完全で瀟洒な従者の兄+紅魔館の(非)日常   作:新幹線刈り上げ

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 どうも、人妖さんです。今回は前回言ってたとおりコラボ回となります。二話完結となりますが、ぜひ最後まで見てやってください。和菓子ぃ様の『幻想と夢想と空想と』も、ぜひ読んで欲しいです。前回は荒れていたので、この際をきっかけに心機一転していきたいと思います。
 
 これからも和菓子ぃ様の『幻想と夢想と空想と』と私の『完全で瀟洒な従者の兄+紅魔館の(非)日常』をよろしくお願い致します。(後、和菓子ぃ様。遅れてしまい本当に申し訳ございません)

 では、コラボ回! どうぞ!!




コラボ:和菓子ぃ様の『幻想と夢想と空想と』(1/2)

 いつもの日常。いつもの日々。紅魔館に住むものは、「紅霧異変」という異変を起こしては博麗の巫女にあっさり解決されてしまい、今の現状に至る。それからというものの、咲夜も異変解決に乗り出す事が増えていた。勿論、僕は行こうと思ったことが無い。何故なら、これ以外に仕事があるからだ。それはやはり、皆が知っている仕事だろう。

 

 皆は『霧雨魔理沙』という極普通の魔女を知っているだろうか? 毎年人気投票で十位以内には入っている主人公クラスのキャラだ。

 この魔理沙という魔女も普段は異変解決に協力しているものの紅魔館に本を借りに来るのだ。まぁ、本を借りに来るのは魔理沙だけじゃないからいいのだが基本返してくれない。

 

 パチュリー様の本には、魔法が掛かっており(勿論僕が薦めた)一週間が経っても本棚に本が並ばない場合、本が開かなくなる上に表紙に『緊急』という文字がデカデカと付く魔法だ。

 

 嫌がらせ極まりない魔法だがこうでもしないと本を帰ってこないままなのだ。つい最近から導入したもので、勿論、魔法の掛かってない本もある。

 たまにアリスも忘れて魔導書に『緊急』という文字が付いたことがある。しかし、悪気が無いのでセーフだろう。アリス曰く、『これだと、一週間かけても読み切れない本を借りれない』と言うのでアリスには無期限を与えることになった。

 

 結果、この魔法は『魔理沙防止システム』と呼ばれ、長いので略して『魔理防』という言い方に定着した。

 

 皆は気づいただろう。僕の仕事は『パチュリー様の大図書館防衛戦』という仕事を年中むきゅーに課せられているのだ。

 

 しかし、ひょんなことからそんな僕の仕事は一変したのだ。

 ある日、お嬢様はパチュリー様と共に悪魔を転生したいと言うことで、大図書館で悪魔転生をしたのだ。

 上手くいったようで人型のものが転生できたらしい。だけど、妙におかしいのだ。転生はできた。お嬢様も上手くいったと喜んでいた。しかし、パチュリー様は余りよろしくない顔をしているところ、何かあったのだろう。

 

 「あれ…ここは…?」

 

 「やった! やった! やった…?」

 

 レミリアは大きな魔方陣の中に居る男に向かってぴょんぴょん飛び跳ねるが、悪魔には見えないその姿を見て、戸惑う。

 

 「どうやら、“また”も失敗ですね。」

 

 「どういうことだ…?」

 

 男はまだ、自分が転生されたことに気づいていない様で、キョロキョロ周りを見渡し『どこかで見掛けたことがある』、まさにそんな言葉が似合うような顔をして視線はレミリアで止まる。

 

 「すみません。貴方は、レミリア様の手違いで転送された者です。」

 

 「転送…? 何言ってんだ?」

 

 「それでは、名前を覚えていますか?」

 

 「よくわからねぇ。俺の名前は、凱凛だ。」

 

 「僕は十六夜聖夜。せいやと書いてノエルと読みます。取りあえずその魔方陣から出れますか?」

 

 凱凛はどれだけ体が動くか動作確認をするようにアップしながらその陣から出る。改めて、凱凛は大きな図書館を見渡す。

 他の者からすればいつもの図書館だ。ただただ広くて、迷う者がいるほどだ。しかし、凱凛も何か懐かしむように見渡している。

 

 「十六夜!? 咲夜に兄弟って居たっけ? っていうか、ここって紅魔館の大図書館に似ているな…。既知感が物凄くあるんだが…」

 

 「えぇと…咲夜の事を知っているが、僕の事を知らないのですか…?」

 

 「あ、あぁ…覚えていないだけかも知れないが…。聖夜って言ったっけ?」

 

 「はい。聖夜とも言います。まぁ、咲夜の兄です。以後お見知りおきを。」

 

 一通り挨拶を終えて、すぐにレミリアが口を挟む。

 

 「ねぇねぇ、凱凛って言ったわよね…? ここの事を知っているの?」

 

 「うん。っていうかさっきまでここで魔理沙と本を読んでいたところだったけどな」

 

 「魔理沙も知っているってことは、間違いなくパラレルワールドね…」

 

 次に挟んだのは無口だったパチュリーだった。異常な事態が起こっているのにも関わらず冷静にいるのは尊敬できるものだろう。

 

