまて!!奴らの居る場所と私たちの居る場所は離れている!!奴らに空母は居ないし視認するのは難しいはず!百歩譲って水平線から少し見えていたのだとしても目が合うだと!?ありえない!

 

「全艦戦闘態勢!」

 

 

 敵機が飛んできた方向から考えるとあっちか?魚雷をプレゼントしにいかないと・・・

 

「神通さん」

 

「なんですか?」

 

「レディのエスコートに行ってくるよ」

 

「・・・危険ですよ?」

 

「大丈夫。入ったばかりの若造が何言ってんだって感じだけど・・・絶対死なないからさ」

 

「ちょっとあんた何言ってんのよ!一人で「いいでしょう」神通さん!?」

 

「ル級に勝って帰ってくるような娘です。死にはしないでしょう」

 

「ありがとう。じゃあ、行ってくる」

 

「時雨!!あぁもう・・・」

 

 

 さて、攻撃する時に邪魔になるから魚雷は腰に付けて・・・と、移動していると少しづつだが敵が見えてきた。それに合わせるように敵の艦載機が寄せ付けまいと何機かこっちに来たか。

 

(これなら神通さんたちの負担も減るかな?)

 

 

 艦載機の攻撃を避けながら進んでいるといるとしっかりと敵の姿が見えてきた。

 

「と・・・射程距離に入ったみたいだね」

 

 敵は神通さんの予想通り正母一に軽母二・・・後は駆逐艦が占めているようだ。

 

(運がいいと言うかかわいそうと言うか・・・駆逐艦全員ハ級だ・・・)

 

 ル級戦の時に居たハ級でもう対処の仕方はわかっているのだ。

 

「ボールを相手のゴールにシュウゥゥゥゥト!!」※爆雷です

 

 俺が投げた爆雷は見事にハ級の目に吸い込まれていき、ハ級は全員海の藻屑と化した。

 

「悲しいけど、これ戦争なのよね」

 

(アバババ・・・)

 

 ヲ級は混乱している。確かに駆逐ハ級という個体は敵の底練度の駆逐艦にすら負けることもある、言ってしまえば雑魚である。だがそれでも自分たち空母を守ってくれる護衛である。それがものの数秒で砲撃ではなく爆雷一発で倒されるとは思っていなかったのだ。

 

「ダメだよ?ボーッとしてたら」

 

 という言葉とともに奴が走り出し、ヌ級の目の前に移動すると手にはめている鉄の塊で乱打し始めた。訳がわからない。ここまで接近してきた上に砲撃をしないというのも変な話だが現に目の前で起こっている。そうこうしてるうちについに二隻のヌ級が倒された。一撃離脱で艦載機からの攻撃を避け、逃げ切れずに只管殴られ続け、遂に沈んでいった。

 

(頭狙イスギダロコイツ・・・ナンカ恨ミデモ買ッタッケ?ナンテ現実逃避シテル場合ジャナイ!コッチニ来テル!残リノ艦載機デ足止メシナガラ逃ゲルシカナイ!)

 

 そう思って艤装の口を開けた瞬間、口の中になにか異物が投げ込まれたのがわかった。腰に付けていた魚雷が無くなっているので、投げ込まれたのは魚雷なのだろうと、頭に受けた爆発の衝撃で意識が遠のく中で、他人事のように考えていた。

 

 

「はっ!」

 

 手っ取り早くヌ級を片付けてしまう為に、俺は一体を集中的に狙う事にした。デカい頭に左手で拳を放ち、続けて右でアッパー。ここら辺から艦載機が攻撃してきたので一撃離脱戦法に切り替える。避けては拳、避けては拳と続けているとヌ級のあちこちにヒビが入り、目から光が消えて沈んでいった。

 

「次は君だよ!」

 

 もう一人に向かうと艦載機では倒せないと判断したのかまあまあ立派な腕を振り回して抵抗をしてきた。まあいなしちゃうんだがね。いなして体制の崩れたところに空中前転をしてその回転の力も乗せてかかと落としを叩き込む。ル級の装甲の硬さも加わって一撃で沈んでいった。

 

(さて・・・最後は・・・)

 

 振り向くとヲ級が頭の艤装の口を開けようとしていた。

 

「お客様、食後のデザートなどはいかがでしょうか?」

 