 「ぱられるわーるど…?」

 

 レミリアは初めて聞く言葉に首を傾げる。

 

 「簡単に言うと別世界ですかね…。幻想郷というのは実は可能性の数だけあります。例えば僕が、この凱凛という者をどうするかによってまた違う世界が産まれます。」

「何となく分かったわ…取りあえずこの子を元の世界に帰るのには如何すればいいのかしら?」

 

 「そうですね…。まぁ、もう一回同じことすれば良いのでは無いでしょうか?」

 

 ノエルは適当に言っているように聞こえる。しかし、レミリアは知識が足りないためにノエルの言葉を丸呑みしたようだ。凱凛はいつのまにか、図書館の本を読み漁っていた。

 

 「いえ、そうしたいのも山々なのだけど、魔力が沢山居るのよねこの転生。特に最高の転生だったから、もう一回するっていうなら24時間ぐらいは必要ね」

 

 簡単にパチュリーは言うが、24時間と言えば一日だ。そんな長い時間をここに身を置かせるのは失礼極まりないだろう。

 

 「もう少し短くならないわけ? 凱凛が可哀想じゃない。」

 

 「いや、大丈夫ですよ。もう少し、別世界というのも堪能してみたいですし。」

 

 凱凛には聞えていたらしく、本に視線を落としながら呟くように言う。

 

 「だけど…」

 

 「良いじゃないですか。どうやら幻想郷の事も知っているらしく、馴染んでいるそうですし。」

 

 ノエルはそう言ってポケットから時計を取り出し、驚いた顔になる。

 

 「もう、こんな時間。お昼御飯の準備をしなければなりません」

 

 いつの間にかノエルは消えており、凱凛は分厚い本を閉じて緊張を抜く様にため息をする。

 

 「…その本懐かしいわね。それ、ノエルと咲夜が『父が書いた本』って言ってここに来た時に持っていた本よ」

 

 レミリアは凱凛が抱えている辞書見たいに大きい本を見つめながら呟く。

 

 「『完全なヴィシュラヴァスのDNA』。人間は脳を3%~5%までしか使っていないからそれをどうにかして100%にするという話だったわよね。」

 

 パチュリーが久しく言葉を口にする。パチュリーの言うとおり、凱凛の抱えている本のタイトルはそうだ。

 

 「そうなんだけど、内容がとても難しくて目が痛くなってきた。」

 

 凱凛は本をテーブルに置いて、目に手を当てる。レミリアはその光景を見て少し笑う。

 

 「似ているわよ、その仕草。ノエルも疲れた時はそうやっているのよ。」

 

 「へぇ、そういえば咲夜は?」

 

 凱凛は再び図書館を見渡し咲夜を探すが、当然見当たらない。すると、図書館の扉が大きな音を経てて無造作に開けられ、そこから魔理沙が荒い呼吸をしながら大量の本を抱えてパチュリーのところまで飛翔してきた。

 

 「ぜぇぜぇ…本を返しに来たぜ…ッ!!」

 

 魔理沙は『緊急』と表紙にデカデカと書かれた本をドッサリとテーブルに置いて、呼吸を整えようとする。

 しかし、凱凛は唖然とした顔で魔理沙を見つめていた。

 

 「何だ!? 新入りか!? 」

 

 魔理沙は先程の披露がどこへ行ったのかと聞きたいぐらいにテンションを上げて凱凛をジロジロと見る。

 

 「え? これが魔理沙? ここの魔理沙は“ちゃんと”本を返すのか? 凄ぇなオイ」

 

 「いや、当たり前の事なんだぜ!!」

 

 魔理沙は親指でグッドを作って凱凛に見せ付けるが「嘘は止めなさい」というパチュリーの冷ややかな突っ込みにより、嘘がバレてしまった。

 

 「えっと、魔理沙!? どういう風の吹き回し!? 本を返すなんてとち狂った事するなんて熱でもあるんじゃないか!?」

 

 「いや、それは何でも言いすぎなんだぜ…」 

 

 「そりゃ、魔理沙と言ったら本盗り魔法使いで『魔理去る』とか言う動詞があるぐらいだからな」

 

 そう言って凱凛が苦笑する。

 

 「まぁ、最近は帰ってくる本も増えているけどね。魔理沙には悪いけど、『魔理防』の魔法はこの図書館が崩れるまでは掛けるつもりだから。」

 

 パチュリーが本に視線を落としたまま、 静かに放たれたその言葉は魔理沙の生き方を揺るがすには容易い言葉で余程ショックだったのか、膝を折ってその場に突っ伏した。

 

 そこに、能力で瞬間的に現れたノエルが笑顔で「お昼ご飯の時間です」と言った。パチュリーも本を閉じて皆で食堂まで、移動して飯を始めた。

 

 




 作者はFF7のセフィロスも好きだったりします。

 
 後、番外編とかも書こうかな、と考えていましたがまずはこのコラボをちゃんと完結させてからですね。不甲斐無い作者ですが、これからも宜しくお願い致します。






 次回へと続く。


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