 俺は腰に差してた魚雷を抜き取り艤装の口目掛けて投擲した。すると魚雷は真っ直ぐ口の中に入り爆発。ヲ級を撃破した。

 

「ふう・・・終わった」

 

 早く神通たちと合流して帰りたいところなのだが、問題点が一つ。

 

「母艦を失った艦載機が特攻仕掛けてきたんだけどぉ!」

 

 

 疲れた・・・上手く避けながら神通たちと別れた場所まで戻ってこれた。神通たちも艦載機を墜とし終わっていたようだ。

 

「ただい・・・おっと」

 

 なんとあの満潮が抱きついてきた。普段はツンケンしてるのにどうしたのかと思っていると。

 

「怖かったんだから・・・」

 

 俺はここでゲームでの満潮の入渠ボイスを思い出した。

 

『私の修理中に艦隊全滅とかやめてよね・・・』

 

「・・・僕は大丈夫だよ。絶対に沈まないから」

 

 沈んでなるものか。まだまだやりたい事もあるしな。

 

「イチャイチャするのもいいですけどここは危険ですから早く帰りましょうか」

 

「い、イチャイチャ!?」

 

 え?はたから見たらそんな風に見えるの?まあ満潮可愛いから悪い気はしないけどね。

 

「時雨ちゃ~ん。帰ったらなにか奢ってね~」

 

「え?」

 

「山雲だって心配したんだからね~?」

 

「あー・・・そうだよね。ごめん。僕が出せる物だったらなんでも・・・」

 

「ん?」

 

「今」

 

「「なんでもって言った?」」

 

「え?山雲と響ちゃん何その反応」

 

「神通さん。帰ったらお詫びにみんなに間宮さんのおやつを奢ってくれるらしいよ」

 

「!?」

 

「あら、それはいいですね。でもあまり困らせてはいけませんよ」

 

「問題ないわ~。一番高いのを頼むだけだから~」

 

「(お金足りるかな・・・)・・・と、そうだ。暁ちゃん」

 

「へ?な、なに?」

 

「暁ちゃんが魚雷を貸してくれたおかげでヲ級を倒せたよ。ありがとう」

 

「そ、そんなことないわよ!元々は暁が交戦中にボーっとしてたのが悪いんだし・・・暁がもっとしっかりしてたらケガさせないで済んだんだし・・・」

 

「そうかもね。でも今日の事を戒めとする事ができるならきっと大丈夫。成功する事だけが大事じゃない。失敗して学ぶことも大事なんだと僕は思う」

 

「・・・」

 

「僕も忘れないし暁ちゃんも忘れないで。それでいつかお酒でも飲みながら、あの時はこんな事しちゃったね、みたいに笑い話にしようよ」

 

「・・・はい!」

 

「よし!じゃあ帰ろっか!待たせてごめんね。神通さん」

 

「全くです。お腹も空きましたし、デザートも付くみたいなので早く帰りましょう」

 

「あ・・・やっぱり覚えてたんだ・・・」

 

 

「では、私は提督に報告をしないといけないので皆さんは先に夕食を取っていてください」

 

「了解早く来ないと神通さんの分のデザートも食べちゃうよ」

 

「あら、そんな事されちゃうと私・・・怒っちゃうかもしれません」

 

「ヒエッ!」

 

「ふふ、冗談です。でもなるべく早く帰ってきますね」

 

 や、やっぱり神通さんをからかうのはやめた方がいいな。本気でちびるかと思った・・・

 

「ん?時雨?あんたどうしたの?」

 

「いや、流石は華の二水戦だなってね・・・」

 

「はあ?」

 

 

 さて、みんなで食事を取りながら話をしていると神通さんが帰ってきた。

 

「お待たせしました」

 

「いや、全然待ってないよ。さ、早く座って食べようよ」

 

「そうさせてもらいます。そうそう。さっき明石さんにあったのですが、時雨さんに伝言を預かってます」

 

「明石さんから?」

 

「はい。『例の物が完成したから後で工廠に来てね』と仰っていたのですが、何の事ですか?」

 

「僕が明石さんに頼んでおいたリーサルウェポンだよ。そうか!完成したんだね!ありがとう。後でまた行くよ」

 

「ちなみにどんな武装なんですか?」

 

「まあ見てのお楽しみってところかな?まあそうそう使う事なんて無いと思うけど」

 

「そうですか。なら見せてもらう時を楽しみにしてますね」

 

「あ、時雨ちゃ~ん。ちょっといいかしら~?」

 

「うん。大丈夫だよ。それでどうしたの?」

 

「デザートが決まったから一応言っておこうって思って~」

 

「ああ、そうだったんだ。でえ、何にするの?」

 

「間宮と伊良湖のDXジャンボパフェを全員分~」

 

「」

 

 え?それってたしかここで食べる事が出来る物の中で一番高いやつじゃ・・・

 

「だって言ったじゃない?一番高い物を頼むって」

 

「そういえば・・・」

 

 あれってマジだったのね・・・

 

「まあ約束だものね。OK。それでいいよ」

 

「あら流石に勘弁してとか言われるかと思ってたわ~」

 

「まあ着任してからあまり使ってないしね。奢れるくらいの蓄えはあるはずだよ」

 

「ふーん・・・じゃあお言葉に甘えさせてもらうわね~。神通さんはどうします~?」

 

「では私も同じ物を。私はまだ食べてますので私の分は後でと伝えてください」

 

「了解~。じゃあ行ってくわね~」

 

 と言って俺と神通さんを残して皆が注文しに席を立った頃を見計らって神通さんが・・・

 

「私の分は自分で払いますから心配しないでくださいね」

 

「え?ちゃんと僕が払うよ?」

 

「私は元々心配はしてませんでしたから。それに、確かに使ってはいないんでしょけど日数的にそこまで多くないでしょう?」

 

「・・・お言葉に甘えちゃってもいいかい?」

 

「ええ。でも、あの子たちの分は払ってくださいね?本当に心配してたんですから」

 

「それはもちろんだよ。皆の分も払うなんて言ったら断ってたよ」

 

 

 DXジャンボパフェ高すぎワロタwww。いや笑えないくらいの出費だったんだけどね。さて今は明石さんのところに向かっている。早くあれを見たいからな。工廠を開けると明石さんがもう待ってくれていた。

 

「あ、来ましたね。来てください」

 

 付いていくと机の上にゴツくて巨大な物体が載せられていた。

 

「これが・・・」

 

「そうです。【九三式対艦鉄杭射出機】。時雨さんの呼び方だと【パイルバンカー】でしたっけ?」

 

 そう。俺が明石さんに頼んでいたのはパイルバンカーだったのだ。そしてもう一つ。こいつに搭載している装備がある。

 

「んで、この爪は【九四式対艦溶断機】こちらは【ヒートクロー】って言うんでしたっけ?」

 

 ヒートクローはイメージしやすい物で例えると、OOのキュリオスのシールド、もしくはアリオスの飛行形態の機首を想像してくれたらいいと思う。それがパイルバンカーに付いている。

 

「そうだよ。でもまさか僕の要望通りに二つとも一緒にしてくれるなんて・・・じゃあ改めて説明をお願いしてもいいかな?」

 

「もちろんです。まずパイルバンカーからですけど・・・」

 

『緊急事態発生!前線基地建設の為に偵察に出ていた艦隊から救援要請が入りました!敵は戦艦棲姫のもよう!』

 

「なんですって!?」

 

『出撃可能な艦娘は準備が出来次第外に波止場に集合してください!繰り返します!・・・』

 

「明石さん。それって今すぐ使えるよね?」

 

「使えますけど・・・もしかして・・・」

 

「お願い」

 

「・・・はあ、わかりました。でも約束してください。それはまだテストもしてません。無茶はしないでくださいよ」

 

「わかってるよ。僕も馬鹿じゃない」

 

 

「揃ったな」

 

 今俺は波止場にいる。俺の他にいるのは今日出撃した艦娘以外だ。補給に時間がかかるらしい。俺は燃料のみなので他よりも早い。

 

「今は一刻の猶予も無い。手短に言う。あいつらを頼む」

 

「「「「「「了解!!」」」」」」

 

 

「一刻の猶予も無いと言った直後で悪いが、時雨。それなんだ?」

 

「これ?詳しくは明石さんから聞いてね」

 

「あいつか・・・」




クオリティ・・・はい。
あれだけ待たせてこの程度なんです。
ごめんなさい。
ベッタベタですね。
実ははパイルバンカーはもう一話挟もうかと思いもしたんですがすごい時間かかっちゃってるし、今回の話で出すと公言してましたから嘘はよくないと思い、今回の話と相成りました。
次回は戦艦棲姫戦です。
頑張って書き上げます。

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